Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
17 巻, 4 号
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  • 竹中 允章, 木村 修一郎, 田中 敏房, 和田 拓雄
    1992 年 17 巻 4 号 p. 205-211
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    新規アゾール系殺菌剤であるペフラゾエート, 4-ペンテニル=(RS)-2-〔(2-フリルメチル) (イミダゾール-1-イルカルボニル) アミノ〕ブタノアートは, その分子中に1個の不斉炭素を有するためR-異性体とS-異性体から成るラセミ体である. 本稿では, ペフラゾエートの絶対化学構造と抗菌活性の関係を明らかにするため, ペフラゾエートの両光学異性体を光学活性なD-およびL-2-アミノ酪酸を出発原料としてそれぞれ不斉合成し, in vitro でのイネばか苗病菌に対する抗菌活性を検定した. その結果, 抗菌活性は, S(-) 体がR(+) 体よりED50値で約30倍強く, 0.24ppmでのエルゴステロール生合成阻害においてもS(-) 体がR(+) 体より4倍強い阻害を示した. 以上の結果から, ペフラゾエート光学異性体の活性体は, S(-) 体であることが判明した.
  • 竹中 允章, 林 啓介, 小川 徹, 木村 修一郎, 田中 敏房
    1992 年 17 巻 4 号 p. 213-220
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    野生型イネばか苗病菌の分生胞子多数を pefurazoate 含有寒天培地上に接種して, 生育する同剤低感受性変異菌株を分離した. 変異菌株は野生型母株に比し, 最低生育阻止濃度 (MIC) や95%有効濃度 (EC95) はかなり高いが, 50%有効濃度 (EC50) では大きな差はなかった. 変異菌株では薬量-反応曲線の勾配が緩やかとなってはいたが, 14C-標識酢酸からの菌体脂質生合成への同剤の影響を調べた結果では, 作用機構はステロール14α-位脱メチル阻害であった. 変異菌株の液体培養でのジベレリン生産を生物定量およびHPLCによる定量を行ない, 一方, 変異菌株のイネに対する病原力試験を行なった結果, 変異菌株においてはジベレリン生産の減少と病原力の低下とが観察され, 同菌のステロール生合成系の14α-位脱メチル過程とジベレリン生合成の一過程であるカウレン酸化に共通に関与する酵素または因子に変異を生じたものと推察された.
  • 坂田 信以, 片木 敏行, 吉村 淳, 三上 信可, 山田 宏彦
    1992 年 17 巻 4 号 p. 221-230
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    カーバメイト系殺菌剤ジエトフェンカルブのフェニル環もしくはイソプロピル基の高素を14Cで標識した化合物を用いて, 土壌中での分解と溶脱について検討した. 畑土壌に0.5ppmの割合で添加して好気条件に保つと, 消失半減期が0.3~6.2日の速度で分解した. 土壌中に検出された主分解物はフェニル環の6位のニトロ化物であった. いずれの14C-ジエトフェンカルブも土壌中で14CO2まで分解したり bound 14Cを形成した. ジエトフェンカルブの分解は嫌気条件の畑土壌では遅く, 滅菌条件ではほとんど分解しなかった. またジエトフェンカルブおよびフェニル環の6位のニトロ化物は, 経時的に減少するとともに, 畑土壌から溶脱しなかった.
  • 富澤 元博, 山本 出
    1992 年 17 巻 4 号 p. 231-236
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イエバエおよびミツバチ頭部のニコチン性アセチルコリンレセプター (nAChR) 画分のα-ブンガロトキシン (α-BGTX) 結合部位への薬物の結合を, ラジオレセプターアッセイにより検討した. 塩基性の高いニコチン, ノルニコチン, アナバシン, ジヒドロニコチリンでは親和性が強く, 塩基性の低いミオスミン, ニコチリン, コチニンでは弱かった. ピリジルメチルアミン類の3位異性体で塩基性の高いものの親和性が強かった. ニコチンの光学異性体では, d体よりl体のほうが強かった. 以上の結果はこれらニコチノイドの殺虫活性と対応していた. アセチルコリンエステラーゼの強力な阻害剤であるオキサジアゾロン化合物のnAChRへの親和性は認められなかった. ニコチンと同じ構造部分をもつイミダクロプリドは強い親和性を示し,α-BGTXやニコチンと同一部位に相互作用することが示された.
