石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
38 巻, 3 号
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  • 広中 清一郎
    1995 年 38 巻 3 号 p. 137-144
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    高分子トライボ材料としてのポリエチレン (高密度ポリエチレンや超高分子量ポリエチレン) やナイロン (ナイロン46, ナイロン66およびナイロン6) のような結晶性高分子の摩擦摩耗機構を解明するためのモルホロジー的研究が行われた。種々の摩擦条件や摩擦環境で得られるこれらの高分子の摩耗表面のモルホロジーはカーボン•レプリカ法によって透過型電子顕微鏡や電子線回折によって検討された。これらの高分子のトライボロジー特性は, それらの分子物性や化学構造に起因して得られる摩耗表面のモルホロジーと密接に関係することが結論づけられた。
  • イソペンタンの酸化脱水素反応の速度論的考察
    岩崎 正夫, 古谷 裕, 森永 実
    1995 年 38 巻 3 号 p. 145-153
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    前報までに, BiMoアルミナ混練触媒がイソペンタンの酸化脱水素反応に高い選択性と活性を示すことを報告した。この反応は多くの逐次反応と競争反応を含む複雑な反応で, これまで反応条件の最適化, 触媒開発の指針を定量的に把握されていなかった。本報では反応論的な根拠に基づいた定量的な表現を用いて結果を予測し, 望ましい生成物を得られる条件を見い出すために簡単なパーソナルコンピューターを用いたシミュレーション手法を検討した。
    全反応過程の中間体であるC5モノオレフィン類を出発物質として反応テストを行い, イソペンタンの反応のシミュレーションによるブテン類の反応速度と比較した。
    C5モノオレフィンの脱水素速度はイソペンタンの約3~6倍であった。イソプレンの分解速度はC5モノオレフィンのそれの約3~5倍程度大きな値を示した。オレフィンの転化速度はシミュレーションにより計算したオレフィンの脱水素速度定数k2と同レベルであり, シミュレーション速度式による計算結果は滞留時間が長くない範囲では実測結果とよく一致し, この手法は飽和炭化水素の酸化脱水素反応における各段階の相対速度を計算することにより, 試作した飽和炭化水素の酸化脱水素触媒の最適条件検討に有効であると考えられる。
  • イソペンタンの酸化脱水素複合触媒の開発
    岩崎 正夫, 古谷 裕, 森永 実
    1995 年 38 巻 3 号 p. 154-161
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    前報までに検討したイソペンタンの酸化脱水素反応のシミュレーションを用いて, 試作した高選択性, 高活性の複合触媒を解析•評価した。
    BiMoアルミナ混練触媒に希土類元素を添加した触媒は, Yb, Sm, Ce, Laの添加触媒が効果を示した。Nd, Ho はC5MOの収率を向上させた。以上のほか, Pr, Euも脱水素選択率の向上に効果があったが, 活性が高く分解活性も高く結果的に収率が低い触媒であった。
    BiあるいはSbと他のIV族, V族元素との組み合わせのアルミナ混練触媒ではBiW, BiU, BiCr, BiMnがBiMoよりも高い転化率を示し, Sbの組み合わせ触媒では脱水素速度は高いが分解活性がより高く脱水素収率はBiMoよりも低かった。
    以上, 速度論的シミュレーション手法を用いて, 試作した飽和炭化水素の酸化脱水素触媒を解析•評価し, 高選択性複合触媒の開発に役立てた。
  • W. L. WANG, M. C. T. KUO
    1995 年 38 巻 3 号 p. 162-166
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    坑井圧力遷移試験において油層境界の影響は, 断層の連続性評価に有用である。本報は, 不定形の境界を持つ水押し油層に対する坑井圧力遷移試験を行い, イメージ坑井 (仮想坑井) を油層境界に設定する圧力干渉試験方法で, 等方性油層境界および異方性の水層境界をケーススタディの形式で評価している。
  • 後藤 繁雄, 田川 智彦, 大河原 裕記
    1995 年 38 巻 3 号 p. 167-172
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    直鎖パラフィンからの芳香族化反応において, 水素吸蔵合金を共存させ, 生成した水素を選択的に除去することによる反応の促進効果を検討した。n-ヘキサンの芳香族生成反応に対してZn/H-ZSM-5触媒に水素吸蔵合金として様々のMg系合金を共存させて反応を行った結果, Mg2Ni, Mg2Cu, Mg51Zn20等の合金が促進効果を示した。効果は100分程度持続した後, 合金の水素による飽和とともに消失した。水素で飽和した合金の再生は, 不活性ガスで水素をパージすることにより可能であることを明らかにした。これを周期的に繰り返せばPSA型反応器として実施することが可能である。
  • 徳光 克也, 森吉 昭博, 川村 和幸, 笠原 彰彦
