目的 本研究は,大学生を対象に,喫煙行動,未成年者を取り巻く喫煙に関する社会環境,喫煙健康被害についての知識などに関する調査を実施し,大学生の喫煙行動に関連する要因を喫煙行動別および性別に探ることを目的とした。
調査方法 2002年の 4 月および 9 月に,関東地方にある 5 大学の公衆衛生学関係の講義に出席した学生を対象に行った。調査対象数は1,052人で,男性341人(32.4%),女性708人(67.3%),未記入 3 人(0.3%)であった。有効回答率は98.6%であり,1,037人の結果について報告した。
結果 20歳未満の男性の喫煙率は24.7%,女性では11.9%であり,20歳以上の男性の喫煙率は40.7%,女性では19.4%であった。
日本は未成年者を取り巻く喫煙に関する社会環境が悪いと考えている男性学生は90.0%,女性学生は96.6%であり,女性の方が高かった。中でも,未成年の喫煙に「タバコ自動販売機の設置」が原因であると指摘した学生は約90%であった。
未成年者の喫煙は成年より健康障害が大きいと考えている者は,男性より女性の方が多く,喫煙者よりも非喫煙者の方が多かった。
健康日本21のタバコについての目標値のひとつである「未成年者の喫煙率を2010年までに 0%とする」に関する知識を有する者の割合は,3.5%と非常に少なかった。
テレビの喫煙シーンが未成年の喫煙に影響を与えると考える学生は,喫煙者より非喫煙者の方が多かった。テレビの喫煙シーンへの関心については,喫煙者では「それ程多くない」,非喫煙者では「今後減らすべき」を選択する学生が多かった。
結論 タバコの有害性については,中学や高校で学習しており,一般的知識は有しているが,「未成年者喫煙禁止法」の意味する未成年の喫煙が成人より健康への被害を大きくすることや,健康被害の詳細な内容についてまで熟知している学生は多いとはいえなかった。とくに,喫煙者は非喫煙者より,未成年者への喫煙の健康被害を過小評価していた。
また,喫煙者は,テレビの喫煙シーンが未成年の喫煙に影響を与えることは少なく,喫煙シーンもそれ程多くないと考えている者が多い傾向が認められた。
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