  • 藤村 真, 鎌倉 高志, 山口 勇
    1992 年 17 巻 4 号 p. 237-242
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ベンズイミダゾール耐性菌に選択的殺菌活性を示すジエトフェンカルブは, アカパンカビの分生胞子の発芽を阻害しなかったが, 0.5μg/mlの濃度において, ベンズイミダゾール耐性株の発芽管の膨潤および異常分岐を引き起こした. また, ジエトフェンカルブは, 耐性株に選択的に核の形態の異常を引き起こし, 核分裂を阻害していることがDAPIによる核染色により観察された. これらのジエトフェンカルブの耐性株に対する発芽管および核の形態異常は, 野生株に対するMBCの作用ときわめて類似していた. さらに, 14C-ジエトフェンカルブを用いて, ジエトフェンカルブ結合蛋白質の検索を行なったところ, 耐性株の細胞破砕液の遠心 (50,000g) の上清の高分子分画に特異的な結合蛋白質の存在を示唆する高い放射能活性が認められた. このジエトフェンカルブ結合蛋白質は, DEAE Sephadex A-50に吸着され, 0.5M KClで溶出された. その分子量は, Sephacryl S-200によるゲル濾過により約105,000であると推定された. これらの結果は, ベンズイミダゾール感受性菌のMBC結合蛋白質 (チューブリン) と一致していることから, ジエトフェンカルブは, ベンズイミダゾール耐性株のチューブリンに特異的に結合して, 微小管の形成を阻害することにより, 選択的殺菌活性を示すと考えられた.
  • N-Phenylformamidoxime 化合物の殺菌活性 (第2報)
    中田 昭, 橋本 章, 佐野 慎亮, 早川 公一
    1992 年 17 巻 4 号 p. 243-249
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-(3,5-dichloro-4-propynyloxyphenyl)-N′-methoxyformamidine (DCPF) およびN-(3-chloro-4,5-dipropynyloxyphenyl)-N′-methoxyformamidine (CDPF)は, in vitro だけでなく, in vivo のポット試験においてもベンズイミダゾール (BI) 剤に対して顕著な負相関交差耐性を示した. テンサイ褐斑病では, BI剤に対する高度耐性 (HR) 菌および中等度耐性 (MR) 菌による感染に高い防除効果を示したが, BI剤弱耐性 (WR) 菌には防除効果は認められなかった. 灰色かび病では, HR菌感染には高い活性を示したが, MR菌には無効であった. これらは in vitro の抗菌試験の結果と一致した. DCPFおよびCDPFは, キュウリまたはインゲン灰色かび病およびテンサイ褐斑病防除において, 予防効果だけでなく, 優れた治療効果および残効活性を示し, 浸透移行性も認められた.
  • 1,2,4-チアジアゾリン類の合成と生物活性 (第1報)
    萩原 健司, 橋本 章, 下田 進
    1992 年 17 巻 4 号 p. 251-259
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    5-アリルイミノ-Δ3-1,2,4-チアジアゾリン類がキュウリベと病に予防活性を示すことを見い出し, その活性と構造との関連を各種誘導体を合成して検討した. これら一連の化合物の作用機作はキャプタン, ダコニールなどの既存のSH阻害剤と類似しており, 実際にメルカプタン類と反応させるとチアジアゾリン環のN-S結合が切断された. 一方, 5-アリルイミノ-Δ3-1,2,4-オキサジアゾリン, 5-アニリノ-1,2,4-チアジアゾール, 5-ベンゾイルイミノ-Δ3-1,2,4-チアジアゾリンなどはメルカプタン類と反応せず, その殺菌活性も大幅に低下した. これらの事実から標題化合物は, SH酵素と反応しチアジアゾリン環のN-S結合が切断されることにより殺菌活性が発現していると推測された.
  • 津田 忠敬, 田村 純一, 上田 博夫, 櫟本 五男
    1992 年 17 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ジアミノマレオニトリルから出発して, 2,5-ジメチルフェニル基 (I), 2,5-ジクロロフェニル基 (II) をもつ標題のカルボン酸を経て, 14種のエステルと2種のアミドを合成し, 発芽試験を行ない植物毒性を調べたところ毒性を示さなかった. 上記2種のカルボン酸と2,5-ジメトキシフェニル基 (III) をもつカルボン酸から17種類のN-アルキルアミドを合成し, 同毒性を調べたところ, Iをもつカルボン酸のN-プロピル (n, iso), N-ブチル (n, iso, sec), N-アミル (iso) アミドが若干の植物毒性を示した. これらのN-アルキルアミドは除草試験でも水田雑草に対して若干の除草活性を示した. Iの5種のN,N-ジアルキルアミドは植物毒性を示さなかった.
