石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
34 巻, 5 号
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  • 岩本 正和, 水野 哲孝, 八尋 秀典
    1991 年 34 巻 5 号 p. 375-390
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    新しいNO除去法として銅イオン交換ゼオライト触媒でのNOの直接分解および選択還元反応を提案する。NOの分解反応には銅イオン交換ZSM-5ゼオライト (Cu-Z) が最も高活性であった。Cu-Zゼオライトの活性はイオン交換率とともに増加した。酢酸銅を用いた繰り返しイオン交換法, あるいは硝酸銅にアンモニアを添加するイオン交換法により調製できる銅イオン交換率100%以上のCu-Zは, 酸素存在下および高GHSVでさえかなり高活性であった。IR, ESR, りん光, TPD, CO吸着測定から, (1) Cu-Z中にイオン交換されたCu2+イオンは高温排気処理によりCu+もしくはCu+-Cu+に還元される, (2) 773Kでの酸素処理および排気後, Cu-Z中の約40%の銅イオンがCu+として存在する, (3) Cu+上のNO吸着により生成したNO-種がNO分解反応の中間体である, (4) Cu+_??_Cu2+のレドックスが分解反応の重要なステであるということが明らかとなった。
    炭化水素による酸素存在下でのNOの選択還元反応が我々のグループにより初めて見い出され, Cu-Zが523~673Kという低温でのNO除去に極めて有効であった。NO+C3H6+O2系の選択還元反応においてCu-Zの活性はSO2を添加してもあまり毒されなかった。同量のSO2添加によりNOの直接分解活性が完全に消失することとは対照的に, N2への転化率 (773K) は100% (SO2非共存) から85% (SO2共存) に変化したにすぎなかった。さらにCu-Z上での反応速度 (573K)は, 我々の後に報告されたプロトン型ゼオライト (723K) あるいはアルミナ触媒 (773K) の反応速度に比べて非常に速かった。
  • オゾンホール
    岩坂 泰信
    1991 年 34 巻 5 号 p. 391-398
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    南極の成層圏で行われた大気の化学組成, 力学過程, 温度構造等の観測によって, この領域の大気化学過程は中低緯度でしばしば観測されるものとは著しく異なったものになっていることが明らかになった (たとえば, 春の大規模なオゾン消失)。極めて寒冷な大気が南極成層圏に発生することから, この時期に多量の粒子状物質 (Polar Stratospheric Clouds; PSCs) が発生する。このことが窒素酸化物の濃度を著しく低下させ, 結果としてクロロフルオロカーボン (フロン) が分解して生じた塩素酸化物によるオゾン破壊が著しく進行しやすい状況を作っていると考えられる。大気中のフロンの濃度が増加しつづけるなら, いずれ塩素酸化物の濃度が窒素酸化物の濃度を大幅に上回る状態が予想される。すなわち, 南極のオゾン消失は南極特有の大気エアロゾルの存在によって, 将来出現するであろう状況を示したといえる。
  • 安斉 順一, 李 昇龍, 長 哲郎
    1991 年 34 巻 5 号 p. 399-406
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    イオン感応性電界効果トランジスター (ISFET) を小型バイオセンサーに応用する試みが行われている。その際のISFETの特徴は, (1) 半導体製造工程で生産され, 小型化が容易である, (2) 単一素子に複数のセンサーを多重化できる, (3) 低出力インピーダンスのため絶縁性感応膜を使用できる, および(4) 大量生産に適していること, などである.
