Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
41 巻, 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
Review Article
  • 片木 敏行
    2016 年 41 巻 4 号 p. 121-132
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/11/20
    [早期公開] 公開日: 2016/10/18
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    圃場近傍水系における農薬の生態影響評価の為,暗条件下における室内水-底質系での標準試験が農薬挙動の基礎情報として活用されている.水,底質における農薬の半減期は環境濃度予測の重要なパラメータであり,代謝情報は代謝物の予期せぬ影響を見過ごさない為の一助となるが,太陽光や水生植物といった環境要素抜きでは保守的な影響評価となる恐れがある.本総説では既存試験法における農薬挙動に影響する因子について述べた上で光照射や水—底質系に導入した水生植物の影響について考察した.温度並びに水—底質比の影響については更なる検討が必要であり,光照射下では光分解や光栄養性の微生物による代謝の影響を受けることが分かった.また水生植物は農薬の吸着や代謝分解に寄与することがわかった.

Original Articles
  • 中谷 昌央, 伊藤 稔, 吉村 巧, 宮崎 雅弘, 上野 良平, 川崎 浩, 高橋 智, 轟 泰司
    2016 年 41 巻 4 号 p. 133-144
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/11/20
    [早期公開] 公開日: 2016/11/06
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    電子付録

    チオカーバメート系除草剤の活性体であるスルホキシド体は,迅速にグルタチオン抱合を受け,さらに土壌中で分解される.そこで,我々は安定的により効果が高い除草剤の創製を目指し,容易に抱合と分解を受け得るチオカーバメート部位を4,5-ジヒドロ-1,2-オキサゾール環に変換した5-{[(2,6-ジフルオロフェニル)メトキシ]メチル}-5-メチル誘導体を合成した.この誘導体は,湛水条件下発生前処理においてのみ除草効果を示した.ところが,5-(メトキシメチル)-5-メチル誘導体では, 畑作発生前処理においてイネ科雑草に対し除草効果を示した.本報では,畑作発生前処理での除草効果の向上を目指し,3-[(ヘテロ)アリールメタンスルホニル]-4,5-ジヒドロ-1,2-オキサゾールを母骨格とした構造最適化を行った.その結果,我々はピロキサスルホンが,畑作発生前処理においてイネ科雑草と広葉雑草に対する優れた除草効果と作物に対する安全性を示すことを見出した.

  • 山本 幸治, 広渡 愛子, 塩月 孝博, 山田 直隆
    2016 年 41 巻 4 号 p. 145-151
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/11/20
    [早期公開] 公開日: 2016/10/18
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    コナガ(Plutella xylostella)由来の未分類グルタチオン転移酵素(GST)をコードするcDNAをRT-PCR法によりクローニングした.得られたクローンの全長を決定しアミノ酸配列を推定したところ,他生物由来のunclassified GSTと67%–73%の相同性を有していた.大腸菌を用いて組換えタンパク質を作製し,単一になるまで精製した.精製酵素は,2,4-ジニトロクロロベンゼンそしてエタクリン酸に対してグルタチオン抱合活性を有していた.競合阻害アッセイを行ったところ,供試農薬存在下で本酵素活性は阻害されたことから,本酵素のコナガ農薬代謝に寄与する可能性が示唆された.

  • Julien Boulange, Dang Quoc Thuyet, Piyanuch Jaikaew, 石原 悟, 渡邊 裕純
    2016 年 41 巻 4 号 p. 152-162
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/11/20
    [早期公開] 公開日: 2016/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    畑土壌環境における残留農薬の評価に使用する農薬動態予測モデル,SPECが開発された.SPECモデルは,土壌表層5 cmの土壌水分およびアトラジンとメトラクロールの残留濃度の予測に関して検証が行われた.不確実性および感度解析によりモデル予測の堅牢性(ロバストネス)が評価された.土壌水分量の日予測は,決定係数(R2)およびナッシュ・サトクリフ効率係数(NSE)がそれぞれ0.38と0.22であり,観測点数(n=269)を考慮すると精度が高いと考えられた.アトラジンとメトラクロールの土壌中濃度の日予測は,R2NSEがそれぞれ0.91および0.76以上となり,良好な結果となった.圃場容水量,飽和土壌水分量,Q10値は,土壌水分と除草剤の濃度の予測の変動においての主要パラメータであった.

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