石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
35 巻, 2 号
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  • 佐野 庸治
    1992 年 35 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    プロトン交換したZSM-5 (HZSM-5) およびアルカリ土類金属含有ZSM-5型ゼオライト (M-HZSM-5, M:アルカリ土類金属) 上でエチレンおよびプロピレンの水素化を行った。重合, 異性化, クラッキング, 水素化等の反応が併発するため, 生成物は低分子量のものから高分子量のものまで生成した。HZSM-5上で生成する低分子量のものは主にパラフィンであった。低級オレフィンの収率は用いるゼオライトの種類に依存し, 次の順に増加した。HZSM-5〓Mg-HZSM-5<Ca-HZSM-5<Sr-HZSM-5<Ba-HZSM-5。ベンゼンの水素化分解もこれらのゼオライト上で行った。M-HZSM-5の触媒活性はHZSM-5よりも低かった。M-HZSM-5では, 反応温度約300°Cで反応生成物中に水素化生成物であるシクロヘキサンとその骨格異性体であるメチルシクロペンタンが検出された。水素化の活性点を明確にするため, ゼオライト中に含まれる不純物, 特に鉄の水素化触媒としての効果を詳細に検討した。その結果, 鉄を全く含まないHZSM-5ゼオライトが相当な水素化活性を示すことが明らかとなった。以上の結果から, 炭素-炭素二重結合の水素化の活性点はHZSM-5ゼオライトの強酸点であり, その水素化活性はアルカリ土類金属修飾により抑制されると結論した。
  • 丹羽 幹, 村上 雄一
    1992 年 35 巻 2 号 p. 128-136
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Si(OCH3)4をゼオライトの外表面上に化学蒸着し, 生成するシリカ層によるゼオライトの細孔入口径の制御に関する著者らの最近の研究をまとめた。A型ゼオライトによる酸素と窒素の分離, 低級オレフィンの分離, 脱アルミモルデナイト上のメタノール転化反応において生成する芳香族化合物の形状選択性, ZSM-5上の選択的パラキシレンの生成, さらにパラフィンの分解反応における反応物形状選択性など吸着分離および触媒反応におけるこの方法の応用例を解説した。また, シリカ層の生成とその細孔入口径制御機構に関する研究の進歩と流通式CVD法の検討結果を示す。最後に、他の研究者によるこの方法のゼオライトおよび金属酸化物に対するさまざまな応用例について述べる。
  • 各種脱水素触媒の酸化脱水素活性の比較
    岩崎 正夫, 古谷 裕, 森永 実
    1992 年 35 巻 2 号 p. 137-144
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    炭化水素化学は, 芳香族炭化水素の化学からオレフィンの化学へと広がり, 石油資源の有効利用と原料の多様化の要請から, 最も反応性の乏しいパラフィンの化学に対する関心が高まった。その主なものに, 天然ガス化学の展開を目指すメタンの酸化があり, 低級パラフィンの環化脱水素による芳香族合成がある。一方, パラフィンの脱水素によるオレフィン類の合成に関しては分解反応の副生物利用を中心としており, 接触反応に関する研究は過去にオレフィンの脱水素に関する研究が盛んに行われた後あまり行われていない。
    本報では, 試作したBi-Mo共沈触媒とBi-Moアルミナ混練触媒および代表的な脱水素触媒とによる, イソペンタンの酸化脱水素反応を行い新しい酸化脱水素触媒の可能性を検討し, ある条件において強酸性を示すアルミナの前駆体と活性金属化合物水溶液を混練法によって調製することによって, 活性・選択性の優れた触媒を開発する可能性を見い出したので, その結果を報告する。
  • イソペンタンの酸化脱水素におけるBi-Mo 触媒金属含有量, 金属比率の影響
    岩崎 正夫, 古谷 裕, 森永 実
    1992 年 35 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    前報に, イソペンタンの脱水素反応における, 代表的な脱水素触媒とBi-Mo-アルミナ触媒の比較を行い, Bi-Mo-アルミナ混練触媒が優れた活性と選択性を示すことを報告した。
