Journal of Pesticide Science
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ISSN-L : 0385-1559
3 巻, 4 号
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  • 草野 忠治
    1978 年 3 巻 4 号 p. 353-358
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    シロネズミで, 間接二瓶法により5種類のタリウム塩の識別閾値, 絶対拒否閾値を測定すると, 亜急性中毒のために実験途中で死亡するものが多く, この方法でタリウム塩の味覚効果を明らかにすることはできなかった. 直接二瓶法で硫酸タリウムの摂取性を調べると, それは低濃度で良好であったが, 濃度が高くなると (>0.125%), 硫酸タリウムよりも蒸溜水のほうがより多く選好され, 総摂取量は正常値に近い値を示した. しかし, 広い濃度範囲で80%の高い死亡率が得られた.
    硫酸タリウム0.13%以上でシロネズミの鼓索神経を介して明白な味覚効果が認められ, 5種類のタリウム塩は等モル濃度でほぼ等しい味覚効果を与えることが明らかとなった. 高濃度のタリウム塩がネズミに識別される過程における, その味覚効果の役割について論議された. クマリン核を共通にもつ5種類のタリウム塩に対するシロネズミ鼓索神経の電気生理学的反応からタリウム塩の味覚効果は主としてタリウムイオンによるものである.
  • 米山 勝美, 小池 勝, 関戸 茂子, 黄 耿堂, 見里 朝正
    1978 年 3 巻 4 号 p. 359-364
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    抗性物質マイオマイシンは1973年に, French らにより発見されたものであるが, 植物病原菌に対する効果については報告されていないので, 7種の植物病原細菌を用いて試験し, 寒天希釈法で, 25~100μg/ml濃度, 比濁法では, 2~100μg/ml濃度で各細菌の生育を完全に阻害した. しかし, 寒天拡散法では100μg/ml濃度でも非常に小さな阻止円しか形成されなかった. 一方, in vivo 試験においては, ハクサイ軟腐病およびキュウリ斑点細菌病に対し, 45~75μg/ml濃度で顕著な防除効果が示された. さらに, ストレプトマイシン耐性株によるキュウリ斑点細菌病に対しても, かなりの防除効果を有することが認められた.
  • 金田 昌博, 寺本 昭二, 新宮 暁子, 白須 泰彦
    1978 年 3 巻 4 号 p. 365-370
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺菌剤 o-phenylphenol (OPP) の催奇形作用および突然変異誘発作用について検討した.
    Wistar 系ラットの妊娠6日から15日に日量150, 300, 600および1,200mg/kgのOPPを連続経口投与し, 妊娠20日に胎仔を摘出して奇形の有無を検索した. 300mg/kg以上の投与量で母動物に急性症状が認められ, 妊娠中の体重増加は著しく抑制された. 1,200mg/kgでは投与期間中に91%の母動物が死亡した. 150および300mg/kg投与群では胎仔の発育に対する影響はみられなかった. 600mg/kg投与群では胎仔の死亡率が上昇し, 生存胎仔の体重は有意に減少した. しかし, いずれの群にもOPP投与によると考えられる奇形の誘発はみられなかった.
    さらにOPPの突然変異誘発作用を検索するためにマウスを用いて優性致死試験を行なった. C3H系の雄マウスにOPP100または500mg/kg/日を5日間連続経口投与した. 投与完了後, おのおのの雄に毎週2匹ずつの割合で6週間にわたって無処置の雌を交配したが, 優性致死誘発率の有意な上昇は認められなかった.
