Journal of the Japan Petroleum Institute
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45 巻, 1 号
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  • 新しい分析方法の提案と全合成長寿命潤滑油の劣化評価
    加藤 真理子, 関 建司, 平岡 勵, 一本松 正道
    2002 年 45 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ガスエンジン潤滑油は高温にさらされて熱分解を受けたり, 空気や燃焼によって生ずる窒素化合物に触れて酸化, あるいは窒化されるなどして次第に劣化する。潤滑油の劣化が進むと, エンジン効率の低下やエンジンの特定部位に腐食, 摩耗が発生するなどの不具合が生じる。そのため, 適切な周期での潤滑油交換 (更油) が必要となる。
    一般に, ガスエンジン潤滑油は基油と十数種の添加剤を一定の割合で配合されたものである。ところが, 従来から行っている潤滑油分析方法では粘度や酸化度など潤滑油全体の劣化を示すマクロな指標でしか評価されないので, その劣化原因を特定することや適切な更油周期を設定することが難しい。そこで, 新たに基油の分子量変化や, 特定の添加剤個々の変化を定性定量できる分析方法(より正確に潤滑油の寿命を評価できる方法) について検討を行った。これによって油種に関係なく, 基油や極圧剤•中和剤などの添加剤の劣化状況が判断できるようになったので, ここに報告する。
  • 鈴木 研一, 高松 達也, 関口 孔明, 小林 基樹, 尾上 薫, 山口 達明
    2002 年 45 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    等温系反応のスケールアップ因子である接触時間の概念を, 反応場が熱拡散反応管内の高温領域に限られる温度こう配系反応に見かけの接触時間として拡張した。見かけの接触時間は発熱体長さL[m], 反応管断面積S[m2], メタン供給速度F[mmol/min] の三つの操作因子を用いLS/Fで表した。炭素棒発熱体温度が1400K一定下で個々の操作因子を変化させメタンの脱水素カップリングを行い, 以下の知見を得た。(1) Sが0.7×10-3m2付近でメタン転化率は極大を示す。(2) Fが0.45mmol/min以上では, メタン転化率はFと負の相関を示すが, 0.45mmol/min以下ではメタン転化率はほぼ一定となる。(3) Lを0.195mから0.360mに増すとメタン転化率は顕著に増加する。(4) 生成物収率およびその性状はメタン転化率に依存する。(5) 見かけの接触時間が0.1m3min/mol以下では, メタン転化率は見かけの接触時間の増加に伴い増大する。この範囲では, 見かけの接触時間で反応結果が整理可能である。(6) メタン転化率の変化は, 反応管内の循環割合および循環ゾーンの二つの効果に起因すると考えられる。
  • 和田 健司, 山田 弘一, 近藤 輝幸, 光藤 武明
    2002 年 45 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    新規13族元素含有シルセスキオキサンPhB[(Me3SiO)(c-C5H9)7Si7O11] (1) および[PPN]+{Ga[(Me3SiO)(c-C5H9)7Si7O11]2}- (3b) を新たに合成した。さらに, これらの新規シルセスキオキサン, および[HNEt3]+{Al[(Me3SiO)(c-C5H9)7Si7O11]2}- (2), [HNEt3]+{Ga[(Me3SiO)(c-C5H9)7Si7O11]2}- (3a), [C14H18N2H]+[(c-C5H9)7Si7O12GaCl]- (4) 等を723~923Kで焼成することによって, 約5.1Å径で均一に制御されたミクロ細孔のみからなり, 330~520m2g-1の比表面積を示す多孔質固体酸性酸化物を得た。これらの酸化物の物性の詳細な検討により, 細孔構造が前駆体シルセスキオキサンにほとんど依存しないのに対して, 固体酸性は前駆体分子の構造や含有される13族元素, および対カチオンの影響を大きく受けることを明らかにした。中でもアルミニウムおよびガリウム架橋型シルセスキオキサン2, 3aおよび3bを乾燥空気気流中, 823K付近で焼成することによって, 比表面積が大きく, 酸点を豊富に有する酸化物が得られた。特に, 3aから得られた酸化物は強酸点を有するが, 2および3bを前駆体とした場合には弱~中程度の強度の酸点を豊富に有する酸化物が得られた。しかし, コーナーキャップ型のガリウム含有シルセスキオキサン4を前駆体とした場合には, ほとんど固体酸性を示さなかった。酸化物中の13族元素の分散性が前駆体分子に依存することを見い出したが, これらが固体酸性の差異の一因として考えられる。
  • 大塚 晃, 橋本 公太郎, 阿久津 好明, 新井 充, 田村 昌三
