1,3,5-トリアジンのハロメチル置換基が硝化細菌の硝酸化成作用に及ぼす影響について調べることを目的として, 26種のハロメチル-1,3,5-トリアジン系化合物を用いて試験を行なった. 1,3,5-トリアジン系化合物の硝酸化成抑制効果は二つの実験方法によって測定した. 畑土壌を用いたアンモニアから硝酸 (NO
3--N) への酸化と,
Nitrosomonas europaea ATCC 25978の細胞懸濁液を用いたアンモニアから亜硝酸 (NO
2--N) への酸化を測定した. その結果, トリクロルメチル基を有する化合物は畑土壌と菌体の両方において, 部分的に塩素化されたメチル基 (CH
2ClおよびCHCl
2) をもつ化合物よりも強い硝酸化成抑制効果を示すことが判明した. トリブロモメチル基をもつ1,3,5-トリアジン系化合物は
N. europaea ATCC 25978の細胞懸濁液では非常に強い抑制効果を示したが, 土壌試験においては弱い抑制効果しか示さなかった. また,
N. europaea ATCC 25978を用いた試験では基質として (NH
4)
2SO
4を用いた場合には抑制効果がみられたが, NH
2OH・HClを用いたときにはみられなかった. したがって, 検討したすべてのハロメチル-1,3,5-トリアジン系化合物の作用点はアンモニアからヒドロキシルアミンへの酸化過程にあると推測された.
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