Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
12 巻, 4 号
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  • 佐藤 匡
    1987 年 12 巻 4 号 p. 589-598
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    PCP添加および無添加の灌流土壌から分離し, 分類群に類別した細菌株のPCP耐性を, 異なる濃度のPCPを含んだ培地での生育速度の違いによって評価した. 耐性は, PCPと前培養しても変化しなかったが, 細菌株を分離した灌流土壌の処理法の相違によって耐性に差がみられた. すなわち, PCPのみを添加して灌流した土壌から分離した菌株は, もっとも耐性が強かったが, それにグリシンが加わると耐性は低下した. 水灌流土壌から分離した菌株は, もっとも耐性が低かった. さらに, 耐性を細菌の生育速度の違いから評価すると, 細菌の分類群と耐性との間には密接な関連性があり, 生育速度は細菌種のPCP耐性を評価するうえで有効であることが示唆された. その他, 検定培地の組成の差によっても耐性は異なって現われた.
  • イソニコチン酸アニリド系化合物の植物成長調節作用に関する研究 (第1報)
    白川 憲夫, 富岡 博実, 深澤 正徳, 竹内 正毅, 岡田 政憲, 岩根 吉孝
    1987 年 12 巻 4 号 p. 599-607
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    4′-Chloro-2′-(α-hydroxybenzyl) isonicotinanilide (イナベンフィド) のイネ成長調節作用を検討した.
    1) イナベンフィドの0.05~2g/育苗箱を床土灌注処理したところ, 草丈の徒長を防止し, 葉齢を促進すると同時に充実度を向上させた.
    2) イナベンフィドの処理により, イネ苗の根重の増加, 屈起力および根のα-ナフチルアミン酸化能は増大した.
    3) イナベンフィドの処理により, イネ苗第4葉鞘の表皮細胞およびその内側の葉肉細胞の縦長が短縮した.
    4) イナベンフィドのイネ移植後処理では, 出穂32日前の処理がもっとも強い短稈作用を示した. 短縮部位は主として第4, 5節間であった.
    5) イナベンフィドを出穂62~22日前に処理することにより, 穂数, 登熟歩合, 1000粒重は増大した. また, 3年間の試験では, いずれの年度もイナベンフィド処理により収量は増加した.
    6) イナベンフィド処理による倒伏軽減効果は, いずれの試験年度でも, 出穂およそ30日前の処理で認められた.
  • 塩素化ニトロベンゼン類の微生物代謝 (第3報)
    田原 哲士, Zainuddin HAFSAH, 水谷 純也
    1987 年 12 巻 4 号 p. 609-616
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Mucor javanicus は2,4-dichloro-1-nitrobenzene (1) を4-chloro-2-methylthio-1-nitrobenzene (5) や4-chloro-2-methylthio-benzenamine (6) に変換する. 本菌の無細胞抽出液中で, グルタチオンと1から抱合体S-(5-chloro-2-nitrophenyl) glutathione (2) の生成が確認された. 2や対応するシステイン抱合体 (3), 5-chloro-2-nitrobenzenethiol (4) からメチルチオ置換代謝産物 (5, 6) の生成が明らかにされ, 2をこの菌の増殖培地に添加すると, さらに5, 6のスルホキシドやスルホン誘導体が検出された. また休止菌を用いて2を代謝させると, 水溶性成分として3および3N-アセチル化物 (7) が見いだされた. これらの事実より, 1から5, 6やその酸化物の生成に, 1のグルタチオン抱合体が代謝中間体として係わっていると判断した.
