石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
28 巻, 6 号
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  • ゼオライトの酸性質の調整による生成物分布の制御
    斉間 等, 藤元 薫, 冨永 博夫
    1985 年 28 巻 6 号 p. 431-438
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    モルデナイトを塩酸処理すると脱アルミニウム反応が進行し, また, 水蒸気処理によってシリルエーテル構造の加水分解が進行した。これらの修飾モルデナイトとシリカ担持パラジウム触媒よりなる複合触媒を用い, 比較的隠やかな条件下で合成ガスの反応を行うことにより, ポリメチルベンゼン類および低級パラフィンなどの炭化水素を高い選択率で得た。塩酸処理を一回行った後, 450°Cで水蒸気処理して得た修飾モルデナイトを含む複合触媒による合成ガスの反応では, コーク生成が著しく抑えられ, 芳香族炭化水素への選択率が30%に達した。
  • 神谷 佳男, 石山 孝二
    1985 年 28 巻 6 号 p. 439-444
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    m-メトキシトルエンとm-フェノキシトルエンを酢酸コバルトと臭化ナトリウムを触媒とし, 酢酸溶媒中で酸素酸化して対応する置換ベンズアルデヒドを合成することを目的として, 各種反応条件の影響を検討した。酸化初期においてはフェノキシ-またはメトキシ-ベンズアルデヒドが主生成物であるが, 収率約30% (選択率60%) を極大値として急速に低下し, 置換安息香酸を選択的に生成する。触媒の不活性化は臭素イオンが基質と反応して置換ブロモベンゼンを生成することに起因する。アセチルアセトンと酢酸ナトリウムを添加すると, 酸化速度は低下するが, 触媒活性は長時間持続し, アルデヒドへの選択率は約10%増加した。
  • 阿部 洋一, 古財 武久
    1985 年 28 巻 6 号 p. 445-454
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    空港舗装は道路舗装に比べ, 対象とする荷重が大きく, 荷重作用の頻度が小さい。また, 縦断的に走行特性が大きく異なり, 幅員も大きく, 横断的に走行分布が集中して荷重作用をほとんど受けない部分があるなどの特長があげられる。本研究は空港舗装の代表的施設として滑走路を選び, その路面性状の変化を追跡し, 滑走路舗装のライフサイクルを明らかにすると共に, そこに用いられた表層混合物の物性変化を把握し, 供用実績を踏えて適正混合物の開発を図るものである。路面性状の評価には平坦性とひび割れ率を主因子として解析している。混合物の物性については, バインダーとしてのアスファルトと混合物に分け, おのおのの経時変化を追跡している。
  • 燃料組成のベンゾ(a)ピレン排出に及ぼす影響
    小渕 存, 大井 明彦, 青山 兵五郎, 大内 日出夫
    1985 年 28 巻 6 号 p. 455-462
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ディーゼル車は, 燃料経済性が優れているために近年増加の傾向にあるが, 粒子状物質 (黒煙) と窒素酸化物の排出量が多く, これらの有害物質による大気汚染が問題となりつつある。1)とりわけ, 粒子状物質については, 発がん性の疑いのある有機物質の存在が確認されており, その排出の実態を定量的に把握することが望まれている。5),6)中 でも, ベンゾ(a)ピレン (B(a)P) は, 発がん性を有する種々の多環芳香族炭化水素の代表的な物質で, これの定量方法や生物化学的な性質は詳しく調べられている。著者らは, ディーゼル燃料の組成, 性状と排出物質との間の詳細な関係を明らかにすることにより排出物質低減対策に寄与するディーゼル燃料の改変の方向を提示することを目的とした研究を進めてきたが2)~4), 上述の理由により, 新たに, 粒子状物質に含まれるB(a)Pを分析の対象に加え, 燃料組成とその排出量との関係を調べた。
