Journal of the Japan Petroleum Institute
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55 巻, 2 号
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総合論文
  • 恩田 歩武
    原稿種別: 総合論文
    2012 年 55 巻 2 号 p. 73-86
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    比較的温和な水熱反応と固体触媒反応を組み合わせる方法によりセルロースからグルコースを得るプロセスは,セルロース系バイオマスを利用する持続型社会の実現において重要な技術の一つとして期待される。著者らは,H型ゼオライトや硫酸基およびスルホ基を有するものなどを固体触媒に用いて,β-1,4-グリコシド結合をもつセルロースに対して150℃付近の温度で触媒水熱反応を行ったところ,スルホン化活性炭(AC–SO3H)触媒が高いグルコース収率を示すことを見出した。この水熱前処理したスルホン化活性炭触媒が優れた触媒特性を示したのは,水熱反応場で安定であり,強酸性のスルホ基を持ち,単糖ではなく多糖を吸着しやすい活性炭表面を有するためである。また,そのスルホン化活性炭触媒に貴金属の白金微粒子を担持した二元機能触媒(Pt/AC–SO3H)は,活性炭に含侵法で白金微粒子を担持し,それをスルホン化することにより調製した。Pt/AC–SO3H触媒を用いたワンポット反応により,水溶媒中120℃空気雰囲気において,デンプンやセロビオースからグルコン酸を得た。
  • 浜田 秀昭, 羽田 政明
    原稿種別: 総合論文
    2012 年 55 巻 2 号 p. 87-98
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    COによるNO選択還元に活性を示すIr/SiO2触媒の性能改良研究をまとめた。Ir/SiO2に対する添加物効果を調べたところ,Nb2O5とWO3が特に高い活性向上効果を示した。これらの触媒は,Ir/SiO2と異なり,SO2が反応ガス中に存在しない条件でもNO還元活性を示した。Nb2O5の添加は,触媒活性種であるIr金属を安定化するものと考えられた。同様に,WO3添加Ir/SiO2触媒においては,WO3と強く相互作用したIr (Ir–WO3)が触媒活性種と推定された。Ir–WO3活性種は触媒を高温で焼成することにより選択的に生成できた。Ir/WO3/SiO2に対してはBaの添加が触媒活性と耐久性をさらに向上させた。ハニカムに担持したBa/Ir/WO3/SiO2触媒は実ディーゼル排ガスに対しても高いNO還元活性を示すことが確認された。
一般論文
  • 木村 俊之, 末崎 千恵, 坂下 幸司, 黎 暁紅, 浅岡 佐知夫
    原稿種別: 一般論文
    2012 年 55 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    ノルマルヘプタンを原料としてヘビーナフサ異性化触媒の開発を行った。ライトナフサ異性化触媒として開発されたPd/ナノサイズAl2O3/H-BEAゼオライト複合触媒はノルマルへプタンにおいてもナノアルミナ複合効果を発揮したが,高転化率では分解反応が進行した。そこで触媒の残留塩素除去処理を行ったところ,高転化率,高選択性を発揮したことから,残留塩素が塩化アルミニウムのような強い酸点となり,分解活性点として働くと考えられた。また,複合化したナノアルミナは,ゼオライトの強酸点をマイルド化し分解反応を抑制する効果があることが明らかとなった。ナノシリカとの複合化ではその効果が現れなかったことから,ナノアルミナの塩基性によって,ゼオライト表面の強酸点が中和されたと推測された。アルミナ複合触媒は,塩素除去処理を行うことで分散性が約2倍になったことから,ナノアルミナが有する塩素吸着能がパラジウムの分散性に効果的に働いたと推測された。
  • 神田 康晴, 中田 圭輔, 天満 千智, 杉岡 正敏, 上道 芳夫
    原稿種別: 一般論文
    2012 年 55 巻 2 号 p. 108-119