  • 塩素化ニトロベンゼンの微生物代謝 (第4報)
    Zainuddin HAFSAH, 田原 哲士, 水谷 純也
    1987 年 12 巻 4 号 p. 617-625
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2,4-Dichloro-1-nitrobenzene (1) をモデル化合物とし Mucor javanicus による塩素化ニトロベンゼンの代謝経路につき検討した. 1の本菌による代謝産物の構造は, ニトロ基のアミノ基への還元と2位塩素のメチルチオ基との置換反応が, 別々あるいは同時に起こったものである. メチルチオ置換体の生成経路にグルタチオン抱合体が関与することは前報で述べた. 本研究では, 休止菌による14C-ラベルした1のグルタチオン抱合体の代謝を経時的に追跡し, この種の代謝様式として微生物でははじめて代謝の流れを動的かつ全体的に捉えた. その結果, 微生物にも基本的には動物や高等植物にみられるグルタチオン抱合体を経る生体異物代謝と同じ経路の存在が確認された. また, 代謝中間体として生成が予想された不安定な5-chloro-2-nitrobenzenethiol を propyl propanethiosulfinate と反応させ, 安定な propyl 5-chloro-2-nitrophenyl disulfide に誘導して単離, 同定することができた.
  • 片木 敏行, 三上 信可, 松田 正, 宮本 純之
    1987 年 12 巻 4 号 p. 627-633
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Uniconazole (ES pure) の作用機構を, ジベレリン生合成経路の中間体である (-)-kaur-16-ene との分子の形状比較の点から考察した. まず, 分子軌道法計算により uniconazole (ES pure) の低エネルギー状態におけるコンフォーメーションを推定したところ, 互換性の高い二つのコンフォーマーが求められた. そのうちの一つの構造は, 水酸基のプロトンとトリアゾール環2位の窒素原子間に分子内水素結合を形成しうる. 1H-NMR, IRの測定結果もそれを支持した. 一方, ラットミクロソーム分画を用いた基質差スペクトルから, uniconazole (ES pure) は, トリアゾール環4位の窒素原子を介してチトクロームP-450酵素に化学量論的に結合することが示唆された. 次に, 分子軌道法計算により求めた uniconazole (ES pure) と (-)-kaur-16-ene の形状比較を computer graphics により行なうと, チトクロームP-450様酵素により酸化を受ける (-)-kaur-16-ene のC19メチル基の空間をトリアゾール環が占めており, しかも4位の窒素原子の孤立電子対の分布はC19メチル基と同じ配向性を示した. 以上の結果から, uniconazole (ES pure) は, (-)-kaur-16-ene のC19位における酸化的脱メチル化を阻害することにより, 植物成長調節作用を示すことが強く示唆された.
  • ピラゾレート製剤に関する研究 (第2報)
    谷沢 欽次, 藤本 昌彦, 川久保 克彦, 河西 史人, 本間 豊邦, 中村 利家
    1987 年 12 巻 4 号 p. 635-641
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水田除草剤ピラゾレートの粒度と除草効果の関係を検討した. ピラゾレートを粒径44μm以下で5画分に分級し, 懸濁液で除草活性を評価すると, 発芽前処理では, ウリカワにはa. i. 0.5kg/haの薬量でどの画分もほぼ完全な除草効果を示したが, タイヌビエには20μmより粗い画分は活性が低下し, ミズガヤツリではa. i. 1kg/haの薬量でも10μmより粗い画分は活性が劣った. 発芽後処理では, 粗い画分の活性が低い傾向がより顕著であった. また, 粒度の異なるピラゾレートの粉砕品を用い, 押し出し造粒法によりつくられた粒剤の除草活性を評価すると, ポット試験では粒度の粗いピラゾレートを含有する粒剤 (Sw 1.36m2/g) は劣った. ほ場でも有効成分が粗い粒剤 (Sw 1.36, 1.76m2/g) は活性が劣ったが, 有効成分がきわめて微細な粒剤 (Sw5.13, 7.47m2/g) も活性が低下する傾向があり, Sw約2m2/gのピラゾレートを含有する粒剤がもっとも活性が高かった.
  • ピラゾレート製剤に関する研究 (第3報)
    谷沢 欽次, 本間 豊邦, 河西 史人, 川久保 克彦, 中村 利家
    1987 年 12 巻 4 号 p. 643-649
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ピラゾレートの田面水中での分散性が除草効果に及ぼす影響を田面水の流亡のないポット試験で検討した.
