Cyphenothrin [S-2703, (RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl-(1RS,
trans/
cis, 8/2) chrysanthemate] の [1R,
trans]-および [1R,
cis]-体の3種
14C標識体 (酸側, アルコール側およびCN基) をそれぞれラットに2~4mg/kgの割合で1回経口または皮下投与すると酸側およびアルコール側由来の
14Cは速やかにかつほぼ完全に排泄され組織残留量もきわめて低かった. 一方, CN基由来の
14C排泄は不完全で被毛, 皮膚および胃内容物中に若干高い
14C残留量が認められた. 両異性体の主要代謝経路はアルコール側の2′および4′位の水酸化, 酸側のイソブテニル基および
gem-ジメチル基の酸化, エステル結合の開裂, CN基のSCN
-およびCO
2への変換およびこれらの代謝反応を経て生成したフェノール, アルコールおよびカルボン酸類と硫酸, グルクロン酸およびアミノ酸との抱合反応であった. [1R,
trans]-体は [1R,
cis]-体よりエステル結合の開裂を多く受け, 一方, [1R,
cis]-体からはエステル結合を有する代謝物が [1R,
trans]-体より多く生成した. 投与経路が異なっても組織残留量および代謝物の性質には差が認められなかったが, 皮下投与は経口投与に比べてエステル結合が開裂した代謝物を多く与えた. 一方, 上記の結果を phenothrin [3-phenoxybenzyl (1R,
trans/
cis) chrysanthemate] と比較すると[1R,
trans]-cyphenothrin および phenothrin 間では生分解性に関してほとんど差は認められなかったが, [1R,
cis]-cyphenothrin は [1R,
cis]-phenothrin に比べてCN基を導入することによって著しく生分解性が高められた. また
in vivo での生分解性と肝エステラーゼの基質特異性は一致し次のようであった.
trans-phenothrin≧
trans-cyphenothrin>
cis-cyphenothrin>
cis-phenothrin. 一方, 血漿エステラーゼは
trans/
cis の選択性を示さず phenothrin を cyphenothrin より速やかに加水分解した.
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