Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
18 巻, 3 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 渡辺 高志
    1993 年 18 巻 3 号 p. 201-209
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水溶液, 土壌, 稲体, ガラスの各表面からの14種類の農薬の揮発速度を測定し, 物理化学的パラメーターと各媒体からの揮発速度との相関を調べた. 水溶液からの揮発をみるため, ヘッドスペースガス法による水/大気の分配比, パージ&トラップ法による揮発速度, 比揮発度を測定した. 分配比, 揮発速度および比揮発度の間の相関はいずれも有意であり, これらはヘンリー定数 (H) とも有意な相関を示した. しかし, Hが1×10-3以下の農薬は水溶液からの揮発が認められなかった. 土壌からの揮発は, ヘッドスペースガス法による土壌/大気の分配比を測定した. 分配比は, H/KocおよびVP/(WSKoc) と有意な相関を示し, H/Kocが1×10-5以下の農薬は, 土壌からの揮発が認められなかつた (VP: 蒸気圧, WS: 水溶解度, Koc: 土壌吸着係数). 稲体からの揮発については, 農薬を稲に散布し, ヘッドスペースガス法による稲/大気の分配比, パージ&トラップ法による揮発速度を測定した. 揮発速度と分配比の間に有意な相関が認められ, これらは, VPおよびVPMWと有意な相関を示した. 今回の供試農薬のVPMWはいずれも11以上であり, GCにおける感度が低かったものを除き, すべて揮発が認められた (MW: 分子量). ガラス表面からの揮発をみるため, 農薬をガラスビーズに添加し, その表面からの揮発速度をパージ&トラップ法で測定した. 揮発速度とVP等の間に有意な相関が認められた. 各媒体からの揮発速度あるいは分配比は, 水溶液の表面からはH, 土壌の表面からはH/Koc, 植物体の表面からはVPMWとそれぞれ相関がみられたことから, これらの物理化学的パラメーターの大きさは, 農薬が各媒体から揮発するかどうかの判断材料の一つになると考えられる.
  • 土壌 aryl acylamidases に関する研究 (第2報)
    持田 和男, 中村 利家, 李 文新, 尾添 嘉久
    1993 年 18 巻 3 号 p. 211-216
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    土壌からの分離細菌A-1株は coryneform グループに属し, 基質アセトアニリド (AAN) とのインキュベーション下で著しく活性化される特異な aryl acylamidase を産生した. 本酵素はAAN共存下での硫安分画, イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過によって263倍まで精製され, その SDS-PAGE は同種の既知細菌産生酵素よりかなり大きい分子量 (127,000) をもつ単一バンドを与えた. 精製活性化酵素は温度や幾つかの金属イオンに対する安定性を増すとともに, naproanilide, chlorpropham, propanil および linuron に対しても加水分解活性を示した. これらの基質飽和曲線の酵素反応論的解析は, 分子内のアニリン部位が無置換体であるものの方が塩素置換体であるものより基質として適していることを示した. これはAANによる活性化で, 酵素の構造が無置換体に対してより適合するように変化したためと考えられた.
  • 境 昭二, 竹中 允章, 西田 均, 長谷 寛, 木村 修一郎
    1993 年 18 巻 3 号 p. 217-223
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水稲種籾に浸漬処理したペフラゾエート (4-ペンテニル=(RS)-2-[フルフリル (イミダゾール-1-イルカルボニル) アミノ] ブタノアート) の幼苗期の水稲における移行および代謝を, 三種の14C標識ペフラゾエートを用いて調べた. 砂培土に播種後3週目における水稲体内の14Cは, 三種の標識体において81.3~86.3%が種籾中に分布していたが, 5週目には54.1~55,8%に減少した. その減少は, ほぼ茎葉および根への移行によるものであつた. 一方, ペフラゾエートの代謝は活発で, 3週目に幼苗中全14Cの49.1~58.2%存在していたペフラゾエートは, 5週目には22.6~254%に減少し, その大部分 (90.2~93.9%) は種籾に存在していた. 主要代謝物として, 4-ペンテニル=(RS)-2-フルフリルアミノブタノアート, (RS)-2-フルフリルアミノブタノアート, 1-[(RS)-1-カルボキシラートプロピル]-3-ヒドロキシピリジニウム, N-(フラン-2-イルカルボニル) グリシン, (RS)-2-アミノブタン酸, イミダゾール, ヒダントイン, ヒダントイン酸が同定された. 抱合体の生成はわずかであった. これらの代謝物から, 水稲中における代謝経路は土壌中とほぼ同じであると考えられた.