    二組の燃料を試験に供した。第一は, 3種類の単一成分炭化水素n-セタン, ヘプタメチルノナン (HMN), 1-メチルナフタレン (α-MN) とセタン価向上剤 (DII-2, Ethyl 社製) を適宜混合したもので (Table 1), 燃料の芳香族成分およびセタン価向上剤の含有量, セタン価がB(a)Pの排出量に及ぼす影響を調べた。第二は, 軽油相当留分の油を分留および分取クロマトグラフィーにより沸点範囲別, さらに飽和成分, 芳香族成分別に分けた試料を, セタン価55に合わせたもので (Table 2), 燃料の芳香族成分含有量および沸点がB(a)Pの排出量に及ぼす影響を調べた。B(a)Pの分析手順はFig. 1に示す通りで, ディーゼル機関の排出ガスを約13倍に希釈した後, 142mmφのガラス繊維円板ろ紙を通して粒子状物質を採取し, 抽出, 前処理の後, 蛍光検出器付の高速液体クロマトグラフィーで定量を行った (Tables 3, 4)。使用した機関は, セタン価測定用CFR F-5ディーゼル機関 (ASTM D613またはJIS K2280) で, 圧縮比16.0, 燃料消費量15ml/min (単一成分炭化水素混合燃料の場合) または空気過剰率1.35 (分割試料混合燃料の場合) 以外の条件は, セタン価測定時のものと同じとした。機関を含む装置系をFig. 2に示す。
    Table 5に, 単一成分炭化水素混合燃料の燃焼における粒子状物質およびB(a)P排出量の結果をまとめた。
    n-セタンとHMNを混合した純パラフィン系燃料H0α0~H82の場合, B(a)Pの排出量は5~12ng/minで, 2成分の混合比による変化は認められなかった。一方, n-セタンとα-MNを混合した燃料α5~α70の場合, B(a)P排出量はα5を除くと80~210ng/minで, 純パラフィン系燃料に比べて著しく増加した。H47α5~H18α30は, セタン価を55に保ったままn-セタン, HMN, α-MNの混合比を変えたもので, 粒子状物質およびB(a)P排出量はα-MNを30%含むH18α30のとき, 純パラフィン系のH0α0~H82と比べて明らかな増加が認められた。H80D4~H85D15はn-セタンとHMNの混合物にセタン価向上剤を添加した燃料で, H0α0~H82との比較からわかるように, セタン価向上剤の使用は粒子状物質, B(a)Pの排出量に何ら影響を及ぼさなかった。
    Table 6に, 分割試料混合燃料の燃焼における粒子状物質およびB(a)P排出量の結果をまとめた。
    F(Σ20S)25~F(Σ32S)50は, 飽和成分の分割試料, n-セタン, HMNから成る燃料で, 純パラフィン系に近い性状のものである。これらの場合, B(a)P排出量は単一成分炭化水素混合燃料における純パラフィン系のH0α0~H82と同様の小さい値となり, また, 分割試料ごとやその混合率による変化も認められなかった。一方, F(Σ20Ar)25~F(Σ32Ar)50は芳香族成分の分割試料, n-セタン, HMNから成る燃料で, B(a)Pの排出量は, 飽和成分を混合した燃料に比べて一般に大きく, 分割試料の混合率とともに増加した。また, 分割試料ごとの変化も著しかったが, 沸点範囲と単調な関係にはなかった。
    以上の結果について次のような考察を行った。まず, 燃料中に含まれるB(a)Pとその排出量の関係を調べたところ (Fig. 3), 報告例にあるような正の相関関係9)は認められなかった。これは, 本研究における燃料中のB(a)P排出量が報告例よりも極端に低いためと思われる。次いで, 燃料の芳香族性とB(a)P排出量の関係を調べ (Fig. 4), B(a)P排出量が芳香族成分の供給量とともに指数関数的に増大することを見出した。この際, セタン価もB(a)P排出量に影響を及ぼすことが示唆された。さらに, 芳香族成分の分割試料における試料ごとのB(a)P排出量の違い (Fig. 5) は, 燃料中の芳香族成分の構造の違いとよく対応すること (Table 7), などを明らかにした。
  • 石原 達己, 荒井 弘通, 清山 哲郎
    1985 年 28 巻 6 号 p. 463-469
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    トルエンのアルキル化反応では熱力学的にメタ体が生成しやすい。形状選択性ゼオライト触媒を用いると高いパラ選択性を期待できる。種々のゼオライトを用いて反応を行ったところゼオライト触媒の中でペンタシル型ゼオライトは活性低下の少ない優れた触媒であった。ゼオライトの分子形状選択性がその細孔径と酸性度に依存することを明らかにした。2,4-ジメチルキノリンによる被毒により外表面酸点は生成するキシレン組成に影響を与えないが, リンもしくはホウ素で修飾すると高いパラ選択性が得られた。とくにエチル化反応ではパラ-エチルトルエンの異性体分率は70%以上という高い値を示し, オルト体はほとんど生成しなかった。
