Journal of Pesticide Science
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21 巻, 4 号
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  • 林 敬介, 田中 敏房, 渡辺 正徳, 上杉 康彦
    1996 年 21 巻 4 号 p. 399-403
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    植物病原菌のシアン耐性呼吸の有無を調べる目的で, シアン耐性呼吸の阻害剤であるサリチルヒドロキサム酸 (SHAM) と呼吸鎖シトクローム電子伝達系の阻害剤であるメトキシアクリレート系化合物やアンチマイシンAとの抗菌連合作用を調べた. Botrytis cinerea, Monilinia fructicola および Pyricularia oryzae において顕著な抗菌協力作用が認められた. このことから, シトクローム系阻害剤によるシアン耐性呼吸の誘導とSHAMによるその阻害が考えられた. それを確かめる目的で, シトクローム系阻害剤で処理したこれら3病原菌の菌糸体の酸素消費と, その酸素消費に及ぼすシアン耐性呼吸阻害剤の影響を調べた. その結果, これら3病原菌におけるシアン耐性呼吸の誘導が確認された. 抗菌協力作用は, Cochliobolus miyabeanus においても小さいながら認められ, シアン耐性呼吸の存在が示唆された. Rhizoctonia solani では, メトキシアクリレート系化合物では協力作用が認められたが, アンチマイシンAにおいては認められず, シアン耐性呼吸の誘導が, アンチマイシンAでは起こりにくいと考えられた. Gibberella fujikuroi, Pythium sp., Valsa ceratosperma における抗菌協力作用は, 本実験では顕著ではなかった. 病原細菌の Xanthomonas campestris pv. citri および酵母 Sacchamyces cerevisiae においては, 抗菌協力作用はまったく認められなかった.
  • SSF-126放出制御製剤に関する研究 (第1報)
    久米 龍一, 田島 繁, 松本 公平, 安藤 巌, 白石 友紀
    1996 年 21 巻 4 号 p. 404-411
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    SSF-126, (E)-2-methoxyimino-N-methyl-2-(2-phenoxyphenyl)acetamide の吸着性は吸着剤により大きく異なり, 粘土鉱物に対しては発熱的, 活性炭に対しては吸熱的であった. 粒剤から水中へのSSF-126の溶出性は, SSF-126と吸着剤間の吸脱着性によく依存し, 活性炭の質と量を変えることによりある程度意図的な制御が可能となった. さらに別の徐放化機能を有するエチルセルロースと組み合わせることによって, 溶出がさらに抑えられるだけでなく, 異なった溶出パターンを作り出せることが示唆された.
  • 冨澤 元博, 松尾 花子, 宮本 徹, 山本 出
    1996 年 21 巻 4 号 p. 412-418
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    シビレエイのニコチニックレセプターにおいて, 3-ピリジルメチルアミンのアミノ窒素原子上のジアルキル置換基の長さをジメチルからジブチルまで増加させるに従い, そのアゴニスト作用が漸進的に減少, またはみられなくなった. ところがイオンチャンネルの開口時では置換基の長さに依存してイオンチャンネル部位への親和性が漸進的に増大した. このような置換基の長さと結合部位の識別との関係は, テトラアルキルアンモニウム化合物のそれにも同様の傾向を認めた. さらに昆虫のニコチニックレセプターにおいても, 3-ピリジルメチルアミンの窒素原子上のジアルキル置換基の長さに比例してα-ブンガロトキシン部位, すなわちアセチルコリン部位への作用は減少したが, これとは対照的に高親和性のフェンサイクリジン部位, すなわちイオンチャンネル部位への親和性は漸進的に増大した.
  • 平島 明法, 潘 燦平, 片渕 裕美子, 谷口 栄二, 江藤 守総
    1996 年 21 巻 4 号 p. 419-424
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2-(アリールイミノ) オキサゾリジン (AIO), 2-(置換ベンジルアミノ)-2-オキサゾリン (SBO) 類を, 酸化第二水銀を用い, チオ尿素の脱硫閉環反応により合成し, ワモンゴキブリ胸部神経節膜画分アデニレートシクラーゼに対する活性を測定した. AIOでは, 2,6-アルキル置換体, 2-アルキル4-ハロゲン置換体に高いオクトパミン (OA) アゴニスト活性が認められた. 一方, SBO体では, m-, p-ハロゲン置換体, または, p-メチル体が望ましかった. 3,4-Cl2SBO体 (36) は, そのチアゾリン誘導体 (CBT) よりも弱い活性を示した (36: Ka=2.3μM, Vmax=29%; CBT: Ka=0.4μM, Vmax=53%). このCBTの高い活性は, OAとCBTを重ね合わせ, 両者に構造上の類似性が認められたことにより説明できた.
