臨床的に健常なビーグルに対するPortulaca oleracea L.(POL)を加えた加減法による五味消毒飲(MGSI)の連日給与が血清中脂肪酸濃度に与える影響を調査した。MGSIの給与量は、推奨量群(n=5)に対しては1錠270mg錠あたりにPOLを60%以上含む錠剤を日量4錠、そして高用量群(n=5)はその2.5倍量である10錠とした。給与方法は、両群ともに1日2回に等分しフードに混ぜて連日8週間与えた。MGSIの給与前(Pre)と給与後8週(8W)の血清中脂肪酸濃度は、内部標準法によるガスクロマトグラフィ(GC)により測定した。推奨量群において、8Wのエイコサペンタエン酸(EPA)濃度は、Preよりも有意に高値であった(p<0.01)。一方のn-6脂肪酸であるアラキドン酸(AA)は、Preに比べ8Wは、有意に低値であった(p<0.05)。高用量群におけるEPAとAAの変化も推奨量群と類似した結果であった。また、推奨量群のn-6/n-3は、8Wの方がPreに比べ有意に低値であった(p<0.05)。高用量群のn-6/n-3も推奨量群と同様に、8Wの方がPreに比べ有意に低値であった(p<0.05)。EPA/AAは両群のともに8Wの方がPreよりも有意に高値であった(p<0.01)。以上のことから、本研究で証明された血清脂肪酸組成の変化は、皮膚疾患を含む炎症性疾患の治療に対するMGSI給与の有用性をサポートするデータであると考える。
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