  • 菊地 英一, 関場 徹, 原澤 憲, 松方 正彦, 森田 義郎
    1985 年 28 巻 6 号 p. 470-476
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本研究ではアルミナ担持炭酸カリウムおよび酸化カルシウム触媒を用いて Table 1に示す残油の水蒸気ガス化を行い, この二種の触媒作用の比較検討を行った。
    アルカリ化合物触媒の活性は金属のイオン化ポテンシャルの減少に伴ってLi<Na<K<Csの順に増大する。6)一方, アルカリ土類化合物触媒については, Table 2に示すようにCaOが最も高い活性を示した。
    Fig. 1はK2CO3触媒およびCaO触媒を用いて常圧残油の水蒸気ガス化を行い, 活性 (ガス化率) の温度依存性を検討した結果である。850°C以上では両者とも十分に高い活性を示しており, K2CO3触媒はCaO触媒に比べて若干高い活性を示しているものの大差はない。しかし, CCR値が増加するに従って, この二種の触媒の活性の差は大きくなった (Fig. 2)。
    CaO触媒に対する硫黄の被毒の影響を検討した結果を Fig. 3に示す。H2SであらかじめCaSに硫化した触媒は初期にはAl2O3と同程度の低い活性であったが, 徐々に活性は増加する。一方CaO触媒で, チオフェンを添加した常圧残油をガス化したところ, 添加しない場合との間で差は認められなかった。Fig. 4にガス化に使用する前後のCaO触媒のX線回折図を示す。反応後にCaSの生成が認められるが, ほとんどのカルシウムは酸化物の形で存在しているのがわかる。CaS触媒を用いて反応を行った後の触媒についても同様なX線回折図が得られた。以上のことからCaO触媒が重質な原料に対して低い活性を示すのは硫黄による被毒の影響とは考えにくい。一度活性の低下したCaO触媒にCO2またはH2Oを送って析出炭素を取り除くと活性が再生された (Fig. 5)。Fig. 6にCaO触媒上に析出した炭素とCO2との反応結果を示す。重質な原料油からの析出炭素量は大で, その反応性 (Fig. 6の曲線の傾き) は低い。以上のことから, 重質な原料油に対するCaO触媒の低い活性は触媒上への炭素析出および析出炭素の低い反応性によることがわかる。
    K2CO3触媒はCaOとは異なる挙動を示した。Fig. 8はガス化率および析出炭素量に及ぼす反応時間の影響を検討した結果を示す。ガス化率が一定 (定常) となっても炭素析出が進行した。このことは触媒活性種が析出炭素層の表面へ移動していることを示している。同一析出量で比較すると析出炭素のCO2に対する反応性は原料油による差が認められなかった (Fig. 9)。Fig. 10はガス化率, 炭素析出量および触媒中のカリウム量に及ぼす水蒸気比の影響を検討した結果である。水蒸気比が高い場合にガス化率も高い値を示すが, このとき, 炭素析出量は少なく, カリウムの損失量も大きくなった。活性種が厚い析出炭素層を移動することによりアルミナから脱離しやすくなるため, カリウムの損失が大となるものと考えられる。
  • 上道 芳夫, 菖蒲 明己, 野口 直也, 加納 久雄
    1985 年 28 巻 6 号 p. 477-484
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    活性炭触媒によるポリプロピレン (PP) の分解で第3級炭素が環化に関与する場合の反応機構を明らかにするため, その触媒上でのジメチルヘプテン類などの脱水素環化反応を検討した。2,4-および2,6-ジメチル-1-ヘプテンは主に1,6炭素間で閉環すると考えられ, その中間体についても考察した。その結果, C10以上のPP一次分解フラグメントの反応で第3級炭素がベンゼン環形成に関与する場合でも, アルキル基の脱離を伴い環化反応 (とくに1,6炭素間での) は十分起こり得ると推測された。また活性炭上では分枝炭化水素は直鎖炭化水素より環化しにくく, このことがポリエチレンよりPPの分解において芳香族収率の低い原因であった。
  • 安福 幸雄
    1985 年 28 巻 6 号 p. 485-492
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    著者は既に文献1)において示差走査熱量測定 (DSC) によってパラフィン系変圧器油中のパラフィンワックス分の定量に成功し, パラフィン油の流動点, DSC結晶化ピーク温度と融解熱の間の関係を得たことを記し, DSC法がパラフィンワックス含有量を見積るのに最良の方法であることを示唆した。そこで, 著者は流動点降下剤を含有するパラフィン系変圧器油についてDSCを適用した結果を報告する。