    本報では, Bi/Moの原子比が1/1でBiとMoの金属量が5~44%になるようにベーマイトとの混練により調製した触媒と, 金属量が20%でBi/Mo比が1/1~1/6の混練触媒を用いてイソペンタンの酸化脱水素反応を行い, 金属量と金属比率の影響を検討した結果を報告する。併せて, 生成ガス中のCO2, H2Oを分析し, 燃焼について検討した結果と, 触媒の再生を行いその前後の物性について検討した結果を報告する。
    金属含有量が5~44%の触媒では, 転化率は金属濃度15~20%で最大となり, 脱水素生成物の選択率は接触時間により異なり, 最高の選択率はLHSVが0.4~0.6h-1で得られ, その値は金属濃度15~30%で同程度で最高になった。
    Bi/Mo比を1/1~1/6に変化させた結果, 1/1~1/3の範囲では転化率, 選択率とも大きくは変化しなかったが, 比が1/4のときに選択率がやや高くなる傾向がみられた。
    原料混合気体中の酸素/イソペンタンに比例してCO2が生成し, 580°C, O2: 10%, Gas/Feed=5mol/molのとき反応イソペンタンの約5%が燃焼する。H2O/CO2の比は一定で約2.0であった。
    触媒上にたい積した炭素質は, 含酸素気体中で焼成することにより除去される。620°Cで焼成した触媒の表面積は480°Cで焼成した触媒の約半分であった。使用後の触媒を620°Cで再生したときの表面積は480°C焼成の新触媒と同程度であった。
    Bi-Mo-アルミナの金属量, 比率により触媒の活性, 選択性が変化し, それぞれ最適値が存在する。
    アルミナは分解活性と関わりが大きく, その酸性が影響していると考えられる。
  • ビスマス•モリブデン•アルミナ触媒上の イソペンタン酸化脱水素における反応条件の影響
    岩崎 正夫, 古谷 裕, 森永 実
    1992 年 35 巻 2 号 p. 154-162
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    前報までに, イソペンタンの酸化脱水素反応におけるBi-Mo-アルミナ混練触媒の金属量と金属比率の影響および燃焼について報告した。本報では, Bi/Mo=1, 金属量20%の触媒を用いて反応温度, 酸素濃度, 希釈ガス/原料ガス比率および滞留時間の影響を検討した結果を報告する。
    O210%, Gas/Feed 比5mol/molで540, 560, 580°Cで反応させた結果, イソペンタンの転化率は指数関数的に大きくなり, 見かけの活性化エネルギーは53kcal/molであった。
    脱水素生成物の選択率は高温になるにつれて低下し, 収率は高温の方が高いが560°Cと580°Cの場合の差はほとんどなかった。脱水素生成物の選択性は高温で急減したが, 滞留時間が短い範囲では差は小さかった。
    酸素濃度は変化率にはあまり影響しないが, 選択率は酸素濃度が高い方が高かった。酸素濃度が高すぎると反応の制御が困難になった。
    希釈ガス/試料イソペンタン比率が大きくなると, 変化率は低下し選択率は向上した。酸素量が多すぎると燃焼による損失が多くなった。
    分解反応は触媒酸点における脱水素生成物の逐次的反応で, 脱水素選択性を低下させる主な原因であると考えられる。
  • 野原 大輔, 酒井 朝也
    1992 年 35 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アリルラジカルのアレンへの付加反応における生成物の探索と生成速度を調べる目的で, シュウ酸ジアリルをアリルラジカル発生源とし流通式反応器を用いて430~510°Cで実験を行った。着目すべき付加生成物は3-および4-メチレンシクロペンテンと2-メチル-1,4-ペンタジエンであった。生成したビアリルのごく一部もアリルラジカルのアレンへの付加を経由して生成していると考えられる。環化的付加化合物の生成速度は過去行ったアリルラジカルとアセチレンやブタジエンとの反応と同程度に大きかった。今回のアレンの系は二重結合へのアリルラジカルの付加を経由するにもかかわらず, 求められた活性化エネルギーはオレフィン類やブタジエンの系での50kJ•mol-1以下ではなく, アセチレン類の系と同様に100kJ•mol-1を越えるものであった。生成速度の大きさは得られる環状化合物の性質に依存し, 活性化エネルギーの大きさはアリルラジカルが不飽和炭化水素に付加してできる最初のラジカル中間体の性質に依存していることが明らかとなった。
  • 野原 大輔, 酒井 朝也
    1992 年 35 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アリルラジカルがアレンに付加する素反応について, 反応系中で同時進行するビアリルの生成を reference reaction として用い, 速度解析を行った。実験は450~510°Cで, アリルラジカル生成源としてシュウ酸ジアリルを用い, 常圧流通式反応器により行った。
