くすりと糖尿病
Online ISSN : 2188-5885
Print ISSN : 2187-6967
ISSN-L : 2187-6967
4 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
  • 朝倉 充俊, 藤原 亮一, 伊藤 智夫, 厚田 幸一郎
    2015 年 4 巻 2 号 p. 155-165
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/05/28
    ジャーナル 認証あり
    ビルダグリプチン(エクア®)は肝代謝型に分類される2型糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬である.多くのDPP-4阻害薬は1日1回服用であるが,ビルダグリプチンは1日2回の服用が推奨されている.ヒト体内では稀なシアノ基の加水分解反応により主代謝物M20.7となり不活性化されることから,ビルダグリプチンの体内動態には代謝が大きな役割を担う.しかしながら,その代謝を触媒する主要な酵素は明らかになっていなかった.ビルダグリプチンの主代謝酵素を明らかにすることは,ビルダグリプチンの未変化体および代謝物の血中濃度変動の要因となる代謝酵素を介した薬物相互作用や,遺伝子多型による体内動態の個人差の予測に繋がり,ビルダグリプチンの長期使用における有効性や安全性を評価する上で重要である.本稿では,筆者らがヒトにおけるビルダグリプチンの主代謝酵素を明らかにするために行った研究について紹介するとともに,ビルダグリプチンの体内動態に影響を与える因子に関する報告をまとめた.
原著論文
  • —製薬会社別の検討—
    河村 瞳, 朝倉 俊成, 菅原 秀樹, 高橋 正晃, 清野 弘明
    2015 年 4 巻 2 号 p. 166-176
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル 認証あり
    多種類のインスリンを間違えずに注射することはハイリスク薬を取り扱う上で重要である.インスリンアナログ製剤では識別色が製薬会社ごとに異なり統一されていない.そこで,プレフィルド型インスリン製剤の自己注射施行患者39名を対象にインスリン注入器の識別に関する意識についての実態を調査した.アピドラとランタスの併用群(S群),ノボラピッドと同社製剤の併用群(N群)に分けて検討した.種類の確認方法は識別色が用いられているラベルの色よりも注入器本体の色で最も多く選ばれた.S群で「注入器本体の色を覚えることが大切である」と有意に多かった(100%).N群で「注射時(手を握った状態で)ラベルの色を確認できることは必要である」と思う人が多かった(80.0%).識別方法に関して,S群で注入器本体の色,N群でラベルの色を重要とし,サノフィ社は注入器本体の色,ノボ社はラベルの色を重視した製品の販売と情報提供を行っていることが反映していると考えられる.また,患者は識別について認識が低く,必ずしも識別色を利用した確認を行っているわけではない.同社の併用だけではなく,他社の併用も視野に入れた種類別の識別意識に関して検討していく必要がある.
  • —各製剤別の検討—
    河村 瞳, 朝倉 俊成, 菅原 秀樹, 高橋 正晃, 清野 弘明
    2015 年 4 巻 2 号 p. 177-188
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル 認証あり
    多種類のインスリン製剤を間違えずに注射することはハイリスク薬を取り扱う上で重要である.現在,インスリンアナログ製剤では識別色が製薬会社ごとに異なり統一されていない.そこで,プレフィルド型インスリン製剤の自己注射施行患者39名を対象に,インスリン注入器の識別に関する意識についての実態を調査した.アピドラ(Apd群),ランタス(Lan群),ノボラピッド(N-Rap群)に分けて検討した.「ラベルの色が覚えにくい」と思う人がApd群で,「ラベルの色を覚えることが大切である」,「注射時(手を握った状態で)ラベルの色を確認できることが必要である」と思う人がN-Rap群で有意に多かった.ラベルの色に関する項目において製剤間の違いが見られ,Apd群とLan群ではラベルの色に対する意識が低く,N-Rap群ではインスリンの種類を確認する時に注入器本体の色よりラベルの色に注目していることがわかった.様々な組み合わせで治療することを考慮し,ラベルの色だけではなく,注入器本体の色で識別することが考えられる.服薬指導において識別方法の確認は重要であり,患者個々に合わせて行っていくべきである.
  • 堀井 剛史, 壁谷 悠介, 富田 益臣, 香月 健志, 及川 洋一, 清水 淳一, 島田 朗
    2015 年 4 巻 2 号 p. 189-196
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル 認証あり
    2型糖尿病に対する第一選択薬として処方頻度の増加しているDipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬であるシタグリプチン(以下,Sita)もしくはメトホルミン(以下,Met)による治療開始後の治療強化の必要性と,血糖コントロールへの影響について検討を行った.対象はMet 587例,Sita 177例で,HbA1cはベースラインに差はなく,24,48,72,96週でSitaが有意に低かった.96週のHbA1c<7.0%達成についてMetをReferenceとしSitaで調整オッズ比1.70(95% CI: 1.18–2.46)と有意な値を示し,第一選択薬による単剤での治療期間について,MetをReferenceとしたSitaの調整Coxハザード比は0.61(95% CI: 0.50–0.76),log-rank検定のいずれにおいても有意な値を示した.以上より2型糖尿病患者に対するSitaを第一選択とした薬物療法を開始した結果,Metと比較し良好な血糖コントロールを保ち,より長期において強化を伴わない治療の継続が可能であると考えられた.
  • 虎石 竜典, 笹津 備尚, 中村 忠之, 松尾 啓, 松尾 明子, 四元 華奈, 佐藤 肇, 西藤 亮子, 井手 誠, 輪千 浩史, 奥山 ...
    2015 年 4 巻 2 号 p. 204-213
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/02/26
    ジャーナル 認証あり
    今回,我々は健常人を対象として,手動式皮膚痛覚計を用いて手指の圧痛覚テストを行い,測定部位による感覚閾値の違いについて検討を行った。その結果,感覚閾値が低い順に第三指爪の横,第二指爪の横,第四指爪の横,手のひら,第二指指紋部,第三指指紋部,第四指指紋部となり,測定部位によって圧痛覚に違いがあることが分かった。よって,痛みを理由に血糖自己測定を継続しがたい症例に関しては,穿刺部位により感覚閾値の違いがあることを患者自身に認知させることは,血糖自己測定の継続に寄与することができる可能性があると考えられる.
feedback
Top