脱硫触媒上の活性サイトを分析する新たな手法を開発するため,ゼオライト細孔構造の有力な解析法である
129Xe NMR(nuclear magnetic resonance)のMo/Al
2O
3触媒への適用を検討した。Mo/Al
2O
3触媒の
129Xe NMRスペクトルを測定したところ,Al
2O
3表面上に若干存在するミクロ孔内を運動するXeのピークが1種類観測された。このピークの化学シフトδをNMR測定時のXe吸着量
N に対してプロットした結果,硫化されたMo/Al
2O
3触媒ではδの非直線的な変化が現れた。この結果は,Xeが表面上のMo種と電子的に強く相互作用していることを示している。さらに,Xeと触媒表面との衝突に主に依存する項δ
0を,プロットの理論式へのフィッティングにより算出した。その結果,Mo量の増加に伴いδ
0は大きくなった。この結果は,Xeの運動が表面上のMo種によって阻害されていることを示している。硫化温度が上昇した場合でも,同様にδ
0は大きくなり,XPSによるMoの硫化の進行度とほぼ一致した。このことは,δ
0が表面上でのMoS
2微結晶の形成状態に敏感であることを示している。すなわち,
129Xe NMRがMo/Al
2O
3触媒上のMoS
2微結晶の形成状態を分析しうる有力な手段であることが示唆された。
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