  • 巣山 弘介, 山本 広基, 達山 和紀, 駒田 旦
    1993 年 18 巻 3 号 p. 225-230
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    クロロタロニルを土壌灌注常用量で年2回, 6年間連用した圃場において, セルロース分解活性が冬期に抑制され, 夏期には回復するという季節変化が認められた. また, その抑制の程度は連用開始3年までは年々増大した. 5倍量連用圃場でも同様の傾向が認められたが, 夏期の回復は不完全であった. このことから, 土壌中におけるセルロースの分解に対するクロロタロニルの抑制的影響の発現においては施用量だけでなく温度も重要な因子であると考えられた. 25および13℃を培養温度として連用区と対照区の土壌微生物相を比較したところ, 糸状菌数はほぼ同程度であったが, 結晶性セルロースを完全に分解する糸状菌数およびその活性の和は, 25℃では5倍量連用区でのみ, 13℃では両連用区で低い傾向が認められた. したがって, 連用区におけるセルロース分解の抑制は, セルロース基質に対する糸状菌イノキュラムの量的な減少ではなく, 質的な変化が原因であることが示唆された.
  • 加賀山 慶一, 白神 伸江, 永峰 俊弘, 梅原 利之, 満井 喬
    1993 年 18 巻 3 号 p. 231-237
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    トビイロウンカ (Nilaparvata lugens) 卵より形態的に異なる7グループの酵母様共生微生物が分離された. これらの酵母株から全DNAを抽出し, これを鋳型としてPCR法により18S-rRNAをコードするrDNA領域を増幅し, 増幅されたDNAを比較することによってこれらの酵母の分類を試みた. PCRのプライマーとしては, 18S-rDNAの生物間で保有性の高い領域を用いた. PCRの結果, 6グループからは約1600塩基対の, 1グループからは約1300塩基対のDNA断片が増幅された. 次に増幅されたDNAを5種の制限酵素で切断したところ, 各グループでの切断パターンはそれぞれ異なっていた. これらの結果から, この7種の酵母株は分類学的に別種に分類されることが明らかとなった.
  • 平野 雅親, 竹田 久己, 佐藤 日出高
    1993 年 18 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    虫体浸漬法は簡単な方法であり, 現地にて鱗翅目昆虫のピレスロイドに対する感受性を調査するために適した方法であることが明らかとなった. パキスタンの棉圃場にて1985年に採集された E. insulana および P. gossypiella のフェンバレレートとフェンプロパトリンに対する感受性を調査した. 前種の Multan コロニーに対するフェンバレレートのLC50値は1.5ppmであった. また, Hyderabad コロニーに対するLC50値は, フェンバレレートが1.8ppmであり, フェンプロパトリンは0.46ppmであった. 一方, P. gossypiella に対する両化合物のLC50値は10~13ppmとほぼ同じ値を示した. そこで, これらの値をベースとして, 1985年から1991年まで Multan にて両種のフェンバレレートとフェンプロパトリンに対する感受性モニタリングを継続した. なお, パキスタンでは1990年からはフェンバレレートに代わってエスフェンバレレートが使用されたので, 1990年および1991年の本調査はエスフェンバレレートを用いて行なわれた. その結果, 調査期間を通じて両種に対するこれらのピレスロイドの感受性変動は認められなかった.