  • Muney SERIT, 石田 宗孝, 中田 勝康, 金 武祚, 高橋 正三
    1992 年 17 巻 4 号 p. 267-273
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ニームオイル (HN) は, 非選択条件下でヤマトシロアリの摂食を阻害した. HNのメタノール抽出物 (HN-01) はHNの4倍の活性を有した. 次いで, 他の12種類のメタノール抽出物を評価したところ, 6種類は強い (PC95<1.0%w/w), 3種類は中程度の (PC95=1~3%w/w) 活性を示し, 残りの3種類は無活性 (PC95検定域外) であった. HN-01の活性画分より精製された11種類の主要なリモノイドによって, HN-01の活性の81.5%が明らかとなった. PC95より高い供試量のとき, 無供餌のものよりも若干はやく死亡する傾向がみられたが, 急性毒性効果は認められなかった. 本研究によりニーム抽出物のシロアリ防除への有用性が示唆された.
  • 尾添 嘉久, 持田 和男, 中村 利家, 保坂 智恵, 江藤 守総
    1992 年 17 巻 4 号 p. 275-277
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    4-n-プロピル二環式チオノリン酸エステル (NPPS) は, ラットおよびイサキの脳から調製した膜画分への [35S] 4-t-ブチル二環式チオノリン酸エステル (TBPS) の特異的結合を阻害した. NPPSの3位にアルキル基を導入すると, 阻害活性は低下した. 阻害活性を低下させる置換基効果は, ラット脳の膜画分では, i-Bu≧n-Bu≧n-Pr≧s-Bu>t-Bu>Et>i-Pr>Meであった. イサキ脳の膜画分ではラットの場合と同じく, NPPSの3位にt-Bu基を導入すると活性が低下した. これらの結果が, イエバエ頭部膜画分を使った実験結果 (t-Bu, i-Pr, s-Buを導入したほうがNPPSより阻害活性が高い) と違っていることから, GABA制御クロルイオンチャネルに存在するTBPS結合部位の構造の昆虫と脊椎動物における違いが推察された.
  • 片山 新太, 内田 聡子, 鍬塚 昭三
    1992 年 17 巻 4 号 p. 279-281
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Phanerochaete chrysosporium BKM F-1767を対照菌株とし14C-DDT (芳香環ラベル) を用いて木材腐朽菌41株をスクリーニングした結果, 窒素不足条件下だけでなく十分な栄養条件下でもDDTを生分解できる白色腐朽菌2株, Phlebia strigoso-zonata 001Aと未同定担糸菌F7, が得られた. この2菌株は, 大気条件下かつ十分な栄養条件下で, DDTを水溶性物質さらに14CO2に変換し, その分解能力は Phanerochaete chrysosporium BKM F-1767を上回った. DDEと dicofol が代謝産物として同定された. 本2菌株の生物的環境浄化への応用の高い可能性が示唆された.
  • 大嶋 昌子, 吉田 須美子, 斉藤 昇二, 三上 信可, 松尾 昌年
    1992 年 17 巻 4 号 p. 283-285
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ピレスロイド系殺虫剤のプラレスリンはブルーギルにおいてエステル結合解裂前にイソブテニル基末端の酸化を受け, さらにこれがタウリンと抱合して wt-acid-t-prallethrin-taurine を生成することが判明した. これの確認にはピレスロイドのキク酸エステル結合を特異的に加水分解する Arthrobacter globiformis 由来の精製酵素による反応, TLCおよびHPLCコクロマトグラフィー, さらにHPLC-MSの測定を用いた. この結果, 魚類において, エステル結合解裂前のピレスロイド系化合物のカルボン酸部に対してもタウリン抱合化が起こることが明らかとなった.