    ここで用いられたパラフィン系変圧器油は溶剤精製, 部分的脱ろう, 水素精製および白土処理のプロセスを経た通常の生産ラインで製造されたもので, その代表的な性状のうち流動点は-25°Cであった (Table 1)。流動点降下剤として無極性のエチレン•プロピレン共重合体のオリゴマー (以下PPDと略す) を0.005ないし1.0%添加した試料を調製した。それらの流動点は-275°から-45°以下を経由して-27.5°Cであった (Table 1)。室温から-100°Cまでと-100°Cから室温までの発熱および吸熱が精密なDSCによって測定された。そして結晶化ピーク温度や結晶化熱/融解熱が算出された。
    PPDの添加量が0.15%のところで最低の流動点を示した (Table 1)。
    冷却条件の場合, 室温から-80°Cまでの結晶化熱はPPDに無関係にほとんど同一であり, 結晶化ピーク温度も同一であるが, PPD添加量とともに結晶化ピーク温度の近辺における形状の若干の相違が見出された (Figs. 1~3)。加熱条件の場合も, -80°Cから室温までの領域において前記と類似の傾向を示した (Figs. 4~6)。
    パラフィン系鉱物油を冷却すると, パラフィンワックスの結晶が析出するとともに油分子を包み込み全体が流動性を失うプロセスにおいて, PPDが結晶化を阻害せず, その結晶の巨大化とゲル化に至る過程を抑えるという今までの定説がレビューされた。
    さて, Figs. 1~3の各グラフを (Fig. 7) に示す手法によって, -30, -40, -50, -60および-80°Cを示す点とベースライン上の原点をそれぞれ結ぶ直線で囲まれた面積でそれぞれ区分することによって, -60°C以上の領域ではPPDの添加量とともに, その結晶化熱が減少するのに, -80°Cではそれに無関係に結晶化/析出が終了することが示された (Fig. 8)。それゆえに, PPDがパラフィンワックスの結晶化を阻害する場合があることが指摘された。
    次に, PPDの添加量と流動点の関係は, その添加量とともに急激に流動点が下降する領域と徐々に流動点が上昇していく領域に分けられた (Fig. 9)。また, それぞれの流動点における結晶化熱を概算してPPDの添加量との関係を求めると, その添加量とともに結晶化熱が急増する領域と徐々に減少する領域に分けられた (Fig. 9)。かくして, 流動点の低下が結晶化熱の増加と結びつくところと, 流動点の上昇が結晶化熱の低下に結びつくところに分けられた。後者はPPDの機能からいって無意味であるので, 前者の関係のみが明確な関係として示された (Fig. 10)。これはPPDがパラフィンワックスの析出と動粘度の上昇をカバーして, なおかつ流動点を下降せしめることを示唆した。このようにDSCを用いることによって, PPDの効果が流動点と結晶化熱の関係において把握され, その最適添加量をより精度よく決定することができた。最後に著者はPPDの作用に関する今までの定説を見直す必要性があることを示唆した。
  • 化学結合型シリカゲル薄層棒の調製
    山本 洋次郎, 大野 陽一
    1985 年 28 巻 6 号 p. 493-497
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    水素炎イオン化検出-薄層クロマトグラフィー (FID-TLC) による重質油の詳細な炭化水素タイプ分析法の開発を目指し, シリカゲル薄層棒にアミノプロピル基, あるいはシアノプロピル基を導入する化学結合型シリカゲル薄層棒 (クロマロッドNH2-SIIおよび同CN-SII) の調製を検討した。
    まず, HPLC用化学結合型シリカゲルの調製に用いられる方法と同様に, 3-アミノプロピルトリエトキシシランあるいは3-シアノプロピルトリクロロシランを用いて, 従来のシリカゲル薄層棒であるクロマロッドS-IIにそれぞれ対応するアミノプロピル基およびシアノプロピル基を導入した。続いて, Fig. 1に模式的に示したようにFIDで検出するための部分として薄層棒の先端から一部を水素炎中で焼成することによって化学結合部を取り除き再生した。
