歩行異常のある9歳以上の高齢犬13頭に、0.25g/kg/dayのコラーゲンペプチドを3ヶ月間経口投与し、歩様の変化を非投与群と比較した。一般身体検査から、全ての被検犬が高齢犬に見られる関節疾患また身体状況であった。歩様の評価は、ビデオ撮影した犬の歩様をスコア化して行い、コラーゲンペプチド投与群では、9頭のうち5頭で歩様の改善がみられた(改善率=5/9、56%)。非投与群では4頭中の2頭で歩様の改善がみられた(改善率=2/4、50%)。著しい歩様改善が観察されたコラーゲン投与個体では、歩行時の活動性の増加や尾の位置の上昇などがみられた。以上の結果から、コラーゲンペプチドの継続的な摂取によって高齢犬の歩様が改善される可能性が示唆された。
臨床的に健康な犬6頭を用いて、食物アレルギー用の療法食を14日間給与して腸内フローラの変化を観察した後、アップルファイバーを14日間添加して、どのような効果があるか評価した。その結果、療法食の14日間給与により腸内フローラは、Streptococcus 属およびPrevotellaceae 科の割合が減少する傾向がみられ、一方、Bacteroidales 目の割合は、増加する傾向がみられた。アップルファイバーの添加でBacteroidales 目とClostridiales 目および/またはFusobacteriaceae 科の割合が、いずれも試験開始前に比較して有意に増加した。糞便の有機酸濃度は、療法食の給与によって乳酸および酪酸とプロピオン酸が減少傾向を示し、アップルファイバー添加による変化はなかった。糞便性状のスコアは、試験期間を通して有意差がみられなかった。糞便中の水分量は、療法食の給与で減少する傾向を示し、アップルファイバー添加後も変化はみられなかった。糞便のpHは、療法食の給与で有意に上昇し、アップルファイバーの添加でわずかに低下する傾向がみられた。以上のことから、食物アレルギー用の療法食給与は、腸内フローラに影響を与え、糞便性状を変化させる可能性が示唆され、アップルファイバーの添加は、明らかな改善効果を示さないことが明らかとなった。
犬アトピー性皮膚炎(Canine atopic dermatitis: CAD)は、慢性経過を辿ると色素沈着や苔癬化につながり、その改善は時に困難となる。CADの治療ガイドラインには多角的治療のひとつとして抗酸化作用を有するサプリメントが候補となっている。Imudain Hydro Forte(IHF、イムダイン株式会社、東京)は、サンゴカルシウム、レスベラトロール、メロングリソディンを含有し、強い抗酸化作用がある。そこで色素沈着、苔癬化などの改善に苦慮していた慢性CADのミニチュア・ダックスフンドに対し、一般的な治療にIHFを併用したところ皮膚徴候の改善が得られた。このことから、本症例の皮膚徴候の改善にIHFの関与が示唆された。
読者より指摘があり、編集委員会で検討したところ下記の訂正が妥当だと判断されました。
本誌第21巻第1号掲載のペット栄養管理士コーナー「添加物(1)」の記載の訂正。
1.70ページ左段落2行目:「最大無作用量」を削除する。
2.70ページ左段落5-6行目:「NOAELの1/100をADIとしています。」を 「NOAELの1/100をADIとしていることが多いです。」に改訂する。
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