Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
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ISSN-L : 0385-1559
9 巻, 1 号
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  • 農薬等の溶脱 (第4報)
    能勢 和夫
    1984 年 9 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    筑波土壌-ピクリン酸系が示す分散係数Dの変動は大きいが, 空隙水移動速度U>0.1cm/minではDUとともに増大する傾向が認められ, その回帰式はD=0.46U-0.053となった. U<0.1cm/minでのDの平均は0.012cm2/minで, Uの影響は認められない. 直径3.2cm, 長さ3.3cm土壌カラムによる溶脱実験は計算ピークの前後に一つずつ二つのピークを示し, 直径3.0cm, 長さ27cmカラムでは計算ピークの前に一つのピークを示した. これらは壁効果によって説明できる. 鴻巣水田土壌-ピクリン酸系でUの影響が認められないときはD=0.14cm2/hrであった. 筑波土壌へのフロインドリッヒ吸着係数と指数はピクリン酸で3.84と0.816, オキサミルで0.33と0.828 (ppm単位) であった. オキサミルではU=0.06cm/minのときD=0.008cm2/minで, ピクリン酸とほぼ同一であった. これらは, 分散係数が分散する物質自身の違いよりも土壌の違いによって大きく影響されることを示唆している.
  • 農薬等の溶脱 (第5報)
    能勢 和夫
    1984 年 9 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    The vertical movement of oxamyl applied to the top soil was described by the differential equation consisting of dispersion coefficient, pore-water velocity, Freundlich's constants for adsorption, soil water content, soil stationary water ratio, soil bulk density, distance from the surface, and elution time. The exponential degradation rate obtained from an indoor experiment was also taken into account for the calculation. The pore-water velocity was shown to be positive for period of rain and negative for period of no rain reflecting evaporation of water from soil surface. The observed data for 19 days required different values of dispersion coefficient (D) for different stages of simulation, i. e., D=3.0cm2/hr for 24hr just after the application of oxamyl, D=0.2cm2/hr for each period of rain, and D=0.02cm2/hr for each period of no rain. The simulation shows that most of oxamyl stays in the top 20cm layer and very few reaches the layer below 60cm under the conditions of usual rainy season, although oxamyl shows a drastic vertical movement within the top 3.5cm layer.
  • 林 善晴, 藤田 稔夫, 深海 浩
    1984 年 9 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    種々のアシル基をもつ多くの N-(3,4-dichlorophenyl)-acylamide 誘導体を合成し, イネの生葉より調製した粗 aryl acylamidase による誘導体の加水分解速度を測定した. また合成した化合物について酸およびアルカリ条件での加水分解速度を測定し, 得られた加水分解反応速度定数を用い, Taft にならってアシル部側鎖の立体的および電子的置換基定数を求めた. そして, aryl acylamidase による加水分解速度の変化を, アシル部側鎖の立体的および電子的置換基定数によって定量的に解析し, 構造と分解速度との相関関係について検討した. イネの aryl acylamidase による N-(3,4-dichlorophenyl) acylamide 誘導体の加水分解速度は, アシル部側鎖の立体的効果, とくにα位の枝分れ効果に支配され, 枝分れのない側鎖の加水分解速度は速いことが明らかになった. また加水分解速度は, アシル部側鎖の電子求引性効果により促進されることが明らかになった.
  • 満井 喬, 信沢 智恵子, 深見 順一
    1984 年 9 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ヨトウガ (Mamestra brassicae) 終齢幼虫を供試して, 中腸の上皮細胞に及ぼす diflubenzuron の影響を組織学的に観察した結果, 細胞にはまったく影響がみられなかった. 14C標識したグルコサミンあるいはアセチルグルコサミンを前駆物質として, in vitro で中腸に投与した場合, 中腸内に注入しても, 培養液中に添加しても, 囲食膜のキチン質にとり込まれた. diflubenzuron, polyoxin Dはこのとり込みを強く阻害した. 14C標識したUDP-N-アセチルグルコサミンを前駆物質として, diflubenzuron または polyoxin Dとともに中腸内に注入すると, polyoxin Dはキチン合成を阻害するが, diflubenzuron では阻害がみられなかった. このことから, diflubenzuron はUDP-N-アセチルグルコサミンの生体膜透過に関与しているものと推察された. しかし, Na+-K+ATPase, Ca2+-Mg2+ATPaseなど生体膜のポンプに対してはまったく影響がみられなかった.