  • 上路 雅子, 金沢 純, 岩撫 才次郎
    1978 年 3 巻 4 号 p. 371-377
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    殺虫剤, BPMC (2-sec-butylphenyl N-methylcarbamate) の, キュウリおよびコマツナにおける根からの吸収と, 植物体への移行について検討した. 微粒剤あるいは粉剤として土壌に施用した場合, 土壌中のBPMCは根から吸収され, 地上部に移行が認められたが, キュウリではおもに根に検出され茎, 葉, 実には少なく, コマツナにおいては根, 茎葉部でのBPMCの分布はほとんど同じで, 吸収, 移行が植物によって異なる結果を得た. さらに, 吸収, 移行は微粒剤を処理したときのほうが粉剤の場合よりも多く, コマツナでは処理後11日から21日後に吸収, 移行は最高となり, その後減少した. また, 処理した土壌が火山灰土壌の場合, 沖積土壌と比かくして, 根への吸収が極端に少なく, 茎, 葉, 実にはBPMCは検出されなかった. 処理されたBPMCは土壌中で漸減したが, 粉剤で処理した土壌のほうが, 消失速度が早かった. 処理後41日では土壌中の残留は, 両剤型によって大きな差は認められなかった. アセトン抽出後の土壌を0.5N HClで処理することにより抽出される土壌に吸着されたBPMCは, 微粒剤で処理された場合に多く検出された.
  • 米山 勝美, 関戸 茂子, 見里 朝正
    1978 年 3 巻 4 号 p. 379-383
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2-amino-1,3,4-thiadiazole (ATDA) はある種の植物病原細菌に対し特異的に高い抗菌性を示す興味ある薬剤である. 本薬剤の選択的抗細菌性の機構について, NADへの14C-ニコチン酸アミドおよび14C-ニコチン酸の取り込みによって調べた. 実験にはATDAに対し感受性の Xanthomonos oryzae および X. citri, 非感受性の Erwinia carotovora および Pseudomonas tabaci, 耐性の X. oryzae 株を用いた. その結果, 感受性菌ではNADの基質としてニコチン酸アミドが利用されたが, ニコチン酸は利用されなかった. 非感受性菌の E. carotovora では両基質ともNAD合成に利用されたが, 非感受性菌の P. tabaci および耐性菌では両基質ともに利用されなかった. また, X. oryzae の無細胞抽出液によるNAD合成系では, 感受性菌は14C-ニコチン酸アミドから14C-NADを生成したが, 耐性菌は14C-NADを生成しなかった. 以上の結果とATDAがNADのニコチン酸アミド部分と交換してNADアナログ (ATDAの活性代謝物) を形成する事実から, 感受性菌ではニコチン酸アミドがNADにはいる経路を利用してATDAをNADに組み込むが, 耐性菌ではその経路のある種の酵素がニコチン酸アミドに対する親和性を失ったか, あるいは損失したために, ATDAがNADに組み込まれないものと考えられた. 非感受性菌の P. tabaci も同様の機構によりATDAが効果を示さないものと推察された. 一方, 非感受性菌の E. carotovora では, ニコチン酸アミドが感受性菌と異なる経路を通ってNADに取り込まれるため, ATDAのNADへの組み込み経路がなく, ATDAは効果を発揮できないものと考えられた.
  • 鈴木 啓介, 永吉 秀光
    1978 年 3 巻 4 号 p. 385-395
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    CC, tlc, GCを順次組み合わせて, 農薬の系統的分析法を確立することを試みている. いままでにtlcによる分離状況の類似している農薬を一つの属, 亜属として6属, 22亜属を設定した. さらに, この方法を残留農薬の分析に適用するため各属に対応するようなCCによるフラクションを設定し, そのなかの農薬を亜属に分離した後, GCで相互分離・定量する方法を検討している. 今回は第5, 6属の農薬を試験した. 第4属までの農薬をCCによって溶出後, 第5属の農薬をヘキサン, ジオキサンの混合溶媒で溶出し, tlc, GCで相互分離し定量した. 全操作を通しての回収率はほぼ80%であった.
    また, 第5属の農薬の溶出後. アセトンで第6属の農薬をカラムから溶出した. 第6属の農薬はフラクションIII, IV, Vにも溶出するので, これらの農薬もフラクションVIに合わせ, さらに, tlc, GCなどで相互分離し定量した. 全操作を通しての回収率はほぼ75%以上であった.
