くすりと糖尿病
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3 巻, 2 号
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原著論文
  • 〜第1報〜
    朝倉 俊成, 名取 和幸, 江森 敏夫
    2014 年 3 巻 2 号 p. 128-138
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル 認証あり
    ハイリスク薬であるインスリン製剤やGLP-1受容体作動薬の種類を,患者が識別して使用することは医療安全において極めて重要である.そこで,糖尿病患者が使用するインスリン製剤やGLP-1受容体作動薬の作用の特徴との連想性の高い識別色を見出すことを目的にネットリサーチにてイメージ調査を行った.対象は4年齢層(9–12歳,20代,40代,70代)とも男女各103名(計824名)とし,13色の注入器の画像を見て“薬剤のイメージに適合する注入器の色彩”と“注入器の色によるイメージ”の2点について回答してもらった.その結果,薬剤のイメージに適合する注入器の色彩で,「効き目が速くて強そうな色」としては青系よりは暖色系の方が,「ゆっくり長い時間効きそうな色」としては青系(水色と青)や緑系(黄緑や緑)が,「夜,寝る前に使うのに合う色」としては黒系や青系(水色と青),そして緑系(黄緑や緑)が,そして「食事前に使うのに合う色」としては暖色系がイメージに合っていた.また,注入器の色によるイメージでは,「こわい」「痛そう」は赤と紫・茶系,黒系で多く,「安心できる」「信頼できる」「親しみがある」は白が最も多かった.「目立つ」は赤を中心に暖色系が多く,「落ち着いた」はグレーや白,茶が多くなっていた.「きれい」「かわいい」はピンクを中心に暖色系,黄緑,水色が多く,「高級感」は紫を中心に白,茶,黒系が多かった.このことから,薬剤の効力(作用発現)や使用時期,注射剤での恐怖感や痛み,医療用具への安心感や信頼感,そして患者の好みなどで13種の色のイメージが異なることが明らかとなった.
  • 〜日本くすりと糖尿病学会 会員アンケート調査から〜
    大澄 朋香, 矢後 香織, 田中 光子, 佐竹 正子, 笠原 真奈美, 篠原 久仁子, 渡邉 文之, 亀井 美和子
    2014 年 3 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル 認証あり
    薬剤師の薬学的管理には,患者の自宅に余った薬剤(以下,残薬)への関わりがあるが,残薬という言葉の定義は明確になっていない.そこで,本研究では,糖尿病患者に対してアンケート調査を実施し,「残薬」をどのようにとらえているのかを明らかにすることとした.対象者は,2013年9月に医療機関または薬局に来局する糖尿病患者に実施し,回収した209人の回答を集計分析した.アンケート結果は残薬という言葉を聞いた際にはどのような印象を持つのかの回答結果(n=170人)は,「使用するために保管しておく薬」が最も多く,32.4%(n=55人)であり,「一定量以上たまってしまった薬」が30.0%(n=51人)の順であった.結果より,残薬という言葉の印象は,患者個々で認識が異なることが示された.薬剤師が残薬管理を行う際には,患者の自己管理能力に合わせた情報収集の必要性が考えられた.
  • 朝倉 俊成, Jacob Hyllested-Winge, 星野 貴子
    2014 年 3 巻 2 号 p. 147-156
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル 認証あり
    より良い糖尿病治療のためには,日常的な血糖コントロールにおいて,糖尿病患者自身が使いやすいと感じるインスリン注入器(以下,注入器)を用いることが重要である.フレックスタッチ®(以下,FT)は,従来のペン型注入器とは異なり,投与量を変更しても注入ボタンの位置が変わらず,弱い力でも注入ができる,といった特徴をもつ.欧米では,ソロスター®(以下,SS)やミリオペン®(以下,MP)に対するFTの選好性(より好ましいと評価すること)が示されているが,日本人では確認されていない.本研究では,日本人の糖尿病患者(1型,2型)および医療従事者(医師,薬剤師,看護師)を対象とした試験により,3種類の注入器(FT,SS,MP)の有用性および選好性を比較検討した.その結果,FTはほぼすべての項目で他の注入器よりも良い評価を得た.他のペン型注入器の使用経験のある被験者が,日常投与しているインスリンの1回投与量を想定した条件下においても,FTが他の注入器よりも好ましいと評価されたことは,実臨床に対し重要な示唆を与えている.
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