    田面水中での崩壊分散性が異なる2処方で, 押し出し粒径0.6および0.9mmの計4種の粒剤の除草効果を比較したところ, どの粒径でも崩壊分散のよい粒剤のほうが高い除草効果を示した. 崩壊分散のよい処方では粒径間の差はなかったが, 悪い処方では, 粒径が小さい粒剤のほうがミズガヤツリに対する除草効果が優れていた.
    同一粒度のピラゾレートを有する懸濁剤と粒剤 (施肥区と無施肥区) について除草効果を比較すると, 主剤の粒度がきわめて細かいものでは製剤型間の差はなかったが, 粒度が粗くなるにつれて粒剤の除草効果は懸濁剤より悪くなった. 粒剤の施肥区と無施肥区では崩壊分散のよい無施肥区のほうが高い除草効果を示した.
    同一キャリヤーより調製した崩壊分散が異なる3種類の粒剤の除草効果を施肥条件下で比較したところ, 崩壊分散のよいものが除草効果も高かった.
    以上のように, ピラゾレートの除草効果には, 主剤の粒度とともに, 田面水中における主剤の分散性が影響を与えた. 一方, ピラゾレート施用期の田面水は, 粒剤の崩壊分散性からみて, 10度以上の硬水に相当するものは少ないと考えられた. したがって, ピラゾレート粒剤は10度硬水中で良好な崩壊分散を示す処方とする必要がある.
  • ピラゾレート製剤に関する研究 (第4報)
    谷沢 欽次, 川久保 克彦, 河西 史人, 中村 利家, 石田 三雄
    1987 年 12 巻 4 号 p. 651-658
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    比表面積 (Sw) 1.13, 2.68, 4.25m2/9のピラゾレートを含有する3種類の懸濁剤を調製した. また, Sw2.68m2/gのピラゾレートを用い押し出し造粒法による粒剤, 微粒剤を調製した. これらを屋外のポットに処理し, 田面水の流亡のある条件とない条件で, 除草効果と, 田面水中DTP濃度の推移ならびに活性成分の流亡との関係を調べた.
    その結果, 田面水中DTP濃度の推移と除草効果の発現過程には明瞭な関連がみられた. 粒度の細かいピラゾレート懸濁剤は, 活性本体であるDTPが早く生成するため流亡の影響を受けやすく, 残効性が不足した. 粒度の粗い懸濁剤は田面水中のDTP濃度が低く, 除草効果は劣った. 一方, 粒剤では, DTPの生成が遅延され, かつ持続的であった. このため, 流亡の影響は小さく残効性にも優れ, 排水, 無排水の両条件下で安定した除草効果を示した. 微粒剤は懸濁剤に近い溶出性を示し, 除草効果も粒剤に比してやや劣った.
  • 大住 忠司, 高山 千代蔵, 本木 隆夫, 矢野 俊彦, 平野 雅親, 板谷 信重
    1987 年 12 巻 4 号 p. 659-664
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    種々のヘテロ環をアルコール成分に有するピレスロイドを合成し, イエバエに対する殺虫活性を測定した. その結果, 活性は, 導入されるヘテロ環の種類に著しく影響を受けることが明らかとなった. これらピレスロイドの安定コンフォメーションをMNDO法を用いて計算し, 2-ベンジル-4-フリルメチル2,2-ジメチル-3-(2,2-ジクロロビニル) シクロプロパンカルボキシレートを対照分子として立体類似性 (RMS値) を算出した. RMS値および逆相液体クロマトグラフィーを用いて測定したlogk′値は殺虫活性と相関性を示し, ピレスロイドの殺虫活性における立体形状と疎水性の重要性が示唆された.
