Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
9 巻, 2 号
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  • 大久 長範, 松本 貞義, 山口 益郎
    1984 年 9 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    CNPアミノ体 (2,4,6-trichlorophenyl 4-aminophenyl ether) と亜硝酸の溶液に腐植酸やフルボ酸を添加したところ褐色が濃くなった. この褐色深化反応は実験に供したすべての腐植酸とフルボ酸で認められた. CNPアミノ体は反応混合液のアルカリ処理で回収することはできないが, Na2S2O4で還元したところベンゼンに回収された. 腐植酸は亜硝酸の存在下でCNPアミノ体と結合しより大きいヒューミン様物質になることが Sephadex G-75を用いたゲル濾過から示唆された.
  • 三上 信可, 今西 久美子, 山田 宏彦, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 215-222
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    有機リン系殺菌剤 tolclofos-methyl (Rizolex®) の水中および土壌表面上での光分解をフェニル環14C標識体を用いて検討した. 太陽光照射条件下では, 本化合物は半減期が44日 (蒸留水), 25~28日 (河川水, 海水), 2日以下 (2%アセトン水) の速度で分解した. 蒸留水中での量子収量は1.6×10-1であり, この値と rate of specific sunlight absorption から計算により求めた光分解半減期は実測値とよく一致した. 土壌表面上においては, 光分解や揮散により分解・消失し, 半減期は2日以内であった. Tolclofos-methyl は, 水中や土壌表面においてP=SからP=Oへの酸化, フェニル環4位のメチル基の酸化, P-O-aryl もしくは P-O-methyl 結合の切断, 光異性化を受けて分解し, 光増感剤アセトン存在下では14CO2の生成が認められた. また, 水中からの揮散による消失も顕著であった.
  • 三上 信可, 今西 久美子, 山田 宏彦, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    プロシミドン (スミレックス®) の緩衝液もしくは自然水中における光分解と加水分解について検討した. プロシミドンの分解は, 太陽光照射条件下においていくらか促進されたものの, おもに加水分解を経て進行した. 本化合物は, pH5以下では水による neutral reaction, pH7~8以上では塩基触媒, pH5~8の範囲では両者の反応を受けて分解した. 自然水において通常見いだされるpH6~9の範囲では, プロシミドンは半減期が0.6日~68日 (15℃), 2時間~18日 (30℃), 0.5時間~8日 (45℃) の速度で加水分解された. また, Arrhenius の式を用いて加水分解速度を温度の関数として表し, 計算から求めた加水分解半減期は実測値とよく一致した. 中性および塩基性条件下では環状イミドの加水分解物が, 一方, 酸性条件下ではさらにアミド結合が開裂した加水分解物が多く検出された.
  • 船木 雄司, 石栗 幸男, 加藤 寿郎, 田中 鎮也
    1984 年 9 巻 2 号 p. 229-236
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    4種のビニルトリアゾール系化合物, (Z)-および (E)-4,4-ジメチル-1-(置換フェニル)-2-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)-1-ペンテン-3-オンとおのおののアルコール誘導体を合成し, その大麦うどんこ病と小麦赤さび病に対する防除効果を測定した. アルコール体はケトン体に比較して両病害に対して高い活性を示した. さらに幾何異性がEのアルコール体はZのアルコール体より優れた防除効果を示した. このE-アルゴール体についてベンオゼン置換基と活性の相関を調べ, 4-Cl,2,4-Cl2または2-F,4-Cl体が両病害にとくに高活性であることが判明した. 土壌灌注試験, 抗菌スペクトル試験においてもE-アルコール体は優れた活性を示し, 殺菌剤としての有望な諸性質を有していることもわかった.