  • 前田 満, 児玉 亨, 田中 隆治, 大船 泰史, 野本 享資, 西村 勁一郎, 藤田 稔夫
    1984 年 9 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    海藻, ハナヤナギより抽出して得たドウモイ酸は, ゴキブリおよびイエバエに対して強い殺虫活性を示した. 注射法によりワモンゴキブリ雄成虫に対する本物質の最小致死薬量は0.8μg/g体重であった. またワモンゴキブリ雄成虫より摘出した後腸に対しても本物質は顕著な収縮活性を示した. 以上の事実から, ドウモイ酸の昆虫体内での作用点は神経・筋接合部位であると推論した. 本物質の構造活性相関を調べるためにドウモイ酸関連化合物を種々合成し, その殺虫活性および腸管収縮活性とを測定した. その結果, 殺虫活性, 腸管収縮活性ともに化学構造と密接な相関関係のあることが明らかになった.
  • 渡辺 貞夫, 渡辺 重信, 伊藤 和敏
    1984 年 9 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    水利条件を一定にしたモデル水田 (慣行標準栽培区および裸地区) において, 除草剤CNP, molinate および simetryne の土壌および水中での挙動を調査した. 土壌中ではいずれも速やかに減少した. 水田排出水中に検出されたCNP, molinate, simetryne の最高値は, それぞれ5~7, 1300~1500, 300~360ppbで, 水田系外への流出総量はそれぞれ施用量の1.3~1.6, 23~27, 22~26%と推定された. 水田排出水中の濃度は, いずれの除草剤も慣行標準栽培区と裸地区ほぼ同レベルで推移し, 両区の間に顕著な差異は認められなかった. CNP-NH2は, 土壌中に最高値でCNP施用量の16% (その大部分は土壌結合型残留であった) が認められたが, 水田排出中には調査期間中はいずれも検出限界以下であった.
  • 佐藤 清, 牧 伸一, 加藤 保博, 俣野 修身, 後藤 真康
    1984 年 9 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    14C-グアザチン・三酢酸塩を5ppmの濃度で施用された3種の土壌 (畑および湛水条件) からの14CO2の発生量はきわめて微量であり, 土壌中の14Cは1年にわたる調査期間内にほとんど減衰しなかった (T1/2≧3.5年). また, 土壌抽出物中に代謝・分解物は検出されなかった. これらは, 14C-グアザチンが, 土壌の種類ならびに土壌条件 (畑, 湛水) を問わず, 施用後すみやかに, かつ強固に土壌粒子に吸着され, 微生物による分解を受けにくくなることに起因すると考えられた. グアザチンの土壌に対する強い吸着性はH-タイプの吸着等温線によって確認され, その10μmol/lにおけるKd値は約5000であった. また, 調査土壌のSACは約10mmol/kgであった. 主吸着部位については, 過酸化水素処理によって有機物を除去した土壌に対する吸着等温線と, 腐植中の14Cの分布調査から, 粘土鉱物と示唆された.
  • 佐藤 清, 牧 伸一, 加藤 保博, 俣野 修身, 後藤 真康
    1984 年 9 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    14C-グアザチン・三酢酸塩を施用し, 26週間後に得られた畑および水田土壌には, 施用量の87~98%の14Cが bound residue として残留する. その実体は未変化物が土壌粒子に強く吸着されたものと推定されているが, 畑土壌中の bound residue のダイズ体への移行性は低く, 移植4週間後におけるダイズ体地上部 (茎, 葉) の14Cの濃度は土壌濃度の1/5以下であり, ダイズ全身から検出された14Cの総量は土壌施用量の0.2%以下でしかなかった. また, 種子への14Cの移行性はさらに低かった. 水田土壌中の bound residue のイネ体への移行性も同様に低いものであった. 水耕液からイネ体への14C-グアザチンの吸収移行性を調査した結果, 吸着に起因すると考えられる根部の高濃度の14Cにくらべ, 地上部の14Cの濃度はきわめて低く, グアザチンが本質的に吸収移行しにくい化合物であることが明らかにされた.
