石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
32 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 石井 康敬
    1989 年 32 巻 5 号 p. 229-236
    発行日: 1989/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    シクロペンタジエンン (CP) の利用についての最近の研究結果をまとめた。
    CPと1, 3-ブタジエン (BD) の環化付加反応によって得られる1:1付加体の位置選択的なエポキシ化反応が酸化剤に過酸化水素水, 触媒にヘテロポリ酸を用いることにより達成された。ノルボルネン骨格をもつ付加体はエタノール中ニッケル錯体とNaBH4のような適当な還元剤の存在のもとで良好な収率で二量化された。CPとBDの共二量体の一つであるテトラヒドロインデンはFe(CO)5によって不均化反応を受けヘキサヒドロインデンとインダンをほぼ理論的な収率で与えた。エチレン-プロピレンゴムの第三成分として用いられている5-エチリデン-2-ノルボルネンの一段合成がCPとBDのチタノセン触媒による反応と, CPと1, 2-ブタジエンの Diels-Aldcr によって達成された。
  • 非収縮性 (膨張性) モノマー, 材料を中心として
    遠藤 剛, 高田 十志和
    1989 年 32 巻 5 号 p. 237-247
    発行日: 1989/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ビニルモノマーや開環性モノマーが重合する際, またエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が硬化する際に大きな体積収縮を伴う。この現象は接着剤, 精密成型材料, 封止剤など材料科学の分野で大きな問題である。筆者らは, 重合時に非収縮性を示すスピロ骨格をもつ種々のモノマーを開発した。さらに, それらのモノマーの機能化による多官能性モノマーやビニル基をもつモノマー, またそれを応用した側鎖, 主鎖, 及びグラフト鎖に非収縮性機能団をもつ高分子や自己架橋型非収縮性高分子等を合成した。さらに, スピロモノマーの重合成長種が極めて安定であることに着目して, スピロモノマー及びビニルモノマーとのブロック共重合体の合成への道を開拓した。
  • 吉成 知博, 菅沼 藤夫, 世良 力
    1989 年 32 巻 5 号 p. 248-254
    発行日: 1989/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    マンガン酸化物担持Ru触媒を用いて, 加圧下でCO水素化反応を行い, 活性•生成物分布に及ぼす触媒調製条件, Ru源および反応条件の影響について調べた。触媒の活性および炭化水素の生成物分布はRu金属の分散性に強く支配され, 分散性が低いとCO転化率は低下するが, 液状炭化水素の生成には有利となった。また, 特にRuCl3/MnO2触媒を用いた場合, その生成物分布は反応温度依存性が少なく, 幅広い温度領域においてもメタン生成を抑制し, ほぼ一定した高い連鎖成長確率をあたえ, かつオレフィン選択性に優れる組成を示した。これらの結果から, MnO2に強い水素化抑制能を有していることが示唆された。
  • コアモデルによる粒内及び粒外拡散係数の測定
    香川 詔士, 池田 憲治
    1989 年 32 巻 5 号 p. 255-261
    発行日: 1989/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石油留分中のn-パラフィンを吸着操作によって分離精製する際の基礎資料を得る目的で, 合成ゼオライトを吸着剤とするn-ヘキサン-ベンゼン液相回分法吸着実験を行い, 物質移動の律速因子として粒内拡散抵抗が支配的であることを確認した。そして, この粒内拡散係数をコアモデルを用いて推算することを試み, 実験値とよい一致を得た。また, ラングミューア単分子理論を仮定した速度式を用いて吸着速度定数を推算した。
  • COMの動的•静的安定性の簡易評価法
    前田 滋, 大木 章, 岩城 努, 門野 和典, 山口 泰史, 竹下 寿雄
    1989 年 32 巻 5 号 p. 262-267
    発行日: 1989/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    COMの流動状態での凝集現象に対する安定性 (動的安定性) の簡易評価法について検討した。銅版円筒をCOM中に浸し, 一定時間COMをかくはんした後円筒上に付着した凝集物量を計測する方法 (円筒浸漬試験), およびステンレス製フレキシブルパイプ内に一定時間COMを流動させた後パイプ内に付着した凝集物量を計測する方法 (フレキシブルパイプ通液試験) を開発した。実操業において凝集物を生じ易いといわれるCOM添加剤を使用した場合, これらの試験法でも凝集物量が多く, 短時間で簡便にCOMの動的安定性を評価できることがわかった。また, COM貯蔵時における静的安定性については, COM層の各部位における凝集状態を観測できる新しい簡易評価法を開発した。
  • 佐藤 信也, 榎本 稔, 高橋 至朗
    1989 年 32 巻 5 号 p. 268-272
    発行日: 1989/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    オイルシェール乾留に必要な熱エネルギーは通常廃シェールの燃焼により供給されるが, 廃シェール上の残留炭素量が少ないと, 生成した油の蒸気の一部が燃焼し, 油収率を低下させる可能性がある1)。我々は前報2)でタイまたはコロラド産オイルシェールを充てんしたシリカチューブ内に空気を送り込むだけで廃シェールの燃焼を継続でき, その熱で乾留ができる事を明らかにした。ここでは上記2種類 (AおよびB) を含む11種類のオイルシェール (C: ワイオミング, D: オハイオ, E: コンドル, F: ランドル, G: ヤンバ, H: テイマディー, I: カラク, J: 青海省, K: ランスタッド) について部分燃焼式乾留を行い, 生成油の収率及び性状, 空気導入量について検討した2),3)。
    本実験の生成油収率は Fischer assay 収率が9%以上のもの (A, B, C, F, G, H, I, J) では Fischer assay 収率基準で80-105%であったが, 9%以下のもの (D. E. K) ではこれよりかなり低くなった (Table 1, Fig. 1)。特にEでは, オイルシェール中の有機炭素含有量が少ないため, 乾留に必要な熱エネルギーは廃シェール上の残留炭素の燃焼だけでなく, 生成油の蒸気の一部の燃焼により供給されたと考えられる。
    乾留に必要な空気導入量はケロージェン中の芳香族炭素含有量に比例する傾向にあり4), ケロージェンの芳香族性が0.4以上のオイルシェール (J, K) では他のものより多量の空気を必要とした (Table 2, Fig. 2)。
    本実験の生成油は Fischer assay のものに比べ, 大きな密度及びH/Cを示した。
  • 神谷 佳男, 田口 敏樹, 二タ村 森
    1989 年 32 巻 5 号 p. 273-276
    発行日: 1989/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    2, 3-および2, 6-ジメチルナフタレン, 4, 4'-ジメチルビフェニル, p-キシレンなどを試料とし, 酢酸溶液中, 90°C, Co-Mn-Br系触媒による酸素酸化を行い, カルボン酸, アルデヒドなど生成物の収率に対する水の影響を検討した。酢酸溶媒の1/19を水で置換すると, 基質の酸化速度は無添加時の50~80%に低下するが, アルデヒドの酸化速度に対する影響は大きく, 30%に低下した。水添加により, アルデヒドの生成反応も酸化反応もともに抑制されるが, 基質の反応率に対するアルデヒド選択率のプロットにより, 水の添加効果を比較したところ, アルデヒドの最高選択率は水の添加により2~11%増加し, 51~67%にまで向上することを認めた。
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