  • 金子 秀雄, 松尾 昌年, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 237-247
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Cyphenothrin [S-2703, (RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl-(1RS, trans/cis, 8/2) chrysanthemate] の [1R, trans]-および [1R, cis]-体の3種14C標識体 (酸側, アルコール側およびCN基) をそれぞれラットに2~4mg/kgの割合で1回経口または皮下投与すると酸側およびアルコール側由来の14Cは速やかにかつほぼ完全に排泄され組織残留量もきわめて低かった. 一方, CN基由来の14C排泄は不完全で被毛, 皮膚および胃内容物中に若干高い14C残留量が認められた. 両異性体の主要代謝経路はアルコール側の2′および4′位の水酸化, 酸側のイソブテニル基およびgem-ジメチル基の酸化, エステル結合の開裂, CN基のSCN-およびCO2への変換およびこれらの代謝反応を経て生成したフェノール, アルコールおよびカルボン酸類と硫酸, グルクロン酸およびアミノ酸との抱合反応であった. [1R, trans]-体は [1R, cis]-体よりエステル結合の開裂を多く受け, 一方, [1R, cis]-体からはエステル結合を有する代謝物が [1R, trans]-体より多く生成した. 投与経路が異なっても組織残留量および代謝物の性質には差が認められなかったが, 皮下投与は経口投与に比べてエステル結合が開裂した代謝物を多く与えた. 一方, 上記の結果を phenothrin [3-phenoxybenzyl (1R, trans/cis) chrysanthemate] と比較すると[1R, trans]-cyphenothrin および phenothrin 間では生分解性に関してほとんど差は認められなかったが, [1R, cis]-cyphenothrin は [1R, cis]-phenothrin に比べてCN基を導入することによって著しく生分解性が高められた. また in vivo での生分解性と肝エステラーゼの基質特異性は一致し次のようであった. trans-phenothrin≧trans-cyphenothrin>cis-cyphenothrin>cis-phenothrin. 一方, 血漿エステラーゼは trans/cis の選択性を示さず phenothrin を cyphenothrin より速やかに加水分解した.
  • 金子 秀雄, 泉 敏彦, 植田 泰嘉, 松尾 昌年, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 249-258
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Tetramethrin [3,4,5,6-tetrahydrophthalimidomethyl (1RS, trans/cis) chrysanthemate] の [1R, trans]-, [1RS, trans]-, [1R, cis]-および [1RS, cis]-異性体間の妊娠ラットにおける比較代謝で, 14C排泄率, 14C組織残留量および代謝物は trans 体間で, ほとんど差異が認められなかったものの, cis 体間では [1RS]-体の糞中への14C排泄が約20% [1R]-体より多いという差が認められた. しかし, 代謝物および代謝経路は一致していた. 一方, 1回および5回反復経口投与による胎盤透過性実験では14C-Neopynamin® [(1RS, trans)/(1Rs, cis), 8/2] および14C-Neopynamin Forte® [(1R, trans)/(1R, cis), 8/2] との母獣血, 胎仔, 胎盤および羊水中の14Cレベルはほぼ同様に推移し, ことに5回反復投与ではよく一致していた. また14C組織移行性 (14C組織レベル/14C母獣血レベル) も1回および5回反復投与で胎仔, 胎盤, 羊水ともに両者でよく一致していた. また, 胎仔に移行した代謝物も光学異性である点を除き一致し, その存在比にも顕著な差は認められなかった. 以上のように, Neopynamin® および Neopynamin Forte® はその20%組成物である cis 体間で排泄パターンに若干の差があるものの, その割合が20%と低いため全体としては妊娠ラットにおける胎盤透過性は両者間で有意な差は認められなかった.
  • 泉 敏彦, 金子 秀雄, 松尾 昌年, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 259-267
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Phenothrin [3-phenoxybenzyl (1RS, trans/cis) chrysanthemate] の [1R, trans]-, [1RS,trans]-, [1S, trans]-, [1R, cis]-, [1RS, cis]-および [1S, cis]-異性体のアルコール側14C標識体を10mg/kgの割合でラットおよびマウスに1回経口投与すると, いずれの異性体についても14Cは投与6日以内にほとんど完全に両動物体内から消失し, かつ14C組織残留レベルもきわめて低かった. 両動物種において14C排泄率および14C組織残留レベルについて [1R, trans]-および[1RS, trans]-異性体間, および [1R, cis]-および [1RS, cis]-異性体間にはそれぞれほとんど差は認められなかったが, 両動物種ともに [1S, trans]-および [1S, cis]-異性体については14C排泄率がそれぞれ他の trans および cis の光学異性体とは若干異なった. 両動物種ともに14Cは trans 体では糞より尿に, 一方, cis 体では尿より糞に多く排泄された. N-3-Phenoxybenzoyltaurine がマウスだけに認められた以外は尿および糞中代謝物は両動物種間でほぼ共通していた. 両動物種ともにエステル結合の開裂した代謝物は cis 体よりも trans 体のほうに多く検出され, 一方, cis 体からは trans 体よりも多くのエステル結合を有する代謝物が検出された. エステル結合の開裂および4′-位の水酸化はマウスよりもラットのほうで多く起こったが, 両動物種ともに[1S, trans]-および[1S cis]-異性体はそれぞれ他の trans 体および cis 体の光学異性体よりもエステル結合の開裂をやや受けやすい傾向が認められた. 以上のように, 6異性体の生体内挙動については両動物種ともに [1R, trans]-と [1RS, trans]-体間, および [1R, cis]-と [1RS, cis]-体間にはそれぞれ実質的な差は認められなかったものの, [1S, trans]-および [1S, cis]-異性体はそれぞれ他の trans 体および cis 体の光学異性体とはエステル結合の開裂の程度がやや異なっていた.
