Journal of the Japan Petroleum Institute
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56 巻, 1 号
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総合論文
  • 松村 幸彦, 原 翔太郎, 上中 康平, 山下 泰直, 吉田 拓也, 井上 修平, 川井 良文, 美濃輪 智朗, 野口 琢史, 清水 嘉久
    原稿種別: 総合論文
    2013 年 56 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/01
    ジャーナル フリー
    超臨界水ガス化は含水性バイオマスの効率的なガス化プロセスとして期待されているが,その反応速度式は実際のバイオマスについて決定されていない。本研究では7種類のバイオマス原料を超臨界水ガス化反応器内で懸濁活性炭触媒を添加した場合と添加しない場合についてガス化し,総括反応速度を決定した。原料はガス化特性に応じて3種類に分類することができた。代表的なガス化速度パラメーターも示された。均一反応については前指数項が50.0 s−1,活性化エネルギーが67.9 kJ/molとなった。セルロース含有量が高い原料の不均一反応については前指数項が4.87×109 s−1,活性化エネルギーが161 kJ/molとなり,セルロース含有量が低い場合には前指数項が1.91×104 s−1,活性化エネルギーが84.2 kJ/molとなった。
  • 大島 一真, 品川 竜也, 関根 泰
    原稿種別: 総合論文
    2013 年 56 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/01
    ジャーナル フリー
    メタンからエチレン,メタノール,ベンゼン,炭素,水素および合成ガスへの転換について数多くの研究が行われてきた。これら反応はメタン中の安定なC-H結合により高温を必要とし,逐次反応による目的生成物選択率の低下や,多段の熱交換や高温に耐えうる材料などが要求されるなど多くの問題がある。これを解決すべく,これまでにプラズマやNEMCAなど,低温でメタンを活性化させる試みが行われてきた。これらを総括し,併せて我々の取組みを紹介する。
一般論文
  • 津野地 直, 古本 祥康, 井出 裕介, 定金 正洋, 佐野 庸治
    原稿種別: 一般論文
    2013 年 56 巻 1 号 p. 22-31
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/01
    ジャーナル フリー
    1,6-ジアミノヘキサン,n-ブチルアルコールおよび1-エチルピリジニウムブロミドを構造規定剤に用いてSiO2/Al2O3比57,81,112および140のTON型ゼオライトを合成した。10員環(0.46 nm×0.57 nm)のストレートチャンネルのみを有するゼオライトであるHTON型ゼオライトの低級オレフィンへのエタノール転化性能について検討した。 低級オレフィン(エチレン,プロピレン,ブテン)収率は用いたHTON型ゼオライトのSiO2/Al2O3比および反応条件(温度,接触時間)に大きく依存したが,プロピレン収率は約25 C-%と比較的高い値が得られた。また,SiO2/Al2O3比の高いHTON型ゼオライトほど比較的安定した触媒性能を示した。これらの結果は,10員環のストレートチャンネルのみを有するTON型ゼオライトはエタノールからのプロピレン合成のための触媒として高いポテンシャルを有していることを示している。HTON型ゼオライトの触媒性能はストロンチウム修飾により若干向上した。
  • 尾山 宏次, 柴田 元, 仲野 誠一, 礒田 透
    原稿種別: 一般論文
    2013 年 56 巻 1 号 p. 32-43
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/01
    ジャーナル フリー
    エンジン内の予混合気形成における燃料中の燃料組成の影響を調べるために,13種類の炭化水素化合物を混合して作った10種類のモデルガソリンを用い,高速ガスサンプリング装置による気筒内混合気のサンプリングおよびガスクロマトグラムによる分析を行い,燃料中の炭化水素化合物の点火前の蒸発した割合を定量的に調べた。その結果,いずれの試験条件においても炭化水素化合物の蒸発した割合はほぼ沸点が高いものほど順に低くなる傾向があった。また,冷機時を想定した条件で気筒内の蒸発量に影響し始める成分はm-xylene(沸点:139 ℃)以上の沸点成分の炭化水素化合物と考えられた。さらに,飽和蒸気圧から導いた蒸発速度の式を用いて求めた蒸発量の計算結果と実験値を比較したところ,かなり良い相関があることが確認できた。これにより各炭化水素化合物間の相対的な蒸発挙動は飽和蒸気圧で特徴付けられた関係で決まることが示唆された。
