ペット栄養学会誌
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23 巻, 2 号
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原著論文
  • 小田 民美, 平松 朋子, 森 昭博, 左向 敏紀
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 23 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/31
    ジャーナル フリー

    ヒトの医学領域および多くの哺乳動物において、食事中の栄養素(特に炭水化物と脂肪)がグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)やグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)といったインクレチン分泌を促進することが知られている。さらにヒトでは2つの異なる脂肪源(飽和脂肪酸を多く含むラードと不飽和脂肪酸を多く含む大豆油)によってインクレチンの分泌量が変化することが報告された。 本研究では、食事中の異なる脂肪源(ラードおよび大豆油)が健常猫のGIP、GLP-1分泌、そして血糖値、インスリン、中性脂肪、NEFAにどのような影響を及ぼすのかを検討した。低脂肪食であるbasal食と、ラードと大豆油の2種の脂肪をbasal食に加えた高脂肪食を、それぞれ14日間ずつ給与した。結果として高脂肪食給与下ではGIP分泌とNEFA濃度が有意に上昇した。しかし、GLP-1分泌および血糖値やインスリン、TG濃度に有意差は認められなかった。また、異なる脂肪源は猫のGIP分泌に大きな影響は与えない可能性が示唆された。

  • 勝俣 昌也, 塚中 友也, 西ケ谷 若菜, 歸山 世理, 大石 亮, 鈴木 武人
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 23 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2020/10/10
    公開日: 2020/10/31
    ジャーナル フリー

    原料由来のフード中Caの増加がネコの糞と尿のCaならびにシュウ酸の濃度に及ぼす影響を明らかにするために本研究を実施した。乾物あたりのCa濃度が0.7%、1.5%、1.9%となる3水準の試験フードを、おもにフード中のチキンミール含量を高くすることで調製し、体重維持量に相当する量を4頭のネコに給与した。供試ネコは、1歳あるいは3歳の雄ネコで開始時体重3.4~4.3kgだった。飼養試験は、供試ネコを3群にわけ1期30日間の3×3のラテン方格法にのっとって実施した。各期の後半10日間をサンプル採取期間として尿と糞を採取した。Caとシュウ酸の尿の濃度、1日あたりの尿への排せつ量にフードのCa濃度の影響はなかった。一方、フードのCa濃度が高くなると、糞のCa濃度と糞への1日あたりの排せつ量は多くなった(p<0.01)。さらに、糞のシュウ酸濃度はフードのCa濃度の影響を受けなかったが、フードのCa濃度が高くなると、糞への1日あたりのシュウ酸の排せつ量は多くなった(p<0.05)。このように、ネコに給与するフードのCa濃度を高くすると糞へのシュウ酸の排せつ量が多くなることを明らかにした。一方、Ca濃度が高いフードを給与すると血清Ca濃度が低下することも観察したので、さらに長期間の給与により血清Ca濃度がどのように推移するか、今後の確認事項としたい。

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