    クラウンエーテル類を用いて, 化学修飾法およびLB膜法によりISFETイオンセンサーが開発された。これらのセンサーは従来のPVC膜センサーと比較して, 応答速度や耐久性の向上がみられた。
    また, ISFETを応用した小型酵素センサーが作製された。ISFETをウレアーゼ•アルブミン膜で被覆した尿素センサーは, ヒト血清または血しょう中の尿素の測定に利用することが可能であった。さらに, 反応性LB膜被覆ISFETに酵素を固定化して, ペニシリンやタンパク質測定用のセンサーが作製された。
  • 菊地 英一, 伊藤 宏行
    1991 年 34 巻 5 号 p. 407-415
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    液相フィッシャー•トロプシュ (FT) 合成用触媒の開発を目的とした著者らの超微粒子 (UFP) 触媒に関する研究成果について概説する。ガス中蒸発 (GE) 法および液相還元 (LR) 法で調製した鉄UFPを触媒とし, 小型のかくはん式オートクレーブを用いて反応を行った。
    GE法により調製した鉄UFPは適切な前処理を施すことにより, 優れた触媒性能を示すようになった。一つは鉄UFPのスラリーに超音波を照射すると分散性が高くなるため, 触媒活性が増大することが明らかになった。これは, UFPを液相反応の触媒として使用する際, 広く適用できる方法であると考えられる。また, 金属UFP触媒は高温の反応に用いると粒子成長しやすいが, 鉄UFP触媒では使用前に低濃度の酸素と接触させて表面に酸化層を形成することにより, 粒子成長が抑制されて高い活性が維持されることを見い出した。
    さらに, 鉄UFP表面の化学的修飾も触媒活性の増大や選択性の制御に有効であることが示された。LR法による鉄UFPは, カリウムおよび銅で修飾することにより高い触媒活性が発現し, 液体燃料への極めて高い選択率を与えた。また, GE法による鉄UFPの表面をマンガンで修飾すると, 低級オレフィンを選択的に合成するようになることが見い出された。
  • 岩井 芳夫, 荒井 康彦
    1991 年 34 巻 5 号 p. 416-426
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ポリマー系の相平衡すなわち気液平衡, 液液平衡, およびポリマーゲルの体積相転移についてレビューした。
    まず, ポリマー系の気液平衡すなわちポリマーに対する気体や蒸気の溶解度の測定法として, 圧力法, 重量法, ガスクロマトグラフ法, および透過法について簡単に述べた。さらに, 気液平衡の推算および相関法として対応状態原理, 溶液モデル, および状態方程式について解説した。対応状態原理に基づく方法は, 溶質の臨界値を用いて相関するものであり, ポリマーがポリスチレン, ポリエチレン, ポリイソブチレン, ポリジメチルシロキサンなど, 溶解度のデータが多い系に適用可能である。溶液モデルによる方法は, Flory-Huggins 式が基本となっているが, この式では気液平衡を良好に相関することは困難なので自由容積寄与項を付加したモデルが提案されている。さらに, Oishi と Prausnitz によって, UNIFAC に自由容積寄与項を付加したUNIFAC-FVモデルが提案された。Iwai と Arai は自由容積寄与項として新しい式を提案し, UNIFAC-FVモデルで気液平衡が良好に推算可能であることを示した (Table 1およびFigs. 1, 2)。気液平衡を状態方程式を用いて相関する試みは少ないが, Ohzono らは Perturbed-Hard-Chain 理論により, 溶質のヘンリー定数が良好に相関できることを示した(Fig. 3)。さらに, Schotte は高圧におけるエチレン-ポリエチレン系の気液平衡を状態方程式により相関した (Fig. 4)。ポリエチレンを33の成分に分割することにより, 液相および気相のポリエチレンの平均分子量も計算可能になっている (Fig. 5)。
    液液平衡の2成分系の測定例として, 岩井らによるシクロペンタン-ポリスチレン系の曇点法による測定を解説した (Fig. 6)。さらに, 古屋らによって行われたデキストラン-ポリエチレングリコール-水の水性2相系の測定結果を多成分系の例として示した (Fig. 7)。液液平衡の相関は気液平衡の相関に比べて困難である。岩井らは, 溶液モデルのパラメーターの一つがポリマーの分子量および温度の関数であるとすることで, シクロペンタン-ポリスチレン系のUCST以下の温度での液液平衡が良好に相関可能であることを示した (Fig. 6)。また, 古屋らは, ビリアル展開式と Flory-Huggins 式の両者で水性2相系の液液平衡の相関を行い, ビリアル展開式の方が良好な相関結果を与えることを示した (Fig. 7)。
