Journal of the Japan Petroleum Institute
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60 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総合論文 ―特集「ゼオライト触媒を用いた低級オレフィン製造(1)」―
  • 佐野 庸治
    原稿種別: 総合論文
    2017 年 60 巻 6 号 p. 263-276
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    SiO2/Al2O3比70~3700のアルカリ土類金属含有ZSM-5型ゼオライト触媒を合成し,そのメタノール転化性能を調べた。500 ℃を超える高温で高い低級オレフィン選択性を示した。特に,SiO2/Al2O3比100~300のCa-ZSM-5では(エチレン+プロピレン)収率は65 C%にも達した。この高い低級オレフィン選択性は,導入されたアルカリ土類金属がZSM-5ゼオライトの強酸点を弱酸点に変え,コーク質の生成および脱アルミニウムを抑制していることに起因している。しかし,メタノール転化反応中に副生する水および二酸化炭素によって,弱酸点からのアルカリ土類金属の離脱が起こり,強酸点が再生することが明らかとなった。強酸点の再生はゼオライト触媒の失活の原因であるコーク質の生成および脱アルミニウムを促進するため,弱酸点をいかに安定させるかをさらに検討した。その結果,アルカリ土類金属炭酸塩による修飾が弱酸点の安定化に有効であり,触媒寿命はさらに向上した。特に,SrCO3修飾Sr-ZSM-5は2000時間の触媒寿命を示した。また,酸性質の異なる種々のZSM-5型ゼオライト用いてエタノール転化反応も行った。AlをGaで同型置換した ZSM-5(Ga)をPおよびLaで共修飾La/P/ZSM-5(Ga)ではLa/Ga比の増大とともにプロピレン収率は増大し,P/Ga比1,La/Ga比0.4で約29 C%の最大プロピレン収率が得られた。さらに,La添加により強酸点を修飾していたP種がLaPO4として脱離することにより,プロピレン生成に有効な強酸点が再生することを明らかにした。

  • 中坂 佑太, 多湖 輝興, 増田 隆夫
    原稿種別: 総合論文
    2017 年 60 巻 6 号 p. 277-287
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    低級オレフィンは逐次反応の中間体生成物であるため,ゼオライト触媒を用いた選択合成において逐次反応の制御が必須である。ゼオライトを触媒に用いる際,ゼオライト結晶内における反応原料,反応生成物の拡散抵抗およびゼオライト酸点の強度が触媒活性や生成物選択性に強く影響を及ぼす。本稿では,粒径の異なるMFI,MTW型の構造を有するフェリシリケートおよびフェロアルミノシリケートの合成と,含酸素有機物であるアセトン,メタノールからの低級オレフィン合成について解説する。アセトンおよびメタノールからの低級オレフィン合成において,MFI型構造を有するフェリシリケートナノ結晶はマクロ結晶に比べ安定な触媒活性を示した。さらに,両反応に対し骨格中にFeを有するメタロシリケートは芳香族やコーク生成の抑制によりアルミノシリケートに比べ高い低級オレフィン選択性を示した。メタノールからの低級オレフィン合成において,ゼオライト骨格中のFeおよびAlに由来する二種類のブレンステッド酸点を有するフェロアルミノシリケートが低級オレフィン合成に有効であった。

  • 韓 喬, 朴 成植, 稲垣 怜史, 窪田 好浩
    原稿種別: 総合論文
    2017 年 60 巻 6 号 p. 288-300
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    高選択的にプロピレンを得ることを目的として,酸素12-10-10員環ミクロ孔を有するMSE型ゼオライト触媒の調製手法の開発を進めている。本稿では石油および非石油資源の転換のための触媒開発の事例を概説する。調製過程を工夫することで,ヘキサンのクラッキングでの触媒特性を向上しうるMSE型ゼオライトを得ることができた。La修飾はクラッキング触媒としての特性を高めるのに有効な手法である。また,MSEトポロジーからなるMCM-68の酸点分布を制御するために,リン酸水素二アンモニウムを含浸担持して焼成することで,リン修飾MCM-68を調製した。ジメチルエーテルからオレフィンを得る(DTO)反応では,リン修飾や希土類修飾によってプロピレンとブテンへの高選択率を実現し,プロピレン/エチレン比が飛躍的に向上した。これらの修飾処理を経ると高い炭素析出耐性も示されたことからDTO反応の触媒の長寿命化を図ることができたと言える。

