石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
36 巻, 5 号
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  • 曲 徳林, 趙 奎元, 村木 正昭, 早川 豊彦
    1993 年 36 巻 5 号 p. 347-354
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    プロセスシミュレーションでは, 物性推算のため基礎物性データが頻繁にアクセスされ, またこのために多くのコアメモリーが占有される。そこでこれらデータの優れた管理(物性データベース: PCPDB)が必要となり, その設計には容易かつ迅速なデータアクセスとコアメモリーの節約の実現が要求される。本研究では, relational 構造をもつPCPDBの file(relation と record)確定に関する論理設計に対して以下に示す二段階からなる方法を提案する。第一段階では, まずPCPDBの要求に応じて, データをさらに分割し, つぎにそのデータ間の機能的関係から初期 entities を確定する。第二段階では, 従来の方法では不十分であった complex fact の表示, "many to many" の関係の表示, およびデータの欠値と多値問題に対処するための field の分離の三手法を開発し, 総合的なデータ解析とデータベース設計を行う。提案した方法を用いて設計したPCPDBでは, 迅速なデータアクセスとコアメモリーの節約だけでなく, マイクロとパーソナルコンピューターにおける実行も可能であった。
  • 松田 剛, 反田 亮史, 菊地 英一
    1993 年 36 巻 5 号 p. 355-359
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ガス中蒸発法で調製したCo超微粒子(UFP)触媒を用いて, 液相フィッシャー•トロプシュ(FT)合成を行った。
    UFP触媒と沈殿Co触媒でCo重量当たりの炭化水素の空時収率(STY)を比較すると, UFP触媒は沈殿Co触媒の1.4~2.4倍高い値を示した。また, みかけの活性化エネルギーはUFP触媒で16kcal/mol, 沈殿Co触媒では10kcal/molとUFP触媒の方が高い値を示した。このことは沈殿Co触媒では細孔内拡散が遅い過程になっていることを示唆している。
    細孔内拡散の影響を検討するために, 細孔径の異なるSiO2を用いて沈殿Co触媒を調製し活性試験を行った。その結果, Co重量当たりのSTY, 見かけの活性化エネルギーはSiO2の細孔径の大きい触媒ほど大きくなっており, SiO2の細孔径とSTY, 見かけの活性化エネルギーの間には相関があることが示された。このことより, UFP触媒は非細孔性のために沈殿Co触媒よりも高い活性を示すと考察した。
    UFP触媒ではメタン生成の選択性が低く, 高沸点炭化水素が高い選択率で生成した。沈殿Co触媒では, 細孔径の大きなSiO2を用いた触媒ほど高沸点炭化水素の選択性が高くなった。これは細孔径の大きいSiO2を用いた触媒ほど, 生成物の拡散速度が大きく細孔内に滞留している時間が短くなり, 水素化や水素化分解などの二次的反応の影響を受けにくくなるためと考えられる。
    以上のことより, Co UFP触媒は非細孔性のために液相FT合成に高い活性を示し, 高沸点炭化水素の生成に高い選択性を示すと結論した。
  • アルミナ担持VI族金属カルボニル錯体より調製した水素化脱硫触媒
    石原 篤, 東 正巳, 松下 征洋, 加部 利明
    1993 年 36 巻 5 号 p. 360-368
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    VI族金属カルボニルをアルミナに担持して用い, ジベンゾチオフェン(DBT)の水素化脱硫反応(HDS)を検討した。Mo(CO)6をトリエチルアミン(NEt3)およびエタンチオール(EtSH) と反応させ金属-硫黄結合を持つアニオン性の錯体を調製し, アルミナに担持して用いたMo(CO)6-NEt3-EtSH/Al2O3系を水素還元あるいは予備硫化して調製した触媒ではアルミナ担持モリブデンカルボニル系触媒の中で最も活性が高くDBTの転化率は43%であった。この値は従来のモリブデナアルミナより調製した触媒よりも高い値であった。
