Journal of Pesticide Science
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25 巻, 1 号
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  • 鈴木 聡
    2000 年 25 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    黒ボク畑地において2年間, ペンディメタリン, ジメトエート, イプロジオン, リニュロン, アセフェート, プロメトリンの浸透水をポーラスカップ法で採取し, 測定した. ジメトエートは, 施用後短期日に深さ50~70cmの浸透水より約10μg/lが検出されたが, 消失も速やかであった. ペンディメタリンは極く微量が検出された. イプロジオンとアセフェートは浸透水より検出されたが, 検出濃度は試験年度で異なった. リニュロンとプロメトリンは浸透水から検出されなかった. 表層土壌中の農薬残留量はアセトン可溶性画分 (ASF) と水可溶性画分 (WSF) を測定した. ジメトエート, イプロジオン, リニュロンのWSF/ASF比は時間とともに減少し, 浸透水中の検出濃度のジメトエート>イプロジオン>リニュロン (不検出) の順序と一致した. 温度はジメトエートとイプロジオンの土壌の半減期に影響したが, 浸透水検出には影響しなかった. ジメトエートとアセフェートの浸透水濃度は土壌の湿潤状態が乾燥状態よりも高かったが, イプロジオンは逆であった. しかし, 累積降雨量は3農薬の浸透水濃度に影響しなかった. 標準区と有機物施用区の間で, 浸透水中の農薬検出量がほぼ同じであり, 土壌残留量も差がなかった.
  • 三宅 司郎, 森宗 孝介, 山口 優樹, 大出 勝也, 川田 充康, 竹脇 俊一, 湯浅 洋二郎
    2000 年 25 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺虫剤オキサミルを測定するため, 間接競合ELISA法が確立された. 4種類の免疫用ハプテンと3種類の分析用ハプテンを合成し, オキサミルと反応性を示すポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を調製した.
    免疫用ハプテンの内, N, N-dimethyl-2-(5-carboxypentyl)-carbamoyloxyirnino-2-(methylthio) acetamide は, オキサミルへの抗体を調製するために最も効果的だった. このハプテンを用いて調製したモノクローナル抗体は, すべてポリクローナル抗体より高い反応性を示した. なかでもモノクローナル抗体OXM6-8は最も高い反応性を示した. OXM 6-8と分析用ハプテンN, N-dimethyl-2-(4-carboxycyclohexyl) carbamoyloxyimino-2-(methylthio) acetamide を用いて間接競合ELISA法を構成することにより, 最も高い測定感度が得られた. この系における, オキサミルの50%阻害濃度は3.6ng/mlだった. また, ジャガイモのメタノール抽出液はこの反応性に影響を与えなかった.
  • peroxidizing 除草剤に対する感受性
    石田 静香, Roswitha MILLER-SULGER, 河野 均, Peter BÖGER, 若林 攻
    2000 年 25 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    有用植物を含む18種の単子葉と16種の双子葉植物合わせて34種の植物から protoporphyrinogen IX oxidase (Protox) を抽出した. Zea mays cv Anjou, DK212, Lolium perennePoa annua などの単子葉植物から抽出した Protox が, 中でも高い酵素活性を示した. また双子葉植物の中では Agrostemma githagoArabidopsis thaliana から抽出した Protox がさらに高い酵素活性を示した. そこでこれら高い酵素活性を有する Protox の中から Zeya mays cv. Anjou, Lolium perenne, Agrostemma githago および Arabidopsis thaliana から抽出した Protox を選び, peroxidizing 除草剤による Protox 阻害活性試験に使用した. また雑草のノビエに近い Echinochloa utilis から得られた Protox も併せて使用した.
