Journal of the Japan Petroleum Institute
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55 巻, 6 号
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総合論文
  • 壱岐 英, 井口 靖敏
    原稿種別: 総合論文
    2012 年 55 巻 6 号 p. 349-357
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    1次エネルギーの多様化およびCO2排出量削減の観点から,バイオマス燃料の利用は有効な選択肢の一つである。代表的なディーゼル車用バイオマス燃料として,動植物油脂を原料とする燃料が挙げられる。本研究では石油精製用触媒を用いてパーム油を水素化処理した場合の反応性について検討した。また,パーム油の水素化処理によって得られた生成油の燃料としての性状について評価し,自動車用燃料としての適合性について検討を行った。その結果,動植物油脂を水素化処理することによって,低分子量化および不飽和結合の飽和化が達成され,安定性に優れた高セタン価の軽油相当燃料(Bio hydro-fined diesel: BHD)が得られることが分かった。このとき,生成する軽油留分は直鎖の飽和炭化水素である。この水素化処理の主反応である水素化脱酸素反応では,酸素分が水として脱離する水素化(脱水)反応と,二酸化炭素として脱離する脱炭酸反応があり,その反応選択性は触媒の種類(NiMo,CoMo)や反応条件によって影響されることが分かった。一般軽油にBHDを10 %混合した燃料による自動車燃料としての適合性検討では炭化水素,CO,PM(Particulate matter)といった排ガス性状を評価し,一般軽油とほぼ同等の性能を有することが示された。CO2排出量のインベントリー分析やエネルギー効率計算によって,BHDのWell-to-WheelでのCO2排出量は既存の軽油の約3分の1と推算され,CO2排出量削減に大きな貢献が期待できる。また,BHDがFAMEとほぼ同等のCO2排出量ならびにエネルギー効率で製造可能であることが明らかとなった。
一般論文
  • 柳田 高志, 阿久根 亮, 宗綱 洋人, 美濃輪 智朗, 松村 幸彦
    原稿種別: 一般論文
    2012 年 55 巻 6 号 p. 358-362
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    バイオディーゼル燃料(BDF)の製造において,脱水は不可欠な工程である。現在の脱水方法は加熱による脱水方法が主流であり,省エネルギーの観点から十分に効率的とは言えない。投入エネルギーの少ない方法としては吸着剤の使用が考えられるが,BDFの脱水工程に吸着剤を使用した報告は見あたらない。そこで,本研究では,BDFの脱水に吸着剤を用いる実験を行い,その可能性を検討することを目的とした。吸着剤としてモレキュラーシーブを用い,吸着等温線を決定し,水分の吸着特性を決定した。また,充填層を用いて連続的に脱水ができることを確認し,破過曲線を得た。さらに,吸着剤の再生利用において,軽油で洗浄後,加熱することによって少なくとも18回以上吸着能力を回復できることを見出した。
  • 杉本 義一, 堀江 裕吉, 竿留 良明, Tugsuu Tserendorj, Enkhsaruul Byambajav
    原稿種別: 一般論文
    2012 年 55 巻 6 号 p. 363-370
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    モンゴル産原油および蒸留留分の性状,化学組成および反応性を調べ,中国産原油や中東産原油と比較した。モンゴル産原油は,パラフィン分に富む,流動点が高い(>+17 ℃),硫黄含量(0.09~0.24 %)やバナジウム含有量(<1 ppm),残留炭素(<4.76 %)が少ない,常圧残油留分が多い(68~83 %)などの特徴があり,中国産の大慶原油に類似していた。大慶原油やモンゴル産原油のようなパラフィン系原油の中質および重質留出油は,多量の飽和分(>85 %)や直鎖パラフィン(35~50 %)を含んでいた。一方,窒素含量については,今回調べたモンゴル産,中国産および中東産の原油および蒸留留分において,大きな相違がなかった。留出油および常圧残油留分の水素化処理を行い,脱硫および脱窒素反応性を比較した。中東産の高硫黄原料油に比べて,モンゴル産や中国産の低硫黄原料油の脱硫速度は非常に大きかったが,脱窒素速度は同程度であった。低硫黄原料油と中東産混合原料油との脱硫速度の比は,中質留出油で6~14倍,重質留出油で7~12倍,常圧残油留分で5~6倍であり,脱窒素速度の比は,それぞれ1~2<倍,1~2.3倍,0.6~1倍であった。多環芳香族分は比較的容易に単環芳香族分に水素化されたが,飽和分にまでは水素化されなかった。
ノート
  • 幾島 嘉浩, 幾島 將貴, 山口 修平, 八尋 秀典
    原稿種別: ノート
    2012 年 55 巻 6 号 p. 371-375
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    CH4中に含まれている少量のH2Sを除去するための金属担持活性炭吸着剤について検討した。銅を担持した活性炭を調製し,カラム式評価装置を用いてH2S吸着実験を行った結果,高いH2S吸着能を示した。さらに,銅を担持した活性炭を用いて,実用化に必要な活性炭の吸着帯の幅と速度を見積もった。エネルギー計算では,金属イオンに配位している酸素原子をすべて水分子として仮定し,それが硫化水素と入れかわったときのエネルギー差を分子軌道計算プログラムGaussian 09を用いて算出した。エネルギー計算結果から,種々の金属(イオン)を担持した活性炭の中で,Cu0,Cu種を担持した活性炭が高いH2S吸着能力を有することが明らかとなり,計算による結果が実際の吸着実験結果と比較して妥当であるとの知見を得た。
レター
  • ナダゲリ ジャイプラカシュ, 日吉 範人, 山口 有朋, 佐藤 修, 白井 誠之
    原稿種別: レター
    2012 年 55 巻 6 号 p. 376-379
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/01
    ジャーナル フリー
    担持ルテニウム触媒を用いてレブリン酸メチルの低温液相水素化反応を行った。反応温度343 Kでのニート条件では,導入したレブリン酸メチルは全て水素化されたが,4-ヒドロキシペンタン酸メチルとγ-バレロラクトンの収率がそれぞれ65 %と35 %であった。反応時間を延ばしてもそれぞれの収率は変わらなかった。反応系内に水とレブリン酸を添加するとレブリン酸メチルの水素化反応速度とγ-バレロラクトンの収率が向上した。反応温度363 K,水とレブリン酸の添加の条件によりレブリン酸メチルから99 %以上の収率でγ-バレロラクトンが得られた。
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