石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
39 巻, 6 号
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  • Abdulla ISMAIL, M. S. SOLIMAN, M. A. FAHIM
    1996 年 39 巻 6 号 p. 383-388
    発行日: 1996/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ニューラルネットワークモデルを用いて重油留分および原油の粘度の推算を行った。ネットワークの階層としてはオイルの中間沸点, API比重, 温度の三つのノードを入力層, 11の隠れ層, 粘度を出力層として用いた。ニューラルネットワークにおいてはデータの規格化が収束条件に対し重要であり, 本研究ではデータの規格化を工夫することにより, 従来よりも高精度で収束が可能となった。十分な学習を行い, 各種オイルに適用したところ絶対誤差が3.4%以内という結果が得られ, 他の経験的方法と比較しても十分な精度を持つことがわかった。
  • 後藤 繁雄, 田川 智彦, 大河原 裕記
    1996 年 39 巻 6 号 p. 389-394
    発行日: 1996/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    プロパンからの脱水素芳香族化反応について, 水素吸蔵能を持つ金属を共存させ, 生成した水素を選択的に除去することによる反応の促進を検討した。触媒はZn/H-ZSM-5が有効であった。プロパン/アルゴン比0.15, 反応温度773Kで水素吸蔵合金の選定を行ったところ, 粉末状のTiが反応率を著しく向上させた。Tiが存在すると, 芳香族化合物のうちC6, C7成分が増大し, 芳香族選択率はTiの共存しない場合と比べ同程度に保たれた。触媒と金属の充てん量, 充てん方法等を変化させた実験から, 触媒と金属の接触が反応の促進効果に大きな影響を与えることが分かった。また, 金属が水素で飽和され, 促進効果が消失した後, 不活性ガスを用い, 水素をパージすることにより水素吸蔵能が再生されることを見い出し, PSA型反応器への適用の可能性を確認した。
  • 横山 千昭, 安田 俊之, 仁志 和彦, 高橋 信次
    1996 年 39 巻 6 号 p. 395-402
    発行日: 1996/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    超臨界水および超臨界メタノールとベンズアルデヒドの反応実験を553Kから693Kの温度範囲で行い, 得られた反応生成物の収率の経時変化より反応経路を推定した。超臨界水とベンズアルデヒドの反応ではベンゼンが主生成物であり, これはベンズアルデヒドの熱分解によって生成したものと思われる。また, 副生成物としては安息香酸とベンジルアルコールが検出された。これらの副生成物はベンズアルデヒドと水との反応によって生成した水和物とベンズアルデヒドとの Cannizzaro タイプの不均化反応によって生成すると考えられる。また, 超臨界メタノールとベンズアルデヒドとの反応では, 主生成物はベンジルアルコールであり, 副生成物としてジメチルアセタール, ベンゼン, 安息香酸メチルが得られた。本実験条件下においてはメタノールとベンズアルデヒドの平衡反応によりアセタールがかなりの割合で生成していることが分かった。主生成物であるベンジルアルコールはヘミアセタールの熱分解によって生成していると考えられる。
  • 担持ルテニウムカルボニル-セシウム水酸化物系より調製した水素化脱硫触媒の活性に及ぼす担体の影響
    石原 篤, 野村 正敏, 城内 賢司, 加部 利明
    1996 年 39 巻 6 号 p. 403-409
    発行日: 1996/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    担持ルテニウムカルボニル-水酸化セシウム系触媒を用いたジベンゾチオフェン (DBT) の水素化脱硫反応において, 様々な担体 (Al2O3, SiO2-Al2O3, SiO2, TiO2および NaY zeolite) の触媒活性および生成物選択性に及ぼす影響を検討した。セシウムを用いない場合, DBTの転化率はSiO2-Al2O3>Al2O3>TiO2>SiO2>NaY zeolite の川頁に減少した。水酸化セシウムを加えた触媒では, SiO2-Al2O3, Al2O3およびSiO2を用いた場合に触媒活性は著しく向上し, それぞれCs/Ru=2, 3および2の時に最大値に達し, その値はAl2O3>SiO2>SiO2-Al2O3の順に減少した。さらにセシウムを加えると活性は低下した。これに対して, NaY zeolite を用いた場合, セシウムの添加に伴いDBTの転化率は向上しなかった。Ru3(CO)12と水酸化セシウムとの反応により得られるルテニウムヒドリド錯体Cs[HRu3(CO)11] を担体上に担持することが高活性を得るために本質的であった。担持ルテニウムカルボニル-水酸化セシウム系触媒ではビフェニルが選択的に生成した。XPスペクトルを測定した結果, 適当な量のセシウムの添加によって, 水素加圧下でさえ硫化ルテニウムが担体上に安定化されることが示された。