    得られた活性化エネルギーは23kJ•mol-1, A factor は109.6cm3•mol-1•s-1であった。これらの値はエチルラジカルやプロピルラジカルがエチレンなどに付加する活性化パラメーターとよく類似している。得られた活性化エネルギーは, アリルラジカルの共鳴安定化を少くとも部分的に破壊するためのエネルギーが上のせされているはずとする様々な推定値とは異なったものである。本実験で生成したアリルラジカルのエネルギーレベルについて考察する。
  • 大野 陽一, 田畑 光紀, 福井 行正, 虎谷 秀穂
    1992 年 35 巻 2 号 p. 174-178
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    迅速結晶化法で合成した Tetrapropylammonium (TPA) を含むペンタシル型鉄シリケート (TPA-鉄シリケート) の精密格子定数をX線粉末回折により決定した。格子定数の近似値からパターン全体の分解と格子定数の精密化を行う WPPD 法により格子定数を測定したところ, 標準偏差は0.002Å以下, 解析精度の信頼度因子RpおよびRwpはそれぞれ4%および5%以下で, 良好な結果を得た。斜方晶系であるTPA-鉄シリケート (Si/Fe=330) の格子定数は, a軸=20.041Å, b軸=19.919Åおよびc軸=13.393Åで, Siよりイオン半径の大きなFeがSiと同形置換するため鉄含有量にともない増加した。単位胞体積は鉄含有量に対して緩やかな曲線で増加するが, ゼオライト骨格内の鉄量に比例するESRピーク (g=4) 強度に対しては直線関係を示した。このことから, TPA-鉄シリケート中の全ての鉄がSiと置換してゼオライト骨格内に入るのではなく, その一部が取り込まれ鉄含有量が多くなるとその置換率が低下することが明らかになった。
  • 高塚 透, 和田 幸隆, 鈴木 八郎, 小松 昭英, 森村 恭郎
    1992 年 35 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    中央公害対策審議会の答申に基づいて, 日本の石油各社は軽油の硫黄含有量を0.05%にまで低減すべく検討を行っている。日本市場では軽油の色相 (Table 1, Fig. 1) のスペックが諸外国に比べて厳しく (Fig. 3), 軽油の深度脱硫ではその色相の変化 (Fig. 2) が最大の関心事となっている。
    深度脱硫軽油の色相は運転圧力により大きく改善されることが分かったが (Fig. 4), さらにその着色機構を検討するためにタイプの異なる4種の原料油 (Table 2) について実験を行った(Figs. 7, 8)。また, 着色成分が250°C以上の高沸点留分に偏在する (Figs. 5, 6) ことを確認した。以上の結果から, 詳しい検討の余地が残されているものの, 着色は2環以上のチオフェン類の脱硫に伴う多環芳香族の生成によるものと推定した。
    また, 軽油の脱硫反応モデルとされている1.7次反応式の深度脱硫領域での適用性について検討するとともに (Fig. 9), より適用範囲の広い2成分系反応モデルを提案した (Fig. 10)。
  • 中嶋 齊, 古谷 方彦, 石田 浩, 河野 正志
    1992 年 35 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    高シリカゼオライトをテトラメトキシシラン蒸気処理により改質した。この改質ゼオライトを用いてトルエンの不均化を摂氏500度で200時間連続して行った。パラ体を95%含むキシレンを得た。 その際, トルエンの転化率は25%であった。パラキシレンの収率は, 反応初期の40時間を除いて, 一定値10% を保った。トルエンの不均化により, まず100%パラ体のキシレンが生成するが, その一部はメタあるいはオルト体に異性化し, 一部は脱アルキルによりトルエンへ変わる。これらの諸反応, 不均化, 異性化, 脱アルキルの速度の経時低下速度はそれぞれ異なっており, 不均化がもっとも小さく, ついで異性化, 脱アルキルの順であった。これら諸反応の活性低下速度の間のこのような関係はパラキシレンの収率が長時間一定に保たれる結果につながった?。これら諸反応の速度の経時低下速度がそれぞれ異なっていることから, これらの反応サイトは異なっていると推定された。
  • 日秋 俊彦, 高森 清次
    1992 年 35 巻 2 号 p. 190-196
