新たな水素化処理触媒として金属リン化物が注目されている。著者らは新たなリン化物系水素化処理触媒を開発するため,貴金属リン化物の調製とその触媒特性について検討した。担体はリン前駆体であるリン酸の還元性に強く影響を与えるため,Rh
2Pの生成温度は用いる担体により異なった。特に,リン酸との相互作用の弱いSiO
2およびTiO
2担体上では他の担体よりもRh
2Pが低温で生成した。また,Rh
2Pの生成に伴い,Rh–P/MO
x触媒のHDS活性が向上することを明らかにした。さらに,貴金属(NM)の種類およびP/NM比は貴金属リン化物の生成とHDS活性に対して影響を与え,過剰なPを添加した触媒では貴金属リン化物が低温で生成するものの,凝集による粒子径の増大およびPリッチなリン化物の生成を引き起こした。このため,P/NM比が異なるNM–
xP触媒のHDS活性には最適なP/NM比が見られた。HDS反応に対してRh–1.5P触媒は高く安定な活性を示した。加えて,この触媒のHDN活性は硫化処理したNiMoP/Al
2O
3触媒の活性よりも著しく高かった。したがって,Rh
2Pは新たな水素化処理触媒として高い可能性を有していると判断される。
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