Journal of Pesticide Science
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10 巻, 4 号
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  • エアゾール製剤の殺虫効力に影響を及ぼす要因 (第1報)
    津田 重典, 奥野 吉俊
    1985 年 10 巻 4 号 p. 621-628
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ハエ, 蚊, ゴキブリに対する噴霧剤の効力に及ぼす溶剤の影響を調べた. 供試した溶剤中, 200から250℃の沸点をもつケロシンが, 比較的良好な効力を示した. ガスクロマトグラフィーを用いた分析から, これらの良好な効力を示すケロシンの主成分は, ドデカンからテトラデカンのパラフィンであることがわかった. 各種のパラフィン類を用いた殺虫効力の比較から, 供試した3種の害虫に対し最も良好なノックダウン効果を示すものはテトラデカンであることがわかった. 致死効力面で最良の効果を示すパラフィンは害虫種により異なった. すなわち, 蚊やゴキブリに対しては, テトラデカンが良く, ハエに対してはドデカンが最良であった. ハエに対し, ノックダウン効力と致死効力で最適な溶剤が異なる理由のひとつとしては, これらのパラフィンが噴霧されたのちの, 粒子の空中での挙動差が考えられた.
  • 高橋 尚裕, 三上 信可, 松田 正, 宮本 純之
    1985 年 10 巻 4 号 p. 629-642
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水中の (1R, cisRS)-および(1R, transRS)-サイパーメスリンに太陽光を照射すると, cis 異性体は trans 異性体に比べ約1.4~1.7倍速く分解し, cis 異性体の光分解半減期は蒸留水および1ppm腐植酸水中で2.3~2.6日, 河川および海水中で0.6~0.7日, 2%アセトン水中で0.5日以内であった. 土壌表面におけるサイパーメスリンの光分解速度は両異性体間で有意な差はなく, 3種類の土壌における光分解半減期は0.6~1.9日であった. サイパーメスリンは太陽光照射条件下でおもに, シクロプロパン環の1R/1Sおよび cis/trans 異性化, エステルおよびジフェニルエーテル結合の開裂, CHO基のCOOH基への酸化, CN基のCONH2基への水和, CONH2基のCOOH基への加水分解, ハロゲン化側鎖の酸化的開裂, 脱ハロゲン化, 分子内環化および光無機化により分解された.
  • 高橋 尚裕, 三上 信可, 松田 正, 宮本 純之
    1985 年 10 巻 4 号 p. 643-648
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    (1R, cisRS)-および (1R, transRS)-サイパーメスリンの緩衝液もしくは自然水中における加水分解について検討した. trans 異性体は25~50℃において cis 異性体に比べて1.2~1.7倍速く加水分解した. 両異性体とも, pH5以下では水による neutral reaction, pH7以上では塩基触媒, pH5~7の範囲では両者の反応を受けて分解した. また Arrhenius の式を用いて加水分解速度を温度の関数として表わし, 計算から求めた両異性体の加水分解半減期は, 自然水中における実測値とよく一致した. 加水分解による主反応は両異性体ともエステル結合の開裂であった.
  • 大森 薫, 渡辺 豊, 巾川 泰三
    1985 年 10 巻 4 号 p. 649-654
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    植物成長調整作用を有する新規土壌殺菌剤メタスルホカルブ〔S-(4-メチルスルホニルオキシフェニル) N-メチルチオカルバマート, カヤベスト®, NK-191〕の稀釈液はイネ苗の根の伸長を促進し, メタスルホカルブ25, 50, 100ppmでは無処理に比べ約1.5倍の伸びを示した. メタスルホカルブを土壌処理してイネ苗を育成した場合にもイネ苗の根の伸長促進作用が認められた. メタスルホカルブ10%粉剤の土壌処理は育苗中のムレ苗の発生に対し阻止効果を示した. メタスルホカルブ10%粉剤をイネ苗立枯病を防除する際の標準薬量すなわち用土5l当り8g (原体換算で800mg) を混和処理してイネ苗を育成し移植時の生育状況を調べたところ, 無処理区に比べ第1葉鞘高が低く, このため草丈がやや低くなり, メタスルホカルブはイネ苗に対し徒長防止作用を有することが判明した. また無処理区に比し地上部乾物重/草丈比は大きく, 地上部乾物重/地下部乾物重は小さく, また葉色は濃く, 根張りは良好で根は白かった. このことからメタスルホカルブ処理により充実度の高い良質の苗が得られることが判明した. そしてこの苗の移植直後の新根の発生, 低温時の発根, 屈起力は良好でイネ苗の活着を容易にし, 移植後のイネの初期生育を旺盛にした.