  • 尾崎 幸三郎, 葛西 辰雄
    1984 年 9 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    トビイロウンカとヒメトビウンカの感受性 (LE) 系統に対するピレスロイド剤の殺虫力はカーバメート剤より低く, malathion と fenitrothion と同等かやや低かった. トビイロウンカの malathion と fenitrothion 抵抗性 (RmとRf) 系統は allethrin に交差抵抗性を示さなかったが, resmethrin, permethrin, tetramethrin と fenpropathrin には交差抵抗性を示した. ヒメトビウンカのRmとRf系統は pyrethrins, allethrin, permethrin と fenpropathrin に交差抵抗性を示さなかったが, furamethrin, resmethrin と tetramethrin には低レベルの抵抗性を示した.
    トビイロウンカ, ヒメトビウンカとツマグロヨコバイに対する fenvalerate の殺虫力は malathion に対する抵抗性レベルが高くなるにつれて増大し, malathion に710倍, 144倍と768倍のトビイロウンカ, ヒメトビウンカとツマグロヨコバイにおける fenvalerate のLD50値はそれぞれの感受性系統の1/8, 1/12と1/6であった. このような諸結果はイネを加害するウンカ・ヨコバイ類に対する fenvalerate の殺虫作用が malathion に対する抵抗性の発達程度に負の関連性のあることを示している. なお, イエバエには同様な現象はみられなかった.
  • 尾崎 幸三郎, 佐々木 善隆, 葛西 辰雄
    1984 年 9 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ツマグロヨコバイの有機リンーカーバメート剤抵抗性系統 (Rop-c) の雌成虫に fenvalerate と malathion, diazinon またはMPMCあるいは phenothrin とMTMCまたはBPMCとを種々の比率で混合施用した場合, 殺虫力は fenvalerate や phenothrin の単独施用より多少低かったが, 有機リン系またはカーバメート系の各種殺虫剤の単独施用より著しく高かった. fenvalerate は malathion と1.0:1.5, 1:1あるいは1.5:1.0, diazinon と1.5:1.0あるいは3:1, MPMCと1:3あるいは3:1の比率で混合施用した場合, Rop-c 系統に共力作用が発現し, phenothrin はMTMCまたはBPMCとの組合せで, 混合比1:19でも共力作用が発現した. fenpropathrin と permethrin は malathion またはMTMCと1:1の比率で混合施用した場合, Rop-c 系統に共力作用が現われ, 殺虫力は malathion やMTMCより著しく高かった. fenvalerate 粉剤と malathion またはMTMC粉剤の混合散布は, 混合比1:5でも Rop-c 系統に共力作用が発現し, 混合粉剤の殺虫力は fenvalerate 粉剤より多少低かったが, MTMC粉剤より著しく高かった.
  • 葛西 辰雄, 尾崎 幸三郎
    1984 年 9 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Malathion に360倍あるいは370倍の抵抗性を示すトビイロウンカとヒメトビウンカの抵抗性系統を fenvalerate にて連続淘汰し, malathion と fenvalerate に対するLD50値の変化状況を検定した.両種ウンカの fenvalerate 淘汰系統の malathion に対するLD50値は5~6世代後までに急激に低下したが, その後の淘汰ではあまり変化せず, ほぼ平衡状態を示し, 淘汰の最終世代 (19世代) における malathion に対するLD50値は親系統の約1/4であった. トビイロウンカの fenvalerate 淘汰系統では7世代後までに fenitrothion, diazinon と phenthoate に対するLD50値が1/2~1/5に低下した. しかしヒメトビウンカの fenvalerate 淘汰系統ではこれらの殺虫剤に対するLD50値の低下はきわめて小さかった. 両種ウンカの fenvalerate 淘汰系統では fenvalerate に対するLD50値が増大したが, 増大の状況は, malathion 抵抗性レベルの変化と対応せずに, malathion 抵抗性レベルが平衡状態を示すようになってから後の世代に顕著であった. なお淘汰の最終世代における fenvalerate のLD50値は親系統に比べて, トビイロウンカが約11倍, ヒメトビウンカが約5倍であった.
