Journal of the Japan Petroleum Institute
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58 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総合論文
  • Shrotri Abhijit, 小林 広和, 福岡 淳
    原稿種別: 総合論文
    2015 年 58 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    機械的な処理によってセルロースの加水分解反応性を高める研究が盛んに行われてきた。本稿では,最新の混合粉砕とメカノキャタリシスを利用したセルロース分解を紹介する。まず,混合粉砕に関し,セルロースと弱酸性官能基を持つ活性炭触媒とを一緒に粉砕すると,両者の間に強い接触が形成される。この試料を加水分解反応に供すると,単独粉砕の場合に比べて13倍の速度でセルロースが加水分解されるが,生成するグルコースの逐次分解は混合粉砕の影響を受けない。つまり,固体─固体反応を選択的に加速できる。その結果,グルコース収率88 %を達成できる。さらに,本法はセルロースの加水分解水素化反応にも適用でき,水素圧9気圧の温和な条件下でも糖アルコール収率は68 %に達する。一方,メカノキャタリシスでは強酸を添加して粉砕することにより,セルロースが加水分解されて可溶性のオリゴ糖に転化する。このオリゴ糖を移動水素化条件で分解すると糖アルコールが収率90 %で得られる。また,可溶性であるため流通系にも容易に適用できる。
  • 内澤 潤子, 小渕 存, 丹呉 威, 村上 達朗
    原稿種別: 総合論文
    2015 年 58 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,組成および細孔構造を包括的に制御することによるアルミナ(Al2O3)をベースとした担体の改良によるディーゼル酸化触媒(diesel oxidation catalyst; DOC)の高性能化にある。この検討のため,ゾルゲル法により種々のAl2O3担体を調製し白金(Pt)やパラジウム(Pd)を担持して触媒とした。組成についてはシリカ(SiO2)が第2成分として優れており,その最適な添加量は4 wt%であること明らかにした。細孔構造については炭化水素(hydrocarbon; HC)や一酸化窒素(nitric oxide; NO)酸化に対してはメソ孔径10 nmが最適値であること,ミスト状の燃料酸化に対してはミクロンオーダーのマクロ孔の形成により活性が向上することを見出した。以上の結果から,メソ孔とマクロ孔を併せ持つSiO2–Al2O3多元構造担体の開発を試み,高いDOC性能を示すことを明らかにした。
  • 神田 康晴, 上道 芳夫
    原稿種別: 総合論文
    2015 年 58 巻 1 号 p. 20-32
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    新たな水素化処理触媒として金属リン化物が注目されている。著者らは新たなリン化物系水素化処理触媒を開発するため,貴金属リン化物の調製とその触媒特性について検討した。担体はリン前駆体であるリン酸の還元性に強く影響を与えるため,Rh2Pの生成温度は用いる担体により異なった。特に,リン酸との相互作用の弱いSiO2およびTiO2担体上では他の担体よりもRh2Pが低温で生成した。また,Rh2Pの生成に伴い,Rh–P/MOx触媒のHDS活性が向上することを明らかにした。さらに,貴金属(NM)の種類およびP/NM比は貴金属リン化物の生成とHDS活性に対して影響を与え,過剰なPを添加した触媒では貴金属リン化物が低温で生成するものの,凝集による粒子径の増大およびPリッチなリン化物の生成を引き起こした。このため,P/NM比が異なるNM–xP触媒のHDS活性には最適なP/NM比が見られた。HDS反応に対してRh–1.5P触媒は高く安定な活性を示した。加えて,この触媒のHDN活性は硫化処理したNiMoP/Al2O3触媒の活性よりも著しく高かった。したがって,Rh2Pは新たな水素化処理触媒として高い可能性を有していると判断される。
  • 吉宗 美紀
    原稿種別: 総合論文
    2015 年 58 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    カーボン膜は分子ふるい機構による優れたガス分離性能を示し,中空糸状とすることで充填率の高い実用型膜モジュールの構築が期待されるが,実用化には膜コストや強度に課題がある。本研究では,実用型カーボン膜の開発を目的にカーボン膜の前駆体材料の探索を行い,多種の材料の中からポリフェニレンオキシド(PPO)から新規中空糸カーボン膜の製造に初めて成功した。この自立型カーボン膜は従来の高分子膜を上回る優れた分離性能を示し,安価なPPOを適用したことで膜コストの大幅な削減が可能となった。さらに,膜性能向上のためPPOへ官能基の導入を検討し,トリメチルシリル基に透過速度向上効果,スルホン基に選択性向上効果があることを明らかにした。これに関連してスルホン化PPOに金属イオンを導入する検討を行い,Agによって選択性を維持したまま,透過性が大幅に向上することを見出した。一方,実用膜モジュールの製造では,分離性能に加えて強度等の特性を満たすことも要求される。この課題に対し,スルホン化PPOを前駆体として用いて,優れたガス分離性能を維持したまま柔軟性に優れた中空糸カーボン膜の開発に成功したことで,実用型モジュールの製造が可能となった。カーボン膜は多様な分離系への応用が期待されるが,その例としてオレフィンガスからの選択的膜脱水,浸透気化分離によるアルコールの脱水およびCO2/CH4混合ガス分離について紹介する。
一般論文
  • 坂 祐司, 千代田 範人, 渡辺 克哉
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    FCC(Fluid Catalytic Cracking)装置で用いられる触媒(FCC触媒)には,燃料油の需要構造変化および環境保全の観点から,高分解活性かつオクタン価の高いガソリン留分(FCCガソリン)の製造が求められている。従来技術である希土類金属の添加では分解活性の向上効果は得られるものの,水素移行反応の促進に伴いオクタン価が低下するため,求められている触媒性能を同時に満たすことは困難であった。本検討では上記課題に対応すべく,オクタン価の低下を招くことなく,ゼオライトの安定性向上を図り,新規FCC触媒原料としてリン源について検討した。その結果,第一リン酸アルミニウム(Al–P)を添加することにより,従来技術である希土類金属を添加した場合に比べ,水熱安定性が向上することでより分解活性が向上し,かつオクタン価が高いFCCガソリンが得られることを見出した。
  • 向井 大揮, 近藤 裕史, 江田 登志成, 小河 脩平, 関根 泰
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 1 号 p. 46-54
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/03/01
    ジャーナル フリー
    低温でのメタン部分酸化による合成ガス製造のために修飾Ni/α-Al2O3触媒を検討した。Coを修飾したNi/α-Al2O3のみが673 Kという低温での反応を進めることが可能であった。メタン着火温度を下げつつ炭素析出を抑えるというバランスから鑑みて,6.6 wt% Ni/3.6 wt% Co/α-Al2O3が最適であった。触媒構造解析の結果から,NiとCoが緊密に接して存在していることが重要であることが分かり,このような構造がメタン部分酸化の低温化に寄与していた。メタンと酸素のパルス導入結果から,Ni触媒へのCo添加はメタンの改質活性を維持したまま,燃焼活性を向上させうることが分かった。
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