    Protox 阻害活性試験には, 全く化学構造が異なる6種の peroxidizing 除草剤 (oxyfluorfen, chlorophthalim, BW-91, pyraflufen-ethyl, DHL-1777, LS-82556) を用いた. その結果いずれの化合物もこれらの Protox に対して強い阻害活性を示し, 中でも pyraflufen-ethyl が最も強い活性を示した. これらの化合物の Protox 阻害活性は Lolium perenne を除く4種の植物から抽出した Protox に対してpyraflufen-ethyl>oxyfluorfen>BW-91>chlorophthalim>DHL-1777>LS-82556の順に活性が強く, Lolium perenne 由来の Protox に対しては oxyfluorfen が最も強かった. 一方DHL-1777は Zea mays 以外の4種の植物に比べ Zea mays 由来の Protox に対する活性が低いことから, Zea mays に対して選択性を示す新しい peroxidizing 除草剤を分子設計する上で有効なリード化合物と成り得る可能性があると考えられる. これら強い酵素活性を示す4種 (Echinochloa utilis, Lolium perenne, Agrostemma githago, Arabidopsis thaliana) の Protox は, 構造が全く異なる6種類の peroxidizing 除草剤に対して極めて高い感受性を示すことから, 新しい peroxidizing 除草剤探索のための Protox 阻害活性試験系に有効に利用できるものである.
  • 甲斐 浩幸, 市場 常男, 高瀬 晃, 益子 道生
    2000 年 25 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    我々は先に, (E)-3-[2-(2, 5-ジメチルフェノキシメチル)-α-メトキシイミノベンジル] イソオキサゾール (A) が, キュウリうどんこ病, コムギうどんこ病およびコムギ眼紋病に対して高い防除活性を有することを報告した. 本研究では, さらに優れた殺菌活性を有する化合物の探索を目的として, イソオキサゾール環部分を他の複素環に変換した (α-メトキシイミノ-2-フェノキシメチルベンジル) 複素環誘導体を合成し, 作物の病害に対する殺菌活性を評価した. その結果, 複素環部分に1-メチル-2-イミダゾリルおよび1, 3, 4-オキサジアゾール-2-イル基が置換した化合物が高い殺菌活性を示した. フェノキシ部分の置換基は, 2-メチル, 2, 5-ジメチルおよび4-クロロ-2-メチル基を導入した化合物が高い殺菌活性を示した. メトキシイミノ部分の幾何異性体間の活性を比較した場合, E体の方がZ体より高かった. 中でも, (E)-2-[2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシメチル)-α-メトキシイミノベンジル]-1-メチルイミダゾール (27) は, キュウリうどんこ病およびキュウリ灰色かび病に対して優れた防除活性を示した.
  • 藤村 真, 落合 則幸, 一石 昭彦, 宇佐美 論, 掘越 弘毅, 山口 勇
    2000 年 25 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    アカパンカビの浸透圧感受性株に対する薬剤感受性を調べたところ, os-1, os-2, os-4, os-5変異株が, ジカルボキシイミド剤, 芳香族炭素系剤と同様にフルジオキソニルにも交差耐性を示すことを見いだした. os-2, os-4, os-5変異株は各剤に高度の耐性を示したが, os-1変異株は低度耐性でイプロジオン (LD50: 14μg/ml) とフルジオキソニル (LD50: 0.087μg/ml) に対し感受性を残していた. 一方, 浸透圧感受性 cut 変異株は野生株と同等の薬剤感受性を示した. また, 野生株をフルジオキソニル処理すると分生胞子の膨潤と破裂が誘導されたが, この形態異常は cut 変異株でも同様に観察された. フルジオキソニル, イプロジオンを野生株に処理するとグリセロールの異常蓄積が認められることが報告されているが, これらのグリセロール異常蓄積は薬剤に高度耐性を示すos-2, os-4, os-5変異株では認められなかった. また, 低度耐性os-1変異株を10μg/mlの薬剤濃度で処理した場合に, フルジオキソニルでは顕著なグリセロールの蓄積が認められたが, イプロジオンではグリセロール蓄積量は野生株と比較し低下していた. これらの結果から薬剤耐性とグリセロール異常蓄積の相関が推定された. しかし, 浸透圧感受性 cut 変異株は薬剤に野生株同等の感受性を示したにも関わらず, フルジオキソニル, イプロジオンによるグリセロールの蓄積誘導は認められなかった. 高浸透圧下では, os変異株はグリゼロールの蓄積を示したが蓄積量は野生株より低下していた. 一方, cut 変異株では高浸透圧条件下でもグリセロール蓄積は認められず, 同変異株ではグリセロール合成能が欠損していると推定された. フルジオキソニル, イプロジオンはグリセロール合成能を欠失した株に対しても野生株と同じ抗菌作用を示すと考えられることから, これらの化合物は浸透圧のシグナル伝達をかく乱するが, グリセロールの異常蓄積は直接抗菌作用発現に関与していないと考えられた.