  • 今井 康史, 鍬塚 昭三
    1984 年 9 巻 1 号 p. 79-90
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    モリネートのイネおよびヒエによる吸収・移行・代謝について室内実験で研究した. モリネートはイネおよびヒエに根部および茎葉基部から吸収され, 吸収量はイネよりもヒエのほうが大きかった. 根部から吸収されたモリネートは両植物とも全植物体に移行したが, 茎葉基部から吸収されたモリネートはイネでは上方移行のみ, ヒエでは両方向に移行した. イネおよびヒエ体中の有機溶媒抽出性分解物のTLC分析により, モリネートスルホキシド, アゼピン環-4-OH-, -2-oxo-および4-oxo-体, S-β-ヒドロキシエチル体, 4-OH-, 2-oxo-および無置換ヘキサメチレンイミンおよびS-エチル-N-カルボキシメチルチオカーバメートが同定された. スルホキシド体および2種類のオキソ体以外の化合物は抱合体としても存在していた. モリネートのヒエ体内の分解速度はイネよりも速やかであった. 分解経路はイネとヒエで差がなかったが, ヒエでは塩基性分解物おそらくイミン化合物の抱合体が多く, イネ体内の抱合体は酸性または中性物質の抱合体であった. モリネートのイネ-ヒエ聞選択殺草性は移行と代謝様式の差によるものであろうと推察した.
  • 大羽 克明, 石橋 信義
    1984 年 9 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    メソミル (10μg/ml) および aldoxycarb (500μg/ml) を培地に添加すると, 自活性線虫 C. elegans の増殖は抑制され, 体長の短い異常な体型 (dumpy) を生じたが, メチルイソチオシアネート (MITC) では初期増殖が抑制されただけであった. dumpy の個体を新鮮な培地へ戻しても形状の回復は見られなかったが, その子孫は正常な体型となった. しかし産卵数は正常個体の約1/3であった. メソミル (1μg/ml), aldoxycarb (10μg/ml) およびMITC (1μg/ml) を与えた場合には影響が見られなかったが, メソミル (100μg/ml) および aldoxycarb (1000μg/ml) では発育がほとんど停止し, MITC (20μg/ml) では全個体が死亡した.
  • B. S. PARMAR, N. P. AGNIHOTRI
    1984 年 9 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Isobornyl thiocyanoacetate を共力剤としてカルバリル乳剤の改良を試みたところ, 両者1:1の組成で殺虫効果において2.5倍の共力効果が得られた. この共力剤を加えた乳剤は, バレイショおよびオクラに対して薬害を生じた. 圃場試験の結果は, この改良剤の有効成分で0.05%の乳濁液が市販の水和剤の0.2% (成分) 懸濁液および0.02%フェンバレレート乳濁液に相当する殺虫効果と収量増のあることを示している. また, 収穫時においてカルバリル水和剤およびフェンバレレート乳剤散布区で各薬剤の残留が認められるのに, カルバリル乳剤では検知できなかった (<0.01ppm).
  • 磯部 直彦, 松尾 昌年, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 1 号 p. 105-115
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Bromobutideの 脱Br体, N-(1-methyl-1-phenylethyl)-3,3-dimethylbutanamide (deBr-bromobutide) のカルボニル炭素14C-標識体を5mg/kgの割合でラットおよびマウスに1回経口投与し, その生体内運命を調べ bromobutide の結果と比較した. ラットでは, deBr-bromobutide は速やかにフェニル基とt-ブチル基の酸化を受けた後ほぼ定量的に排泄された. 投与後の14C排泄速度は bromobutide より速く, 糞への排泄14C量, 組織残留14C量および腸内容物中14C量は bromobutide より少なかった. deBr-bromobutide は, ラット肝ミクロゾームによるNADPH依存性のω-水酸化の良基質となったが, 芳香族水酸化に対しては bromobutide 同様よい基質ではなかった. deBr-bromobutide と bromobutide のラットにおける主要代謝物はアルコールおよびフェノール誘導体のグルクロン酸抱合体で, これらは腸肝循環した. deBr-bromobutide の主要代謝物であるアルコール誘導体のグルクロン酸抱合体は速やかにカルボン酸となり尿中に排泄されるが, bromobutide の主要代謝物であるフェノール誘導体のグルクロン酸抱合体は前者に比べ体内に長くとどまった. マウスは代謝物をほとんど尿中に排泄した. 2種の水酸化活性に基質特異性が認められ, 種差もあったが, deBr-bromobutide は bromobutide とほぼ同様に代謝され, 代謝経路は完全に bromobutide のものに包含された.
