ペット栄養学会誌
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21 巻, 1 号
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原著諭文
  • 秋山 蘭, 生野 佐織, 平松 朋子, 小田 民美, 森 昭博, 左向 敏紀
    2018 年21 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2018/05/18
    ジャーナル フリー
    ヒトの肥満者や糖尿病患者において、食物の消化吸収を遅延させ、食後高血糖を緩やかにする食物繊維を積極的に摂取する食事療法が行われている。本研究では健常犬に対し、ビートパルプ(可溶性+不溶性繊維)およびセルロース(不溶性繊維)を添加したフードにおける食後の血中糖代謝パラメーター(グルコース、インスリン、NEFA)およびインクレチン分泌(GIP、GLP-1)の比較を行った。コントロール食として、繊維含有量の少ないイヌ用ドライフード(fiber:0.9g/100kcal)を用いた。繊維添加量はフード量(g)の10%(fiber:3.5 g/100kcal)および20%(fiber:6.1g/100kcal)とし、コントロール食に添加した。結果として、コントロール食よりも20%添加食の方がインスリン、NEFAおよびGIP分泌が抑制され、GLP-1分泌が促進されたことから、20%添加食は消化吸収遅延、肥満防止および食欲抑制に繋がると考えられる。しかし、種類間では大きな差異がみられなかった。これは、ビートパルプの可溶性繊維:不溶性繊維の割合が2:8であり、可溶性繊維の特徴である食物移行遅延に乏しいためであることが示唆された。
  • 生野 佐織, 戸髙 麻衣, 奥畑 遥景, 小野沢 栄里, 石井 聡子, 後藤 杏依, 宮島 芙美佳, 小田 民美, 森 昭博, 左向 敏紀
    2018 年21 巻1 号 p. 7-12
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2018/05/18
    ジャーナル フリー

    ヒトにおいてアセトアミノフェン(APAP)の吸収速度は、胃内容排出速度を反映することが報告されている。しかし、胃内容排出時間を評価するためのAPAP法は、健常犬での報告は少ない。本研究では、ヒトに使用されている市販のAPAP検出キットがイヌにおいて血清APAP濃度を測定可能かを検討することを目的とした。まず、APAP投与後のイヌ血清を用いたAPAP検出キットの再現性および希釈直線性を評価した。同時再現性では、変動係数(CV)は10%以下と良好な結果を示した。しかし、日差再現性のCVは、19.4%であった。次に、本キットを用いてイヌにおいて検出可能なAPAP投与量を決定するため、6頭の健常犬にAPAPを食事のみ(0 mg/kg(体重))、食事と10 mg/kgおよび食事と20 mg/kgをそれぞれ投与した。0 mg/kgおよび10 mg/kgと比較し、20 mg/kgで血清APAP濃度の有意な増加が認められた。結論として、APAP検出キットはイヌの血清APAP濃度を測定することが可能であり、胃内容排出時間を評価するために応用することができると考えられた。さらに、イヌにおいてAPAP検出キットを使用した場合、鋭敏に検出可能なAPAPの用量は20 mg/kgであることが分かった。

  • 福島 建次郎, 大野 耕一, 小田巻 俊孝, 高津 善太, 前田 真吾, 辻本 元
    2018 年21 巻1 号 p. 13-19
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2018/05/18
    ジャーナル フリー

    近年、炎症性腸疾患(IBD)の病態や治療に関連して、腸内細菌叢や消化管粘膜の免疫寛容などに関しての関心が高まっている。しかしながら日本国内において、プロバイオティクスやプレバイオティクスの投与が動物の消化管に及ぼす影響に関する基礎的な研究は限られている。本研究では健常犬6頭にビフィズス菌・乳酸菌製剤(ビヒラクチンDXTM)およびサイリウムを2週間同時投与し、投与前、投与後の腸内細菌叢および腸粘膜における制御性T細胞(T-reg)数の変化について検討した。腸内細菌叢の解析では、投与後に Firmicutes門が減少し、Fusobacterium門および Bacteroides門の菌の構成比が増加していた。 また6頭中5頭で、投与後の細菌構成比が類似したパターンへと変化したことが明らかとなった。しかしながら消化管粘膜におけるTreg数については、有意な変化は認められなかった。今後はT-regの制御に関わるとされる短鎖脂肪酸の解析も実施し、また症例犬を用いた臨床的な検討も必要であると思われる。