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    純物質の臨界物性や標準沸点は, 化学プロセス設計に必要な種々の物性計算に不可欠である。したがって, 名種有機化合物を対象とした物性推算法が提案されており, このうち酸素を含む有機化合物を対象とした既往の臨界物性推算法1)-3),6),8),12)や標準沸点推算法7),10)の主流はグループ寄与法である。
    本研究で推算式の検討の対象とした臨界温度, 臨界圧力および標準沸点の測定値を分子量に対してプロットしたのが, Figs. 1-3である。酸素を含む有機化合物の正確な推算には, アルキル側鎖の枝別れ, o-, m-, p-置換体などの異性体などを区別する必要がある。既往の臨界温度推算法ではこれらをグループパラメーターと標準沸点を用いて区別するものが多く, 臨界圧力では Jalowka と Darbert が式中に臨界温度と標準沸点の両方を用いている。また, 標準沸点の推算法には有機化合物を正確に計算できる方法は少ない。
    著者らは先に, 物質の分子量と化学構造のみに基づいてアルカン, アルケン, 脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素の臨界温度, 臨界圧力および標準沸点の推算法を示した4),5)。本研究は同様の方法を拡張し, 酸素を含む有機化合物, すなわちアルコール, エーテル, カルボニル化合物, エステルおよびフェノールの臨界温度, 臨界圧力, および標準沸点の推算法を示し, 既往の方法による推算結果と比較検討したものである。なお, 本研究で用いた臨界温度, 臨界圧力ならびに標準沸点の実測値はすべて Reid, Prausnitz および Poling の成書13)のデータベースを使用した。
    アルコールの臨界温度, 臨界圧力および標準沸点の推算式は1-アルコールと枝分かれ構造のアルコールとに分類し, 1-アルコールはn-アルカンの推算式4)と同時の分子量のみからなるEq.(1) を採用した。なお, 各実測値に基づく推算式の定数決定には Marquardt 法を用い, 目的関数は Eq.(2) とした。次に, 枝分かれ構造のアルコールは化学構造式から計算する構造パロメーターを含む式を採用し Eq.(3)-Eq.(5) とした。実測値に基づいて決定したアルコールの各物性推算式の定数はTable 1に示す。
    エーテルについては2種のタイプに分類し, メチルアルキルエーテルには各物性とも同型式で分子量のみを用いたEq. (6), これを除くアルキルエーテルには分子量と構造より計算するパラメーターを用いた Eq.(7) を採用した。測定値より決定した定数は Table 2に示す。
    アルデヒドおよびケトンを含むカルボニル化合物ならびにエステルの標準沸点の推算式は, カルボニル化合物がその構造から2種のタイプ, またエステルでは3種のタイプに分類し, Eqs. (8)-(12) とした。
    フェノールの臨界温度および標準沸点の推算式は, 共に同型式で分子量と構造パラメーターを用いた Eq.(13) を採用した。測定値より決定した定数はTable 3に示す。
    各物性の式中の定数決定には51種の臨界温度データ, 38種の臨界圧力データならびに96種の標準沸点データを用いた。本研究による計算結果は既往の推算法による計算結果とともにTables 4~7に示した。これより, 本方法によるアルコールの臨界温度の計算値と実測値との絶対算術平均偏差は2.1K, 最大偏差は7.2K, 同様に求めた臨界圧力および標準沸点についての偏差はそれぞれ0.049MPa, 0.163MPa, および1.6K, 5.6Kであった。次に, エーテルでは臨界温度の絶対算術平均偏差が2.2K, 最大偏差は9.2K, 臨界圧力および標準沸点についての偏差はそれぞれ0.035MPa, 0.128MPa, および1.6K, 4.2Kであった。また, カルボン酸の標準沸点の計算値と実測値との絶対算術平均偏差および最大偏差はそれぞれ1.9K, 4.3K, エステルの標準沸点は1.4K, 4.1K。フェノールの臨界温度ならびに標準沸点の絶対算術平均偏差および最大偏差はそれぞれ0.7K, 2.6K, ならびに1.7K, 3.9Kであった。
    本研究の推算式による結果は, 既往の推算法による結果と比較して異性体を含む広い範囲で最も良好に一致した。
  • モデルCOMの粘度と凝集挙動へのモデル物質の影響
    前田 滋, 大木 章, 岩城 努
    1992 年 35 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    炭質物質としてグラファイト, 灰分として無機物質 (シリカ, アルミナ, カオリン, モンモリロナイト), 液相として流動パラフィンを含む「モデルCOM」を調製した。このモデルCOMを用いて, 粘度と凝集挙動 (動的不安定性) について, 特に灰分 (無機物質) の効果ということに着目して検討した。Table 1にモデルCOMに用いたモデル物質の性質を示す。Table 2に作成したモデルCOMの組成を示す。