  • 大辻 一也
    1985 年 10 巻 4 号 p. 655-660
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    抵抗性発現のない殺ダニ剤の開発を目的として, アンヒドロソルビット型界面活性剤の殺ダニ作用を検討した.
    アンヒドロソルビット型界面活性剤は, ハダニの成虫に対しては有効であったが, 卵に対しては効果は弱かった. 界面活性剤の化学構造と防除効果については, アルキル基の炭素数との間には一定の関係は見いだせなかった. 酸化エチレンについては付加モル数が少ないほど高い防除効果が得られた.
    HLBについては, 殺虫率ではHLB6~8で最高となったが, 殺卵率ではHLBが低いほど高くなった.
    表面張力や接触角は防除効果と関係なかった.
    ハダニ表皮への界面活性剤の付着は, 高濃度, 致適HLBで良好であり, 防除効果と界面活性剤のハダニ表皮への付着状態の間に深い関係のあることが示された. またアンヒドロソルビット型界面活性剤がきわめて毒性の低い物質であることから, 作用機作については界面活性剤の付着による窒息死であると推論した.
  • 加藤 保博, 佐藤 清, 牧 伸一, 俣野 修身, 後藤 真康
    1985 年 10 巻 4 号 p. 661-675
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    14C-グアザチン・三酢酸塩 (14C-GZ-TA) の雄ラット中での代謝運命を調査した. GZ-TAの消化管吸収率は3および30mg/kgの薬量下で8から14%であった. 静脈内に投与 (3mg/kg) された 14C-GZ-TAは, 水溶性代謝物の形でおもに尿中に排泄されたほか, 糞中にもおもに未変化物の形で排泄された. 14Cの主貯留臓器は腎臓で, 1,1′-iminodi (octamethylene)-8-amino-8′-guanidine, GZ, および1,1′-iminodi (octamethylene) diamine が主要な貯留物質として同定された. GZのこの脱アミジン化はラットにおけるGZの主代謝様式であったが, その反応機序に加水分解およびグリシンとオルニチンへのアミジン転位は有意には関与していなかった.
  • Sameeh A. MANSOUR
    1985 年 10 巻 4 号 p. 677-680
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    クロルピリホスをナツメヤシに散布後, 本薬剤とそのオキソ体の果実中での残留量を熱イオン検出器を装着したガスクロマトグラフにより経時的に定量した. クロルピリホスの残留量は2週間後には急速に減少しているが, 8週間後までなお低濃度で検出される. 一方, オキソ体は残留性が高く, 12週間後でも検出される. したがってナツメヤシの収獲は, オキソ体の残留を問題としない場合でも, クロルピリホス散布後少なくとも8週間経過してから行なわれるべきであると考える.
