フェリムゾン原体の安全性を評価するため各種毒性試験を実施した. フェリムゾンはラットおよびマウスにおける急性毒性は低く, 毒・劇物でないいわゆる普通物に該当する.
フェリムゾンは眼に対し強度の刺激性を有するが, 洗眼により症状は軽減された. 皮膚一次刺激性試験では, 擦過皮膚に対しては強度の刺激性を有するが, 正常皮膚に対しては軽度であった. 皮膚感作性は認められなかった.
ラット, マウスおよびイヌを用いた亜急性および慢性毒性・発がん性試験では検体投与による影響として体重増加抑制, 小葉中心性肝細胞腫大, 肝重量対体重比の増加, 肝細胞への色素沈着, Ht, Hbおよび赤血球の減少, AIPの増加等が認められたが, いずれの動物種においても催腫瘍性は認められなかった.
ラットを用いた繁殖性に及ぼす影響試験, ラットおよびウサギを用いた催奇形性試験では, 繁殖性に対する影響および催奇形性は認められなかった.
細菌を用いた復帰変異試験, DNA修復試験および培養細胞を用いた染色体異常試験では, いずれにおいても変異原性は陰性であった.
薬理試験において, 高用量群では中枢神経系, 呼吸・循環器系, 自律神経系, 消化器系, 平滑筋に影響を及ぼしたが, 低用量群では影響は認められなかった.
フェリムゾンは平成3年11月1日に稲のいもち病剤として登録を取得した. フェリムゾンは, 定められた使用基準を遵守することにより安全性を確保できる農薬であるとともに, 有用な農業資材の一つとして好評を得ている.
抄録全体を表示