Journal of the Japan Petroleum Institute
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53 巻, 6 号
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一般論文
  • 王 磊, 田畠 健治, 蒲池 利章, 大倉 一郎
    原稿種別: 一般論文
    2010 年 53 巻 6 号 p. 319-326
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    アンモニア酸化細菌Nitrosomonas europaeaが有する酵素,アンモニアモノオキシゲナーゼ(AMO)は,アンモニアだけでなくメタンの水酸化反応の触媒としても機能する。このメタン水酸化反応では,基質であるメタンと酸素のほかに電子供与体が必要である。そこで本研究では,N. europaeaの菌体を用いたメタノール合成に対する電子供与体の影響を調べた。電子供与体としてアンモニアとヒドロキシアミンを用い,これらのAMO活性およびメタノール合成反応に対する影響を調べたところ,低濃度の電子供与体の添加により,AMO活性が高くなることが分かった。また,低濃度の電子供与体を断続的に添加することにより,メタノール生成量を増加できることが分かった。
  • 崎谷 一樹, 中村 健一, 池永 直樹, 三宅 孝典, 鈴木 俊光
    原稿種別: 一般論文
    2010 年 53 巻 6 号 p. 327-335
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    固定床流通反応系により高比表面積ZrO2に担持したNiO–POn触媒を用いてエタンの酸化的脱水素反応を450℃常圧下で検討した。エタンを不活性ガスで希釈することなく,エタン酸素比2 : 1で行い,エタン転化率32.1%,エチレン選択率64.2%,エチレン収率20.6%を得た。触媒活性は少なくとも12時間は一定の値を示した。X線光電子スペクトルにより,NiO/ZrO2触媒を用いるとNiOが反応中にNi金属に還元されるのに対し,POnを添加した触媒では反応後もNiOの状態であった。高いエチレン選択性を得るためには,脱水素反応中にNiOがNiに還元されないことが重要で,POnのNiO/ZrO2触媒への少量添加はNiO の還元を抑制し,高いエチレン選択性に寄与した。
  • 藤山 優一郎, Mohammad H. Al-Tayyar, Christopher F. Dean, Abdullah Aitani, H ...
    原稿種別: 一般論文
    2010 年 53 巻 6 号 p. 336-341
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    製油所でのプロピレン収率の増大を目指し,高過酷度流動接触分解(HS-FCC)と名づけたプロセスを開発した。本プロセスにおいては特殊な開発触媒,プロピレン生産のために最適化した反応条件,ダウンフローリアクターの組合せによってプロピレン収率を最大化する。本論文においては反応条件の最適化および触媒開発について報告した。反応条件の検討については,反応温度を高くすることにより水素移行に比べ分解反応を優勢にすることができ,生成物のオレフィン/パラフィン比を高くできることを見出した。同時に短接触時間とすることで水素移行や熱分解などの二次的に発生する反応を抑制した。さらに,触媒/油比を高くすることで高温で加速される熱分解反応の寄与を抑制することができた。商業装置では高触媒/油比は熱バランス上,反応器を高温に保つためにも必要である。高温で用いる場合に高いオレフィン収率をもたらしうる触媒の開発を行った。酸密度の低いゼオライトを採用することでオレフィン収率を低下させる原因となる水素移行反応を抑制でき,高いオレフィン収率を達成しうる触媒組成を見出した。
  • 戸井田 康宏, 中村 一穂, 松本 幹治
    原稿種別: 一般論文
    2010 年 53 巻 6 号 p. 342-350
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    固体超強酸系脱硫剤(硫酸化アルミナ)の市販灯油脱硫性能を回分式および流通式実験装置で評価した。酸性吸着剤,特に硫酸化アルミナを使用した吸着脱硫は,市販灯油の温和な条件での脱硫において有望な方法であった。酸性質が吸着性能に影響しているものと思われた。酸化銅-酸化銀担持活性炭系脱硫剤0.3 l およびルイス酸性硫酸化アルミナ系脱硫剤3.8 l を直列に配置した吸着剤の組合せ4.1 l について,市販灯油の長期吸着脱硫性能評価を,水素供給なし,常温,PEFC約350 W相当の流量である105 cm3/hで実施した。チオフェン類およびベンゾチオフェン類の硫黄化合物は2300時間を過ぎても検出されなかった。ジベンゾチオフェン(DBT)類の硫黄化合物は810時間まで検出されなかったが,2000時間で0.02 mass ppm,2300時間で0.03 mass ppmに達した。特に,C3-アルキル-DBTは除去が難しかった。
ノート
  • 山城 崇, 成田 廣大, 佐藤 寛次, 野村 正幸, 中田 真一
    原稿種別: ノート
    2010 年 53 巻 6 号 p. 351-354