    アルミナ担持モリブデンカルボニル系触媒のキャラクタリゼーションをFTIR, NO化学吸着およびXPSを測定して行った。Mo(CO)6/Al2O3, Mo(CO)6-Ph2S/Al2O3およびMo(CO)6-NEt3-EtSH/Al2O3系を水素還元あるいは予備硫化して調製した触媒のNO化学吸着種のIRより, MoS2に吸着したジニトロシル種が存在することが示唆された。しかし, Mo(CO)6-NEt3-EtSH/Al2O3系を水素還元して調製した触媒では二本のピークのうち, 低波数側の吸収が高波数側の吸収より著しく大きく, 電子密度の高い状態の活性種あるいはモノニトロシル種が存在することを示唆した。NOの化学吸着量は, 水素還元して調製した触媒の方が予備硫化して調製した触媒よりも多く, また予備硫化して調製した触媒の中では, 金属カルボニルより調製した触媒の方が従来の触媒よりも多く, 触媒調製時には分散度の高い触媒が得られていることを示した。XPSの結果より, 最も活性の高い触媒の一つであるMo(CO)6-NEt3-EtSH/Al2O3系を水素還元して調製した触媒ではS/Mo比が他の触媒よりも小さく, MoS2-xのような活性種がアルミナ上に存在することが推測された。
  • 松井 久次, 山内 茂行, 許 維春
    1993 年 36 巻 5 号 p. 369-377
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石炭の急速水素化熱分解により生成する油をキャラクタライズするために, エントレインタイプのベンチスケール反応器を用いて, 豪州褐炭 (Loy Yang 炭) を温度700~950°C, 水素圧力7MPa, ガス滞留時間6~7秒の条件で急速熱分解した。生成油は沸点範囲が<200°C, 200~400°C, >400°Cである三つのフラクションに分け, その組成をキャピラリーガスクロマトグラフィー, HPLC-FIMS, 1H-NMRにより詳細に分析した。
    750~870°Cの反応温度は生成油の収率と組成に大きな影響を与えた。反応温度が700°C以上になると, 炭化水素ガスと短いアルキル側鎖や種々の官能基のついた初期熱分解生成物を含む軽質油の収率が急激に増加した。反応温度が725°Cから870°Cに上がるに従って生成物の水素化分解等による2次反応が活発になり, アルキル側鎖や水酸基, N化合物等の結合を持った化合物は減少し, 生成油の構成成分数は著しく減少した。825°Cでは, 生成油中のBTX, ナフタレン, フェナントレン, ピレン等の含有率が85%以上に達した。反応温度が825°C以上になると多環芳香族環の開裂が顕著になり, BTXとメタンの収率が増加した。BTXの収率は870°Cで最大となってそれ以上の温度で減少した。950°C以上の温度ではBTX以外の油の成分は見られなくなった。
  • 山村 正美, 茶木 一壽, 若月 俊也, 岡戸 秀夫, 藤元 薫
    1993 年 36 巻 5 号 p. 378-385
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    九州•鹿児島県において産出する地熱水から回収したシリカの有効利用の一環として, ZSM-5ゼオライトの合成を試みた。また, 得られたZSM-5ゼオライトをプロトン型にイオン交換し, これを用いてエチレンのガソリン化反応 (C5+炭化水素の合成) を行い, その触媒性能を評価した。水熱合成における地熱水シリカ (非晶質, 純度約93%) の反応性は市販のコロイダルシリカとほぼ同程度であり, 約24時間後にはZSM-5ゼオライトの結晶が得られた。これらの地熱水シリカから合成したゼオライトのいくつかはエチレンのガソリン化反応において, コロイダルシリカから合成した標準のZSM-5ゼオライトと同等の活性を示し, 本反応の触媒としても十分使用可能であることがわかった。今回合成した標準品を含む3種のZSM-5ゼオライトの触媒性能を詳細に検討した結果, アルカリ濃度の高い条件で合成したゼオライトが他に比べて約3倍長い時間, 高活性および高選択性を維持することがわかった。X線回折, FT-IR, 表面積測定等の触媒物性と反応性とを比較検討し, 本反応においてZSM-5ゼオライトの外表面積と触媒寿命との間に相関関係があることを明らかにした。
  • タングステン系ヘテロポリ酸を触媒とする固液系酸触媒反応-中心元素の効果
    胡 長文, 西村 徹, 奥原 敏夫, 御園生 誠
    1993 年 36 巻 5 号 p. 386-393