    Table 3に灰分 (無機物質) を含まないモデルCOMの粘度を示す。グラファイトの添加量の増加とともに粘度は増加した。Fig. 1に, カオリンやモンモリロナイトを添加したときのモデルCOMの粘度を示す。カオリン添加の場合には粘度は添加量の増加とともに増加したが, モンモリロナイト添加の場合には逆にやや減少した。
    Fig. 2~4に灰分を含まないモデルCOMについて,「フレキシブルパイプ通液試験」を行った結果を示す。添加剤として Additive-Aも用いたモデルCOMの凝集は, Additive-Bを用いたもの, 粗トール油を用いたもの, 添加剤無添加のものに比べて大きかった。これは実際のCOMの場合と同様の挙動であった。Figs. 2, 3はそれぞれ, モデルCOMの温度, 流速を変化させた場合の凝集挙動を示す。Fig. 4に, 凝集挙動に対するパイプ形状の影響を示す。特に Additive-A を用いたモデルCOMの場合, パイプ曲率の減少による凝集の増加が著しかった。
    Fig. 5に, 無機物質を添加した場合のモデルCOMの凝集挙動を示す。モデルCOMの凝集は次の添加無機物質の順序で増加した。アルミナ<モンモリロナイト<カオリン<シリカ。吸油力とは, その粒子表面および粒子間げきに保持される油の量を表すパラメーターであるが, 高い吸油力をもつ無機物質が凝集を引きおこしやすい傾向があることがわかった。Fig. 6に, モデルCOMへの水の添加効果を示す。水添加量の増加とともに凝集量が増加した。
  • 坂西 欣也, 趙 興哲, 持田 勲
    1992 年 35 巻 2 号 p. 203-207
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    振とう式オートクレーブ (内容積: 100cc) を用いて, 反応温度: 380~420°C, 反応水素圧: 100atm の条件下で, 市販のCo-Mo (KF-742) あるいは Ni-Mo (KFR-10) 触媒によるアラビアン常圧残さの単段および二段水素化脱硫処理を行い, 精製油中にスラッジを生成せずに高い脱硫率を達成できる反応条件を探索した。KF-742を用いる380°Cおよび400°C-3hの単段反応では, 極く少量のスラッジしか生成しなかったものの, 脱硫率はそれぞれ62,75%にとどまった。420°C-3hの高温単段反応では, 86%の高い脱硫率が達成できたが, 精製油中に多くのスラッジ粒子が生成した。一方, 両段でKF-742触媒を用いる380°C-2hおよび引き続く420°C-1hの二段反応では, 高温単段反応に匹敵する脱硫率 (84%) が得られ, かつ精製油中の生成スラッジ粒子は高温単段反応より少量であった。同一反応条件下の二段反応において, KFR-10 (第1段) およびKF-742 (第2段) 触媒を組み合わせて用いると, 精製油中のスラッジ粒子数は顕著に減少したものの, 脱硫率(80%) も若干減少した。第1段: 380°C-2h (KFR-10触媒) および引き続く410°C-2h (KF-742触媒) の二段水素化脱硫処理を行うと, 生成スラッジ粒子を増大させることなく, 脱硫率を85%まで上昇できた。スラッジ生成とその抑制機構について, 脱硫率を最大限にする反応条件と関連付けて考察した。
  • 森吉 昭博, 後藤 英一
    1992 年 35 巻 2 号 p. 208-211
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, 2種の舗装用アスファルトの製油所またはデポから舗設された舗装体より回収したアスファルトに至るまで一貫して主に森吉ぜい化点試験を実施し, このぜい化点が採取した場所や日時等によりどの程度変動するかについて検討している。
    実験の結果, 以下の点が明らかにされた。低温ひびわれ防止用に作成された柔らかいアスファルトのぜい化点は全体にバラツキが少ない。また, 2種のアスファルトのぜい化点は互いに著しく異なり, これらのぜい化点は採取した場所や日時により変動し, これらのアスファルトの移動と共に次第に高くなり, ぜい化点の変化量は必ずしも針入度や軟化点の変化とは対応していない。一方, プラント採取のアスファルトのぜい化点は薄膜加熱試験後および回収アスファルトの各ぜい化点と極めて似た値となり, 回収アスファルトのぜい化点はプラント採取のアスファルトのぜい化点の動きにも対応して動く。
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