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    グリーンケミストリーの概念に基づき,アルカリ金属イオン交換β-ゼオライトを用い,2’-ヒドロキシアセトフェノン類とベンズアルデヒドからカルコンおよびフラバノン誘導体を合成した。用いた触媒の塩基度(H)は,マロン酸誘導体とベンズアルデヒドの縮合によるKnoevenagel反応で評価した。塩基度(H)の順位は,Cs交換β-ゼオライト>K交換β-ゼオライト>Na交換β-ゼオライトとなり,それぞれのアルカリ金属イオン交換β-ゼオライト骨格M(AlO2の酸素電荷強度順と一致した。カルコンおよびフラバノン類への転化率ならびにフラバノン類への選択率はβ-ゼオライト触媒の塩基性が高いほど増加した。本反応は,触媒表面に吸着された2’-ヒドロキシアセトフェノン類のアセチル基プロトンがベンズアルデヒドへ付加し,次いで脱水により反応が進行するが,塩基性が高いβ-ゼオライト触媒ほどアセチル基プロトンの引き抜きが促進された。反応の第二段階である2’-ヒドロキシカルコン類からフラバノン類への閉環反応は,2’-ヒドロキシカルコン類が形成している分子内水素結合力により抑制されることが分かった。
  • 鈴木 邦夫, 羽田 政明, 佐々木 基, 浜田 秀昭
    原稿種別: ノート
    2010 年 53 巻 6 号 p. 355-358
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    ディーゼルエンジンからの排ガス中のNOを除去する方法として,NH3を還元剤として利用する選択的接触還元反応に注目し,模擬排ガス中に5種の有機物を添加し,Cu/ZSM-5の触媒活性に与える影響を調べた。低温での有機物添加はNO還元活性を低下させた。活性への影響は添加する有機物により異なり,反応温度200℃での活性劣化の大きさは,アセトアルデヒド>n-デカン>p-キシレン,デカン酸メチル>m-キシレンの順であった。失活した触媒を500℃で酸素処理することにより活性は回復しており,活性劣化の原因は触媒上への炭素質の析出のためと考えられる。
技術報告
  • 倉田 正治, 伊與泉 剛, 相澤 直之
    原稿種別: 技術報告
    2010 年 53 巻 6 号 p. 359-364
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    不織ポリプロピレン繊維製油吸着シートとヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析計(HSGCMS)のオートサンプラー用スクリューキャップ付きバイアル瓶を法科学分野における液状揮発性石油試料の採取・保存用キットとして検討した。石油試料として自動車ガソリンと灯油を用いた。それらのHSGCMSの分析結果は,このキットが採取・保存用として従来用いられてきたガーゼとポリ袋のセットに比べて石油試料の吸着保持力が極めて高く汚染も極めて少ないことが分かった。このキットは犯行現場でまかれたり,水面に浮いていたりした石油試料の採取・保存に適している。このキットで採取・保存された石油試料は,そのままオートサンプラーに設置してHSGCMSの分析ができる。
レター
  • Mosharof Hossain, 鳥羽 誠, 阿部 容子, 望月 剛久, 葭村 雄二
    原稿種別: レター
    2010 年 53 巻 6 号 p. 365-366
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    魚油から調製した高度に不飽和なバイオディーゼル燃料の酸化安定性の向上を目的に5種類の合成抗酸化剤の効果について検討した。ブチルヒドロキシトルエン(BHT),没食子酸プロピルおよび没食子酸ドデシルは魚油バイオディーゼルの酸化安定性向上に効果的でなかったが,t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)は酸化安定性向上効果が大きかった。テトラデカンに5質量%魚油バイオディーゼルを混合した油の酸化安定性向上効果は,BHTを添加した場合の方が,TBHQを添加したよりも混合油への溶解度の違いから長続きすることが分かった。
  • 渡辺 圭太, 小森 信吾, 宮尾 敏広, 東山 和寿, 山下 壽生, 渡辺 政廣
    原稿種別: レター
    2010 年 53 巻 6 号 p. 367-368
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/01
    ジャーナル フリー
    本研究室で独自に開発した噴霧プラズマ法によりNi-Fe-Ce複合酸化物触媒を調製し,高温水性ガスシフト反応に対する触媒活性を測定した。その結果,反応温度400℃において市販のFe-Cr触媒を上回るCO転化率を示した。同様の手法で調製したNi-Fe-Al複合酸化物触媒と比較し,高いCO転化率を示すとともに,燃料である水素を消費してしまうメタン化反応を大幅に抑制できることが分かった。このメタン化反応が抑制された理由として,Niとセリウム酸化物の強い相互作用が示唆された。また,本触媒を1 kW実機に搭載して長期試験を行った結果,数十時間の反応でも安定した性能を維持できることが示された。
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