Journal of the Japan Petroleum Institute
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56 巻, 4 号
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総合論文 ―特集: ゼオライトの新規合成プロセスの開拓―
  • 佐野 庸治, 板倉 正也, 定金 正洋
    原稿種別: 一般論文
    2013 年 56 巻 4 号 p. 183-197
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    ゼオライトを出発原料に用いたゼオライト合成,ゼオライト転換により,FAU,ベータ(以下,BEA)およびLEV型ゼオライトからBEA,CHA,LEV,RUTおよびMFI等の様々なゼオライト合成に成功した。アモルファスゲルを原料に用いる通常のゼオライト合成と比べ,これらのゼオライトを出発原料に用いた場合には結晶化速度が増大した。この結晶化速度の増大は,出発ゼオライトの分解により生成した局所的秩序構造を有するアルミノシリケート種である構造ユニット(ナノパーツ)が他のゼオライトへ再構築されていることを強く示唆している。したがって,出発ゼオライトと最終生成物であるゼオライト間の構造類似性がゼオライト転換を決める極めて重要な因子である。これらの結果は,新たなゼオライト合成ルートとしてのゼオライト転換法の可能性を示すものであり,構造の異なるナノパーツを化学的操作により組み立てていく手法が確立されれば,新規構造を有するゼオライトを自由自在に設計することも近い将来可能になると期待している。
  • 岡本 昌樹
    原稿種別: 総合論文
    2013 年 56 巻 4 号 p. 198-205
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    ゼオライトや規則性メソ多孔体のような規則性多孔体は,高表面積をもち,大きさが整った細孔径を有する魅力的な材料である。これら規則性多孔体の構造や形状を制御することにより,新たな機能を付加することができる。本論文では,コア-シェル構造に注目し,欠陥の少ないコア-シェル構造を有するゼオライトの合成法について紹介する。また,利用例として,コア-シェル構造のMFIおよびTON型ゼオライトを用いた触媒は,トルエンのメチル化やテトラデカンの骨格異性化において高い形状選択性を示すことについて述べる。さらに,もう一つの利用例として,コア-シェル構造体を前駆体とした中空多孔体の合成法についても紹介する。コアにシリカの分解触媒であるアルカリ金属塩を選択的に担持させ,炭酸ジメチルによるシリカの分解反応を行うことにより,コアのみを取り除くことができ,効率よく中空多孔体を形成することができた。中空多孔体は,ドラッグデリバリー用の薬物容器や触媒容器,ミクロ反応容器としての利用が期待できる。
  • 脇原 徹, 多々見 純一
    原稿種別: 総合論文
    2013 年 56 巻 4 号 p. 206-213
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    ミクロンサイズのゼオライト粒子に比べ,ナノゼオライトは外表面積が大きく,細孔内拡散が促進されることによって,イオン交換特性や吸着特性,触媒反応特性などが向上することが知られている。現在,各種特性の向上を目的としたゼオライトナノ粒子合成に関する研究が盛んに行われている。既往のゼオライトナノ粒子合成に関する研究の多くはボトムアップ法,すなわち4級アンモニウム塩や特殊な有機物を用い,核発生・結晶成長を制御することにより達成されている。しかし,コスト的な制約からゼオライト合成時に有機物を使用しない新規ナノゼオライト製造プロセスの確立が望まれている。そこで著者らはボトムアップ法に代わるナノゼオライトの調製法として,ゼオライト表面の非晶質化を最低限に抑えた粉砕が可能であるビーズミルを用いた,トップダウン手法による微細化に注目した。具体的には,ビーズミル粉砕処理したゼオライトにポスト処理(再結晶化処理)を施したところ,結晶性の高いナノゼオライトが調製できることを明らかにした。また,A型ゼオライトに関してはイオン交換特性,ZSM-5型ゼオライトに関しては触媒特性の向上を確認した。本稿で紹介した技術は,粉砕法と後処理を組み合わせることで高結晶性ナノゼオライトを調製することを可能とするものであり,有機テンプレートを使わない,大量生産に適したナノゼオライト作製プロセスとして有望であると考えている。
総合論文
  • 三宅 幹夫, 宮林 恵子
    原稿種別: 総合論文
    2013 年 56 巻 4 号 p. 214-220
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    著者らは,形状やサイズを厳密に制御した白金ナノ結晶(Pt NCs)を簡便に合成する多様な液相還元反応法を開発してきた。さらに,調製したPt NCsをモデル触媒に用い,触媒の活性点に関する知見を得た。本稿はこうした著者らの研究成果を中心に概説する。すなわち,Ptイオンを還元してPt NCsを調製する際,溶剤の極性や添加剤などの反応環境に工夫を凝らすことで,試薬の溶解性,反応性,相互作用状態などを厳密に制御し,前駆体Pt(0)核の形成やその成長過程を高度にコントロールできることを明らかにした。厳密に制御した反応方法によって,Pt cubeや単結晶Pt nanowireを簡便に調製することができ,さらにPt cubeの微小化や頂部へ位置選択的なAgの複合化も達成した。調製した形状が異なる数種のPt NCsをモデル触媒として用いてオレフィンの液相水素化反応を行い,Pt(100)面がPt(111)面よりも高い活性を示すことを明らかにした。さらに,サイズが異なるPt cubeを触媒に用いたオレフィン液相水素化反応より,活性点に関する知見も得た。本稿で紹介した成果は,高性能触媒の設計指針の導出につながるものと期待される。
一般論文
  • Bing Hou, Mian Chen, Ming Liu, Qiquan Xiong
    原稿種別: Regular Paper
    2013 年 56 巻 4 号 p. 221-229
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    Waste oil-based drilling fluids are hazardous wastes containing oil, heavy-metal and organic pollutants. However, the common treatment methods at home and abroad these methods not only waste many useful resources (because the oil is discarded rather than recovered) but also increase the pro-environment cost of oil companies. This paper develops useful recycling and safe disposal technology of waste oil-based drilling fluids from the perspective of utility, efficiency and economy, which not only recycle useful oil but also reuse and dispose of the rest of mud and waste drilling fluids. The rate of recovery is greater than 90 %, and the quality of the recycled oil is very good and meets the requirement of −10 # diesel of cars in GB/T 19147-2003. The concentrations of oil, COD (chemical oxygen demand) and heavy metals in liquid of the processed mud are lower than the secondary standard number in GB8978-1996. The treated wastewater meets the requirements of sewage comprehensive emission.