  • Roongnapa KORPRADITSKUL, Vichai KORPRADITSKUL, 鍬塚 昭三
    1992 年 17 巻 4 号 p. 287-289
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    5種類のタイ熱帯土壌を用いて, 土壌中における除草剤アトラジンの消失について室内実験を行なった. 畑地水分条件下で前培養した後, 乾土換算3.0μg/gのアトラジンを添加し, FTDガスクロマトグラフを用い, 経時的に残留量を定量した. 分解速度は土壌の種類により大きく異なった. Pak Chong 統土壌中の半減期はきわめて短く6日間であった. 他の土壌では26日から150日であった. 土壌の性質のうち, pH, 陽イオン交換容量, 全窒素含量, 有機炭素含量, 最大飽和容水量との間に低い正の相関がみられたが, 粘土含量とは相関がみられなかった. 2種の土壌で15℃から45℃までの温度で培養したところ, 高温ほど分解が速かった.
  • 関沢 純, 芹沢 寛子
    1992 年 17 巻 4 号 p. 291-294
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    国際的な専門家グループによる農薬の安全性評価の成果は各種の国際機関 (JMPR, IPCS, IARC, WHO) の出版物に報告されている. これらは農薬の安全性評価上貴重であるがその情報は国内では必ずしも広く利用されていない. 前記国際機関による安全性評価の結果の要約と所在, 農薬の生産, 輸入, 輸出量データ, 国内の規制 (登録, 使用規制, 残留基準, 毒劇指定, 魚毒性による分類) の情報を検索しうるデータベースを開発した. グループとしての農薬の情報を調べるために, 用途および構造による分類を検索のタグとして付与した. 国際機関による安全性評価情報の例としてはFAO/WHO合同残留農薬委員会による一日許容摂取量評価の基礎となった無影響量データの概要も検索可能とした. ソフトウェアには dBASEIII PLUS を用い, NECまたはIBMの機種で利用可能とした. 農薬の安全性評価研究および管理の実際への応用が期待できる.
  • 関沢 純, 大竹 千代子
    1992 年 17 巻 4 号 p. 295-300
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    農薬による人の健康と環境へのリスクを正しく評価することは重要である. 問題の所在を知る上で, 農薬の永年にわたる使用量の変化, 現行の規制内容, 国際機関によるリスク評価の現況を知ることは大きな参考となる. 著者の開発したデータベースを用いて国内で1975年から1990年 (農薬年) において使用量の多かった41農薬について, 使用量の推移, 国際機関によるリスク評価の結果 (FAO/WHO合同残留農薬委員会による一日許容摂取量の評価の概要など) と国内の規制状況 (残留基準の有無など) を検討し, 今後必要と思われるリスク評価のニーズを指摘した. 一例としては Dichloropropene, Chloropicrin, Methyl bromide などくん蒸剤の使用量が増加しつつあり, 使用者への健康影響および生態系への影響の評価と管理が課題と考えられた.
  • 高橋 英一
    1992 年 17 巻 4 号 p. S291-S296
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 横田 一成
    1992 年 17 巻 4 号 p. S297-S305
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 日本バイエルアグロケム株式会社開発本部登録センター
    1992 年 17 巻 4 号 p. S309-S313
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    各種毒性試験を実施してESPの安全性の評価を行なった.
    ESPはラットとマウスに対する急性毒性値から劇物に指定された. 中毒時の救命剤としてPAMが有効であった. エストックス乳剤のウサギを用いた刺激性試験では皮膚に対して弱い刺激性がみられ, 眼に対して強い刺激症状がみられたが, 1000倍希釈液には刺激性は認められなかった. また, エストックス乳剤はマキシミゼーション法によりモルモットに対し中等度の感作性を示した. ESPには遅発性神経毒性は認められなかった. 亜急性毒性試験および慢性毒性/発癌性試験では高投与群でChEの活性阻害, 体重増加の抑制や一部の臓器重量の変化等がみられたが, 特定の形態学的な病変は認められず, 発癌性も認められなかった. 2世代にわたる繁殖試験で, 高用量群で著明な妊娠率の低下が認められた. ラットとウサギの催奇形性試験で催奇形性は認められなかった. 変異原性試験では弱い作用が認められた.
    ESPはエストックス乳剤として昭和36年に果樹および野菜のアブラムシ類, ハダニ等の防除用の殺虫剤として登録を取得した. 登録保留基準値は, 果実の0.1ppm, 野菜の0.05ppm, いも類の0.1ppmと設定された.
    ESPは定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つであると考えられる.
  • 日本チバガイギー株式会社アグロテック事業部登録
    1992 年 17 巻 4 号 p. S315-S318
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    シメトリンの安全性評価のため各種毒性試験を行なった.