  • クロロメタンスルホンアミドのハダニ類に対する活性 (第1報)
    小川 温樹, 嶋津 朋徳, 西村 立己
    1987 年 12 巻 4 号 p. 665-672
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    クロロメタンスルホンアミドはミカンハダニ, ニセナミハダニおよびナミハダニに対し殺ダニ活性を示した. ニセナミハダニの卵を除く, 幼虫, 第一若虫, 第二若虫, 雌成虫に殺虫力を示し, LC50値はそれぞれ, 74.4, 148.6, 183.1, 286.6ppmであった. またミカンハダニ, ニセナミハダニ, ナミハダニに対し, 土壌灌注処理において, ジメトエートやダイスルフォトンよりすぐれた浸透殺ダニ力を示した. ミカンハダニに対する柑橘樹の樹冠下への土壌処理, 樹幹塗布, 葉面塗布処理において, 浸透殺ダニ作用を示した. これらの結果よりクロロメタンスルホンアミドはジメトエートやダイスルフォトンのような浸透殺虫剤より高い浸透殺ダニ力をもつと考えられた.
  • 吉田 稔, 池田 孝則, 岩崎 真, 池田 茂美子, 原田 孝則, 海老野 耕一, 津田 修治, 白須 泰彦
    1987 年 12 巻 4 号 p. 673-681
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    0, 0.37, 0.67, 1.58および2.93ppmのクロルピクリン (CP, 土壌くん蒸剤) 蒸気に雄のF344ラットを1日6時間, 週5日の割合で13週間反復暴露し, その亜慢性吸入毒性を調べた. これらの暴露濃度は, 2週間の予備試験結果に基づいて決定された. 試験期間を通して死亡は認められなかった. 2.93および1.58ppm群の平均体重は, 暴露期間を通して対照群より低かった. 暴露期間終了時には, 2.93ppm群において赤血球数, ヘマトクリット値, 血色素量および肺重量が増加し, 1.58ppm群において肺重量が増加した. 暴露に起因すると考えられる組織学的病変は, 2.93および1.58ppm群のラットの呼吸器系にのみ認められ, 主要病変は2.93ppm群の気管支および細気管支の上皮変性・壊死, 1.58ppm群の気管支および細気管支の上皮腫大であった. これらの病変の発生頻度は, 気管支より細気管支のほうが高かった. 症状観察, 眼検査, 尿検査, 血液生化学的検査および剖検では著明な変化は認められなかった. これらの結果から, CP蒸気の13週間反復暴露による主要標的臓器は呼吸器系, とりわけ細気管支であり, 最大無作用量は0.67ppmであると判断した.
  • 山田 好美, 矢野 俊彦, 板谷 信重
    1987 年 12 巻 4 号 p. 683-688
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    非エステル型の新規ピレスロイド (e. g. ethofenprox) について, その4級炭素をケイ素に変換した化合物の合成を行ない, ケイ素置換が殺虫活性に及ぼす影響を検討した. 合成した9点の化合物はいずれも, ハスモンヨトウ (Spodoptera litura) に対してLC50(ppm) 8.6~39と高い活性を示した. とくに4-ethoxyphenyl(3-phenoxy-4-fluorobenzyloxymethyl)dimethylsilane 等, 4位にエトキシ基を有する化合物に高活性が見いだされた. これらの結果, ケイ素原子が4級炭素原子の等価体 (isoster) として有用であることが明らかとなった.
  • 小林 正子, 八木 桂, 森 均, 遠藤 桂子, 田中 晃, 梅津 憲治
    1987 年 12 巻 4 号 p. 689-697
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ベンフラカルブおよびその主要代謝物であるカルボフラン, 3-ヒドロキシ-カルボフラン (3-OH-CF), 3-ケト-カルボフラン (3-C=O-CF) の残留分析法を11の作物について検討した. ベンフラカルブおよびカルボフランは, 作物を磨砕後メタノールで抽出したが, この過程でのベンフラカルブの分解を防止するため安定剤として硝酸銀水溶液を添加した. 3-OH-CFおよび3-C=O-CFは抱合体を加水分解するため0.25N塩酸で加熱還流して抽出した. それぞれの抽出液は, ジクロロメタンに転溶後シリカゲルおよびフロリジルカラムクロマトグラフィーにより精製し, 石英キャピラリーカラムを用いるFTD-ガスクロマトグラフィーにより定量した. それぞれの化合物の回収率は, ベンフラカルブ75~100%, カルボフラン73~100%, 3-OH-CF 76~99%, 3-C=O-CF 76~99%であり, 検出限界は全化合物とも0.005ppmであった.