  • 織田 雅次, 榊 敏朗, 佐々木 直子, 野仲 信行, 山岸 兼治, 富田 啓文
    1993 年 18 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-(1,1,3-トリメチルインダン-4-イル) アリールまたはヘテロアリールカルボン酸アミド誘導体を合成し, その構造活性相関を検討した. 本系統には, 紋枯病 (Rhizoctonia solani) のみならず灰色かび病 (Botrytis cinerea) に対しても高い活性が見られた. 2位にCl, Br, CH3またはCF3で置換されたピリジン-3-カルボン酸アミド誘導体は, 両病害に対して高い活性を示した. ピラジン-3-カルボン酸アミド, フラン-3-カルボン酸アミド, ピラゾール-4-カルボン酸アミドおよびチアゾール-5-カルボン酸アミド誘導体も, 2-置換ピリジン誘導体と同様に高いSDC酵素阻害活性を示し, 両病害に対するポット試験でも高い活性を示した. 2,5-ジメチルフラン-3-カルボン酸アミドは2-メチルフラン誘導体と同様にSDC酵素阻害に対しても両病害に対しても高い活性を示したが, 2,4-ジメチルおよび2,4,5-トリメチル誘導体は灰色かび病に対するポット試験できわめて低い活性しか示さなかった. ピラゾール-4-カルボン酸アミドおよびチアゾール-5-カルボン酸アミド誘導体もフラン誘導体と同様の置換基効果を示した. これらの化合物の中で2-クロロピリジン-3-カルボン酸アミド (BC723) に加えて4-メチルチアゾール-5-カルボン酸アミド (BC340) が, いずれの病害に対しても最も良好な活性を示すことが見出された.
  • Tariq MAHMOOD, 舩城 衛介, 矢野 祐幸, 笠井 裕, 本山 直樹
    1993 年 18 巻 3 号 p. 253-261
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    銀座で採集され, さらに室内でパーメスリンで選抜されたチャバネゴキブリ個体群は, 各種ピレスロイド剤とDDTに対して交差抵抗性を示し, 有機リン剤とカーバメイト剤に対しても若干の抵抗性を示した. 細胞画分による14C-フェンバレレートの分解活性を調べたところ, 主な活性は可溶性画分とミクロゾームに存在したが, 抵抗性・感受性系統間に有意な差はなかった. 代謝阻害剤DEFとPBOの殺虫共力効果についても系統間で有意な差がなかったことから, 本系統のピレスロイド抵抗性には代謝は関与していないことが暗示された. CO結合差スペクトルから推定した抵抗性系統のミクロゾームのチトクロムP450含量は感受性系統に比べて2.6倍多く, λmax値にも違いが見られたが, これはフェンバレレート分解に関与しないアイソザイムによるものと推察された. 露出した腹部神経索の薬剤感受性を電気生理学的に系統間で比較した結果, 抵抗性系統の神経系は感受性系統に比べてピレスロイド剤とDDTに対する感受性が著しく低く, 本系統に関してはKDR因子がピレスロイド抵抗性の主要因であることを示唆した.
  • (S)-ビオアレスリンの7位水酸化代謝物の立体化学とレスロニルアセテート類の化学酸化
    安藤 哲, 小関 望, 国立 朋之, 春日 紀恵, 夏目 雅裕
    1993 年 18 巻 3 号 p. 263-270
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    天然ピレスロイドおよび (S)-ビオアレスリンのアルコール側アルケニル側鎖は, 混合機能オキシダーゼ (mfo) や化学試薬により容易に酸化されることが知られているが, その詳細については未だ不明なところがある. 今回, 光学活性なMTPAエステルの1H NMRデータを比較する改良 Mosher 法を適用して, (S)-ビオアレスリンの7位水酸化代謝物は (7R) の立体配置を有すること, すなわち mfo (マウスおよびラット由来) は7位 (pro-R) の水素原子を攻撃することを明らかにすることができた. また, レスロニルアセテート類のSeO2あるいはMCPBAによる酸化物を, HPLCにて精製単離後NMRおよびGC-MS分析により同定し mfo による酸化代謝物と比較したところ, SeO2やMCPBAの示した位置選択性と4種のアルケニル側鎖に対する反応性はそれら哺乳動物や昆虫のmfoと類似しており, これらの酸化剤はピレスロイド類の代謝研究のためのモデル反応に利用可能であることが示された.