    2002 年 45 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    パラフィン燃料をベース燃料とし, セタン価向上剤, 芳香族, 高沸点成分を添加した試験燃料により, セタン価および燃料性状がディーゼル排気中の有害成分, 特に粒子状物質 (PM) とPM中の多環芳香族に及ぼす影響を調べ, 有害排気成分の生成機構を考察した。ディーゼル燃焼排気中のPMに含まれるすす成分 (soot) については, セタン価の増加および芳香族成分の増加による排出量の増加が見られ, SOFに関しては高沸点成分の添加による排出増加が見られた。PM中に含まれるPAHsは, 燃料中に含まれるPAHsの未燃成分が排出する過程の寄与が大きく, PAHsの熱合成においては燃料の芳香族分の寄与が小さいことが示唆される。市販軽油を用いた実験結果もこのことを支持している。また, PAHsの熱合成は, soot の生成機構とは異なる機構で行われることが示唆される。さらに, 燃料のセタン価向上により未燃燃料由来のPAHs排出量が低減することが示された。未燃炭化水素 (THC), 一酸化炭素 (CO), 窒素酸化物 (NOx) については, 既往の研究結果とほぼ適合する結果であった。
  • 石原 達己, 鶴田 祐子, 戸高 利恒, 西口 宏泰, 滝田 祐作
    2002 年 45 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    SrおよびFeを添加したLaGaO3系酸化物からなるホール-酸素イオン混合伝導体を空気分離膜とするCH4の部分酸化反応について検討した。空気からAr中への酸素の透過速度の検討から, La0.7Sr0.3Ga0.6Fe0.4O3が最も大きな酸素の透過速度が得られることがわかった。CH4のCO, H2からなる合成ガスへの部分酸化をFe添加LaGaO3系酸化物を空気分離膜とする膜型反応器で行ったところ, CH4転化率は酸素透過速度に一致して, La0.7Sr0.3Ga0.6Fe0.4O3を空気分離膜とするとき, 最も大きな酸素透過速度が得られることがわかった。そこで, このLa0.7Sr0.3Ga0.6Fe0.4O3は広い酸素分圧下にわたって安定に酸素透過が可能であるとともに, 1273Kで, 厚さ0.5mmという厚板を用いても, 8cm3/min cm2という従来になく大きな酸素の透過が可能であることが明らかになった。また, 反応後の空気分離膜のXRDでは膜にはとくに大きな変化はなく, このFeを添加したLaGaO3が優れた酸素透過特性を有することがわかった。
  • 王 丹紅, 李 相国, 銭 衛華, 石原 篤, 加部 利明
    2002 年 45 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Co/Mo比の異なるCoMo/TiO2触媒を調製し, ジベンゾチオフェン (DBT) の水素化脱硫反応を行った。Co/Mo比が0.2の場合には, Coの添加効果によって触媒の脱硫活性が約2倍増加したが, Co/Mo比が0.2以上では脱硫活性の増加はわずかであった。これに対し, 触媒の水素化活性はCoを添加することによって変化が見られなかった。[35S]DBTの脱硫反応の結果から, Co/Mo比が0.2の場合にはCoの添加効果によって触媒上に交換可能な硫黄量 (S0) が大きく増加したが, Co/Mo比が0.2以上ではS0はわずかしか増加しなかった。これに対し, CoMo/TiO2触媒はMo/TiO2触媒とほぼ同様なH2S放出速度定数を示す。この結果から, CoはMo/TiO2触媒上の交換可能な硫黄量 (活性点数) を増加させることがわかった。
  • 交換性Naイオンによる影響
    萩原 和彦, 海老原 猛, 山田 英永, 渋谷 忠, 内藤 順子, 小沢 泉太郎, 中田 真一
    2002 年 45 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    USYゼオライトを熱処理したときの脱アルミニウム挙動において, イオン交換性Naと雰囲気中のH2Oとの相乗効果をXRD, 固体NMRを用いて考察した。物理吸着水が除去されたUSYゼオライトを乾燥空気中で熱処理したところ, 交換性Naイオンの含有量の増加に伴い脱アルミニウムが進行しにくくなった。さらに, Na含有量の少ない試料では, 熱処理によりSi-OH基が増加した。一方, 100%スチーム雰囲気中でUSYゼオライトを熱処理したところ, Na含有量の増加に伴い結晶性だけでなくNMRでみられる短距離秩序も著しく低下した。このことから, 交換性Naイオンと雰囲気中のH2Oとの相乗効果により, 脱アルミニウムが促進されることが示された。ただし, 熱処理後に残存した結晶領域では, Na含有量が増加すると脱アルミニウムが進行しにくくなった。これは, 一次粒子内でのH2Oの拡散性に起因しているものと推測される。さらに, 熱処理後にいくつかの試料において, 通常-95ppm付近に観測されるSi(2Al)に帰属されるピークが約-92ppmに現れたのは, 脱アルミニウムに伴う骨格構造のゆがみによるものと考えられる。
  • Mure TE, Craig FAIRBRIDGE, Zbigniew RING
    2002 年 45 巻 1 号 p. 53-54
    発行日: 2002/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
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