  • 古幡 明道, 平野 雅親, 藤本 いずみ, 松井 正直
    1987 年 12 巻 4 号 p. 699-704
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    フェンプロパスリンの酸部分である, テトラメチルシクロプロパンカルボン酸の三員環をC-1位とC-2位の間で開裂した型の酸, 四種類を合成した. これらとピレスロイドアルコールとのエステルには, ほとんど殺虫活性が認められなかった. 殺虫活性を有する3-フェノキシベンジル (2a), または5-ベンジル-3-フリルメチル2-イソプロピル-3-メチル-3-ブテノエート (2b) のエステル結合を, エーテルあるいは炭化水素結合に変えた化合物を合成した. これらは, 元のエステルとは違う種類の昆虫に対して殺虫活性を示した. また, エステル2a, 2bのアルコール部分をジメチルベンジルに変換したエステルには, 殺虫活性はほとんど認められなかった.
  • クロロメタンスルホンアミドのハダニ類に対する活性 (第2報)
    小川 温樹, 嶋津 朋徳
    1987 年 12 巻 4 号 p. 705-709
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    クロロメタンスルホンアミドの虫体浸漬法による殺ダニカはクロルベンジレートに比べ約30倍弱く,一方局所施用法による殺ダニカはクロルベンジレートより約3倍強かった. 蒸散作用による殺ダニ活性はわずかに認められた. 薬剤を塗布した葉面上にパラフィルムを貼りこの上に雌成虫を接種した場合, 葉面にパラフィルムを貼りこの上に薬剤を塗布し雌成虫を接種した場合および葉面塗布し, 直接雌成虫を接種した場合でのそれぞれのLD50値は6.10, 4.26および5.58 (μg/cm2) であり有意な差はなかった. パラフィルムの裏面に薬剤を塗り表面に雌成虫を接種した場合には殺ダニカを示さなかった. これらの結果よりクロロメタンスルホンアミドはミカンハダニにおいては経口的に毒作用を示すものと推定された.
  • 時枝 正則, 立花 輝雄, 小林 茂, 五明 健, 小野 成男
    1987 年 12 巻 4 号 p. 711-719
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    HTZ分析法と代謝物をも対象とした全分析法を検討し, それぞれ十分実用性のあるHPLC法を作成することができた. HTZ法はメタノール抽出液を液液分配, カラムクロマトグラフィーで精製後, HPLCで定量した. 全分析法はHTZ法と同様にメタノール抽出液を液液分配後, HTZおよび代謝物を加水分解してPT-1-3に変換し, カラムクロマトグラフィー等で精製後, HPLCで定量する方法を作成した. 両分析法ともに試料秤取量が50gの時, 検出限界は0.01ppm, 回収率80%以上, 変動係数2~3%であった. HPLCを用いてHTZ法および全分析法で9作物 (12作物部位) の分析を行なった結果, 残留値にほとんど差は認められなかった. このことからHTZを処理した作物に残留している化合物は大部分HTZであることがわかったので, 作物残留実態を調べるには迅速, 簡便なHTZ分析法が最適であると考えられた.
  • 磯部 直彦, 大江 亜矢子, 井藤 重美, 斎藤 幸一, 中塚 巌, 吉武 彬, 宮本 純之
    1987 年 12 巻 4 号 p. 721-728
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    5-メトキシ-3-(2-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2(3H)-オン, metoxadiazone (Elemic®) のべンビン環14C標識体をSD系雌雄ラットに1mg/kgの割合で1回経口または皮下投与すると, 14Cは速やかに主に尿中へ排泄された. 尿中への14C排泄量は, 投与後1日間に投与量の68~75%, 7日間に80~90%であった. 糞および呼気への14C回収率はそれぞれ7~18%および0.1%であった. 肝, 腎および他の組織の14C濃度は投与後0.5~1時間目に最高となり, それぞれ4.1, 2.0および<0.1μg metoxadiazone 相当量/g組織 (ppm) であった. その後14C濃度は低下し, 投与後1日目には1.0ppm以下, 7日目には0.1ppm以下となった. 14Cは血球に残留する傾向を示したが, その濃度は低かった. 9種類の代謝物を同定した. 尿中の主代謝物は, N′-メトキシカルボニル-2-ヒドロキシフェニルヒドラジン, N′-カルボキシ-2-ヒドロキシフェニルヒドラジンおよびレゾルシノールの硫酸抱合体であった. Metoxadiazone は尿および糞中に検出されなかった. 主要な代謝はオキサジアゾロン環の加水分解, メトキシフェニル基の脱メチル化および硫酸抱合化であった.