    最後に, ポリマーゲルの体積相転移の例として, スミカゲルS-50 (ビニルアルコール-アクリル酸ナトリウム共重合体) のアルコール水溶液中における体積測定の結果および Tanaka の式による相関結果を示した (Fig. 8およびTable 2)。Tanaka の式では, ポリマーゲルに対する溶媒の選択的吸収は無いとしているが, スミカゲルS-50は水を選択的に吸収する (Fig. 9) ため, このことを考慮にいれたモデルの開発が今後の重要な課題となる。
  • 井手 俊輔, 原口 俊秀
    1991 年 34 巻 5 号 p. 427-431
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    スチレン-ジビニルベンゼン共重合樹脂を1-ニトロソ-2-ナフトール (NSN) のクロロベンゼン溶液に浸し (漬) することによりゲル粒子を調製した。この粒子を充てんしたゲルカラムにより, 純水および河川水に添加した6種類の金属イオンの吸着, 分離, 濃縮について検討した。銅 (II), 亜鉛 (II), カドミウム (II) およびニッケル (II) については適当なpH条件を選ぶことによっていずれもカラムに捕そくされ, 1M塩酸によって定量的に脱着, 回収されて8~50倍に濃縮することができた。ゲル粒子への吸着pH差あるいは金属-NSN錯体の安定度の差を利用して, 他金属イオンと共存する銅 (II) を選択的に分離することができた。
  • 趙 興哲, 坂西 欣也, 持田 勲, 安武 昭典, 真庭 繁信, 石井 博則
    1991 年 34 巻 5 号 p. 432-437
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    原油燃焼用バーナーチップのディレーティング時における閉そく原因物質の生成要因を明らかにするため, 原油を大気圧下で150~300°Cの温度に加熱して, その際の原油の安定性および構造•組成変化を調べるとともに, 原油の性状変化に対するエアーブロー処理ならびに反応器壁材の影響を検討した。その結果, 原油の空気酸化による高分子化と極性成分の増加が不溶分の生成をもたらし, 特に200°C以上の高温熱処理においてヘキサン不溶分の増加とたい積が促進されることが明らかになった。200°C以下では反応器壁材質の影響が明確ではなかったが, 200°C以上の高温では器壁間の差がかなり大きかった。エアーブロー条件下の300°C-8hの熱処理において炭素鋼 (STPT) 器壁材を用いた場合では, THF不溶分生成量が42wt%という高い傾向を示したが, ステンレス鋼 (SUS) およびテフロンコーティングしたSTPTではそれぞれ27および14wt%とTHF不溶分の生成がかなり抑制された。これらのことから, テフロンコーティングしていないSTPTでは器壁材が酸化反応に対する触媒作用を有しているのに対して, SUSおよびテフロンコーティングしたSTPTでは器壁が比較的不活性で, 触媒作用を示さないと考えられる。SUSとテフロンコーティングしたSTPTを比較すると, 200°C以上の熱処理ではテフロンコーティングしたSTPTの方が器壁材として優れているといえる。したがって, 給油停止時のバーナーチップ温度を運転温度 (約200°C) に維持する場合は, 器壁材質を考慮する必要がある。
  • FIA測定法に代替可能な機器分析法の検討
    塩見 紘一, 西川 譲, 下野 正男, 小谷野 勝人, 徳原 有司, 田村 真実
    1991 年 34 巻 5 号 p. 438-445
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    熱伝導度検出器 (TCD) 付きの2台のガスクロマトグラフを組み合わせたタンデムGCを用いて, ガソリンとナフサを飽和分 (S), オレフィン分 (O), 芳香族分 (A) に分離•定量するタイプ分析システム (SOA-GCシステム) を試作した。初段のGCに装着した極性カラムで芳香族分を飽和分およびオレフィン分から分離し, 検出器 (TCD-1) で検出する。TCD-1のベントは後段のGCのカラム槽に収容された硫酸トラップ, およびそれに直列に接続されたアルカリトラップに接続されており, TCD-1を通過した成分のうちオレフィン分と芳香族分が化学的に除かれ, 飽和分のみが後段の検出器 (TCD-2) で検出される。こうしてS, O, Aのピーク面積を測定したあと, 濃度既知の標準試料による検量線から各タイプの容量%を計算する。定量結果は Fluorescent Indicator Adsorption (FIA) 法と同等の精度であり, さらに実用上, (1) 1試料の測定時間は約20分 (FIA法は約150分), (2) 測定に必要な試料量は最大1μl (FIA法は50ml), (3) 自動試料注入装置の付加により自動測定が容易, (4) オレフィン含量約1%のナフサから50%のFCCガソリンまでの試料に適用できるという利点があることが分かった。
  • 堀 敬, 上田 早苗, 小嶋 義博, 熊谷 仁志
    1991 年 34 巻 5 号 p. 446-451