  • 小田中 芳次, 土屋 則子, 俣野 修身, 後藤 真康
    1985 年 10 巻 4 号 p. 681-689
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    畑条件下の土壌 (静岡, 佐賀, 岡山) にMAFA (ammonium iron methanearsonate) を乾土当りヒ素濃度として10ppmとなるよう施用し, ヒ素化合物の動態について調査した. MAFAは無機ヒ素 (Inorg-As), dimethyl ヒ素 (DM-As), trimethyl ヒ素 (TM-As) に変換されながら徐々に減衰した. 半減期はそれぞれ32日 (静岡), 22日 (佐賀), 32日 (岡山) であった. メチル化体のDM-AsやTM-Asは一時期ある程度の増加をみたのち, 再び消失するのに対し, 脱メチル化体の Inorg-As は継続的に増加した. 岡山土壌で, 比較的高濃度のDM-Asが長期残留する現象が認められた. これは脱メチル化速度の遅緩に起因する現象であることが, dimethylarsinic acid (DMAA) と trimethylarsine oxide (TMA=O) の動態から示唆された. 土壌の代謝特性は他の土壌の微生物相を移植した場合でも大きく変化しないことから, 土壌の理化学的要因 (吸着等) が代謝特性を大きく規定しているものと推察される. 湛水状態でグルコースが共存する土壌条件化で脱メチル化反応の著しい抑制がみられた. 畑条件, 湛水条件にかかわらず, グルコースが共存した場合のみ, 揮発生ヒ素の発生が認められ, その主成分はTM-Asであることが確認された.
  • 上路 雅子, 富澤 長次郎
    1985 年 10 巻 4 号 p. 691-696
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Isofenphos はラット肝のミトコンドリア・ミクロゾームおよび上清の各分画においてNADPHの存在により, 酵素的に代謝され, とくにミクロゾーム-NADPH系においてきわめて高い割合で水溶性代謝物が生成された. ベンゼン可溶性代謝物として isofenphos-oxon, aminoisofenphos, 水溶性代謝物としてO-ethyl O-2-isopropoxycarbonylphenyl hydrogen phosphorothioate, O-ethyl O-2-isopropoxycarbonylphenyl hydrogen phosphate, O-ethyl hydrogen N-isopropylphosphoramidothioate, O-ethyl hydrogen N-isopropylphosphoramidate が得られた.主代謝経路は, isofenphos-oxon を経由した O-ethyl hydrogen N-isopropylphosphoramidate の生成である. ベンゼン可溶性代謝物のアセチルコリンエステラーゼ阻害活性は10-7M濃度では認められなかった.
  • N-メチルベンズアニリド類の殺菌活性 (第1報)
    伊東 茂寿, 小嶋 芳幸, 藤森 邦彦, 松成 健二, 嶋崎 功, 須田 欣孝, 新田 耕弥太
    1985 年 10 巻 4 号 p. 697-702
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    多数の4-tert-ブチルベンズアミドおよびアニリド類を合成し, それらのイネいもち病に対する予防効果を測定した. その結果, N-メチル-4-tert-ブチルベンズアニリド誘導体が高い活性を示し, アニリン環のオルソ位をヒドロキシ基から誘導される基で置換した場合, さらに活性が増大することがわかった. そしてN-メチル-4-tert-ムブチルベンズアニリドの2′-ヒドロキシおよび2′-エトキシカルボニルオキシ体が最も高い活性を示した.
  • 上路 雅子, 富澤 長次郎, 田畑 勝洋
    1985 年 10 巻 4 号 p. 703-711
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ヒノキ苗木の茎頂部, 茎基部および根部にイソフェンホスを処理し, 吸収・移行ならびに代謝について検討した. 吸収率は根部処理した場合に最も高く, また茎頂部, 茎基部, 根部処理での吸収量はそれぞれ処理後30, 10, 4日目に最高値を示した. ヒノキでの移行は, 処理部位により著しく異なり, 茎頂部処理では処理部位よりわずかに下方へ移行したのみで根部までの移行はきわめて少なく, 茎基部処理では処理部位より上部あるいは下部への移行はわずかに認められるが大部分は処理部位に残った. しかし根部処理では処理直後からかなりの割合で地上部への移行が認められた. 代謝物として isofenphos-oxon, aminoisofenphos, O-ethyl hydrogen N-isopropylphosphoramidothioate および O-ethyl hydrogen N-isopropylphosphoramidate が同定された. 主代謝物の isofenphos-oxon はイソフェンホスとともに植物中において長期間残留した. Isofenphos-oxon の生成は, 処理部位によって差があり, 地上部処理の場合に生成量が多かった.