  • 五明 健, 川上 肇, 時枝 正則, 杉岡 克己, 小林 茂, 小野 成男
    1987 年 12 巻 4 号 p. 729-737
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    作物中に残留しているセトキシジム (STM) およびその代謝物の分析法を検討した. STMは数多くの代謝物に分解するため, これらの代謝物をM2-SO2, M1-SO2および6-OH-M2-SO2の三つの化合物に誘導化してHPLC (紫外線検出器) で定量する方法を作成した. GC法 (FPD) についても検討したが, HPLC法が優れていた. この方法を用いて, 圃場で収穫した18種類の作物について残留分析を行なった結果, 残留物の多くはM2-SO2に誘導される化合物であり, これらはM-SO, M-SO2と推定された. ダイズ等, 数種類の作物中に6-OH-M2-SO2に誘導化される水酸化体 (主として5-OH-M-SO2) の存在が認められたが, いずれの作物中でもM1-SO2に誘導される代謝物は, まったく検出されなかったか, 検出されてもきわめてわずかな量で分析の必要性は認められなかった.
  • 関戸 治知, 須賀 立夫, 児玉 治, 赤塚 尹巳, 河野 芳樹, 江角 保明, 竹内 節男
    1987 年 12 巻 4 号 p. 739-740
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イネのフィトアレキシンであるオリザレキシン類のいもち病およびごま葉枯病罹病葉における生成・蓄績をマスクロマトグラフィーを用いて分析した. それぞれ3gの葉身病斑部を集め, 有機溶媒抽出, 逆相系TLCによりオリザレキシン類含有画分を分離してマスクロマトグラフィーにより測定した結果, 健全部においてはオリザレキシン類の生成が認められなかったのに対し, いもちおよびごま葉枯病斑部ではオリザレキシンA~Dのいずれもほぼ同量の生成が認められた. これらの結果, マスクロマトグラフィーを用いて微量の試料よりオリザレキシン類の分析が可能となり, また, イネがいもち病以外の病害に罹病した場合にもオリザレキシン類を生成・蓄積することが示された.
  • 五明 健, 小野 成男
    1987 年 12 巻 4 号 p. 741-743
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    An analytical method for the residue of sethoxydim [(±)2-(1-ethoxyiminobutyl)-5-[2-(ethylthio) propyl]-3-hydroxycyclohex-2-enone, STM] in crops was established using high-performance liquid chromatograph (HPLC). A chopped sample was extracted with 50% aqueous methanol (including 5% Na2S2O3) and STM was transferred to n-hexane. After extracting with 0.1N NaOH, the extract was acidified by HCl. STM in the acidic solution was extracted with dichloromethane. After concentrating to a certain volume, the solution (10μl) was injected into HPLC. HPLC analysis was carried out on a Zorbax SIL column with a 0.5%MeOH/CH2Cl2 elution and with a UV detection of 254nm. The lowest detection limit was 0.02ppm and the recovery was 79.3-83.6%. No STM residue was detected in any crops examined, indicating that the STM was rapidly degraded to metabolites.
  • 高橋 尚裕, Ronald P. MASON
    1987 年 12 巻 4 号 p. 745-748
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Nitrofen, chlornitrofen, および chlormethoxynil の水-メタノール溶液中での光照射中にESR測定を行なうことにより, 不安定なニトロアニオンラジカルやスーパーオキシドの存在を確認した. ニトロアニオンラジカルの存在は嫌気条件下で見られること, またアルカリ性条件下のほうが濃度が高いこと, さらにまた好気条件下ではこのラジカルのスペクトルは見られなくなり, 代わりにスーパーオキシドアニオンラジカルのそれが観察されることを見いだした. これらの事実に基づいて, ラジカルの生成過程, 反応, さらに除草活性との関連について論じた.