    その結果, 原体および2.5%粒剤の急性毒性は比較的低いほか, 眼に対する刺激性および皮膚感作性もなく, 本化合物には顕著な薬理作用も認められなかった. また, 皮膚に対する刺激性は軽度であった. 一方, 亜急性毒性, 慢性毒性/発癌性試験における高用量群で, 体重増加抑制, 摂餌量の減少, 肝重量の増加, 血液学的検査値の変動などが認められ, 一部の試験で肝の病理組織学的変化が認められたが, 発癌性は認められなかった. 繁殖毒性, 催奇形性および変異原性も認められなかった.
    シメトリンを有効成分とする農薬は, 当初昭和44年に水稲用として登録され, その後, 数多くの混合剤が登録されている.
    なお, 登録保留基準は米で0.05ppmと設定された.
    シメトリンは水稲用除草剤として草分け的な存在であり, 定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が確保されるものであり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.
  • 大塚薬品工業株式会社開発研究部
    1992 年 17 巻 4 号 p. S319-S321
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ダイファシノン原体の急性毒性, 亜急性毒性は比較的高いが, 製剤は0.005%と非常に低い濃度であり, 急性経口LD50はマウス, ラットとも5000mg/kg以上, ラットの急性経皮LD50は2000mg/kg以上であることから, 人畜に急性毒性中毒の起こる危険性はきわめて低い. ダィファシノン0.1%中間体の眼刺激性はきわめて軽度で, 0.005%製剤の皮膚一次刺激性, 皮膚感作性ともに陰性であった. 変異原性に関しては復帰変異原性試験, DNA修復試験ともに陰性であった.
    ダイファシノンは抗血液凝固剤であり, 0.005%というきわめて低濃度で使用され, 連日摂取することにより毒性が発現すること, さらにビタミンK1という解毒剤が確立していることから, 定められた使用基準を遵守すれば安全性を確保できる有用な殺そ剤であるといえる.
  • ファイザー製薬株式会社農産事業部農産開発部
    1992 年 17 巻 4 号 p. S323-S325
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    酒石酸モランテルの安全性評価のため各種毒性試験を行なった.
    その結果, 本剤の急性毒性は比較的弱く, 普通物に該当する. 眼に対する刺激性はわずかに認められたが, 薬剤の希釈により刺激性は軽減した. また, 皮膚に対する刺激性はなかったが, 皮膚感作性は陽性であり, 皮膚にアレルギー反応を生じる可能性があると判断された. 一方, 6か月毒性試験では高用量群 (27,500ppm) において, 死亡例の発生, 体重の減少, 摂餌量の減少, 剖検時の全身性の消耗, 諸器官の萎縮性変化などがみられたが, 本剤投与による特異的な変化は認められなかった. 変異原性は陰性であった. また, 催奇形性に関しても問題はなかった.
    酒石酸モランテル液剤であるグリンガードは昭和57年11月に登録を取得した. また, 8%液剤であるグリンガード・エイトは昭和61年7月に登録を取得し, マツノザイセンチュウの侵入・増殖を阻止して松枯れを防止する樹幹注入剤として使用されている.
    酒石酸モランテルは, 定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が確保されるものであり, 松枯れを防止する有用な農薬として上市以来好評を得ている.
  • Registration Department, Agricultural Chemicals Di
    1992 年 17 巻 4 号 p. S327-S335
    発行日: 1992/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    In order to investigate toxicological properties of Dazomet, a number of toxicological studies were carried out with DAZOMET. In addition, the toxicological features of MITC, a major metabolite of Dazomet, were also tested. The studies show that the acute toxicity, subacute toxicity, and long-term toxicity are rather low. DAZOMET is neither irritating nor sensitizing to the skin. Inhalation risk can be excluded under practical conditions. No influence on reproduction parameters was observed, and no signs of teratogenic effects were noted. DAZOMET is neither mutagenic nor carcinogenic.
    Withholding values have been set for the registration; 0.2ppm for vegetables and for potatoes, and 0.1ppm for fruits and for sugar crops. Dazomet products named BASAMID MG and GASTURD MG were registered to JMAFF on November 7, 1991 as a soil sterilant for a number of edible crops as well as for ornamentals and tobacco.
    A safety risk for Dazomet is not to be expected as far as it is used in accordance with the established safe use standard.
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