石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
22 巻, 6 号
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  • 五十嵐 哲, 松田 敏昭, 荻野 義定
    1979 年 22 巻 6 号 p. 331-335
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    イソブテンとメタノールから, ガソリンのオクタン価向上剤であるMTBEを気相接触法で合成するための触媒の探索を行った。複合酸化物系, 鉱酸系, フッ化処理酸化物系, ヘテロポリ酸系, 等の各種固体酸触媒のうち, シリカゲルに担持された12-モリブドヶイ酸や12-モリブドリン酸など, モリブデンを配位元素とするヘテロポリ酸が高性能であることを見いだした。12-モリブドケイ酸の担持量としては20wt%が適当であり, この触媒は, 温度90°C, 空間速度2,500hr-1, メタノール/イソブテン=1.1 (モル比) の反応条件において, イソブテンのMTBEへの転化率30%, MTBE生成の選択率95%という安定した性能を示す。
  • 水素化脱窒素触媒の探索
    戸河里 脩, 小野 健雄, 中村 宗和
    1979 年 22 巻 6 号 p. 336-342
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    10種類の固体酸担体にNi, Moを担持し, 減圧軽油を用いて水素化脱窒素活性を評価した。同時に測定した水素化脱硫活性と対比させて整理すると, Al2O3複合酸化物系触媒は水素化脱窒素活性, 水素化脱硫活性ともに高くAl2O3触媒は水素化脱窒素活性が低いのに対し, 水素化脱硫活性は高かった。一方SiO2複合酸化物系触媒は両活性ともに低かった。これらの活性差と選択性の差異について, 触媒金属の水素化能と固体酸性質の両面から検討した。特に水素化脱窒素活性は酸強度と密接な相関を有することを見いだした。
  • 菊地 英一, 上田 靖彦, 中川 隆夫, 浜名 良三, 森田 義郎
    1979 年 22 巻 6 号 p. 343-349
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    メチルシクロヘキサン(MCH)からジメチルペンタン類の選択的合成に対する触媒の効果を明らかにすることを目的とした。MCHはジメチルシクロペンタンに環異性化されたのち開環されてジメチルペンタンとなる。本報ではMCHの開環反応に及ぼすRhの分散状態及び担体の酸性の影響について検討した。さらにシクロペンタン環の開環反応に対するゼオライト担持Rh触媒の効果をメチルシクロペンタン(MCP)を用いて検討した結果, RhのMCPの開環反応に対する比活性はMCHに対する比活性に比べて10倍近く大きいことが明らかとなった。
  • ESRおよびENDOR法による検討
    山田 能生, 真田 雄三
    1979 年 22 巻 6 号 p. 350-355
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    重質油やピッチ類の炭化反応機構とこれら重質油中に存在するフリーラジカルの性質と挙動を解明するため, ESRおよびENDORスペクトルを通して検討した。その結果, ESR法により未処理のカフジとミナス減圧残油中のアスファルテンには, 多量の電荷移動型のラジカルが含まれ, 初期過程においてかなり消減することが明らかになった。一方不対電子1個をもつπ型ラジカルは分解, 重縮合反応過程で増加する。また, ENDORスペクトルの線幅変化より, 三池炭水素化分解重質油においてはもっぱら重縮合反応が優先的に進み, カフジやミナス残油では初めに主としてアルキル鎖が分解し, その後重縮合反応を伴うことがわかった。
  • 主として混合物の変形特性
    間山 正一
    1979 年 22 巻 6 号 p. 356-361
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    舗装のわだち掘れ, 平たん性を支配する因子の一つに舗装材料の変形特性がある。ここではクリープ試験およびホイールトラッキング試験によって, 4種類の混合物-ストレートアスファルト混合物, 添加剤入りアスファルト混合物, エポキシアスファルト混合物, エポキシ樹脂混合物の変形特性を検討した。その結果, エポキシ樹脂系混合物は実用条件を網羅する温度および載荷時間領域できわめて小さなクリープコンプライアンス, 変形率を示し, 変形抵抗が大きいことを明らかにした。また, 動的性状と静的性状の関係, 動的安定度と粘度との間に定量的関係があることを見いだした。
  • 主として混合物の熱的性質
    間山 正一, 山内 幸夫, 山梨 安弘
    1979 年 22 巻 6 号 p. 362-368
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本研究は温度変化による舗装の伸縮, 熱応力問題を論ずるための基礎的資料の一つである舗装材料の熱的性質に関する研究である。ストレートアスファルトセメント, 添加剤入りアスファルトセメント, エポキシアスファルトセメント, エポキシ樹脂の4種類のバインダー, および各々の混合物についてコンタクトストレインゲージによって温度と伸縮の関係を測定した結果, 樹脂系材料に比較してアスファルト系材料の線膨張係数が大きく, また, 骨材との混合によって得られる混合物はバインダーより約1オーダー小さい線膨張係数を示すことを明らかにした。また, ガラス転移点と特性温度の関係についても実験結果をもとに論じた。
  • 中村 征四郎, Henry WISE
    1979 年 22 巻 6 号 p. 369-374
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    含浸法により調製したPd触媒に関し, 真空ならびに種々のガスふん囲気下におけるPd結晶粒子の熱安定性について検討した。Pdの結晶粒子径はCO滴定法により測定した2),3)。
    (1) 真空下でのPdの熱安定性