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    リン化ロジウム(Rh2P)触媒の活性点形成とその水素化脱硫(HDS)活性に対する担体の影響について検討した。担体には金属酸化物(MOx: SiO2,Al2O3,TiO2,MgOおよびZrO2)を用いた。いずれの担体の場合でも担持ロジウム-リン(Rh–P)触媒を水素還元するとRh2Pが生成した。一方,Rh2Pの生成温度は担体により異なった。このRh–P触媒のHDS活性は還元温度によって大きく変化した。最適な温度で還元したRh–P/MOx触媒のHDS活性の序列はSiO2~TiO2~Al2O3>MgO>ZrO2となった。また,還元温度を上昇させるとRh–P/MOx触媒のTOFは増加し,これはRh2Pが生成したためであることが分かった。Rh–P/MOx触媒のTOFの序列はTiO2>ZrO2>Al2O3>SiO2>MgOとなり,これはチオフェン転化率の序列とは一致しなかった。Rh–P/TiO2触媒が高いTOFを示した原因としては,部分的に硫化されたTiO2の生成が挙げられる。一方,Rh–P/MgO触媒のTOFが低かったのは,MgOは塩基性担体であり耐硫黄性が低かったためと考えられる。
  • Pusparatu , 羽賀 悠治, 青山 清忠, 小村 賢一, 窪田 好浩, 西村 陽一, 杉 義弘
    原稿種別: 一般論文
    2012 年 55 巻 2 号 p. 120-131
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    水酸化テトラエチルアンモニムを構造誘起剤として用いるドライゲル変換法によりベータゼオライト(BEA)を合成し,ヘキサンの異性化-クラッキング触媒機能をモルデナイト(MOR),ZSM-5(MFI)およびZSM-22(MWW)と比較した。異性化生成物である分岐アルカン(b-C6: 2-および3-メチルペンタン,2,2-および2,3-ジメチルブタン,b-C5: 2-および3-メチルブタン,2,2-ジメチルプロパン,b-C4: 2-メチルプロパン)の選択率(炭素基準)は,ゼオライト構造に依存し,BEA>MWW>MFIの順に減少した。これらのゼオライトのうち,BEAが最も高い異性化活性と選択率を示し,またMFIが最も高いクラッキング活性と選択率を示した。これらの差はゼオライトの空孔構造,酸的性質および反応パラメーターに起因すると考えられる。ヘキサンの異性化に与えるBEAのSiO2/Al2O3比の影響を検討したところ,分岐アルカン選択率は,比によらずほぼ一定であったが,比を大きくするとb-C5およびb-C4の選択率が低下した。これらの結果は,異性化は酸量に依存しないが,クラッキングは酸量に依存することを示している。また,触媒中の酸量を一定にした場合,反応活性および分岐アルカン選択率はほぼ一定であったが,b-C5およびb-C4の選択率が低下したことからb-C4およびb-C5の生成は酸密度に依存することが分かった。本研究の結果は,ベータゼオライトの酸点はSiO2/Al2O3比に関わらず,異性化に対し均一の活性を有すると結論される。
  • 北牧 祐子, 加藤 健次
    原稿種別: 一般論文
    2012 年 55 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    (独)産業技術総合研究所計量標準総合センター(NMIJ, AIST)では,トレースレベルの硫黄分を精確に測定するための校正用標準液,NMIJ RM 4216-aを開発した。開発した標準液は,液体燃料中のトレースレベルの硫黄分を測定するときの機器校正用として使用できる。標準液の原料には高純度トルエンを用い,硫黄分の参考値は,アンプル詰めした候補標準を分析して値付けした。硫黄分の参考値は19 μg · kg−1,拡張不確かさは5 μg · kg−1k=2)である。測定には,燃焼-紫外蛍光法を採用し,トルエン中の硫黄分の決定は標準添加法で行った。
ノート
技術報告
  • 佐藤 信也, 鷹觜 利公
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 55 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    実験室において簡便にアスファルテンの溶剤分別を行うために,テフロン製担体を充填したカラムを用いたアスファルテン分離法を提案した。この方法では,内径10~30 mmのカラムに高さ100 mmに充填した充填剤をヘプタンで洗浄した後,重質油のヘプタン溶液を通し,次いでヘプタンでカラム内のマルテンを回収する。マルテンの回収が終了した後,カラムの下部からジクロロメタンを送り,アスファルテンを溶解させ,カラム上部から回収するというものである。本法で処理可能なアスファルテン保持量の上限はカラムの断面積に比例し,内径20 mmのカラムでは0.8 g,アラビアンライト減圧残油の処理量として約8 gであった。本法により回収されたマルテンとアスファルテンの回収率および各成分のH/C原子比は遠心分離法によるものの値と誤差範囲で一致していた。このことから,両者は同等の回収法であると言えた。また,アスファルテン回収量が50 mg程度の少量の場合でも適用可能であった。
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