構造と作用機構の異なる50種の除草剤とその他7種の化学物質の代謝を11種のヒトP450分子種をそれぞれ発現した酵母ミクロソーム画分を用いて試みた. その結果, 27種の除草剤と6種の化学物質がCYP1A1, CYP1A2, CYP2B6, CYP2C9, CYP2C18, CYP2C19, CYP2D6, CYP3A4により代謝されることが判明した. その中でも, 27種の除草剤と6種の化学物質の代謝物の構造が推定され, アトラジン, クロロトルロン, ピリブチカルブ, シマジン, シメトリン, フェニトロチオン, メトキシクロールは代謝物の一部が同定された. これらの結果をもとに, 除草剤代謝に重要な役割を果たしている3種のP450分子種CYP1A1, CYP2B6, CYP2C19をバレイショに発現することを試みた. その結果, トランスジェニックバレイショT1977は
14Cラベルしたクロロトルロン, アトラジン, ピリブチカルブ, メトキシクロールを速やかに水溶性の高い代謝物に代謝することが判明した. このような植物は, 除草剤に耐性を示すだけでなく, 低農薬残留性作物, 残留農薬の環境浄化に有効であると考えられる.
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