  • 小柳 徹, 森田 雅之, 岡田 宏
    2000 年 25 巻 1 号 p. 37-39
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    クロロニコチニル系化合物のニトロメチレン部分の水素を, 種々のチオメチル基で置換した誘導体について, ヒメトビウンカとモモアカアブラムシに対する殺虫活性を検討したところ, ほとんどの誘導体が元の化合物とほぼ同等の活性を示した. 一方, マウスに対する急性毒性を検討したところ, チオメチル体の毒性は1/30以下に激減していた. 構造-活性相関, 酵素阻害剤, およびニコチン性アセチルコリン受容体 (nAChR) への結合性の検討等から, チオメチル部分は殺虫活性に直接関与しておらず, むしろ生体内で脱離して親化合物を再生している可能性が示唆された.
  • 岡澤 敦司, 中川 好秋, 赤松 美紀, 上野 民夫, 西村 勁一郎
    2000 年 25 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    イミダクロプリド, アセタミプリド, ニテンピラムおよびそれらの類縁化合物のラットとイエバエのニコチン性アセチルコリン受容体に対する結合活性を, [125I] α-bungarotoxin を用いて測定した. 用いた濃度において, すべての化合物がイエバエの受容体に対する結合活性を有したが, ラットの受容体に対しては21化合物しか活性を示さなかった. また, ラットの受容体に対する活性値はイエバエの受容体に対する活性値の1/10~1/10,000であった. なお, これらの殺虫剤のラットに対する毒性の強さは, ラットの受容体に対する結合活性値の高さに対応していた. 本実験の結果より, クロロニコチニル殺虫剤の選択性は, その受容体への結合活性の差によって説明できることが示された.
  • 有江 力
    2000 年 25 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 宇垣 正志, 永峰 俊弘
    2000 年 25 巻 1 号 p. 51-52
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 耐病性植物の作出
    石田 功
    2000 年 25 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    カビによる感染病の半分以上は, 糸状菌によって引き起こされる. 糸状菌の細胞壁の共通な構成成分は, キチン・グルカンであり, これらの分解物がエリシター (抵抗性反応を誘導する物質) となるダイズ植物の受容体蛋白質をコードする遺伝子を他の植物に導入することによって, その植物に抵抗性反応を引き起こすシグナルを入れることができれば, その植物にとって病原性のある糸状菌に対して, 抵抗性を賦与することが可能となるかも知れない. また, 病原性ウイルス・ウイロイドのほとんどのものはRNAウイルスであり, これらは複製時に必ず二重鎖RNAの形態をとる. また, ウイロイドRNAは, ヘアピン構造をとる. このような二重鎖RNAを特異的に認識しウイルス・ウイロイドRNAを分解するような酵素 (酵母 Shizosaccharomyces pombe 由来二重鎖RNA分解酵素 pacl, 動物細胞由来のインタフェロン誘導性2′, 5′-Oligoadenylate Sythetase/Ribonuclease L system) を植物で発現させることによって, 植物にウイルス・ウイロイド抵抗性を賦与することができるかも知れない. 上記の外来遺伝子を導入したトランスジェニック植物が複数のカビ, あるいは複数のウイルス, ウイロイドに抵抗性を持つことを示し, 私達のアイデアの妥当性を検証した.