    調製したPdの分散性は担体の種類により異なり, Al2O3>SiO2, SiO2•Al2O3であった。また, 熱安定性に関しても, Al2O3に担持させたPdがとくにすぐれていた (Tables 2, 3との比較)。
    表面積ならびに細孔径分布の異なる5種のl2O3担体 (Table 1) について, Pdを担体に対し0.1~5wt%担持させ, それらの熱安定性を比較した (Figs. 1~3)。いずれの触媒も熱処理の初期にPdの結晶粒子の成長がおこるが, 数時間後に成長はとまり, Pd結晶粒子は一定の値 (Dlimit. Pd) となって安定化した。各触媒について, Pdの結晶粒子径から担体表面上のPdの被覆率 (触媒g当りのPd結晶粒子の総断面積/触媒g当りの担体の表面積×100) を算出した結果, Pdの被覆率と Dlimit. Pd との間に直線関係が成立し (Fig. 4), Pdの被覆率の小さい触媒ほど Dlimit. Pd は小となることが示唆された。これより, 熱安定性のよい触媒をつくるには, Pdの被覆率を小さくする, 換言すれば, 表面積の大きい担体を用いるまたはPdの担持量を少なくすることが必要であることがわかる。Pdの結晶粒子の成長がとまり, 安定化した時点での結晶粒子の間隔は750~1,500Åと算出された (Table 4)。
    (2) 種々のガスふん囲気下におけるPdの熱安定性
    酸素, 水素ならびに (酢酸+酸素) の3種のガスについて, それぞれのガスふん囲気下でPd/Al2O3触媒を加熱処理し, Pd結晶粒子の成長の度合を調べた。酸素および水素のガスふん囲気中での熱安定性 (600°C) は, 真空下での場合とほぼ同様であるのに対し, (酢酸+酸素) ガスで熱処理した場合には, 低温下 (200°C) においてPd結晶粒子の顕著な成長が認められた (Table 5)。このような処理条件下ではPd触媒上にPd(OCOCH3)2が生成すること21)から, この場合のPd結晶粒子の成長機構は真空下の場合と異なり, Pd (OCOCH3)2を経由しておこるもの21)と推定された。上記と同様の処理条件 (ただし, 135°C) でPd/SiO2とPd/Al2O3の熱安定性を比較したが, SiO2担体上ではAl2O3担体の場合にみられるようなPd結晶粒子の成長はおこらなかった (Table 5)。この相異は現在明らかでないが, おそらくは, SiO2担体上ではPd2+が生成し難いことによるものであろう。
  • ピッチ性状に及ぼす塩化アルミニウム添加の影響
    福井 行正, 細井 提吉, 向田 平八郎, 牧田 尚, 西村 淳, 太田 厚
    1979 年 22 巻 6 号 p. 375-383
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石油減圧残油に塩化アルミニウムを添加して420°Cで熱処理を行い, 生成ピッチの性状および化学構造に及ぼす影響を検討した。触媒の添加によりピッチの軟化点および固定炭素は顕著に増加するとともに粘結性も向上した。しかし同一重質化度で比較すると, 触媒添加ピッチは通常の熱処理ピッチよりも粘結性が低かった。X線構造解析の結果, 反応初期における触媒添加ピッチのキノリン不溶分 (QI) は通常法のQIと比べて芳香族平面の積層化に関する Stacking Index (SI) が低く, 時間の経過とともに増大した。また粘結性とSIの間に相関関係が認められ, QIに高温流動性を示すPSまたはPI•BS成分を混合したとき, QIのSIが高いほど混合物の粘結性が高くなった。
  • 酸化窒素の水素および-酸化炭素による還元反応に対するマンガンノジュールの触媒活性
    松尾 清隆, 新田 昌弘, 青村 和夫
    1979 年 22 巻 6 号 p. 384-387
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    未利用の金属資源であるマンガンノジュールを触媒として用いるための一連の基礎研究2)~4)の一つとして大気汚染質であるNOの還元反応に対するマンガンノジュールの触媒活性を調べた。
    H2を還元剤とするパルス反応において, NOはマンガンノジュール上でN2およびN2Oへ還元された。反応温度170°C以上では反応温度の上昇によりNOの転化率のみでなく, NOのN2への選択率も増し, 反応温度300°CにおいてNOの大部分はN2まで還元された (Fig. 1)。マンガンノジュールの主成分である酸化マンガンおよび酸化鉄を触媒とする実験結果 (Fig. 2) から, 本反応に対するマンガンノジュールの触媒性質は酸化マンガンのそれに類似していることがわかった。さらに, マンガンノジュールに含有される酸化マンガンのうち3価のマンガンの酸化物を活性種と考えることによりマンガンノジュールの触媒活性 (Fig. 3) を説明することができた。
    NOと同様に大気汚染物質であるCOを還元剤として流通管式反応器によりNOの還元反応を連続的に行ったところ, 低い原料濃度 (NO 1%, CO 1%) にもかかわらず高い転化率で反応が起こり, N2およびCO2が生成した (Fig. 4)。
    これらの結果と先に報告3)したマンガンノジュールが排ガス中に含まれる触媒毒 (H2S) に対して強い耐久性を有する事実とから, マンガンノジュールをNOの還元反応に対する実用触媒として利用しうると結論した。
  • 大勝 靖一, 中沢 健二, 長 哲郎
    1979 年 22 巻 6 号 p. 388-390
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    固定床流通式反応装置を用いてアリールブロマイド, とくにブロムベンゼンのカルボニル化反応を行った。触媒としてはPdポリフタロシアニン-活性炭を使用した。ブロムベンゼンと一酸化炭素との反応では, 期待する生成物の安息香酸ブロマイドが反応条件下に不安定であるがために生成しなかった。しかし系にメタノールまたは水を同時に供給すると, 過去の実験例で使用されているような塩基が存在しなくても, カルボニル化生成物がかなりの選択率で生成することがわかった。反応はラジカル機構で進行することが推定された。
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