Journal of Pesticide Science
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3 巻, 3 号
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  • 三原 一優, 奥野 泰由, 三崎 義則, 宮本 純之
    1978 年 3 巻 3 号 p. 233-242
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    14C-フェニル標識フェニトロチオンを0.5mg/kg/dayの割合で7日間, 日本ザーネン種の山羊に経口投与し, その代謝をしらべた. 最終投与1日後, 肝, 胃, 腸では0.812~1.164ppmの14Cが見いだされたが, 血液, 脳, 肺, 卵巣などその他の臓器の14Cは0.001~0.031ppmにとどまり, また, いずれの臓器および組織からもフェニトロチオンおよびフェニトロオキソンは検出されず, 胃および腸より微量のアミノフェニトロチオンが検出されるにすぎなかった. 14Cは体内より急速に消失し, 最終投与1週間後には全14Cの94% (尿50%, 糞44%) が, また, 残存14Cも時間の経過とともに漸次体内より排泄された. ミルク中には最高値0.011ppm (投与量の0.1%以下) の14Cが見いだされた. 尿, 糞およびミルク中の主要代謝産物はアミノフェニトロチオン, N-スルフォアミノフェニトロチオンおよびN-アセチルアミノフェニトロオキソンのO-脱メチル体であった. フェニトロチオンおよびフェニトロオキソンは見いだされなかった.
    反芻動物においては, フェニトロチオンはまず, ニトロ基の還元をすみやかに受け, その後アミノ基の抱合, P=SのP=Oへの酸化, O-脱メチル化などを経て, 分解すると推定された.
  • 行本 峰子, 石谷 秋人, 吉田 孝二, 小林 直人
    1978 年 3 巻 3 号 p. 243-247
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    MBCP (4-bromo-2,5-dichlorophenyl methyl phenylphosphonothionate) の200~5,000ppm液散布によりハクサイ幼苗 (品種: 改良千歳) に黄緑斑を伴う奇型葉, 捲葉, 葉裏の葉脈部分のネクロシスおよび生育抑制の症状が認められた. 双葉の時期から5.5葉期までの種々の生育ステージの苗, および改良千歳以外の6品種の苗の場合も, 症状に軽重の差はあったが, いずれも同様の症状が見られた.
    ダイコンの場合は5,000ppmの高濃度散布でも異常症状は認められず, カラシナ, コールラビは5,000ppm区でのみ軽い症状が見られた.
    薬害症状の見られたハクサイと, 異常のなかったダイコンとについて, MBCP残留量の経時変化を比較したところ, 両者とも, 2日後に最大となり以後漸減するという同じようなパターンが得られた.
    散布処理したハクサイの場合, 黄緑斑が生じたことから, 光合成に関連した生理的変化を調べたところ, クロロフィル量の減少割合は, 散布時に展開しつつあった葉で大きかった. 光合成能は, 散布後減少する傾向が認められ, 炭水化物量については, 全炭水化物量は散布により減少したが, 全糖は新葉で著しく増加した.
  • シンチャイシイ ヌアンパニッチ, 宮田 正, 斎藤 哲夫
    1978 年 3 巻 3 号 p. 249-255
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    14C-Methyl parathion, phenthoate. diazinon および fenitrothion のアワヨトウ幼虫における皮ふ透過性をしらべた. 透過性は化合物により異なり, 50%透過時間 (t50) で比較すると methyl parathion>fenitrothion=diazinon>phenthoate の順に透過性が大きかった. methyl parathion と phenthoate との平均t50値の比は大きく6:1であった. 排泄速度については排泄物の放射能から比較すると methyl parathion が最も低く phenthoate が最も高かった. diazinon と fenitrothion は大きな差はなかった. phenthoate と他の3種殺虫剤の選択毒性の差異について皮ふ透過性が関係するようである.