    クロマロッドNH2-SIIについて, 化学結合部の長さを0~4cmに変えた時の飽和分 (Sa) と単環芳香族 (M-Ar), M-Arと2環芳香族 (D-Ar), D-Arと3環芳香族 (T-Ar) の3組の隣接する成分間の分離度Rs1, Rs2, Rs3の差違を調べた。その結果, Fig. 2に示したように, 4cmが最も良いことがわかった。このように, 調製したクロマロッドNH2-SIIおよび同CN-SIIを用いて標準混合試料を分離した結果を Fig. 3に示したが, いずれの薄層棒によっても各成分は明りょうに分離されていることがわかる。従来品との比較の結果, Table 1に示した各分離度Rsi (i=1~3) の値から, クロマロッドNH2-SIIおよび同CN-SIIが従来の市販薄層棒に比べて優れた炭化水素タイプ別分離能を有していることが示唆された。
    クロマロッドNH2-SIIの表面をEPMAで観察した結果, Figs. 5, 6に示したようにアミノプロピル基は, シリカ表面に一様に化学結合されていることが示唆された。
  • 八嶋 建明, 伊中 明, 難波 征太郎, 原 伸宜
    1985 年 28 巻 6 号 p. 498-502
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    前報6)で報告したように, HZSM-5ゼオライトを触媒に用いて, メタノールにより1,2,4-トリメチルベンゼン (1,2,4-TrMB) をアルキル化すると, 1,2,4,5-テトラメチルベンゼン(1,2,4,5-TeMB) を高い選択率で合成することができる。しかしながら, HZSM-5のアルミニウム含量 (活性点濃度) を増加すると, アルキル化の活性は上昇するが, 1,2,4,5-TeMB生成の選択性は減少してしまう。この原因は, ゼオライト結晶の外表面上にある活性点で起こる反応の割合が増加するため, HZSM-5特有の細孔構造にもとづく形状選択性が低下することにあると推定した。
    本報告では, HZSM-5ゼオライト結晶の外表面にある活性点を選択的に被毒あるいは除去することにより, ゼオライト結晶外表面上の活性点の形状選択性におよぼす影響を明らかにし, 1,2,4,5-TeMBをさらに高い選択性で合成することを目的とした。
    ゼオライト結晶外表面上の活性点を選択的に被毒するために, 分子形状が大きくHZSM-5の細孔内に入れない有機塩基である2,4-ジメチルキノリン9)で前処理し, 反応を行った。その結果, Fig. 1に示した被毒しない場合の結果と比較して, キシレンの生成は抑制されず, TeMBの収率はほぼ半減したが, 1,2,4-異性体以外のTrMB, 1,2,4,5-異性体以外のTe-MBなど分子形状の大きな分子 (PLMS) の生成が完全に抑制され, アルキル化生成物は1,2,4,5-TeMBのみであることが判明した (Fig. 2)。
    有機塩基は, 触媒の再生等により機能を失う可能性があるため, 結晶外表面上の活性点を選択的に除去することを試みた。Beyer 等8)が見出した四塩化ケイ素によるゼオライト結晶格子からの脱アルミニウム法を利用して, ZSM-5結晶外表面近くの選択的脱アルミニウムを行った (Table 1)。得られた脱アルミニウムHZSM-5を触媒に用いて, アルキル化を行った結果, PLMSの生成を大きく抑制することができ, 特に反応初期においては, 1,2,4,5-TeMBの収率および選択率を向上させることができた (Table 2)。しかしながら, 触媒の定常活性時における1,2,4,5-TeMB収率は減少し, キシレンの生成は抑制できなかった (Fig. 3)。
    以上の結果より, PLMSはHZSM-5結晶外表面上の活性点で生成することが明らかとなり, 結晶外表面上にある活性点の選択的被毒あるいは除去により, HZSM-5触媒の形状選択性が向上して, 1,2,4,5-TeMB生成の選択性を高めることが可能となると結論した。
  • 石油学会製品部会ガソリン分科会オクタン価要求値専門
    1985 年 28 巻 6 号 p. 503-509
    発行日: 1985/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本調査は1984年型国産乗用車のオクタン価要求値分布を把握することを目的とし, 石油連盟の依頼により実施された。試験はJPI-6S-6-84に準拠し, 低速法でのオクタン価要求値分布を正標準燃料および全沸点型標準燃料 (混合系) の計2種で, 試験車12車種111台を対象に実施した。統計処理は'83年度の調査結果のうち仕様変更なく引続き販売されている12車種97台の結果を加えて行った。その結果, 正標準燃料における低速法オクタン価要求値分布は50および90%充足率でそれぞれ89.6および94.1オクタンであった。これは前年度に比べ50および90%充足率で0.3~0.9オクタン低い値になっている。
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