  • 金子 秀雄, 泉 敏彦, 松尾 昌年, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 269-274
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Fenvalerate [(RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl-(RS)-2-(4-chlorophenyl)-3-methylbutylate] の酸側またはアルコール側の14C標識体を1.7mg/kgの割合で雄ビーグル犬に1回経口投与すると, 14Cは投与3日以内に79~87%が排泄された. 血中 fenvalerate の半減期は約2時間であり, 投与48時間後には検出限界 (0.01ppm) 以下にまで低下した. Fenvalerate のイヌにおける主要代謝経路はラットおよびマウスと同様で, エステル結合の開裂, 酸側の2および3位の酸化およびアルコール側の4′位の水酸化を経て生成したフェノールおよびカルボン酸はグルクロン酸, 硫酸およびアミノ酸などと抱合体を形成した. 代謝物の量および質には次のような種差が認められた. すなわち, 1) アルコール側の位の水酸化はラットおよびマウスともに認められたが, イヌでは認められなかった. 2) 3-Phenoxybenzyl alcohol および3-(4′-hydroxyphenoxy) benzyl alcohol はイヌでは検出されたが, ラットおよびマウスでは検出されなかった. 3) 3-Phenoxybenzoylglycine はイヌではアルコール側成分の主要抱合体であったのに対し, ラットおよびマウスでは痕跡量が認められなかった. 4) 酸側成分のグルクロン酸抱合体およびその水酸化誘導体はラットおよびマウスよりもイヌでより多く検出された.
  • 高野 隆三郎, 橋本 恭明, 小野 成男, 添田 吉則
    1984 年 9 巻 2 号 p. 275-283
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ジメドン系除草剤アロキシジム (alloxydim-sodium, ADS) の14C標識化合物を, 雌雄のラットに7日間連続投与し, 尿糞および肝臓中の代謝物を分析した. ADSは主としてアリル基が水酸化されたジヒドロキシ体 (IX) となり, 尿中に排泄された. その他の代謝物として, アミノ体 (I), ケトン体 (VI), オキサゾール体 (II/III) およびイソオキサゾール体 (IV/V) 等が見いだされた. IXは不安定で単離同定が困難だったのでADS, I, II/IIIの代謝を比較検討し, 代謝部位がアリル基にあることをつきとめた. アリル基の加水分解後, C3ユニットとして構造を検討し, それがグリセリンであることを証明した. また, IXのオキシム構造に由来する異性体の存在も認められた. 代謝物の種類および量ともに性差はなく, 連続投与による代謝物の質的変化も見られなかった.
  • 尾崎 守, 早瀬 善男, 小林 忍, 鍬塚 昭三
    1984 年 9 巻 2 号 p. 285-291
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    畑地土壌を用いて土壌環流によるイソウロン [3-(5-tert-butyl-3-isoxazolyl)-1,1-dimethylurea] の微生物分解を検討した. 4週間の培養でイソウロンは消失した. 3種の分解物が環流液中に蓄積していることを薄層クロマトグラフィにより確認した. これらの分解物を単離しそれぞれ 1-(1-amino-4,4-dimethyl-3-oxo-1-pentenyl)-3,3-dimethylurea,1,1-dimethyl-3-(2-pivaloylacetyl)-urea,4-amino-6-tert-butyl-2H-1,3-oxazin-2-one と同定した. またこれらと同じ分解物が少量の土壌を添加した液体培地の静置培養でもイソウロンから生成することを認めたが, 振盪培養ではその現象は認められなかった. なおイソウロン分解能を有する酵母を環流液より分離し Hansenula saturnus と同定した. 以上の結果より還元的開裂によるイソウロンの新分解経路を推定した.
