目的 食態度の 1 つである食物選択に関する動機について,本研究では間食の選択に焦点をあて,日本の中学生を対象とした「間食選択動機」調査票を作成し,調査票で確認された各因子の特徴を調べることを目的とする。
方法 東京都内の公立中学校 8 校の生徒1936人を対象に,無記名・自己記入式の横断的調査を行った。「間食選択動機」に関する項目,日本版 DEBQ(The Dutch Eating Behavior Questionnaire)の「外発的摂食傾向」に関する項目,間食に関する行動と環境に関する項目,生活習慣に関する項目,属性についてたずねた。
結果 「間食選択動機」に関する項目22項目について,因子分析を行った結果,「流行・販売促進」,「嗜好・便利性」,「健康・ダイエット」の 3 因子が抽出された。内的整合性の指標であるクロンバック α は,いずれも0.8以上であった。「流行・販売促進」(r=.349,
P<.001)と「嗜好・便利性」(r=.418,
P<.001)の因子得点でのみ,過食傾向を示すDEBQの得点と正の相関がみられ,「健康・ダイエット」の因子得点とは,関連はみられなかった(r=.014, ns)。また,菓子をよく食べている,あるいはよく買っている子どもの方が,「流行・販売促進」と「嗜好・便利性」の因子得点は高く(いずれも,
P<.001),この傾向は,「健康・ダイエット」の因子得点ではみられなかった。「流行・販売促進」はテレビの視聴時間と(β=.060,
P<.05),また,「嗜好・便利性」は家の近くのコンビニの有無と関連があり(β=.109,
P<.001),2 つの因子の特徴が示された。
結論 本研究は,日本の子どもを対象とした「間食選択動機」調査票の作成を試みた初めての研究である。調査票において「流行・販売促進」因子が確認できたことにより,メディアリテラシー教育や消費者教育を取り入れた総合的な教育の可能性を提案した。今後,本調査票の精度を高めるためには,さらなる検討が必要である。
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