  • 杉本 義一, 堀江 裕吉, 竿留 良明, Tugsuu Tserendorj, Enkhsaruul Byambajav
    原稿種別: 一般論文
    2013 年 56 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/01
    ジャーナル フリー
    流通式反応装置を用い,440~520 ℃,N2 0.2~0.8 MPaの反応条件下でパラフィン系常圧残油の熱分解反応を行い,生成物分布に及ぼす反応温度と圧力の影響を調べた。減圧残油分は480 ℃まで徐々に減少し,それ以上の温度ではほとんど消失した。それに伴い,全留出油とコークの収率は増加し,480 ℃以上ではほぼ一定となった。重質留出油の収率は480 ℃以上で増加したことから,軽質留出油の収率は480 ℃で最高となり,それ以上の温度では減少した。反応圧力が高いほど,重質留出油の収率が減少するとともに,軽質な留出油およびコークが増加した。二種類のパラフィン系常圧残油と二種類の中東産常圧残油を,480 ℃,N2 0.4 MPa,0.5 hの条件下で熱分解し,得られた生成物の組成や性状を互いに比較した。パラフィン系常圧残油の留出油(C4~500 ℃)収率は約90 %と高かったが,中東系常圧残油では70~80 %と低かった。パラフィン系常圧残油から得られた留出油生成物の硫黄含量は,中東系に比べて非常に低かったが,窒素含量は両者で同程度であった。中質および重質留出油の水素化処理を行い,脱硫反応性,脱窒素反応性を調べたところ,パラフィン系では中東系に比べて脱硫速度が4~6倍大きかった。一方,脱窒素速度は,中質留出油では大きな差が見られなかったが,重質留出油ではパラフィン系原料油の方が小さかった。
ノート
  • 今津 浩貴, 小島 義弘
    原稿種別: ノート
    2013 年 56 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/01
    ジャーナル フリー
    超音波照射による界面活性剤(2 vol%)添加系W/Oエマルション燃料の調製について,ホーン型超音波発振器を用いて検討を行った。水(10 vol%)/軽油エマルション燃料に対して,エマルション安定度に及ぼす超音波発振器のホーン設置位置の影響を調べたところ,安定度が設置位置に大きく依存した。最適なホーン位置で超音波照射した際のエマルション安定度,粘度の経時変化を軽油/水(5 vol%)の条件で調べたところ,両方とも10分間照射時間とともに増加した後,一定値に達した。また,水(5 vol%)/軽油および水(5 vol%)/軽油/植物油(5 vol%)系についてエマルション液滴径分布の超音波照射時間依存性を調べたところ,両方とも相違はほとんどなく,最終的には約0.3 μm一定の平均液滴径を有したエマルション燃料が調製できた。調製したエマルション燃料の燃焼特性を調べたところ,軽油および軽油/大豆油燃料と比較して,すす,NOおよびNOxの生成抑制が確認された。
レター
  • 森本 正人, 森田 剛, 鷹觜 利公, 西川 恵子
    原稿種別: レター
    2013 年 56 巻 1 号 p. 58-59
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/01
    ジャーナル フリー
    原油に含まれるアスファルテンはコークの前駆体であり,触媒被毒を引き起こすなど,プロセス阻害要因である。アスファルテン分子は凝集状態で存在するため,溶媒中の凝集挙動を知ることは重要である。本研究では,500 mg/L以下でトルエンに分散したアスファルテンの小角X線散乱挙動を調べた。散乱角ゼロにおける強度の濃度依存性は,50 mg/Lにおいて系のゆらぎが特異的に大きいことを示した。距離分布関数による解析の結果,100,500 mg/Lにおけるアスファルテン凝集体は棒状粒子とみなせたが,50 mg/Lでは複数の粒子が近接した構造を形成していることが示唆された。アスファルテンはトルエン中50 mg/L付近で特異的な構造の凝集体を形成すると考えられる。
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