  • 塩素化ニトロベンゼン類の微生物代謝 (第2報)
    Zainuddin HAFSAH, 田原 哲士, 水谷 純也
    1984 年 9 巻 1 号 p. 117-123
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Mucor javanicus による6種のジクロロニトロベンゼン (DCNB) の代謝産物ならびに, 7種のカビによる2,4-DCNBの代謝産物を検討した. 代謝産物の収率向上のために前培養法 (3日間菌を培養してから基質を添加, さらに3~6日間培養を続けた後, 代謝産物と残存基質を定量) を応用した. M. javanicus によるDCNBの主たる代謝産物は, ベンゼナミン (アニリン) 誘導体であったが, 2,4-DCNBと2,3-DCNBからはオルト位の塩素がメチルチオ基で置換されたニトロベンゼンおよびベンゼナミン誘導体の生成を確認した. M. javanicus で見られたこの種の代謝様式はまれなものではなく, 2,4-DCNBを基質にした場合, M. griseo-cyanus, M. praini では M. javanicus と同程度に, M. hiemalis, Aspergillus flavus においても少量ながらメチルチオ置換体が生成されることを明らかにした.
  • 西野 親生, 真部 俊一
    1984 年 9 巻 1 号 p. 125-130
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ワモンゴキブリの性フェロモンミミクである germacrene-D (1) と, 天然の性フェロモンである periplanone-B (3) との構造が類似しているが, この2物質間の構造的相関は明確には説明されていない. 本研究では, 1に対する受容器を知るために, 1のほかに性フェロモンである periplanone-A (2) と3および camphor を刺激物質とした応差飽和触角電図法 (DS-EAG) を応用した. 1で飽和したときに生じる2および3による二次的なEAG反応, 同様に2で飽和した場合の13の反応, そして3で飽和したときの1, 2による二次反応から, 12および3の受容器に受容されるが, 2の受容器に受容される可能性のほうがより大きいことがわかった. この結果は, 12の構造的な関連性を新たに示唆するものであった.
  • 三上 信可, 吉村 淳, 山田 宏彦, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 1 号 p. 131-136
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    浸透移行性殺菌剤プロシミドン (スミレックス®) のキュウリおよびインゲンマメにおける代謝について検討した. 14C標識体を250μg/葉の割合で葉面処理して温室内で栽培すると, プロシミドンは可食部を含む他の無処理部にほとんど移行することなく, 両植物ともに半減期が約20日の速度で減少した. 14C標識体をキュウリ果実表面に7.5~10ppmの割合で処理すると, 処理1日後に添加14Cの約24%が果実内部に浸透したものの, その後増加する傾向は認められなかった. 本化合物は, 可食部を含む植物体内において, メチル基の水酸化, フェニル基4位の環水酸化, 環状イミドの加水分解を経て徐徐に代謝された. 一方, 14C標識体を10ppmの割合で処理した小平軽埴土や宝塚壌質砂土にインゲンマメを移植して42日間栽培すると, 地上部には12.3~15.3ppmの14Cが存在したが, 可食部における14C残留量は0.42~0.66ppmであった. プロシミドン処理土壌を好気的畑地条件で5ヵ月間前もってインキュベートすると, 土壌からインゲンマメに取りこまれる14Cが著しく低下した.
  • 木村 修一郎, 戸枝 一喜, 宮本 徹, 山本 出
    1984 年 9 巻 1 号 p. 137-142
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Prothiophos oxon (S-プロピル体) とそのS-メチル, エチル, ブチル同族体は in vitro でのアセチルコリンエステラーゼ (AChE) 阻害作用は弱いが, S-プロピルとブチル体はイエバエ殺虫力が強く in vivo でAChEをよく阻害した. この種S-アルキルオキソンはミクロゾーム酸化酵素系によりイオウが酸化された不安定中間体となり, S-プロピル, ブチルの場合はAChEと反応しやすく, S-メチル, エチルの場合は加水分解されやすいためであると思われる.