  • 守谷 茂雄, 渋谷 政夫
    1984 年 9 巻 2 号 p. 293-297
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    スピードスプレーヤにより320l/ha (少量) のフェニトロチオン乳剤希釈液をリンゴ樹に散布し, その付着分布を慣行の3200l/haと比較した. 散布液にEuを加え, 散布後, 葉および葉に貼付した濾紙を原子炉中で熱中性子により放射化し, 生成した152Euを定量する方法を用いた. リンゴ樹の上位葉では裏面の付着が多く, 表面に少ないが, 下位葉では逆に表面の付着が多かった, 表裏合わせた付着量は上位でやや多く, 中位, 下位の順に少なくなる傾向を示した. この傾向は少量と慣行で大差がなく, 有効成分付着量でもほぼ同等であった. また, 葉に貼付した濾紙のラジオオートグラムから少量散布でもかなり均一な付着状況が認められた. 化学分析によるリンゴ果実への付着量は少量散布で多かったが, 急速に減少し, 14日後には慣行と同程度の残留を示した.
  • 箭木 昭, 篠原 録郎, 浅野 譲, 石川 莞爾
    1984 年 9 巻 2 号 p. 299-303
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    An analytical method of 6-(N-benzylamino)purine (BA) in soil and its persistence in soil have been studied. BA in soil was extracted with a methanol-0.05N sodium hydroxide (3:1) mixture, cleaned up by partition between acidic and neutral aqueous phases and ethyl acetate phase, and determined by gas chromatography with flame ionization or N·P-flame ionization detection. Recoveries from soils fortified with more than 0.1ppm of BA were above 70% and varied somewhat with soil. The lower determination limit was 0.05ppm of BA in soil by flame ionization detection or 0.01ppm by N·P-flame ionization detection. BA dissipation in 2 different kinds of soils was compared by laboratory tests. BA dissipated more rapidly in the flooded condition than in the unflooded condition in both soils. Moreover, dissipation rate varied with soil. A field test showed a typical lag period of BA dissipation. BA dissipation in soil was presumed mainly owing to soil microbiological degradation.
  • 戸枝 一喜, 宮本 徹, 加藤 茂, 山本 出
    1984 年 9 巻 2 号 p. 305-315
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Phenthoate (PAP) [(CH3O)2P(S)SCH(Ph)COOC2H5] からの12種の変化生成物をマウス, ラット肝画分, 過酸により同定した. すでに報告されている化合物のほかに, 5種の生成物が新規に見いだされた: (CH3O)2P(O)-SCH(Ph)COOH [マウス, ミクロゾームーNADPH系 (mfo)], CH3S(O)CH(Ph)COOH [マウス], HOCH(Ph)COOC2H5 [マウス, mfo, サイトソル], (CH3S)(CH3O)-P(O)SCH(Ph)COOC2H5(PAP S-isomer) [mfo], (CH3O)2-P(O)SSCH(Ph)COOC2H5 (phosphinyl disulfide) [過酸酸化]. 代謝物同定に基づきPAPの代謝経路を推定したところ, PAPは次の5通りの変化をまず受け, さらに2次的に種々の生成物を与えると思われる: i) カルボキシエチルエステルの加水分解, ii) 脱メチル化, iii) phosphorus oxythionate の形成, iv) C-S結合の開裂, v) 異性化. mfo による PAP S-isomer, 過酸酸化による phosphinyl disufide はマウス中においても生成したものと考えられるが, 不安定なため見いだされないのであろう.
  • 厳 潤実, 山口 勇, 見里 朝正
    1984 年 9 巻 2 号 p. 317-323
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ミルディオマイシン (MIL) の薬理機構を, 同薬剤に感受性の大腸菌 Escherichia coli と赤色酵母 Rhodotorula rubra とを用いて検討した. 液体培養では, MILによるR. rubra の生育阻害は顕著でなかったが, E. coli あの生育は0.5mM以上の濃度で強く抑制された. MILは, 両微生物の細胞膜透過性, 呼吸, 酸化的リン酸化および核酸, 脂質, 細胞壁成分の生合成にはあまり影響しなかったが, 0.02mMの低濃度でタンパク合成を顕著に阻害した. さらに, MILは, E. coli の無細胞系におけるタンパク合成を強く抑制することが認められた. しかし, 哺乳動物細胞 (ウサギの網状赤血球) 由来の無細胞系におけるタンパク合成は, 微生物由来の系に比べてMILに対する感受性が低かった. このことは, 同物質の低毒性に相関している可能性が示唆された.
