シメトリンの安全性評価のため各種毒性試験を行なった.
その結果, 原体および2.5%粒剤の急性毒性は比較的低いほか, 眼に対する刺激性および皮膚感作性もなく, 本化合物には顕著な薬理作用も認められなかった. また, 皮膚に対する刺激性は軽度であった. 一方, 亜急性毒性, 慢性毒性/発癌性試験における高用量群で, 体重増加抑制, 摂餌量の減少, 肝重量の増加, 血液学的検査値の変動などが認められ, 一部の試験で肝の病理組織学的変化が認められたが, 発癌性は認められなかった. 繁殖毒性, 催奇形性および変異原性も認められなかった.
シメトリンを有効成分とする農薬は, 当初昭和44年に水稲用として登録され, その後, 数多くの混合剤が登録されている.
なお, 登録保留基準は米で0.05ppmと設定された.
シメトリンは水稲用除草剤として草分け的な存在であり, 定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が確保されるものであり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.
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