  • Tariq MAHMOOD, 舩城 衛介, 笠井 裕, 本山 直樹
    1993 年 18 巻 3 号 p. 271-276
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ピレスロイド抵抗性 (R) および感受性 (S) チャバネゴキブリに局所施用した14C-フェンバレレートの in vivo 動態を表わす薬物速度論モデルを提唱した. 各種速度論パラメータ, すなわち皮膚透過 (k1), rub-off (k2), 分解 (k3), 結合 (k4), および排泄 (k5) の速度定数をコンピューターシミュレーションによって算出した. その結果, R系の透過速度と rub-off 正速度はS系よりも遅いことがわかった. 分解, 結合, 排泄に関しては系統間に有意な差が見られなかつた. R系は, フェンバレレートによる“追い出し”効果に対しても行動抵抗性を示した. 前報の結果と合わせると, ピレスロイド剤によるR系チャバネゴキブリの防除不成功は三つの要因, すなわち行動による回避, 皮膚透過性の減少, および作用点の感受性低下, の組合せによってもたらされることが明らかとなった.
  • Béla DARVAS, József Cs. JÁSZBERÉNYI, Tibor ...
    1993 年 18 巻 3 号 p. 277-280
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2,2-ジメチル-4H-[1] ベンゾピラノ [4,3-d][1,2,3] セレンジアゾール類 (I) と2,2-ジメチル-3,4-ジクロロクロメン類 (II) のオオモンシロチョウとコロラドハムシに対する殺幼虫活性を調べた. (I) と (II) の7-メトキシ体の活性は, 基準物質とした2,2-ジメチル-7-メトキシクロメン (P1) より高かった. しかし, (II) の7-(2-プロピニルオキシ) 体の活性は, それが塩素で置換されていない化合物より高活性であったが, 相当するセレンジアゾール誘導体 (I) の活性は非常に低かった. これらの結果は, 3, 4-位の二重結合の存在はP1の殺幼虫活性にとって重要な役割をもたないという仮説を支持した.
  • 中田 忠
    1993 年 18 巻 3 号 p. S121-S125
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 荻野 和彦
    1993 年 18 巻 3 号 p. S127-S133
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 丸 諭
    1993 年 18 巻 3 号 p. S135-S143
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    The behavior and fate by runoff of pesticides applied to paddy field were investigated. The necessary sample numbers for measurement of pesticide concentration in river water were allow to less when pesticides were applied at all over of river basin. But, many samples were necessary for the pesticides applied by aerial application to the limited area. In the rainy times, the runoff amount of pesticides per unit time was influenced by the variation of flow water volume rather then the variation of pesticide concentration. On the research of the change of pesticides concentration in main river of Chiba prefecture, pesticides in river water are not presumed to be influenced on human health. For six years from 1983 to 1988, runoff and leaching of 21 pesticides were measured with lysimeters. The runoff percentages and the water solubility were significantly related statistically (r=0.872, n=18). Furthermore, the runoff percentages of pesticides from lysimeters and those from actual paddy fields to river water also related significantly (r=0.870, n=8). With the analysis of the multiple regression equation, it was found that the factors as water solubilities of pesticides, application method, application time, formulation, rainfall were related with pesticide runoff from the paddy field and behavior and fate of pesticides in the aquatic environment was predictable.
  • 大塚 俊一
    1993 年 18 巻 3 号 p. S145-S153
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    In the course of study on new pyrethroids, it was found that organosilicon compounds substituted with silicon atom at the quaternary carbon atom of ethofenprox were showed pyrethroidal insectactivity. Among them dimethyl (4-ethoxyphenyl) silylmethyl-3-phenoxybenzyl ether (SSI-116) was selected as the most potent candidate, which has broad-spectrum insectactivity, extremely low fish toxicity and low mammalian toxicity. The comparison between SSI-116 and ethofenprox in various biological activity to insects suggested that SSI-116 acted as a bioisostere of ethofenprox against insects and was classified to type I pyrethroids. But in fish toxicity the large difference between them was observed, that is the LC50 value for carp of SSI-116 and ethofenprox were >562ppm and 5.0ppm, respectively. In the field trials SSI-116 was effective agent for control of pests in rice paddy field. The results suggested that sila-substitution of known pesticides might be available method for future pesticide development.
  • 大塚薬品工業株式会社開発研究部
    1993 年 18 巻 3 号 p. S157-S159
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    モノフルオル酢酸ナトリウム原体の急性経口毒性は, ラットにおいて約1mg/kg, マウスにおいて12.7mg/kgと高く, そのために特定毒物に指定されているが, ラットに対する急性経皮毒性は比較的低い. 製剤においては1%液剤, 0.3%粒剤とも急性毒性は比較的低くなっており, とくにラットに対する経皮毒性はともに2000mg/kg以上と低いものになっている.