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    硫化カルシウムサリシレート開発検討の一環として, アルカリ金属フェノキシドの Kolbe-Schmitt 反応を経由する従来法とは異なり, 硫化カルシウムフェネートに直接カルボキシル基を導入する新しいプロセスの開発を目指して反応の条件を検討した。ここでは, 酸化カルシウム当たりアルキルフェノールを過剰に使用する方法で調製したカルシウムフェネートと硫化カルシウムフェネートを用いた。生成したカルボン酸誘導体はアルキル置換サリチル酸のみであり, その収率は(1) 二酸化炭素処理工程におけるエチレングリコール成分を少なくする, (2) 酸化カルシウムに対するアルキルフェノールの配合比を2.0以上にする, (3) カルボキシル化されないフェノール硫化物の生成を抑制する, および (4) 二酸化炭素処理温度を140°C以上にする, ことなどにより増加することが判明した。
    この結果, カルシウムサリシレートの新しい製造プロセスに目処がついた。
  • 石炭-水混合物 (CWM) 用分散剤の迅速定量法
    大木 章, 新小田 尚一, 若松 一浩, 中 建介, 前田 滋
    1991 年 34 巻 5 号 p. 452-457
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    親油性ジホスホニウム塩を用いるイオン選択性電極 (ISE) を利用して, 石炭-水混合物 (CWM) 用分散剤 (ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物, NSFと略記) の迅速定量法を開発した。
    Fig. 1 (a) に, このISEのNSFに対する電位応答を示す。電位応答の傾きは, NSFの濃度範囲2~10mg•l-1, 10~100mg•l-1, 100~2,000mg•l-1について, それぞれ51mV•decade-1, 23mV•decade-1, 11mV•decade-1であった。標準添加法を用いて, NSF水容液を石炭粉末と振とうしたときのバックグラウンドの影響を調べた。Fig. 1 (b, c) に示すように, 標準添加法によっても上記の電位応答と同じ傾きの直線が得られ, ISE測定は石炭粒子からの溶出物や微粒子の影響を受けないことがわかった。
    Fig. 2およびFig. 3に, ワークワークス炭 (Wo) および大同炭 (Da) を用いてNSFの吸着実験を行った結果を示す。ISEは, CWM中の水相におけるNSF濃度の経時変化を正確に追跡できることがわかった。
    Fig. 4 (a) に, 種々の炭種の石炭を用いて吸着実験を行ったときの水相中に残ったNSF量を示す。NSFの吸着は, Da>モーラ (Mo)>Wo>サクソンベール (Sa)>太平洋 (Ta) の順に減少した。クロマトグラフィーやけい光光度法を用いて, 吸着実験後のCWM水相中の分析を行ったが, 正確な定量は行えなかった (Fig. 4 (b, c))。ISEは, CWM水相中におけるNSF濃度を容易に測定できる唯一の方法であることがわかった。
    Table 3に種々の炭種の石炭より調製した高濃度CWM (石炭濃度65wt%) の静置安定性を棒貫入試験によって評価した結果を示す。Ta炭およびDa炭では, 高濃度CWMは調製できなかった。すなわち, CWMに適した石炭はSa>Wo>Mo≫Ta, Daの順であった。Sa炭およびWo炭からのCWMは粘度特性も良好であり, 30日貯蔵後も低粘度のままであった (Fig. 5)。Fig. 4 (a) の吸着実験の結果と併せて考えると, CWM水相中に残存するNSF量が多いほど静的安定性および粘度特性のよいCWMになる傾向があることがわかった。水相中に残存するNSFがCWM中のネットワーク構造の形成に大きく寄与していること, またCWM流動時には滑剤的な役割をすることが推測される。
  • 山口 和男, 大勝 靖一, 草野 邁
    1991 年 34 巻 5 号 p. 458-463
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    キノンとHALS (ヒンダードアミン系光安定剤) の相互作用を両者を添加剤としている自動酸化反応において研究した。キノンまたはHALSをそれぞれ10-4Mづつ単独で添加したときにはほとんど酸化を防止する能力を示さなかった。しかし, 両者を共用した場合には相乗効果が観察され, さらにこの系に光を照射することにより著しく酸化が抑制された。また, 両者の共存する系にハイドロパーオキサイドを添加した場合にも劇的な酸化抑制現象が観察された。酸化の抑制されている溶液をプルシアンブルー試験およびFT-IRにより分析した結果, キノンがHALSと相互作用することによって生成したと考えられるフェノール誘導体の存在を確認できた。以上の事実から, フェノール系酸化防止剤とHALSの併用による相乗効果は, 前者の酸化防止後の生成物であるキノンのHALSとの相互作用によるフェノール再生現象で説明でき, 光およびハイドロパーオキサイドが関与した相乗安定化機構を提案する。
