目的 1 年以上の長期要介護および全死因死亡のリスク要因について基本健康診査受診者を 9~13年間追跡し検討した。
方法 1989-1993年に実施された基本健康診査を一度でも受診し,受診時年齢が40歳以上であった2,292人(男759人,女1,533人)を対象とした。
要介護状況および死亡状況について基本健康診査受診時から,それぞれ2002年 9 月末日,および2002年 3 月末日まで追跡調査し,血圧,Body Mass Index,総コレステロール値,肝機能,貧血,尿糖,喫煙,飲酒,および味付けとの関係について検討した。
統計解析は,Cox の Proportional Hazards Model を用いて,1 年以上の長期要介護および全死因死亡に対するリスク要因の分析を行った。
成績 全死因死亡率は男女の間に2.5倍の差があったが,長期要介護者の割合には差がなかった。長期要介護の原因としては男女ともに脳血管疾患がもっとも多かったが,女では男より,痴呆や骨折による長期要介護者の割合が高かった。
全死因死亡に対する有意なリスク要因としては,男では年齢(ハザード比=2.95),Body Mass Index が20未満(ハザード比=1.64),総コレステロール値が200 mg/d
l 未満(ハザード比=2.01),肝機能異常(ハザード比=2.78),尿糖(ハザード比=2.05),喫煙(ハザード比=1.40),女では年齢(ハザード比=2.76),Body Mass Index が20未満(ハザード比=1.84),総コレステロール値が200 mg/dl 未満(ハザード比=2.19),肝機能異常(ハザード比=3.77),貧血(ハザード比=3.29),喫煙(ハザード比=1.98)であった。
1 年以上の長期要介護に対する有意なリスク要因としては,男では年齢(ハザード比=4.88),高血圧症(ハザード比=5.37),尿糖(ハザード比=2.96),女では年齢(ハザード比=8.87),貧血(ハザード比=2.99),尿糖(ハザード比=6.25)であった。
結論 本研究により,長期要介護を防止するためには,高血圧対策と糖尿病対策が重要であることが示唆された。
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