  • Peter BÖGER
    1987 年 12 巻 4 号 p. 749-757
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 武田 俊司
    1987 年 12 巻 4 号 p. 759-768
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 日本ヒドラジン工業株式会社開発部
    1987 年 12 巻 4 号 p. 771-774
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 日本特殊農薬製造株式会社開発本部技術部
    1987 年 12 巻 4 号 p. 775-779
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    スルプロホスの安全性評価のための各種毒性試験を実
    施した.
    スルプロホスはラットとマウスにおける急性毒性値から劇物に指定された. 中毒解毒法としては, 硫酸アトロピンと2-PAMの反復投与が有効であった. ウサギを用いた刺激性試験では, 皮膚に対する刺激性はみられなかったが, 眼粘膜に対しては結膜にのみ軽度の刺激症状がみられた. 神経毒性に関して, 解毒剤を前処理したニワトリにLD50量を投与して試験したが, 肉眼的にも組織学的にも遅発性神経毒性作用は認められなかった.
    ラットとイヌの亜急性毒性試験では, 有機リン剤特有のChE活性の阻害が観察され, 高薬量群では体重増加の抑制と飼料摂取量の低下もみられた. ChE活性以外の血液生化学的検査, 血液学的検査, 剖検および病理組織学的検査においては, 一貫した薬量相関性の変化は認められなかった. ラット, マウス, イヌを用いた慢性毒性試験でも, 抗ChE活性が認められたが, 検体長期摂取による組織変化や催腫瘍性作用は認められなかった.
    3世代にわたるラット繁殖試験の結果, 30および120ppm投与群においてF1a新生仔の離乳時の体重減少を認めたものの, その後の世代には反映されない一時的変化であり, 薬量相関性を示す繁殖能の変化はなかった. ラットとウサギにおける催奇形性試験では, ChE活性阻害に起因する母動物の一般症状の悪化や体重の減少が認められたものの, 胎仔毒性や催奇形作用は認められなかった.
    スルプロホスは, 昭和60年2月に野菜類のスリップス防除用の殺虫剤として登録を取得した. 登録保留基準値は, ピーマン5ppm, さやいんげん2ppm, きゅうり, なす, かぼちゃ, にがうり1ppm, とうがん0.5ppmと設定された.
    スルプロホスは定められた使用基準を遵守すれば, 安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つであると考えられる.
  • 日本チバガイギー株式会社農薬本部営業開発部開発普及
    1987 年 12 巻 4 号 p. 781-784
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    プロフェノホスの安全性評価のため各種毒性試験を行なった.
    その結果, 40%乳剤の急性毒性は比較的低く毒物・劇物には該当しない. 急性遅発性神経毒性および顕著な薬理作用も認められなかった. また, 40%乳剤の眼刺激性は中度, 皮膚刺激性は重度であった.
    一方, 亜急性毒性, 慢性毒性および発癌性試験における高用量群で体重増加抑制, 肝および腎重量の低下, 脾重量の増加ならびにコリンエステラーゼ活性の低下等が認められたが, プロフェノホスによる特異的な病変は認められず, 発癌性も認められなかった. また, 変異原性および催奇形性等も認められなかった.
    昭和59年12月に農林水産省に登録を申請し, 各種の審査を経て昭和61年4月に茶およびてんさいを対象に農薬登録され, その後, 昭和61年12月にばれいしょに適用拡大された.
    プロフェノホスは, 定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が確保されるものであり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.
  • 津田 重典
    1987 年 12 巻 4 号 p. 785-787
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 辻 孝三, 阪上 重幸
    1987 年 12 巻 4 号 p. 788-790
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 阪上 重幸, 辻 孝三
    1987 年 12 巻 4 号 p. 791-792
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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