ドライキャットフードの脂肪含量が成ネコの摂食量,見かけの消化率ならびに水分出納に及ぼす影響を調べた。健康な雄ネコ12頭を用い,主要脂肪源である牛脂の含量が異なる3種類のフードを不断給与する実験を2回反復実施した。摂食量に関して,実験1では高脂肪区が他の2区より有意に低下したが,低脂肪区と中脂肪区間には有意な差がなく,実験2では脂肪含量に比例して摂食量は増加した。その結果,両実験ともにME摂取量は区間で等しくならなかった。高脂肪食摂取によって粗蛋白質(CP)および粗脂肪(AEE)の見かけの消化率は上昇し,逆にNFE(可溶性無窒素物)の消化率は低下した。また,両実験とも脂肪含量の増加に伴って尿量は増加し,糞水分含量および糞中への水分排泄割合は低下した。ドライキャットフード中の脂肪含量を変化させた場合,摂食量に及ぼす影響については実験間で一定の傾向が得られなかったのに対して,見かけの消化率や水分の排泄経路に及ぼす影響については再現性のある結果が得られた。
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