  • 宮島 芙美佳, 小野沢 栄里, 生野 佐織, 石井 聡子, 後藤 杏依, 小田 民美, 森 昭博, 左向 敏紀
    2018 年21 巻1 号 p. 20-26
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2018/05/18
    ジャーナル フリー

    本研究では、中鎖トリグリセリド(MCT)が健常猫にどのような影響を与えるか検討するため、MCTを豊富に含むココナッツ油を添加した食事、および長鎖脂肪酸脂肪(LCT)を含むラード、大豆油を添加した食事を給与した場合の糖、脂質代謝の変化を比較した。健常猫6頭を用いて、3種の異なる脂肪を添加した食事を給与した。3種の脂肪添加食をそれぞれ14日間ずつ給与し、体重および体脂肪率の測定、臨床症状の有無の評価、血液検査を実施した。全ての食事において試験期間中、全頭で嗜好性に問題はなく副作用も認められなかったため、脂肪添加食は安全に給与できた。さらに、血液検査項目の血糖値、インスリン濃度、GIP濃度、GLP-1濃度、中性脂肪(TG)、遊離脂肪酸(NEFA)濃度を測定した所、全ての検査項目において3種の食事間で有意な違いは認められなかった。ヒトにおいてMCTは代謝が速く効率の良いエネルギー源とされ、また脂肪蓄積抑制効果なども認められているが、猫においては今後さらに検討が必要である。

  • 湯川 尚一郎, 加門 由理, 木川 祐菜, 田中 蓮華, 横田 桃子, 大島 誠之助, 古川 敏紀, 仲 克己
    2018 年21 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2018/05/18
    ジャーナル フリー

    ドッグフードへのサルモネラ属菌の混入に注目し、日本国内で販売される犬用ドッグフードを対象に調査を行った。方法は「愛玩動物用飼料等の検査法(27消技第1051号)」に従った。対象製品は27社の犬用ドライフードから選択した国産フード63製品、輸入フード47製品とした。輸入フードの原産国の内訳は米国14製品、オランダ7製品、タイ・カナダ・フランスが6製品、オーストラリア5製品、スウェーデン2製品、チェコ1製品であった。その結果、サルモネラ属菌は、今回調査した、すべての製品で陰性であった。

  • 松本 浩毅, 橋本 善行, 手嶋 隆洋, 小山 秀一
    2018 年21 巻1 号 p. 32-38
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2018/05/18
    ジャーナル フリー
    犬の退行性骨関節症(DJD)に対して消炎機能を重視した機序で管理する目的でグルコサミンHClとコラーゲンペプチドに加えN-アセチルシステイン、バイオフラバノールそしてビタミンCを主成分とした動物用サプリメントであるProMortion (PM)によるラットアジュバンド関節炎モデルの関節の炎症状態を評価した。アジュバンド関節炎はLewisラットの右後肢の足蹠皮内に Mycobacterium tuberculosis の加熱死菌0.5mgを含むアジュバンドを単回注射し誘発させた。関節炎ラットはそれぞれ5匹ずつをPM無給与(N-PM)群、PM通常量給与(PM)群、PM3倍量給与(3PM)群、そして比較としてのL-メチオニン給与(LM)群に分けた。関節炎の評価は、足部の炎症スコアリング、X線CT画像から求めた足部体積の増加率、そしてassay kitを用いた血清中の一酸化窒素(NO)とプロスタグランジンE2(PGE2)の測定値を求めそれぞれを比較した。PM群、3PM群そしてLM群の炎症スコアリングと足部体積増加率はN-PM 群よりも低値であった。また、PM群、3PM群そしてLM群におけるNOそしてPGE2の測定値は、N-PM群に比べ有意に低値であった。そして、PM群、3PM群そしてLM群の間にはそれらの値に有意な差を認めなかった。したがって、PMはDJD犬においても症状の緩和に貢献できる可能性があり、さらなる治験によるエビデンスの積み重ねが期待できる。
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