  • 昆野 安彦
    1996 年 21 巻 4 号 p. 425-429
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    有機リン殺虫剤に対する感受性の異なるニカメイガ2系統幼虫のカルボキシルエステラーゼ (CE) 活性とフェニトロオクソン捕捉結合活性は, フェニトロチオンに対する抵抗性比と相関関係がみられた. またニカメイガ2系統のCEのアイソザイムパターンを等電点電気泳動 (IEF) で分析した結果, 抵抗性系統では単一のバンド (pI=5.2) が認められたのに対し, 感受性系統ではpI=5.2以外のバンドが複数認められ, 2系統間で明瞭な違いが認められた. 抵抗性系統の単一バンド (pI=5.2) はフェニトロオクソン前処理により, IEF上での発色が抑えられ, さらにα-ナフチルアセテートは in vitro で抵抗性系統のフェニトロオクソン捕捉結合活性を阻害した. 以上の結果, ニカメイガ幼虫のCEは捕捉結合タンパクとしてフェニトロチオン抵抗性に関与していると考えられた.
  • 昆野 安彦, 宍戸 孝
    1996 年 21 巻 4 号 p. 430-433
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    グルタチオンS-トランスフェラーゼによる有機リン殺虫剤ダイキャプソンとフェニトロチオンのO-アルキル抱合とO-アリール抱合の反応割合を各種昆虫の上清 (全虫体) を酵素源に用いて検討した. フェニトロチオンは供試した6種の昆虫 (アズキゾウムシ, クリシギゾウムシ, ツマグロヨコバイ, スジマダラメイガ, モモノゴマダラノメイガ, ニカメイガ) すべてにおいてO-アルキル抱合が優先したが (90%以上), ダイキャプソンではO-アリール抱合の割合が高く, とくにアズキゾウムシ, ツマグロヨコバイ, スジマダラメイガではO-アリール抱合が優先した (60~80%). またハスモンヨトウの各種臓器におけるダイキャプソンのグルタチオン抱合を調べた結果, マルピギー氏管, 中腸ではO-アルキル抱合が優先 (74~89%) したのに対し, 脂肪体ではO-アリール抱合が優先 (67%) するという, 臓器間での際だった違いが認められた.
  • 呉 鴻圭, 本山 直樹
    1996 年 21 巻 4 号 p. 434-437
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    有機農業で害虫防除に使用されるいわゆる天然・植物抽出液のなかには, 合成ピレスロイド剤のサイパーメスリンが混入されているものがあることを明らかにした前報の結果をさらに確認するために, 有効成分のガスクロマトグラフィー質量 (GC-MS) 分析を行なった. 夢草 (A), 夢草 (B), 碧露, 健草源・天, および登録農薬であるアグロスリン乳剤のガスクロマトグラムには, 標準のサイパーメスリンと一致する保持時間を示す共通のピークが検出された. このピークの質量スペクトルを比較したところ, 分子イオンピークは観察されなかったものの, 主要なフラグメントイオンとしてm/z 209, 181, 163, 127, 91, 77, 51が観察され, フラグメンテーションパターンはサイパーメスリンのそれと完全に一致した. したがって, 供試した天然・植物抽出液にはすべてサイパーメスリンが混入されていることが確認された. GC-ECDで有効成分濃度の定量を行なったところ, 夢草 (A), 夢草 (B), 碧露, および健草源・天のサイパーメスリン濃度は, それぞれ1.9, 2.0, 3.4および1.4%であると推定された.
  • SSF-126放出制御製剤に関する研究 (第2報)
    久米 龍一, 田島 繁, 松本 公平, 安藤 巌, 白石 友紀
    1996 年 21 巻 4 号 p. 438-440
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    SSF-126, (E)-2-methoxyimino-N-methyl-2-(2-phenoxyphenyl)-acetamide の放出制御粒剤は, 一般的な崩壊型粒剤に比ベポット田面水中の濃度推移が増加, 減少とも滑らかであり, 処理5日目以降高い濃度を示した. さらに防除効果においてもこの傾向はそのまま反映され, 処理10日目以降の残効性は放出制御粒剤が優れていた. SSF-126の粒剤からの放出制御により, 同じ有効成分投下量でもより長期にわたって安定なイネいもち病の防除が可能になることが示唆された.