  • 菊地 亮一, 滝本 善之, 山田 宏彦, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 325-329
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    フェニトロチオンのクロレラの生長に及ぼす影響を調べたところ, 処理最高濃度の100ppmでも最大生長速度に影響を及ぼさなかった. しかし, この濃度では, 細胞当りの細胞容積, 乾重量および光合成量が増加した. 同調細胞を用いた試験から, 上記の現象は, 細胞容積が徐々にしか増加しないため細胞分裂の時期が延長することを反映したものと判明した. また, チミン, ウラシル, ロイシンの各DNA, RNA, タンパクへの取り込みは, フェニトロチオンの濃度に対応し, 抑制されたが, フェニトロチオンを含まない培地に移すと, 正常に生長し, 上記した影響も認められなくなった.
  • 菊地 亮一, 安谷屋 孝子, 滝本 善之, 山田 宏彦, 宮本 純之
    1984 年 9 巻 2 号 p. 331-337
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    10ppbのフェニトロチオンを含む培地に, Chlorella vulgaris (緑藻), Nitzschia closterium (珪藻) および Anabaena flos-aquae (藍藻) を培養すると, 1~8時間で藻中の14Cおよびフェニトロチオンは平衡に達し, フェニトロチオンの濃縮率は, おのおの乾燥重量当り44, 105および53倍であった. これらの藻類を, フェニトロチオンを含まない培地に移すと, 1~2.6時間の半減期で減少した. フェニトロチオンは, A. flos-aquae で最も活発に代謝され, オキソン体, 脱メチル体およびそのフェノールに分解され, また, C. vulgaris では, 脱メチル体とそのフェノールに変換された. N. closterium は, フェニトロチオンをあまり分解せず, 上記代謝物は最大で1.2%にしかすぎなかった. 一方, DDTの濃縮率は, 433~82,000倍と高く, またその半減期は17~201時間と長かった.
  • 大沢 貫寿, 宮本 徹, 山本 出
    1984 年 9 巻 2 号 p. 339-344
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    土壌殺菌剤PCNBは日本をはじめ世界中で広く土壌殺菌剤として使用されている. 多用散布圃場の土壌中におけるPCNBおよびその関連化合物をマスフラグメントグラフィーによって追跡した. おもな分解生成物として pentachloroaniline, methyl pentachlorophenyl sulfoxide (PCTA-SO), pentachlorobenzene および methyl pentachlorophenyl sulfone (PCTA-SO2) を見いだした. PCNB施用圃場土壌中から 2,3,4,5-tetrachloroaniline, pentachloroanisole, 1,2,3,4-tetrachlorobenzene, 1,2,3,5-tetrachlorobenzene を最初に少量ではあるが見いだすとともに, PCTA-SOが圃場中に多く残留することおよびその酸化体PCTA-SO2も少量だが残留することを明らかにした.
  • N-Benzylbutanamides の除草活性 (第7報)
    桐野 修, 古沢 久仁彦, 高山 千代蔵, 水谷 俊夫
    1984 年 9 巻 2 号 p. 345-349
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    N-Benzylbutanamides の構造と Scirpus juncoides (イヌホタルイ) に対する除草活性との関係を Hansch 法で解析した. N-(1-Methyl-1-phenylethyl) acylamide 68個の活性変化は, アシル置換基の疎水性および置換基とカルボニル基の結合軸に垂直な方向における最小幅の変化と放物線的な関係にあることがわかった. また, アシル置換基の最大幅が大きくなるほど活性は高くなる. N-(α-Substituted benzyl)-2-bromo-3,3-dimethylbutan-amide 9個の活性変化では, アミドの窒素原子からα位置換基の端までの最大の長さが重要であることが明らかになった.