一般論文
  • Nguyen Thanh Tung, 篠崎 晃, 銭 衛華
    原稿種別: 一般論文
    2017 年 60 巻 6 号 p. 301-310
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    異なる量のSAPO-11を添加したSAPO-11-Al2O3担体を調製し,これらの触媒を用いて,4,6-ジメチルジベンゾチオフェンの水素化脱硫反応(HDS),アクリジンの水素化脱窒素反応(HDN),o-キシレン,1-メチルナフタレンおよびフェナントレンの水素化脱芳香族反応(HDA)を行った。触媒のキャラクタリゼーションにはBET,XRF,NH3-TPD,XPSとTEMを用いた。これらの結果より,担体の酸性は触媒構造および活性に強く影響を及ぼすことが分かった。無添加触媒と比べると,20 wt% SAPO-11を添加した触媒のHDA,HDSおよびHDN活性はすべて低くなった。これはSAPO-11の添加より担体表面の強酸点が減り,Mo種の分散度が減少し,形成されたCoMoS活性相の長さおよび積層数が増大したと考えられる。一方,CoおよびMo種を担持する際,クエン酸を添加したことにより,Mo種の分散が改善され,CoMoS相の長さが減少し,HDA活性は抑制されたが,HDSおよびHDN活性は向上された。

  • 今井 裕之, 山脇 愛美, 黎 暁紅
    原稿種別: 一般論文
    2017 年 60 巻 6 号 p. 311-321
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    バイオディーゼル製造で廃棄されるグリセリンをエネルギー資源として活用するため,グリセリンからの水素生成と同時に炭素成分のメタン化を行った。ニッケル源とシリカ源の混合ゲルをアルミナに担持することで,シリカをニッケル粒子間のバッファーとしたNi–SiO2/Al2O3触媒を合成した。Ni–SiO2/Al2O3触媒において,水素の外部供給なしに,グリセリンからメタンの選択的合成を達成した。反応条件の検討により,高い温度,圧力,水/グリセリン比においてメタン生成が有利になることを見出した。また,シリカ修飾は,反応中におけるニッケル粒子のシンタリング抑制および触媒上への重炭素質(コーク)蓄積の抑制に効果を示した。特に,コーク生成 · 蓄積はシリカの担持量に影響を受け,シリカ量の増加とともに蓄積コーク量は減少し,ニッケルの炭化によるニッケルカーバイドの生成が抑制された。

  • Syaftika Novi, 松村 幸彦
    原稿種別: 一般論文
    2017 年 60 巻 6 号 p. 322-328
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    簡易な式を用いてβ-グルコシダーゼの追加効果を表すことを目的として,セルラーゼとβ-グルコシダーゼの混合物を用いてセルロースを加水分解した初の試みを報告する。この目的のために,市販のセルラーゼとβ-グルコシダーゼを量を変えてセルローススラリーに添加し,加水分解実験を40 ℃および50 ℃で,0.1 mol/dm3の酢酸ナトリウムでpHを5に保った水溶液中で,0~48 h,震とう培養器を用いて行った。セルラーゼ量とβ-グルコシダーゼ量が多いほどグルコース収率は高かった。また,50 ℃のグルコース収率は40 ℃のものよりも低かった。さらに,このセルラーゼとβ-グルコシダーゼ混合物を用いた場合のグルコース収率の簡易推算式を初めて導出し,この式が実験データをよく表すことを示した。得られた式は,別のボトルのセルラーゼを用いた場合にもよく成立した。

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