・イヌとネコの食性の真の相違点は栄養素の代謝にあり、肉食動物であり続けたネコに比べ、雑食化したイヌは代謝が多様化し、幅広い適応能力を身につけた。
・ネコは、アミノ酸からの糖新生を行うためタンパク質要求量が高い、アルギニン要求量が高い、タウリンやアラキドン酸が必須、カロテンをビタミンAに転換できない、トリプトファンからナイアシンの合成ができないなどの代謝の特徴がある。
・ネコは少量頻回採食者であり、イヌは間欠捕食者である。
・動物の嗜好に影響する最大の要因は匂いと味である。イヌ・ネコとも苦味を忌避し、イヌは甘味と酸味を好み、ネコは酸味を好まず、甘味を感受しない。
・イヌ、ネコの嗜好における嗅覚の役割はヒトに比べてはるかに大きく、匂いの成分の多くは脂溶性で脂肪との関連が深いため、脂肪は食餌の嗜好性に強く影響する。
・イヌやネコには新鮮な水を自由に飲ませるのが原則。飲水量は気温、運動量、食餌量や水分含量に影響される。ネコは摂取乾物1 g当たり約2 mLの水を必要とする。
・食餌エネルギーの評価単位としてMEが用いられる。
・ヒトにおける三大栄養素のエネルギー価値は、Atwaterの生理的燃料価(PFV)によって表され、炭水化物、脂肪、タンパク質の可消化部分のエネルギー価値を意味するが、イヌやネコはヒトよりも食餌の消化率が低く、ME値も低くなるため、NRC(1985)はこれらの値を修正Atwater係数と呼んでいる。
・食餌のME含量は、粗タンパク質、粗脂肪、NFEの含量が分かれば、それらの値に修正Atwater係数を乗じ、積和を求めるだけで推定できる。
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