  • 種々の Co-Mo/Al2O3およびNi-Mo/Al2O3触媒を用いた軽油中のメチル基置換ジベンゾチオフェン類の水素化脱硫反応
    張 慶, 石原 篤, 加部 利明
    1996 年 39 巻 6 号 p. 410-417
    発行日: 1996/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    三種類の市販Co-Mo/Al2O3触媒および一種類の市販Ni-Mo/Al2O3触媒を用いて深度脱硫反応条件下 (S<0.05wt%) で, DBT, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTの水素化脱硫反応を行った。いずれのCo-Mo/Al2O3触媒を用いた場合でも, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) からシクロヘキシルベンゼン類 (CHBs) への転化率の値は非常に近く, 一方, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) からビフェニル類 (BPs) への転化率はDBT>4-MDBT>4,6-DMDBTの順に低下した。この結果は, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) の芳香環がいったん水素化されるとメチル基による立体障害が小さくなり, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) の脱硫反応速度の差がなくなることを示唆している。これらジベンゾチオフェン類 (DBTs) の脱硫反応速度はラングミュアーヒンシェルウッド型の速度式で整理することができた。いずれのCo-Mo/Al2O3触媒を用いた場合でも, DBT, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTの活性化エネルギーはそれぞれ22±2, 29±1および33±2kcal/molで, 吸着熱はそれぞれ11±1, 19±1および21±1kcal/molであった。これらの結果は, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTは芳香環π電子を通してDBTより強く触媒表面に吸着しているが, C-S結合を切断する際にメチル基の立体障害によって阻害されることを示唆している。Ni-Mo/Al2O3触媒を用いた場合では, メチル基置換ジベンゾチオフェン類の芳香環の水素化反応が進み, ジベンゾチオフェン類 (DBTs) からシクロヘキシルベンゼン類 (CHBs)への転化率は340°Cにおいて60%まで向上した。Co-Mo/Al2O3触媒に比べ, Ni-Mo/Al2O3触媒ではDBT, 4-MDBTおよび4,6-DMDBTのいずれの転化率も向上した。さらに, Ni-Mo/Al2O3では脱硫されたあとのメチル置換ビフェニル類 (MBPs) からメチル置換シクロヘキシルベンゼン類(MCHBs) への芳香環の水素化ルートが重要である。
  • 青柳 功, 今岸 健郎, 三谷 宏
    1996 年 39 巻 6 号 p. 418-425
    発行日: 1996/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    減圧軽油 (VGO) 中のチオフェン類の水素化脱硫反応性を, ガスクロマトグラフィー原子発光検出器(GC/AED) および高速液体クロマトグラフィー (HPLC)-電解電離質量分析 (FI/MS) 法を用いて比較検討した。
    VGO中のチオフェン類の水素化脱硫反応性に違いがあることが判明した。脱硫されやすいチオフェン類はベンゾチオフェン類およびテトラヒドロジベンゾチオフェン類であった。一方, 脱硫されにくいチオフェン類は, 硫黄原子近傍の炭素にアルキル基ないしはナフテン環が付加したジベンゾチオフェン類とベンゾチオフェノベンゾチオフェン類であることが判明した。そして, ベンゾナフトチオフェン類やジナフトチオフェン類では, 硫黄原子に隣接していない外側の芳香環が容易に水素化されると推測された。
    今日, VGOをはじめとする重質油の処理技術は重要性を増している。本研究により, 重質油の水素化脱硫反応の難易度は, 硫黄元素量ではなく, 上記の脱硫されにくいチオフェン類の量で評価されなければならないことが判明した。HPLC-FI/MS法は重質油の水素化脱硫反応性を評価する有効な方法である。
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