  • ハスモンヨトウ幼虫における摂食阻害物質の作用機構 (第6報)
    Alice Girgis ANTONIOUS, 斎藤 哲夫, 中牟 田潔
    1984 年 9 巻 1 号 p. 143-146
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ハスモンヨトウ幼虫の下咽頭に微細電極を挿入し, ミクロシリンジで口器各部に摂食阻害物質を局所処理した. 幼虫の下咽頭がクロルジメホルムに対して最も感受性が高く, クレロディンに対しては小腮鬚が最も感受性が高かった. クレロディンの作用点は小腮鬚で, クロルジメホルムのそれは下咽頭であろうと考えられる.
  • A. K. HALDER, B. S. PARMAR
    1984 年 9 巻 1 号 p. 147-150
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    種々の異なるキャリヤーを用いて調製したマラチオン粉剤中でのイソマラチオンの生成について検討した. イソマラチオンはマラチオンの哺乳動物に対する毒性を著しく増強する作用を有することが知られている. 試験に供した7種のキャリヤーのうち, ケイ酸カルシウム, およびシリカゲル-Hを用いた粉剤中のみでイソマラチオンの生成量が, 各種マラチオン粉剤中のイソマラチオン含量に関するAID/WHO規制値以下であった. アタプルジャイト, カオリナイト, ケイソウ土など5種のキャリヤーを用いた粉剤中では規制値以上のイソマラチオンの生成が認められた. なおキャリヤーの物理化学的性質あるいは粉剤の虐待時間とイソマラチオン生成量とに相関関係は認められなかった.
  • 尾崎 幸三郎, 葛西 辰雄
    1984 年 9 巻 1 号 p. 151-154
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1975年9月に香川県の野外で採集したトビイロウンカ個体群を malathion と fenitrothion で連続淘汰し, malathion と fenitrothion 抵抗性 (RmとRf) 系統を確立した. malathion にて42世代淘汰したRm系統は malathion に93倍, fenitrothion にて39世代淘汰したRf系統は fenitrothion に289倍の抵抗性を示した. Rm系統は naled, tetrachlorvinphos, monocrotophos, propaphos, fenthion, fenitrothion, diazinon, isoxathion, pyridaphenthion, disulfoton, dimethoate, phenthoate, mecarbam, carbaryl, propoxur, XMC と methomyl に5から26倍の範囲で交差抵抗性を示した. Rf系統は fenthion, diazinon, isoxathion, pyridaphenthion, EPN, malathion と phenthoate に70倍以上の高レベル交差抵抗性を示し, naled, dimethylvinphos, tetrachlorvinphos, monoctrotophos, propaphos, disulfoton, dimethoate, mecarbam, carbaryl, MPMC, BPMC, propoxur, XMC と methomyl に5から32倍の範囲で交差抵抗性を示した. 大多数の有機リン剤に対するRf系統の抵抗性レベルはRm系統より高かった. RmとRf系統の trichlorfon, pyrethrins と有機リン系殺菌剤のIBPと edifenphos に対する感受性は感受性 (LE) 系統とほぼ同等であった.
  • 尾崎 幸三郎, 葛西 辰雄, 佐々木 善隆
    1984 年 9 巻 1 号 p. 155-157
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ツマグロヨコバイの感受性 (S) とリン剤-カーバメート剤抵抗性 (Rop-c) 系統に対するピレスロイド系殺虫剤の殺虫力を検定した. S系統に対するピレスロイド系殺虫剤の殺虫力は, 従来防除に使用されていた malathion, carbaryl やMTMCと同等かそれ以上であり, なかでも pyrethrins と fenpropathrin の殺虫力は高かった. tetramethrin, permethrin と fenpropathrin のRop-c系統に対するLD50値はS系統より高かったが, pyrethrins, allethrin と resmethrin のRop-c系統に対する殺虫力はS系統に対するそれと差がなかった. fenvalerate の殺虫力はS系統よりRop-c系統に対して4.3倍高かった.
  • 1980年3月~1982年4月に告示された農薬
    阪本 剛, 大井 明大
    1984 年 9 巻 1 号 p. 159-168
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 梅津 憲治
    1984 年 9 巻 1 号 p. 169-180
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • その現状と将来
    米山 勝美, 若林 攻
    1984 年 9 巻 1 号 p. 181-191
    発行日: 1984/02/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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