Journal of the Japan Petroleum Institute
Online ISSN : 1349-273X
Print ISSN : 1346-8804
ISSN-L : 1346-8804
46 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
一般論文
  • 夏 清, 尾花 良哲, 西口 宏泰, 伊藤 正実, 石原 達己, 滝田 祐作
    原稿種別: 一般論文
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 87-92
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    種々のVを含む複合酸化物触媒のイソブタン酸化について調べた。Mg2V2O7, MgV2O6, Mg3V2O8触媒は300℃ 以上で活性を示した。Cu2V2O7, CaV2O6の活性は中程度でBiVO4, Ca7V4O17の活性は低かった。一部の酸化物は比較的強い酸点を有していた。強い酸点量, 弱い酸点量よりも両方の酸量の合計と触媒活性の間にはよい直線関係が見られた。これより, 反応の律速過程はイソブタンの3級炭素に結合している水素の酸点による引き抜きと推定された。Mg1.8M0.2V2O7のMをMn, Cr, Fe, Co, Niで置換した触媒は選択性を変化させることなく活性が向上した。これらの金属イオンの導入は触媒の格子酸素の活性を向上させた。
    W/Fを小さくしていくとイソブテンの選択率は上昇し100%に近づいた。これより, この触媒上ではイソブタンの酸化的脱水素が第1段目の反応であり, 並発的なCOxへの酸化分解過程は存在しないことが推定された。
  • 菊地 英一, 河部 正, 松方 正彦
    原稿種別: 一般論文
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 93-98
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    水素製造を目的としたメタノール水蒸気改質へのメンブレンリアクターの適用を検討した。触媒にCu/ZnO, Ni/Al2O3, Ru/Al2O3を用い, 固定床流通系反応器にて触媒活性, 安定性の検討を行った。これらの触媒の中でNi/Al2O3触媒は723 Kにおいても安定した活性を示したが, メタネーション反応が起こることにより水素収率は低かった。そこでNi/Al2O3を用いた反応系に水素透過型メンブレンリアクターを適用すると水素収率は増加した。また, メンブレンリアクターの効果は高温, 高W/F条件ほど大きかった。
  • 雨宮 正臣, 光来 要三, 持田 勲
    原稿種別: 一般論文
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 99-104
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    約一年間, 減圧軽油 (VGO) を処理した商業装置の触媒床より深度別に採取した廃触媒の組成およびラマン分光分析を行った。触媒上にたい積した炭素質の量は触媒床下部ほど多かった。各位置の触媒のラマンスペクトルを比較したところ, 触媒床上部では触媒粒子内部ほどあるいは触媒床下部になるほど1600 cm-1および1350 cm-1のバンドがシャープになり, 炭化の進行が認められた。各触媒を500℃ 窒素気流下, 2時間焼成した前後のラマンスペクトルを比較したところ, 触媒床上部および中部触媒上の炭素質のバンドはシャープになるが, 触媒床下部の触媒上の炭素質のバンドは変化しなかった。上中部の触媒にたい積した炭素質は500℃ で炭化が進むことを示しており500℃ 以下での生成が示唆される。
    つまり, 触媒層上部にたい積した炭素質はVGOに混入したアスファルテンが吸着し, 反応温度400℃ 近傍で縮合したと考えられる。触媒床下部触媒上にたい積した炭素質は, 水素化処理過程のVGO吸着物が反応熱によって温度上昇し500℃ 以上の高温となった触媒表面で炭化し, ある程度黒鉛化が進行したと推測できる。触媒上にたい積した炭素質の炭化度は触媒表面の熱履歴を反映しており, 炭化度を詳細に調査することによって発熱反応に伴う触媒表面の熱履歴を推定することが可能になるものと考えられる。
  • 田川 智彦, 雨宮 淳一, 後藤 繁雄
    原稿種別: 一般論文
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 105-110
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    トルエンと無水安息香酸からフェニルトリルケトンを誘導するフリーデル・クラフツ型アシル化反応を様々なイオン交換ヘテロポリ酸触媒存在下で試みた。塩化アルミニウム触媒やアシル化剤としての酸塩化物を使用しないのでハロゲンフリーのファインケミカルズ合成プロセスの一例と考えられる。Na, Rb, K, Cs, Ca, Mg, Fe等によるヘテロポリ酸の部分交換を行いその促進効果を検討した。不溶性のH0.5Cs2.5PW12O40触媒が60% という最高収率を示した。収率が上がらないのは副反応によるものと考えた。副反応の抑制にトルエンの沸点以上の高温が適していることが分かったため, 反応を密閉型のステンレスオートクレーブ反応器を用いて行った。410 K以上で, 完全転化が得られ, 副反応も生起しなかった。フェニルトリルケトンの異性体の分布は高温と低温で変化なく, 反応機構は温度に依存しないことが示された。使用済み触媒をトルエンで洗浄することで, 触媒は2回目の使用が可能であった。しかし, 3回目の反応から活性が低下した。
  • プラット アブドワイット, 在原 典男, 真鍋 亮, 池田 憲治
    原稿種別: 一般論文
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 111-125
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    高圧条件における気液2相流挙動の研究として, 実験およびモデル予測を行った。実験は, 管内径106.4 mmのテストループに窒素ガスと水を使用し, テスト区間の傾斜角度を0, 1, および3度として実施した。各傾斜角度における81回の流動実験で得られた液体ホールドアップの解析によって流動様式を確定した。