  • 伊藤 直次, 許 維春
    1991 年 34 巻 5 号 p. 464-468
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    エチルベンゼンのスチレンへの脱水素反応に対して, パラジウムメンブレンリアクター (PMR) を用いた場合の反応促進あるいは副生物 (トルエン) 生成割合低減の度合を明らかにするために計算機シミュレーションを行った。
    通常反応器では, G/F [g•h/mol] 値が大きくなるとスチレン収率の上昇割合は小さくなるが, PMRを用いた場合は大きくすることが可能であることがわかった。PMRを並流あるいは向流で操作した場合の比較では, 両者のスチレン収率の差は大きくはなかった。これは, 脱水素反応によって生成する水素がトルエン生成反応によって消費されることが原因になっていることがわかった。
  • 上桝 勇, 長尾 幸生
    1991 年 34 巻 5 号 p. 469-472
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    α-シクロデキストリン (CD) による包接錯体生成を利用して, 2-メチルキノリン (MQ) と8-MQの分離が有効に行えることがわかった。錯体固体のα-CD-MQ量論比を検討したところ, ゲスト種がα-CDに対し4倍モル, 2倍モルあるときは1:1 α-CD-MQ錯体が生成し, ゲスト種がα-CDの0.25倍モルのときは2:1錯体が生成した。2-MQに対する包接選択性は, 2:1錯体の方が1:1錯体の場合よりも高かった。Corey-Pauling-Koltun 分子模型に基づき, 結果を説明した。
  • 久保 純一, 宮川 龍次, 高橋 末治
    1991 年 34 巻 5 号 p. 473-476
    発行日: 1991/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    To explain the experimental results concluding that the addition of hydrogen donating hydroaromatics can inhibit the deteriorations of such hydrocarbon products as petroleum products, rubbers and plastics, radical scavenging abilities of hydroaromatics toward DPPH (N, N-diphenyl-N'-picrylhydrazyl) were examined. The radical scavenging abilities were judged by the changes of the color (Table 2) of the solution and ESR spectra (Fig. 1-Fig. 4) after 50°C, 3h heating. The results obtained were as follows:
    (1) Tetralin, octahydrophenanthrene, synthetic H/D (derived from coal, multi-component, effective toward petroleum products and rubbers) and HHAP (derived from petroleun, multi-component, effective toward rubbers and plastics) were obviously effective to scavenge the radicals.
    (2) Naphthalene, phenanthrene and decaline were not effective at all.
    (3) The ability of tetralin was not so effective as octahydrophenanthrene, synthetic H/D and HHAP.
    These conclusions can explain the previous results obtained by the thermal deterioration tests, and the inhibiting abilities of hydroaromatics toward the hydrocarbon products can be attributed to their radical scavenging abilities.
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