  • 多和田 真吉, 江藤 守総, 石黒 丈雄
    1978 年 3 巻 3 号 p. 257-266
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    5員環リン酸アミデートおよびリン酸アミドチオレート19種を合成し, それらの殺虫性および抗アセチルコリンエステラーゼ活性を調べた. リン酸エステル結合の酸素原子をイオウ原子で置き換えることによる抗アセチルコリンエステラーゼ活性の増大 (チオロ効果) はほとんど認められなかったが, 殺虫力は一般にリン酸アミドチオレートのほうがリン酸アミデートよりも優れていた.
  • 下鳥 均, 鍬塚 昭三
    1978 年 3 巻 3 号 p. 267-275
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ジフェニルエーテル系除草剤CNPおよびその土壌中における主生成物であるアミノ体 (CNP-NH2) のイネ体における吸収, 移行, 代謝について, ベンゼン環標識14C化合物を用い, 室内実験により研究した. 両化合物とも水耕液から速やかに根に吸収されるが, 地上部への移行はきわめて少なく, とくにアミノ体はほとんど移行しなかった. 土壌からの吸収は水耕液からの吸収よりもはるかに少なかった. イネ体内におけるCNPの代謝はきわめて遅いが, CNP-NH2は速やかに代謝された. CNPの主代謝物として3種類の化合物が検出され, そのうちの2種類をCNPのニトロ基がホルミルアミノ基および水酸基に変換された化合物と同定した. そのほかにCNP-NH2およびその N-glucoside も検出された. 水耕液からイネ体内に吸収されたCNP-NH2は速やかに減少し, 2種類の主生成物のほかに多数の代謝物が検出された.
  • 滝本 善之, 大嶋 昌子, 宮本 純之
    1978 年 3 巻 3 号 p. 277-290
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    フェニトロチオン [スミチオン®, O,O-ジメチルO-(3-メチル-4-ニトロフェニル) ホスホロチオエート] のm-メチル基を14Cで標識し, これを6または15ppmの割合で玄米 (水分含量14%) に添加した後, 15℃および30℃に保った. フェニトロチオンの15℃, 30℃での半減期は, 添加濃度に依存せず, 約12ヵ月以上および4ヵ月であり, デスメチルフェニトロチオンおよび3-メチル-4-ニトロフェノールがおもな分解物として同定された. 前者の生成は保存初期にみられ, 15℃, 30℃で添加量の最高10%および20%に達したのに対し, 後者は, 経時的に増加し, 12ヵ月後には各温度で17%および38%になった. これら以外に1,2-ジヒドロキシ-4-メチル-5-ニトロベンゼンとそのO-メチル化物および3-メチル-4-ニトロフェノールのメチル化物が30℃12ヵ月後におのおの3%, 2~3%, 7~9%検出された. またフェニトロオキソンおよびS-メチルフェニトロチオンは最大0.2%見いだされたにすぎなかった. フェニトロチオンおよびその分解物は, 12ヵ月後に玄米の表面から約100μの深さ (胚乳の外層) に達した. これらの玄米を精白することにより, 放射能の約60%が除去され, 精白米中には, フェニトロチオンが15ppm添加直後4ppmであったのが, 12ヵ月後では1ppm残留するにすぎなかった. 玄米, 精白米とも炊飯によってフェニトロチオンの量は約2/3に減少し, デスメチル体および3-メチル-4-ニトロフェノールが生成した. 一方, マラソンの玄米中における半減期は, フェニトロチオンのそれとほぼ同様で, おもにデスメチル体が生成した.
  • 吸収, 移行および代謝について
    藤井 保男, 黒川 隆史, 山口 勇, 見里 朝正
    1978 年 3 巻 3 号 p. 291-298
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    NK-049の選択的殺草機構を解明する目的で, 14C-NK-049の吸収, 移行およびその代謝について, 感受性植物としてタイヌビエを, 抵抗性植物として, イネを用いて検討した. 葉面, 根部および種子処理のいずれにおいても, 吸収速度, 吸収量ならびに処理部からの薬剤の移行性は, タイヌビエのほうが著しく大きいことが認められた. とくに, 根部から茎葉部への移行性と種子から発芽第一葉への移行性とがヒエにおいて大きかった. 植物体内におけるNK-049の代謝には, 両植物の間に大きな差が認められなかった. したがってNK-049のイネとヒエ間の選択的殺草作用の一因として, 薬剤の吸収速度と吸収量の差, ならびに移行性の差が挙げられ, 代謝による影響は少ないものと推定された. また, NK-049の第一次作用点と思われるカロテノイド生合成過程にも, 両植物の間にNK-049に対する感受性の差の大きいことが認められた.
