維持期の成犬を対象とした AAFCO 養分基準(2016)を満たすような手作り食のレシピを考案し、栄養計算ソフト上での計算値および調理後の実測値を AAFCO 養分基準と比較した。レシピは3種類作成し、計算値では1種類を除いて AAFCO 養分基準を満たすことができた。調理後の実測値においては、すべてのレシピでタンパク質および脂質は基準を満たすことができた。しかし、レシピによってはCa、ビタミンB2、α-トコフェロールが不足し、ビタミンDは過剰となり、すべての栄養素を満たすレシピはなかった。すべての栄養素の中で、特にCaは不足しやすく、食材の選定や調理方法を検討する必要があると考えられた。ビタミンにおいては、動物性食品が主な由来であったためか、食材の生育環境や飼育中の飼料によって、 AAFCO 養分基準に対して過不足が生じたのではないかと考えられた。今回は3種理のレシピの検討となったが、今後は新たなレシピの考案や不足しやすい栄養素について代替食品の検討が必要である。
本研究では、動物病院に来院した健康な家庭猫と肥満猫のリポ蛋白質コレステロール分画(リポ蛋白分画)を測定し、肥満がリポ蛋白分画におよぼす影響を調査した。また、高脂血症の猫のリポ蛋白分画も測定した。動物病院を受診した猫142頭の健康診断または血液検査などで使用した余剰血液を使用し、T-CHOおよびリポ蛋白分画を測定した。まず、121頭の健康な猫の血清検体よりリポ蛋白分画の参考基準範囲と考えられる結果が得られた。肥満猫のリポ蛋白分画は、健常猫の参考数値範囲内を示し、T-CHO、リポ蛋白分画およびLH比(低比重リポ蛋白質と高比重リポ蛋白質の比)の結果で健康な猫と有意差は認められず、猫の肥満は脂質代謝に影響を与えないことがわかった。一方、高脂血症の猫では、低比重リポ蛋白質やLH比が高値であり、リポ蛋白分画のバランスが崩れていることが明らかとなった。本研究の結果が、猫の脂質代謝異常時の参考になれば幸いである。
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