  • 河村 葉子, 武田 明治, 内山 充
    1978 年 3 巻 4 号 p. 397-400
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    クロロタロニル (テトラクロロイソフタロニトリル) はベンゼン溶液中において急速に減少し, 未知物質が増加してくることが, ガスクロマトグラフィーにおいて認められた. この反応は光分解反応であり, ガラス透過の太陽光線によっても容易におこる. この主分解生成物は無色の針状結晶で, Mass およびCMRによりクロロタロニルの塩素の1個がフェニルラディカルと置換した2,3,5-trichloro-4,6-dicyanobiphenyl であることを確認した. また他の芳香族溶媒中でも容易に光分解がおこり, ガスクロマトグラフィーによりトルエンで3個, o-キシレンで1個, メシチレンで2個の分解物のピークが存在した. しかしアセトン, エーテル, ヘキサン中では光分解は認められなかった.
  • 大山 広志, 鍬塚 昭三
    1978 年 3 巻 4 号 p. 401-410
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ジフェニルエーテル系除草剤 Bifenox (Modown®, Methyl 5-(2,4-dichlorophenoxy)-2-nitrobenzoate) の土壌中における分解経路と, 土壌条件による分解の相異について, 3種類の水田土壌および1未耕地心土を用い, 室内実験により研究した. 水田土壌中で14C-Bifenox (ニトロベンゼン環標識) を分解させると, 湛水条件下では速やかに分解し (半減期4日), 土壌間であまり差はなかった. 分解生成物は, エステルが開裂した遊離酸と, エステルおよび遊離酸のアミノ誘導体が主体で, そのほかにアミノ体のアセチルおよびホルミル化合物, ニトロ基が水酸基で置換したサリチル酸誘導体などが検出された. 畑地水分条件下でも比較的速やかに分解し (半減期6日), 主生成物は遊離酸で, アミノ誘導体は検出されなかった. 一方, 未耕地心土を用いると, 湛水条件下でも畑地条件下でも, 分解の様相は畑地条件下の水田土壌中における分解と類似していた. これら土壌要因による分解の相異について考察した.
  • 陳 玉麟, 呉 天基
    1978 年 3 巻 4 号 p. 411-417
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    除草剤ブタクロール (マーシェット) を0.02M KH2PO4緩衝液中でpH5.2 (真菌) あるいはpH7.0 (細菌) の下に各種の土壌微生物による分解を試みた結果, Mucor sufui および別の2種類の Mucor 属真菌, Penicillium citrinum, P. glaucum, Aspergillus niger, Trichoderma viride, Fusarium oxysporum および Bacillus subtilis によって比較的容易に分解されることがわかった. Mucor sufui NTU-358を用いて行なった実験では少なくとも8~12種の代謝産物が存在することを認めた. そのなかで2-chloro-2′,6′-diethylacetanilide, 2-hydroxy-2′,6′-diethylacetanilide, 2,6-diethylaniline, N-chloroacetyl-7-ethyl-2,3-dihydroindole, 2,6-diethylacetanilide および N-methyl-2-chloro-2′,6′-diethylacetanilide 等6種の化合物が代謝産物であることを証明し, 代謝経路を推定した. 土壌中におけるブタクロールの分解は主として土壌微生物の作用によるものであろうと思われる.
