三種類の市販Co-Mo/Al
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3触媒および一種類の市販Ni-Mo/Al
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3触媒を用いて深度脱硫反応条件下 (S<0.05wt%) で, DBT, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTの水素化脱硫反応を行った。いずれのCo-Mo/Al
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3触媒を用いた場合でも, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) からシクロヘキシルベンゼン類 (CHBs) への転化率の値は非常に近く, 一方, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) からビフェニル類 (BPs) への転化率はDBT>4-MDBT>4,6-DMDBTの順に低下した。この結果は, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) の芳香環がいったん水素化されるとメチル基による立体障害が小さくなり, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) の脱硫反応速度の差がなくなることを示唆している。これらジベンゾチオフェン類 (DBTs) の脱硫反応速度はラングミュアーヒンシェルウッド型の速度式で整理することができた。いずれのCo-Mo/Al
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3触媒を用いた場合でも, DBT, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTの活性化エネルギーはそれぞれ22±2, 29±1および33±2kcal/molで, 吸着熱はそれぞれ11±1, 19±1および21±1kcal/molであった。これらの結果は, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTは芳香環π電子を通してDBTより強く触媒表面に吸着しているが, C-S結合を切断する際にメチル基の立体障害によって阻害されることを示唆している。Ni-Mo/Al
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3触媒を用いた場合では, メチル基置換ジベンゾチオフェン類の芳香環の水素化反応が進み, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) からシクロヘキシルベンゼン類 (CHBs)への転化率は340°Cにおいて60%まで向上した。Co-Mo/Al
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3触媒に比べ, Ni-Mo/Al
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3触媒ではDBT, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTのいずれの転化率も向上した。さらに, Ni-Mo/Al
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3では脱硫されたあとのメチル置換ビフェニル類 (MBPs) からメチル置換シクロヘキシルベンゼン類(MCHBs) への芳香環の水素化ルートが重要である。
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