  • アブデル・アール Y. A. I., エル・セバエ A. H.
    1978 年 3 巻 3 号 p. 299-300
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    フェニール・メチルチオカーバメイトおよびそのN-ホルミル, N-アセチル誘導の蜜蜂に対する毒性およびアルカリ加水分解について試験を行なった. 本化合物はN-ホルミル誘導体と同様, アルカリ条件下では, 不安定である. したがって, 毒性の低下は, そのアルカリ加水分解によるものと思われる. N-アセチル誘導体は, 比較的, アルカリ条件下では安定であり, 約2倍程度の毒性を有している.
  • 小林 裕子, 俣野 修身, 後藤 真康
    1978 年 3 巻 3 号 p. 301-304
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    作物中の3,3′-dimethyl-4-methoxybenzophenone (NK-049) の定量に際し, 選択性の高い方法である mass fragmentography (MF) の応用を試み, レタス, にんじん, かんしょ中のNK-049をECDと同感度で, より選択的に定量する方法を確立した. 最小検出量は, 0.004ppmであり, 平均回収率は, 83~92%であった.
  • 浅香 四郎, 河内 信行, 小山 正一, 江村 一雄
    1978 年 3 巻 3 号 p. 305-310
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    プロパホス5%粒剤を水稲の移植直前に育苗箱施用して移植した. 土壌中のプロパホス, イネ体中の全プロパホスは施用後から経日的に減少するが, 減少速度はゆるやかで45日後 (イネドロオイムシ加害期) でも0.5~0.7ppm存在した. これは初期濃度に対して土壌中で約10%, イネ体中で約3%に相当する. しかし玄米中には100g施用した場合でもプロパホスおよびその酸化代謝物は検出されなかった. 土壌中ではすべてプロパホスであるがイネ体に吸収されると酸化代謝物に変わり, それぞれの比率は葉鞘部ではSO>S>>SO2体, 葉身部ではSO>SO2>>S体でそのほとんどがSO, SO2体であった. 濃度は施用量に比例し葉身部>葉鞘部の傾向であった. なお, イネドロオイムシに対するプロパホスおよびSO体ならびにSO2体の殺虫活性はほぼ同等とみとめられるが, これらについては別に報告する予定である.
  • 清水 利昭, 橋本 康, 深見 順一
    1978 年 3 巻 3 号 p. 311-314
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺虫剤の14C標識DDTおよび14C標識 parathion の魚体内濃縮部位を調べるためにコイを用いて全身オートラジオグラフィー法で検討した. 投与方法としては飼育水槽内に溶かす方法, 飼料にまぜる方法, 局所施用, 経口的および経肛門的注入の諸方法が用いられた. その結果, 投与方法には関係なく, 14C-DDT, 14C-parathion およびその代謝産物と思われるものは, 胆のうに濃縮されることがわかった. 20日間14C-DDTにさらしたコイの脳には, DDTおよびその類縁体と考えられるものが存在したが, 14C-parathion にさらしたコイの脳には, 放射能が存在しなかった. 経口的に14C-DDTおよび 14C-parathion を含む飼料を与えた場合には, おもに, 胆のうと腸に放射能が見いだされ, 脳には放射能がほとんど見られなかった. この結果は, 橋本と深見の「低い経口毒性」を支持できるかもしれない.
  • 殺菌剤, 除草剤その他
    後藤 真康
    1978 年 3 巻 3 号 p. 315-325
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 太田 保夫
    1978 年 3 巻 3 号 p. 327-332
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 黄 耿堂
    1978 年 3 巻 3 号 p. 333-338
    発行日: 1978/08/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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