除草剤, bensulfuron-methyl [BEN; methyl-2-[[[[{(4,6-dimethoxy-2-pyrimidinyl)amino}carbonyl]amino]sulfonyl]-methyl]benzoic acid] および imazaquin [IMA; 2-{4,5-dihydro-4-methyl-4-(1-methyl ethyl)-5-oxo-1
H-imidazol-2-yl}-3-quinolinecarboxylic acid] を処理したトウモロコシ (
Zea mays L.) における, 1,8-naphthalic anhydride (NA) の薬害軽減作用を調べた. NAを処理したトウモロコシはBENあるいはIMAに対してそれぞれ10.2と5.1の薬害軽減効果指数 (safening index) を示し, 0.2% (w/w) 濃度のNAを種子粉依処理した場合がもっとも効果的であった. またトウモロコシ生長初期に除草剤を処理した場合, NAによる薬害軽減効果が増加する傾向を示した. NAはトウモロコシ組織の acetolactate synthase (ALS) と acetyl CoA carboxylase (ACCase) の活性をそれぞれ32%と216%増加させた. しかし,
in vitro 実験では, これらの両除草剤はNA処理または無処理のトウモロコシの ACCase に対し, 阻害活性をまったく示さなかった. これらの両除草剤のALSに対する阻害活性は高かったが, NAの処理によってALS活性阻害は減少した. また, これらの両除草剤を処理するとトウモロコシの組織に pyruvate が蓄積されたが, NAを処理したトウモロコシの組織では蓄積されなかった. したがって, NA処理による薬害軽減作用には, ALSと ACCase などの酵素活性増加および pyruvate 蓄積の抑制などが部分的に関与していると考えられる.
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