Journal of the Japan Petroleum Institute
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58 巻, 6 号
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総合論文
  • 宍戸 哲也, 竹平 勝臣
    原稿種別: 総合論文
    2015 年 58 巻 6 号 p. 353-364
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    活性金属種を構造中に均質に含有する前駆体を調製し,これを焼成・還元して構造中の活性金属種を安定に表面に析出させることを特徴とする汎用性の高い触媒調製法により各種高分散担持金属触媒の調製を行った。ハイドロタルサイトを前駆体として調製した高分散担持Ni触媒は, 天然ガス改質による水素製造反応に対し優れた活性・安定性を示した。さらに,ハイドロタルサイト特有のMemory Effectの利用によりEggshell型担持Ni触媒の創製や活性サイト表面での合金形成を行った。このように調製した担持Ni触媒は,酸化雰囲気に暴露した後に還元処理を行うことなしに反応ガス雰囲気下で自己再生的に活性化する機能を実現するなど,触媒の安定性が向上した。これら調製したNi触媒の高い活性・耐久性の要因は,高分散,かつ安定なNi金属粒子の生成にあることを明らかとした。
  • 磯貝 明
    原稿種別: 総合論文
    2015 年 58 巻 6 号 p. 365-375
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    ナノセルロース類は,豊富な植物セルロース繊維から調製される。今世紀に入り,各種ナノセルロース類およびナノセルロースを含有する複合材料の調製や特性解析について,検討が進められている。当研究室では1995年から,TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルの略)触媒酸化による各種多糖類の化学改質を検討してきた。その過程で,植物由来の天然セルロース繊維をTEMPO酸化前処理することにより,植物セルロース繊維を構成している最小エレメントである,約3 nmの超極細幅で高結晶性のセルロースミクロフィブリル単位にまで,全て完全に分離分散させた「TEMPO酸化セルロースナノファイバー(TOCNと略す)」が効率的に得られることを見出した。そこで本総説では,最近報告した基礎的な研究成果である,(1)様々な条件で調製した(ナノ分散化前の)繊維状TEMPO酸化セルロースおよびTOCNの絶対分子量と分子量分布の解析,(2)TOCNの希薄水分散液の固有粘度からTOCNのアスペクト比(長さ/幅の比率)を求める方法の検討,(3)TOCN表面の対イオン交換処理により,親水性のTOCNを簡便・効率的に疎水化変換する方法の検討,(4)透明で低密度,高比表面積,高断熱性,高機械物性を有するTOCNエアロゲルの調製と特性解析について,概要を紹介する。
一般論文
  • 合田 隆, 中安 雅啓, 村上 大介, 佐藤 光三
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 6 号 p. 376-383
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    資源開発では不確実性下において合理的な意思決定を行うために適切な情報収集が必要である。ある情報収集がどの程度適切なのかを定量的に測る指標として情報の価値(VOI: value of information)分析という概念がある。情報収集で得られる観測の結果に応じて意思決定がより合理化され,それによって期待される利潤の増大量がVOIである。VOIを評価するには,不確実なパラメーターに対する事前確率分布,意思決定で取りえる選択肢それぞれに対する利潤関数,観測の信頼性を表現する尤度関数の三つを設定する必要がある。これらのうち,特に尤度関数に関する事前の知見を得ることは困難であり,モデル化は難しいと考えられる。そこで,本研究では資源開発において尤度関数がVOI分析に及ぼす影響について検討する。具体的には,数値実験を通して,尤度関数の選定がVOIの値にどの程度影響するのかを示す。さらに,観測が未知のバイアスを有している場合のVOIの定義について議論し,その影響を見る。
  • 田中 啓, 佐藤 光三
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 6 号 p. 384-391
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2016/01/01
    ジャーナル フリー
    多点探索法の一つである繰り返しラテン超方格法(ILHS)を対象として,主変数の平均情報量(エントロピー)を用いた収束判定基準を提案した。ILHSでは解探索の進展に伴い,主変数のサンプル区間の距離が最適解周辺で徐々に小さくなる。本研究ではこの特徴に着目し,サンプル区間のエントロピーを計算することで解探索の収束を評価した。具体的には,正規化したエントロピーと2値エントロピー関数(BEF)の差を計算し,が閾値(いきち)を下回ったとき最適化計算を終了する。提案した収束判定基準をCO2地中貯留における坑井配置の最適化問題に適用することで,その有効性を検証した。基準の導入により,目的関数の値を維持しつつ,評価回数を約70~80 %まで低減することが可能となった。加えて,収束挙動の異なる連続変数や2値変数を同時に含む最適化問題についても,提案基準は有効であるという知見を得た。
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