  • 風野 光, 浅川 勝, 富澤 長次郎
    1978 年 3 巻 4 号 p. 419-425
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    局所施用したカルボニル-14C-標識 3,5-xylyl methylcarbamate (XMC) および 3-tert-butylphenyl mehylcarbamate (ターバム) のツマグロヨコバイおよびヒメトビウンカ体内への浸透は迅速であった. 昆虫体からの放射能の回収率は時間の経過とともに低下したが, その原因としてとりこまれた放射能が honey dew とともに排泄されることおよび呼気として失われることなどが考えられた. とりこまれた放射能を溶媒可溶性, 水溶性および抽出残渣に分別したとき, 大部分の放射能は溶媒可溶性分画に存在したが, 時間とともに水溶性分画の放射能が増加した. 溶媒可溶性分画の放射能をtlcで分離した結果ではその67~98%は親化合物であったが, 代謝物の相対値は時間とともに増加した. ツマグロヨコバイとヒメビウンカでクロマトグラムに相違が認められた. ツマグロヨコバイのミクロゾーム分画による in vitro 代謝で, XMCは酸化的に代謝されるとを確認した. in vivo, in vitro の代謝物の一つとしてN-メチル基の酸化された N-hydroxymethyl XMCおよび N-hydroxymethyl ターバムを確認した.
  • ダッシュ B. C., ナンディ B. B.
    1978 年 3 巻 4 号 p. 427-431
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    非対称ジアリールチオ尿素とケトンを臭素の存在下縮合し, 41種の4-チアゾリン誘導体を合成した. これらの縮合反応では2種類の異性体の生成が考えられるが, 多くの場合, 1種類の異性体のみが得られた. 得られたチアゾリン類の Cochliobolus miyabeanus に対する殺菌力を胞子発芽法により求めた結果, 一般に原料チオ尿素よりやや殺菌力が高く, 化合物間での殺菌力の差は少なかった.
  • 小池 勝, 関戸 茂子, 米山 勝美, 見里 朝正
    1978 年 3 巻 4 号 p. 433-436
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    野菜軟腐病に対する防除薬剤の簡便な検定法を開発した. 本検定法では, ダイコン根部より円筒状のブロックを調製し, このブロックを検定薬液に1時間浸漬後, 上面に軟腐病菌の菌液を接種し, 湿室内に28℃で20時間静置する. その後, ブロックの腐敗部分を流水にて除き, 残りの組織量により, 供試薬剤の防除効果を判定する. 本法は短時間で, しかも多数の薬剤を簡便に検定できる特徴がある.
  • 南手 良裕, 広部 肇, 大神 弘, 勝田 純郎
    1978 年 3 巻 4 号 p. 437-439
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    菊酸の改変によって得られた3-アルゴキシ-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸のm-フェノキシ-α-シアノベンジルアルコールエステル類が, 種々の昆虫に対して強い殺虫活性を示し, 耐光性にすぐれていることを発見した. これら新規ピレスロイドのなかでn-アミルオキシ化合物は, イエバエを用いた topical application method でアレスリンに対し約7倍の致死効果を示した. また, アカイエカをはじめ, カーバメート, 有機リン剤抵抗性ツマグロヨコバイやハスモンヨトウなどの農業害虫にも有効であった. これらの化合物の耐光性は, ピレスロイドのなかで最も安定性の高いパーメスリンに匹敵し, 農業用分野への適用も可能と思われる.
  • 鈴木 隆之
    1978 年 3 巻 4 号 p. 441-443
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    土壌から分離したPCPメチル化菌 Mycobacterium sp. によるPCPのメチル化機構について調べた. この菌の無細胞抽出液に S-adenosylmethionine-methyl-14CとPCPを加えて反応させたとき, ラジオ活性をもった pentachloroanisole が生成することを確認した. この結果はこの菌体中に S-adenosylmethionine のメチル基をPCPに転位する酵素が存在していることを示している. また, この酵素系における基質特異性を調べた結果, 種々の一価あるいは二価のクロロフェノールばかりでなく pentachlorothiophenol のようなクロロチオフェノールもメチル基受容体となることを確かめた. しかし, pentachloroaniline を基質とした場合にはN-メチル化物の生成は認められなかった.
  • 植木 邦和, 山末 祐二
    1978 年 3 巻 4 号 p. 445-450
    発行日: 1978/11/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 3 巻 4 号 p. 456
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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