  • Amna Gumati, 高橋 弘, Ausama A. Giwelli
    原稿種別: 一般論文
    2013 年 56 巻 4 号 p. 230-235
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,水平フォームドリリングを模擬するために水平2重管路を作成し,繰粉搬送と圧力損失に及ぼす掘管の回転の影響について実験的に検討した。具体的には,フォームクオリティーを80,85および90 %に変化させ,さらにフォーム速度(搬送速度)も変化させて実験を行い,フォーム速度およびフォームクオリティーが繰粉搬送時の圧力損失および搬送効率に及ぼす影響について検討した。実験に用いた管路はボアホールを模擬した長さ5 mの偏心2重円管路であり,外管の内径は51.8 mm,内管の外径は16 mmであり,掘管に相当する内管の最大回転速度は150 rpmである。 実験では,始めに繰粉を含まないフォーム流れのみで計測を行ったが,この場合,流れの圧力損失に及ぼす回転数の影響はほとんど見られなかった。一方,フォームによる繰粉搬送の流れでは,掘管の回転は流れの圧力損失に大きな影響を及ぼすことが分かった。さらに,掘管の回転数が増加すると,圧力損失は大きく減少し,繰粉の吐出体積濃度は増大することが分かった。また,フォームクオリティーおよびフォーム速度が大きくなるほど圧力損失が大きくなり,繰粉の吐出体積濃度は減少した。
ノート
  • Arezoo Dadrasnia, Pariatamby Agamuthu
    原稿種別: Research Note
    2013 年 56 巻 4 号 p. 236-243
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    The phytoremediation potential of Dracaena reflexa to remediate diesel contaminated soil was determined in a greenhouse study. D. reflexa was planted in soil contaminated with different concentrations of diesel fuel (1, 2.5 and 5 wt%). 5 (wt%) of three different organic wastes [tea leaf (TL), soy cake (SC) and potato skin (PS)] were mixed with the soil and monitored for 270 days. The results of the biodegradation of oil and its fractions showed a reduction of 90 % and 98 % of total petroleum hydrocarbons (TPHs) in soil amended with SC, at 2.5 % and 1 % fuel, respectively. It was observed that in the non-cultivated polluted soil the TPHs, were reduced by 24-27 %. Soil amended with SC provided the greatest diesel fuel loss when compared to other organic waste supplements. D. reflexa roots did not accumulate hydrocarbons from the soil, but the number of hydrocarbon utilizing bacteria was high in the rhizosphere, thus suggesting that the mechanism of the oil degradation was via rhizodegradation. This study has shown that D. reflexa amended with organic wastes has a potential for biodegrading hydrocarbon-contaminated soil.
技術報告
  • 田崎 雅晴, 小島 啓輔, 岡村 和夫
    原稿種別: 技術報告
    2013 年 56 巻 4 号 p. 244-248
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
    石油随伴水の水質を検討する際のCOD(化学的酸素要求量)分析は,海外の事例に合わせてCODCr法を用いることがよくある。しかし,CODCrは塩化物イオンの影響を受けることが知られている。
    今回,0~20 %塩分濃度での検水について3種類のCOD分析(CODCr, CODMn, CODOH)を行い,塩分濃度と各分析結果について考察を行った。また,実際の石油随伴水についても分析を行い,各分析の有効性を検討した。
    その結果,塩分濃度が高い石油随伴水のCODCrは,その値になんら信頼性がないことが示された。一方,CODMnおよびCODOHでは,塩分濃度20 %の検水においても適正な値を示すものであった。ただし,CODMnにおいては事前のマスキング操作が重要であった。
    このことから塩分を含む石油随伴水のCOD値を論じる際にはCODCrではなく,CODMnもしくはCODOHでの値を用いるのが望ましいことが明らかとなった。
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