ペット栄養学会誌
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原著論文
  • 岩﨑 永治, 森 昭博
    2026 年29 巻1 号 p. 1-14
    発行日: 2026/04/10
    公開日: 2026/04/10
    ジャーナル フリー

    ネコがイネ科植物を摂食する原因を探ることを目的とし、味覚センサーを用いたイネ科植物の味覚分析手法の確立を試みた。さらに、この手法によりイネ科植物の味覚的特徴を明らかにした。市販キャットフードAに純水を加えて攪拌した後、遠心分離により得た水層部をスタンダードとした。イネ科とマメ科を含む牧草、野菜、果実、塗油行動を示す植物、毒性植物、計15科39種の植物を各種ごとに100 g用意し、ミキサーで攪拌した。これをフードプロセッサーに採取し、粉砕したキャットフードAと純水を加えて攪拌した。その後、遠心分離により得た水層部を測定用サンプルとし、味覚分析を行った。結果、各味覚の測定誤差率はすべて50%未満を示し、評価可能と判断された。各科の味覚平均値を用いて主成分分析を行った結果、先味の旨味は他の味覚とは異なる特徴を示した。また、階層クラスター分析の結果、イネ科植物が比較的酸味や苦味が少なく、旨味、塩味があるという味覚的特徴を明らかにした。結論として、イネ科特有の味覚特性が明らかにされた。イネ科の高い旨味はネコにとって魅力的な可能性があり、それが猫がイネ科を受け入れる理由の一つである仮説が立てられた。

  • 平野 啓太, 太田 聡, 橘 伸彦
    2026 年29 巻1 号 p. 15-22
    発行日: 2026/04/10
    公開日: 2026/04/10
    ジャーナル フリー

    大豆による腎保護効果の作用機序として、大豆リン脂質などの微量成分による腎臓での抗炎症効果が報告されている。我々は、分離大豆タンパク質(SPI:Soy Protein Isolate)を特定のプロテアーゼで分解して得た難消化性大豆タンパク質中に大豆リン脂質が高濃度に含まれていることを見出した。腎臓における慢性炎症はネコの腎臓病や下部尿路疾患の原因の一つであることから、難消化性大豆タンパク質はネコの腎臓や下部尿路に対する保護効果が期待される。本研究ではこの素材がネコの腎機能や尿性状に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。試験1では、臨床上健康なネコ10頭に難消化性大豆タンパク質を1 g/頭/日で7日間給餌した際の身体検査所見を評価するとともに、血液検査、尿検査を行い、難消化性大豆タンパク質の投与による生理機能への影響を評価した。その結果すべての個体において、腎機能マーカーである尿素窒素およびクレアチニンの濃度は基準範囲内を維持し、一般観察における有害事象も認められなかった。一方で、臨床上健康なネコを用いたにもかかわらず、試験開始前の段階で一部のネコにおいて尿タンパクやアルカリ尿、ストルバイト結晶の析出が確認されたが、試験終了時には、それらの所見は認められなかった。試験2では長期的な摂取の影響を調べる目的で、臨床上健康なネコ8頭に難消化性大豆タンパク質を0.2 g/kg体重/日で30日間摂食させた。その結果、尿素窒素、クレアチニンおよびSDMA(Symmetrical Dimethylarginine)は基準範囲内を推移し、その他の異常所見も認められなかった。以上2つの試験結果より、難消化性大豆タンパク質は腎臓に大きな負担をかけることなく、アルカリ尿を中性化することにより下部尿路における尿結石の生成リスクを低減することが示唆された。ネコの腎臓および下部尿路に対する難消化性大豆タンパク質による保護効果のメカニズムやその他の健康機能については今後さらなる検討が必要である。

  • 五木田 紅葉, 小田 民美, 森 昭博
    2026 年29 巻1 号 p. 23-30
    発行日: 2026/04/10
    公開日: 2026/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究は日本で流通しているキャットフードの調査を行うことで、キャットフードのカルシウム、リン、ナトリウムの含有量の実態を調査することを目的とした。市販されている猫用総合栄養食(それぞれ12種のドライフードとウェットフード)および10種の間食(ウェットフード)におけるカルシウム、リンおよびナトリウム(食塩濃度から換算した)を分析した。その結果、総合栄養食のドライフードとウェットフードの比較ではカルシウム、リン、ナトリウムの含有量、カルシウム/リン比に有意差は認められなかった。しかしながら、総合栄養食のなかにはカルシウム/リン比が1以下と低い製品も存在し、ウェットフードでその数が多い傾向であった。本研究により、日本で流通するキャットフードのなかには、カルシウム/リン比が1以下と低い製品も存在し、欧州ペットフード工業会連合(FEDIAF)の基準を外れているフードも存在した。今後はカルシウム、リンの表示義務やFEDIAFの基準も採用していくなどキャットフードの正確な成分表示についての議論が必要であると考える。

  • 山口 遥香, 山本 未羽, 近都 夏望, 上迫 のどか, 友永 省三
    2026 年29 巻1 号 p. 31-38
    発行日: 2026/04/10
    公開日: 2026/04/10
    ジャーナル フリー

    ネコにおいて、肥満は様々な疾患との関連が示唆されており、その予防および改善は重要な課題である。食肉および魚肉には、抗酸化作用を有するイミダゾールジペプチド(IDP)であるカルノシンおよびアンセリンが多く含まれている。先行研究では、猫にカルノシンをフードへ添加して給与した際に抗肥満効果が確認されている。本研究では、国内における市販成ネコ用総合栄養食(通常ウェット製品18種、通常ドライ製品36種および肥満用ドライ製品9種)計63種におけるIDP含量を調べた。カルノシン、アンセリンおよび総IDP含量において、通常ドライ製品および肥満用ドライ製品は通常ウェット製品に比して少ないことが認められた。総IDP含量とたんぱく質量との間に正の関連が認められ、食肉や魚肉がネコ用総合栄養食の主要なたんぱく質源であることを踏まえると、たんぱく質量はIDP含量に影響を及ぼす要因の一つと考えられる。原料の種類が影響を及ぼしうるカルノシンとアンセリンの比率には、フードの種類による影響は認められなかった。今回分析した全製品の6割以上においてカルノシンよりもアンセリンの含量が高かったことから、アンセリンも抗肥満効果を有するのか今後調べる価値がある。

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