  • 高橋 義行, 林 明子, 和田 豊, 梅津 透, 生江 洋一
    1996 年 21 巻 4 号 p. 441-443
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    静電式常温 (EF) 煙霧の評価ために, 100m2の施設内にスライドガラスを葉の代替として設置し, chlorothalonil (TPN), の下 (裏) 面への付着率を上 (表) 面対比で調べた結果, TPN粒子を検鏡して付着指数で調査した場合は53%, イムノアッセイ (IA) 法で検定した場合は57%であった. さらに200m2の二つのキュウリ栽培施設内にスライドガラスを設置して, TPNのEF煙霧と常温 (NH) 煙霧を行ない, TPNの付着量をIA法で分析測定した結果, スライドガラスの下 (裏) 面における上 (表) 面に対する付着率はEF煙霧で37.5%でありNH煙霧 (1.5%) よりも多量の付着が認められたが, キュウリ葉の裏面付着率はそれぞれ2%と2.3%で, EF煙霧による付着量の増加は認められなかった. 一方, 葉裏に生息するアブラムシおよび葉柄の毛耳への付着量を両煙霧法で比較した結果, EF煙霧による付着量はそれぞれNH煙霧の3.7倍および4.6倍であり, このアブラムシ等への付着量の増加は静電式が殺虫剤の防除効果の向上に寄与する可能性を示唆している.
  • DADANG, 大澤 貫寿, 加藤 茂, 山本 出
    1996 年 21 巻 4 号 p. 444-446
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    カヤツリグサ科ハマスゲ塊茎精油は, インドネシアにおいて伝統的な生薬として用いられてきている. インドネシアで採取した塊茎からのメタノール抽出物中にコナガ幼虫に対しての殺虫性を見いだし, その活性物質の追及を行なった. 塊茎を風乾破砕した後, メタノールで抽出し, コナガ幼虫を指標昆虫として, n-ヘキサンとメタノールの向流分配, カラムクロマトグラフィーおよびHPLCで順次分離精製を行ない, 塊茎抽出物から活性物質としてα-cyperone を単離した. 本物質のコナガ幼虫に対するドライフィルム法によるLD95値は, 0.27μg/cm2であった.
  • 西村 勁一郎, 吉田 圭, 上野 民夫, 多田 俊治
    1996 年 21 巻 4 号 p. 447-449
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺虫剤である methyl 3-(4-chlorophenyl)-1-[N-(4-trifluoromethylphenyl)carbamoyl]-4-methyl-2-pyrazoline-4-carboxylate を, (1S) phenethyl alcohol を用いたエステル交換によってジアステレオマーに誘導して分離し, それらの立体配置をX線回折法で決定した. これら1対のジアステレオマーをそれぞれ出発物質と同じメチルエステルに誘導して対掌体とした. ワモンゴキブリの雄成虫の腹部に注射投与すると, S体の殺虫活性はR体より約100倍高かった.
  • 伊藤 隆, 寺田 透, 横山 茂之
    1996 年 21 巻 4 号 p. 450-459
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 中川 好秋
    1996 年 21 巻 4 号 p. 460-467
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 松永 是
    1996 年 21 巻 4 号 p. 468-472
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • Peter BÖGER
    1996 年 21 巻 4 号 p. 473-478
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Carotenoids (carotenes and xanthophylls) are obligate pigments in the photosynthetic apparatus. They transfer absorbed light to chlorophylls and quench singlet oxygen which otherwise may degrade chlorophyll. Absence of colored carotenoids will lead to bleaching of leaves and death of the plants. Carotenoids have a C40 isoprenoid structure with conjugated double bonds. These are formed by processing phytoene via lycopene into beta-carotene. Inhibition of H-abstraction along this pathway produces non-functional, non-colored precursors. Many of such inhibitors have been developed as herbicides, like norflurazon, diflufenican or sulcotrione. Research on the genetic and molecular level has been addressed to phytoene desaturase. The plant-type gene has been sequenced and mutagenized to produce a herbicide-resistant enzyme. A Japanese group has isolated a gene from the bacterium Erwinia uredovora whose enzyme exhibits a striking resistance to many bleaching herbicides. Transgenic resistant tobacco lines have been engineered.
  • 田中 利治, 安藤 哲
    1996 年 21 巻 4 号 p. 479-480
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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