  • 病虫害抵抗性作物作出に向けて
    大橋 祐子
    2000 年 25 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 組換えバキュロウイルス殺虫剤を中心に
    小林 淳
    2000 年 25 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 圓山 崇雄
    2000 年 25 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • クミアイ化学工業株式会社 研究開発部 登録課
    2000 年 25 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ビスピリバックナトリウム塩の安全性を評価するために各種毒性試験を実施した. 本剤の急性毒性は, いずれの投与経路においても低毒性であった.
    眼および皮膚刺激性試験では, 原体では無刺激性であったが, 3.0%液剤でそれぞれ中等度および軽度の刺激性が認められた. 皮膚感作性は原体の Maximization 法で陽性と判断されたが, Buehler 法および3.0%液剤では陰性であった.
    マウス, ラットおよびイヌにおける亜急性または慢性毒性/発癌性試験では, 高用量投与群で体重増加抑制や, 血液学および血液生化学検査項目に変化がみられ, 主として肝と総胆管に病理所見が観察された. 発癌性はなかった.
    繁殖に対する影響および催奇形性は認められなかった.
    突然変異については, 試験結果はすべて陰性であったことより問題はないものと考えられた.
    薬理試験では高用量で中枢神経系, 血圧に対する影響が認めちれた.
    ビスピリバックナトリウム塩は定められた使用方法および注意事項を遵守することにより, 安全性を確保できる有用な農業資材である.
  • Alan G. E. WILSON, Ayako S. TAKEI
    2000 年 25 巻 1 号 p. 75-83
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ブタクロールは, 米国モンサント・カンパニーが開発した一年生イネ科雑草および一部の広葉雑草を対象とする稲作用除草剤である. 動物実験の結果, 本剤の哺乳動物に対する急性経口, 経皮, 吸入毒性はいずれも軽微で, 眼および皮膚一次刺激性は低い. モルモットを用いた皮膚感作性試験において陽性の反応が認められた. 亜急性および慢性毒性試験の結果, 主として肝臓および腎臓に検体投与による影響が認められたが, これらの影響には閾値が存在した. ラットを用いた慢性毒性/発がん性併合試験において腺胃, 鼻部および甲状腺の腫瘍が認められたが, 腫瘍発生のメカニズムに関する試験研究の結果, これらの腫瘍は閾値の存在する非遺伝子傷害性の作用によって引き起こされていることが解明されている. これらの腫瘍の発生に結びつく前段階の症状には閾値があり, 最大耐量以上の用量でブタクロールを投与した動物実験においてのみ認められた. また, 鼻部の腫瘍の発生には, ラットにおいてのみ認められる種特異的代謝が関与していた. このようにラットにおいて観察された腫瘍をヒトに外挿することは妥当ではない. この結論は, ブタクロールへの暴露量が最も高いと考えられるブタクロールおよびアラクロール製造工場の労働者を対象とした疫学調査の結果, 死亡率および腫瘍発症率の増加が認められなかったことからも支持されている. 本剤には, 哺乳動物生体内における遺伝毒性は認められず, 正常な繁殖や発生過程を阻害することもなかった.
    ここに要約した毒性試験成績の評価に基づき, ラットにおける慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1mg/kg/日および安全係数100を用い, 0.01mg/kg/日のADIが設定されている.
    ブタクロールは, マーシェット®粒剤として昭和48年3月登録を取得して以来, 水田用の雑草発生前土壌処理剤として広く使用されている. 登録保留基準は, 米に0.1ppmと設定されている.
  • 武居 三郎
    2000 年 25 巻 1 号 p. 84-85
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 西田 立樹
    2000 年 25 巻 1 号 p. 86-87
    発行日: 2000/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 25 巻 1 号 p. 87a
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 25 巻 1 号 p. 87b
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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