    1995 年 38 巻 3 号 p. 173-184
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本研究は寒冷期と通常期に3種類の初転圧用ローラーを用いた場合におけるアスファルト舗装の温度と空げき率について検討を行ったものである。また, 施工面を加熱した場合と常温切削した場合についても同様の検討を加えた。
    実験の結果, 空げき率は施工面の温度に著しく依存し, 寒冷期施工のアスファルト混合物は通常期のそれと比較して空げき率が大きいこと, また転圧機械の種類, 施工面の凹凸形状, 施工厚さや配合によっても空げき率とその深さ方向の分布は異なることが明らかにされた。
  • パイロットプラントの運転制御の確立
    森村 恭郎, 中田 真一, 秋元 攻, 児玉 省二, 中村 宗和
    1995 年 38 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    重質油の接触水素化処理プロセスの開発において, 製品品質と収率, そして触媒活性と寿命を予測することは極めて大切であり, パイロットプラントを用いた試験が重要な役割を果たす。著者らは,"microreactors"を主に探索テストと触媒選定に用い, "bench-scale test units"を動力学データ採取と反応条件の把握による触媒性能と寿命の検討に用い,"pilot plants"を実運転の直接的シミュレーションによるプロセス構築に用い, スケール別に使い分けることにより開発の効果を上げた。それぞれのスケールの実験において, 重質油を扱う機器を開発して使用し良好な結果を得た。
  • 水素化脱硫触媒の性能に対する予備硫化の効果
    森村 恭郎, 中田 真一, 高塚 透, 中村 宗和
    1995 年 38 巻 3 号 p. 192-198
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    重質油のアップグレーディングのプロセス開発に関連して, 水素化脱硫触媒の性能, すなわち触媒寿命および活性に対する予備硫化の効果について検討を行った。カフジ原油からの直留軽油を用いて, (Ni)-Co-Mo/Al2O3系を触媒として予備硫化実験を行った。その結果, 予備硫化は残さ油の直接脱硫において触媒の活性よりは寿命に影響を及ぼすことが示された。予備硫化の効果の一つはコークの沈積の抑制である。より小さな細孔径を持つCo-Mo/Al2O3触媒を用いると, 予備硫化によって触媒寿命は長くなるが, より大きな細孔径のCo/Mo/Al2O3触媒では大きな触媒有効係数に起因して, 触媒寿命は長くならないことがわかった。Ni-Co-Mo/Al2O3触媒においては, 触媒有効係数の大きさは, 触媒寿命に対しては重要な役割を果たしていなかった。さらに, Ni-Co-Mo/Al2O3系触媒による予備硫化の実験から, 脱バナジウムに対して抑制効果があることもわかった。それは, Co-Mo/Al2O3系触媒では観測されなかった。
  • Adnan E. OMAR, Saad El-Din M. DESOUKY
    1995 年 38 巻 3 号 p. 199-202
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    流体のレオロジーと砂岩コアを用いた流動試験のデータから, 砂岩中を水/油エマルションが流動するときの摩擦係数とレイノルズ数の関係を導いた。得られた相関から, 多孔質媒体中を流体が流れるとき, 特に界面活性剤を用いたEORにおける圧力降下を求めることができる。
    実験に用いた原油と砂岩コアはサウジの油層から得られたものである。実験に用いられたエマルションは, べき乗則に従う擬塑性流体であった。流動試験の結果, 摩擦係数とレイノルズ数はエマルションの組成および粘度によらず, 反比例することが確認された。
  • 長田 秀夫, 山本 教広, 瀧山 吉宏, 岸田 昌浩, 若林 勝彦
    1995 年 38 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ペンタンの気相酸化反応を無触媒条件下で行った。その結果, 反応温度が比較的低い場合には主生成物は2-メチルテトラヒドロフラン (2-MTHF) およびペンテン類であったが, 反応温度が上昇するに伴いペンタンの分解生成物であるエチレン, プロピレン, およびブテン類の生成が増加した。反応ガスの滞留時間が約35sでペンテン類の収率が極大となった。2-MTHFは滞留時間が短いところでも多少生成したが, ペンテン類の収率が減少する約35s以上では2-MTHFの収率は急速に増加した。ペンテン類の気相酸化反応も行ったところ, 1-ペンテンから2-MTHFが高い収率で生成した。これらの結果から, ペンタンの気相酸化反応による2-MTHFの生成は滞留時間が短いつまり反応初期においてはペンタンから生成したペンチルラジカルへの酸素の付加により起こるが, 滞留時間の長いつまり反応時間が長いところではペンタンから生成した1-ペンテンに酸素が付加して起こる反応が優勢になると考えられる。
  • 1995 年 38 巻 3 号 p. e1
    発行日: 1995年
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
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