FCCガソリン(CCG)の水素化脱硫をCo-Mo/γ-Al
2O
3触媒を使用して検討した。硫黄化合物は脱硫されたが,硫化水素とオレフィンの反応によりチオールが生成した。
チオフェン,
n-オレフィン,イソオレフィンを使用したモデル反応で,硫化水素とCoのこれら反応に与える影響を調べた。Coの添加により,脱硫反応は促進されたが,
n-オレフィンの水素化反応は阻害され,イソオレフィンの水素化反応はほとんど影響を受けなかった。この実験に基づき,触媒上にチオフェンの脱硫活性点,
n-オレフィンの水素化活性点,イソオレフィンの水素化活性点という三つの異なる活性点の存在を提案した。イソオレフィンの反応において,オリゴマーの生成を確認し,これを応用してコーキング処理による脱硫選択性(脱硫活性とオレフィン水素化活性の比)の向上を検討した。
商業規模のCCG脱硫プロセスを設計し,反応シミュレーションモデルを検討した。脱硫されたCCG中のチオフェン,チオール,オレフィンの量を計算できる式を作成し,その精度を検証した。
これら研究成果は,20,000 BPSDの商業規模実証化装置に結実し,2004年より硫黄分10 ppmのサルファーフリーガソリンの製造が開始された。
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