    低圧条件で構築したメカニスティックモデルを高圧条件に対応して修正した。モデル計算では, まず流動条件における流動様式を予測し, それに基づいて液体ホールドアップおよび圧力損失を計算する。分散気泡流については, 流動様式の予測基準として臨界気泡サイズのメカニズムが適用できること, 液体ホールドアップの予測にはスリップモデルが実験データによく適合することが確認された。高圧条件における層状流の領域は, 低圧における場合よりも高い液体流量域に広がっている。層状流と非層状流の遷移判別には, Taitel-DaklerおよびBendiksen-Espedalの基準式の逐次的適用が有効であり, Lockhart-Martinelliの相関式が層状流の液体ホールドアップ予測に有効である。高圧における伸長気泡流の流動領域は, 液体流量の増加に伴い, 分散気泡領域に直接遷移する。液体ホールドアップおよび圧力損失の計算結果に関する誤差分析によって, モデルの計算精度が高いことが確認された。
  • 笠井 尚哉, 関根 和喜, 丸山 裕章
    原稿種別: 一般論文
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 126-132
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    漏えい磁束探傷法を用いて, 石油タンク底板裏面に生じる孔食および局部腐食等のきずを定量的に評価する手法を検討した。本研究では, まず種々のサイズの人工裏面きずを持つ平板試験体を対象に, 裏面きずに起因する空間漏えい磁束密度分布を実験的に計測し, この漏えい磁束密度の垂直成分の分布と強度からきず深さや残存肉厚量が評価できることを明らかにした。これは, 局部腐食を単純化したモデリングの解析的表現式によって得られた計算結果と同様であった。次に, これらの実験的および理論的に得られた知見を用いて, きずサイズや残存肉厚量を求める定量的きず評価手法を提案した。さらに, 本研究で提案した評価手法の有効性を確認するために, 異なるタイプのきずとして, 円すい状きずの漏えい磁束密度分布を計算および測定した。この手法を用いることにより, 円すい状きずの漏えい磁束密度分布を再現することができた。
ノート
  • 三村 直樹, 稲葉 仁, 村田 和久
    原稿種別: ノート
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 133-137
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    ハイスループットスクリーニング (HTS) 手法をメタン分解に用いられるニッケル系触媒の探索に適用した。その結果, H-beta (SiO2/Al2O3 = 150) , H-beta (25) , およびH-ZSM-5 (90) が高活性な触媒担体として見い出され, 18の担体から三つの高活性な担体を選び出すのに要した時間は従来と比較して約1/3に減少した。また, 最適なニッケル担持量は5~10 mmol g-support-1であった。HTSによって得られた結果は, 従来型反応器による結果と整合性があった。
  • 今村 成一郎, 高井 謙次, 山手 友行, 兎谷 和徳
    原稿種別: ノート
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 138-141
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    1,2-ジクロロエタンの分解をチタニアシリカに担持したRu, Rh, Pd, Pt, Cu, およびCr触媒を用い空気中で行った。Ruを用いた場合には400℃ という低温で大量の分子状塩素 (Cl2) が生成したが, Rh, Pd,やPtなど他の貴金属上では450℃ においてもCl2の生成は見られなかった。CuとCrはCl2生成活性があったが, これらの触媒上で650℃ において見られたCl2生成の最高活性はRuの400℃ でのそれを上回ることはなかった。
  • 橋本 公太郎, 中島 拓, 新井 充, 田村 昌三
    原稿種別: ノート
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 142-147
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    着火性の低い (低セタン価) ディーゼル燃料は低温始動性が悪く, ディーゼルノックを起こすなどの問題があるため, そのセタン価を向上させる必要がある。セタン価向上法としてはセタン価向上剤の添加が挙げられるが, セタン価向上剤の添加はコストがかかるため, 新たなセタン価向上法の開発が期待されている。筆者らは, ディーゼル燃料を自動酸化することにより過酸化物を生成させ, その過酸化物によるセタン価向上法を提案した。炭化水素の分子構造が自動酸化による過酸化物生成に及ぼす影響および生成した過酸化物のセタン価向上効果に及ぼす影響を把握することは, 自動酸化によるセタン価向上を実用化する上において重要である。そこで, 本研究では, まず飽和炭化水素の炭素数, 枝分かれが自動酸化による過酸化物生成量に及ぼす影響を調べた。その結果, 直鎖の炭化水素においては, 炭素数が小さいほど自動酸化による過酸化物濃度は高くなった。次に, 生成した過酸化物のセタン価向上効果を測定した。その結果, 直鎖の炭化水素においては, 炭素数が小さいほど過酸化物のセタン価向上効果が大きくなる結果となった。さらに, ナフタレン類には自動酸化による過酸化物生成を抑制する効果が認められた。
  • 佐藤 光三
    原稿種別: ノート
    専門分野: その他
    2003 年46 巻2 号 p. 148-153
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/26
    ジャーナル フリー
    界面張力予測のためにパラコール法が広く用いられているが, 予測精度が高くない場合にはパラコール法パラメーターの調整が必要となる。この種のパラメーターに対する界面張力予測の敏感度を理解するために, Weinaug and Katz法 (WKM) ならびにLee and Chien法 (LCM) を取り上げて検討した。その結果, 回帰においてスケーリング指数のみを調整しても良好な結果につながるとは限らず, パラコール(あるいはそれに関連した変数)を回帰パラメーターに含めるべきことが判明した。また, WKMはスケーリング指数とパラコールとの相互関係を無視しているため, 非現実的なパラメーター調整を引き起こしうることが確認された。これと対照的に, LCMはパラコールの定義に準じた手法であり, 界面張力予測を現実的なパラメーター調整の範囲内で可能とする傾向が見受けられる。
feedback
Top