  • 志賀 直史, 俣野 修身, 後藤 真康
    1985 年 10 巻 4 号 p. 713-720
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    摩砕均一化したブドウにチオファネートメチル (TM) を添加し, フリーザー (-20℃)および恒温槽 (40℃) で保存してTMの分解を調べた. 両保存条件下でTMの分解物および分解経路に差はなかったが, 分解速度は恒温槽保存のほうが数十倍速かった. TMの分解物として methyl benzimidazol-2-ylcarbamate (MBC), 1-(3-methoxycarbonylthioureido)-2-(3-methoxycarbonylureido) benzene (MMB) および dimethyl 4,4′-(o-phenylene) bis (allophanate) (DPA) が検出された (MBC>MMB≒DPA). これら分解物のうちDPAとMBCは安定であったがMMBは分解され, DPAとMBCが生成した (DPA>MBC). しかしながらこれらTMおよびMMBの分解量の合量は全分解量の約半量であり, 残りは未知化合物であった. 摩砕均一化したブドウ中のTMは恒温槽中で30分間の保存中に急速に分解し (添加量の約70%が分解), その大部分 (約80%) は未知化合物となった. その後, TMは徐々に分解し, 主としてMBCとMMBを生成し, MMBはさらにDPA, MBCおよび未知化合物に分解した. これらすべてのTMの分解はTM分子中のC=S基の酸化が出発点になっていると推察された.
  • 西野 親生, 真部 俊一
    1985 年 10 巻 4 号 p. 721-726
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    コワモンゴキブリ (Periplaneta australasiae) の性フェロモンの性質を知るために, このゴキブリの雌より高度に精製された性フェロモン (G-7) を得た. このG-7とワモンゴキブリ (P. americana) の性フェロモンであるペリプラノン-A (PA) およびペリプラノン-B (PB) をおもに用いて, この2種類のゴキブリの雄に対する行動と触角電図 (EAG) の交叉試験を行なった. その結果, コワモンの雄はG-7とPAには性行動を示したが, PBには示さず, 最近報告された他のグループによる交叉試験の結果を支持した. 一方, ワモンの雄は, PA, PBと同様にG-7に性行動を示したが, G-7に対する行動はPAに対するそれよりも弱かった. EAGにおいてもコワモンの雄は, G-7とPAに強く反応し, PBへの反応は弱かった. ワモンの雄は, G-7, PA, PBのすべてに強いEAG応答を示した. ワモンのEAG反応の波形はG-7とPAにおいて類似し, PBの波形とは異なった. この両交叉試験の結果より, コワモンの性フェロモンは, PAと類似の物質であることが強く示唆された.
  • 宮崎 昭雄, 中村 隆, 丸茂 晋吾
    1985 年 10 巻 4 号 p. 727-728
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    アキラルなプロパホスが植物によって代謝変換されて生成したキラルなプロパホススルポキシドは光学活性体であることおよびその絶対立体化学を明らかにした. プロパホスを含むシャーレ中で発芽, 生育させて得られた水稲の幼植物をアセトン抽出し, 抽出物をシリカゲルカラムクロマトによって精製を行ないプロパホススルポキシドを単離した. 代謝産物スルポキシドは [α]25D+27.2°を与え, その光学純度をキラルHPLC分析によって46% e. e. であることを明らかにするとともに, その絶対立体化学を絶対構造既知の (R)s-(+)-methyl p-tolyl sulfoxide のCDと比較することによって (R)s-(+) と決定した.
  • その抑制と増幅
    浅田 浩二
    1985 年 10 巻 4 号 p. 729-743
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 1984年6月~1985年3月に告示された農薬
    岸部 和美, 田中 稔, 田引 勢郎
    1985 年 10 巻 4 号 p. 745-752
    発行日: 1985/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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