    製剤の非洗浄の条件下での眼一次刺激性試験において, 0.3%粒剤は「最小限度の刺激性物質」, 1%液剤では6匹の試験動物中2匹が死亡したため4匹に基づく評価で「無刺激性物質」と分類された.製剤の皮膚一次刺激性試験において, 0.3%粒剤は「無刺激性物質」, 1%液剤では6匹の試験動物中3匹が死亡したため3匹に基づく評価で「軽度の刺激性物質」と分類された.
    皮膚感作性試験においては, 1%液剤で試験動物2匹の死亡が認められたが, 1%液剤, 0.3%粒剤ともに皮膚に対して感作性はないと判断された.
    変異原性を評価するために行なった復帰変異原性試験では, モノフルオル酢酸ナトリウム原体に遺伝子突然変異誘発性はないと判断された.
    モノフルオル酢酸ナトリウムはその毒性のために特定毒物に指定されているが, 殺そ剤としての効果からみると, 効果の発現が速く忌避されないという特長があり, 定められた使用法, 使用基準を遵守し, 適正に使用すれば安全性は十分確保できる有用な農薬の一つであると考える.
  • 硫酸銅研究会
    1993 年 18 巻 3 号 p. S161-S162
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    硫酸銅の安全性評価のため, 各種の毒性試験を実施した. 急性経皮毒性 (LD50値) はラット雌雄ともに2000mg/kg以上であった.
    強い眼一次刺激性が認められたが, 皮膚一次刺激性は軽度であった.
    薬理試験では, 比較的高用量の投与により, 中枢神経系一般に抑制作用を示し, 消化管輸送能を抑制し, PSP排泄能, 尿量および電解質排泄量を低下させた. さらに, 呼吸循環器への影響では投与直後に血圧が上昇し, その後呼吸数, 血圧, 心拍数および血流量が軽度に低下した.
  • 大塚薬品工業株式会社開発研究部
    1993 年 18 巻 3 号 p. S163-S166
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ワルファリンに対する感受性がマウスとラットで異なり, 原体のラットにおける急性の経口および経皮毒性は比較的高かったが, 製剤の急性毒性は1%粉剤, 2%錠剤とも比較的低かった. 製剤の眼刺激性および皮膚刺激性もきわめて軽く, 皮膚感作性および復帰変異原性は認められなかった. 殺そ剤としての使用濃度における死亡は2日目以降からみられるようになり, 中毒期間は比較的長い.
    本剤は累積毒殺そ剤であるため, 万一, 人畜が誤食しても連続摂取しなければ中毒する危険は少ない. その上ビタミンK1という解毒剤が確立していることから安全性は高いといえる.
    本剤にはネズミに警戒心を起こさせないという累積毒殺そ剤の利点があり, 定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い薬剤であり, 野そ防除に有用な農業資材の一つである.
  • トモエ化学工業株式会社
    1993 年 18 巻 3 号 p. S167-S168
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    各種毒性試験を実施し, モナクロスポリウム・フィマトパガムの安全性を評価した. 本剤の急性毒性 (LD50) は, ラットの経口投与で100%液20ml/kg(106×20/kg)以上ときわめて低く, 普通物に相当した. ウサギを用いた一次刺激性試験では, 皮膚で非常に軽度にみられたが, 眼ではみられなかった. モルモットを用いた皮膚感作性試験では, 培養液自体にも認められたため, 本菌自体の感作性を計ることは困難であった.
    以上の結果から判断して, モナクロスポリウム・フィマトパガムは, 非常に安全性の高い菌であるといえる.
    モナクロスポリウム・フィマトパガムは, 平成2年7月24日, たばこ線, 虫病防除を対象に「ネマヒトン®」の商品名で農薬登録され, 人畜・環境にきわめて安全性が高い薬剤であり, 農業資材のひとつとして有用であると考えられる.
  • 辻 孝三
    1993 年 18 巻 3 号 p. S169-S171
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 辻 孝三
    1993 年 18 巻 3 号 p. S172-S173
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 隆之
    1993 年 18 巻 3 号 p. S174-S175
    発行日: 1993/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top