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    中心元素の異なるケギン型ヘテロポリ酸HαXW12O40 (X=P, Si, Ge, B, Fe, Co; α はヘテロポリ酸の塩基性度) を触媒とする液-固系1,3,5-トリメチルベンゼンのシクロヘキセンによるアルキル化および酢酸シクロヘキシルのエステル分解反応を検討した。反応中ヘテロポリ酸は溶解せず固体状態を保っていることが溶液のみの反応, ろ過分離した固体を用いた反応により確認された。H3PW12O40を100~300°C で前処理すると結晶水量はほぼゼロとなり, 両反応の速度は表面積当たりで比べるとバラツキがやや小さくなり, 反応速度は2倍以内の範囲におさまった。すなわち, この前処理温度範囲では固体H3PW12O40の酸強度がほぼ一定であることを示唆している。150°C 前処理したHαXW12O40の反応速度を表面プロトン量で割って得られる表面プロトン当たりの活性は, ポリアニオンの負電荷が小さくなる (中心元素の原子価の増加, Co<B, Fe<Si, Ge<P) につれて著しく増大した。たとえば, H3PW12O40の活性 (表面プロトン当たり) はH6CoW12O40の約50倍 (アルキル化) および10倍 (エステル分解) であった。ポリアニオンの中心元素の原子価が増大するとヘテロポリ酸の酸強度が高くなるためと推定した。
  • 持田 勲, 藤津 博, 久恒 幸代, 木佐森 聖樹, 白石 育夫, 井田 四郎
    1993 年 36 巻 5 号 p. 394-397
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    活性コークス(AC)を用いる移動床脱硫脱硝装置において粉化生成するコークスが, 423Kにおける脱硝反応に対して, 硫酸賦活したACより優れ, ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維 (PAN-ACF-B) やその硫酸賦活物 (B-3/673) に匹敵する極めて高い活性を示すことを見い出した。この活性向上は, 粉コークスの窒素および酸素含有量が使用中顕著に増大したことに対応している。脱硫脱硝装置に用いられる前後の活性コークス, 硫酸賦活した活性コークス, PAN-ACFB, およびその硫酸賦活物の昇温分解分析 (TPDE) を測定したところ, 硫酸賦活した活性コークスとPAN-ACF-Bからは多量のCO, CO2が発生したが, 賦活前のものからはその発生量は少なく, 粉コークスはその中間であった。従来, CO2発生量が多い活性コークス, 活性炭素繊維ほどNH3の不可逆吸着量が多く, NO-NH3反応が高活性になると報告されていたが, 今回調べた粉コークスからのCO2発生量はあまり多くないにもかかわらず, 脱硝活性は硫酸賦活したPAN-ACF-Bに匹敵する高活性であった。これは, 粉コークスが高いNO活性化能を持っているためと考えられる。
  • 栃木 勝己, 飯泉 健, Petr KOLAR, 小島 和夫
    1993 年 36 巻 5 号 p. 398-401
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ASOGグループ寄与法は, 工学的に広く使われている低圧気液平衡推算法の一つであり, 現在43グループについてのグループ間相互作用パラメーターが決定されている。本研究はASOGグループ寄与法と, 圧力ゼロ基準の過剰自由エネルギーを用いる Michelsen によるMHV型混合則を組み合わせた状態式グループ寄与法により, アルコール, 水, ケトンなどの極性物質を含む定温2成分系, 7種, 32データセットの圧力約10MPaまでの高圧気液平衡の推算を行ったものである。また, UNIFACを用いるモデルとの比較を行ったが, いずれの方法の推算結果もほぼ同程度であった。本研究で検討したモデルを用いると, 常圧用ASOGパラメーターの温度依存性が高温領域に拡張可能であることを確認した。
  • 小谷 野岳, 渡辺 展, 奥原 敏夫, 御園生 誠, 西嶋 昭生, 松林 信行, 今村 元泰
    1993 年 36 巻 5 号 p. 402-405
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Supported cobalt oxides prepared by low temperature plasma oxidation of cobalt acetate dispersed on zirconia were very active for oxidations of propane and carbon monoxide. XRD, EXAFS, and XPS studies revealed that cobalt oxides had Co3O4 structure and were highly dispersed.
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