  • 環状イミド化合物の生物活性 (第8報)
    桐野 修, 高山 千代蔵, 藤浪 曄, 柳 和則, 美濃部 正夫
    1984 年 9 巻 2 号 p. 351-353
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    シクロプロパン環の種々の位置にメチル基を有するN-(3,5-dichlorophenyl) cyclopropanedicarboximides 9種を合成し, それらの灰色かび病菌 (Botrytis cinerea) に対する抗菌活性を寒天培地希釈法で測定した. 活性に及ぼすメチル基の効果を修正 Free-wilson 法で解析した結果, シクロプロパン環の1位メチル基および3位のexo-メチル基は活性を増大させる方向に寄与すること, endo-メチル基は活性変化に影響を与えないことが明らかとなった. また, 1,2-ジメチル体 (プロシミドン) のX線構造解析を行なった.
  • 中田 和男
    1984 年 9 巻 2 号 p. 355-364
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 西村 勁一郎
    1984 年 9 巻 2 号 p. 365-374
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    The comparative mode-of-action as well as quantitative structure-activity studies of pyrethroids were performed at whole insect body and excised nerve preparation levels. Knockdown activity of a set of variously substituted benzyl chrysanthemates and pyrethrates and their related compounds against the house fly was separated into the intrinsic activity and a penetration factor into the target sites. The intrinsic knockdown activity of the compounds was determined under synergistic conditions using inhibitors of oxidative and hydrolytic metabolic activities. The penetration rate constant of the compounds was evaluated from the progress of the knockdown symptom using a first order kinetic model. Symptomatic activities of pyrethroids against the American cockroach and the house fly determined under synergistic conditions were analyzable with such neurophysiological indices as repetitive and neuroblocking activities, which were determined by an extracellular recording technique using the excised central nerve cord of the American cockroach. The repetitive activity of pyrethroids, in turn, was analyzed with the activity to affect the after-potential determined by an intracellular recording method using the giant axon of the crayfish. Activities at whole body and excised nerve levels were shown to be quantitatively analyzable using physicochemical properties of the substituents or molecules by regression analyses.
  • 赤塚 尹巳, 児玉 治
    1984 年 9 巻 2 号 p. 375-381
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    The effects of organophosphorus fungicides, IBP (S-benzyl O, O-diisopropyl phosphorothiolate, Kitazin P®), EDDP (O-ethyl S, S-diphenyl phosphorodithiolate, edifenphos, Hinosan®) and ESBP (S-benzyl O-ethyl phenylphosphonothiolate, Inezin®) for Pyricularia oryzae were investigated. The fungicides did not significantly inhibited on DNA, RNA, protein and chitin biosynthesis, exogeneous respiration and leakage of potassium at the ED50 concentration value for mycelial growth. On the other hand, the close correlation between growth inhibition and the inhibition of phosphatidylcholine biosynthesis by sequential methylations of phosphatidylethanolamine (Greenberg pathway) was observed, but scarcely inhibited the biosynthesis of phosphatidylcholine from choline through CDP-choline (Kennedy pathway). Phosphatidylcholine biosynthesis via the Kennedy pathway was strongly inhibited by hemicholinium-3, however, the mycelial growth was not influenced. Therefore, phosphatidylcholine biosynthesis via the Kennedy pathway was not essential for the mycelial growth of P. oryzae. Thus, we conclude from the experimental results described that the primary antifungal action of organophosphorus fungicides is the inhibition of the phosphatidylcholine biosynthesis via the Greenberg pathway. Next, the degradation of IBP, EDDP and BPA (dibutyl N-methyl-N-phenylphosphoramidate) by P. oryzae, and the degradation of IBP by a pig liver reconstitution mixed function oxidase enzyme system were investigated. From the experimental results, we conclude the degradation of IBP, EDDP and BPA by mycelial cells of P. oryzae are catalyzed by mixed function oxidase. And next, we isolated a group of novel phytoalexins (Oryzalexin A, B and C) from rice plant (Oryza sativa) leaves infected with P. oryzae, and presented the absolute configurations of these substances as (+)-sandaracopimaradiene derivatives. Now, we are interested in the biosynthesis of Oryzalexins as to elucidate the dynamic aspect of plant protection.
  • 下山 守人, 桑野 栄一, 有本 裕, 若林 攻
    1984 年 9 巻 2 号 p. 383-388
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
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  • 進藤 登
    1984 年 9 巻 2 号 p. 389-390
    発行日: 1984/05/20
    公開日: 2010/08/05
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