石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
40 巻, 1 号
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  • 小俣 光司, 八木田 浩史, 藤元 薫
    1997 年 40 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    活性炭に担持した8~10族金属触媒を用いてメタノールの気相カルボニル化反応を行った。活性の序列は, Rh>Ir>Ni>Pd>Co>Ru>Feの順となったが, 活性を各金属のハロゲンとの親和性に対してプロットしたところ, 火山型の序列を示した。反応の律速段階がハロゲン親和性により異なっていることが示唆された。
    種々の金属, たとえば5~16族のV, Cr, W, Mn, Re, Cu, Cd, Ga, Ge, Sn, Pb, Seなどは, 活性炭に担持された場合にのみ, メタノールの気相カルボニル化反応に活性を示した。なかでも, SnとPbが比較的高い活性を示すことを見い出した。
    Ni/活性炭触媒上では, メタノールは直接, またはジメチルエーテルを経由してカルボニル化され酢酸メチルとなる。その後さらにカルボニル化され無水酢酸を経て最終的に酢酸へ加水分解される。この反応経路に基づいて各要素反応の速度式を決定し, 生成物分布をシミュレートした。
    気相カルボニル化反応は水素の共存により影響され, 金属のハロゲン親和性が高い場合には活性が向上したが, 金属のハロゲン親和性が低い場合には活性が低下することが見い出された。
  • 久光 俊昭
    1997 年 40 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    シェールオイルを既存の製油所にて処理可能な合成原油までアップグレーディングするための水素化精製プロセスおよび触媒について検討した。
    シェールオイル中のヒ素が水素化精製触媒を著しく劣化させることを明らかにした後, 使用済触媒の分析結果に基づいて, その劣化機構を推察した。また, ヒ素とコーク前駆物質である不安定な不飽和化合物とを同時に除去するための前処理条件について検討した。一方, シェールオイル中の窒素化合物を塩基度の違いによって三種類に分類し, 酸性<塩基性<中性の順に脱窒素反応が高くなることを見い出し, さらに脱窒素反応速度および触媒劣化へ及ぼす反応条件の影響について検討した。
    これらの結果に基づいて, ヒ素と不安定な不飽和化合物を除去するための前処理反応器と脱窒素を目的とした主反応器とを接続してシェールオイルの水素化精製を2700時間にわたって行い, 反応圧力100kg/cm2Gにて工業的な観点から採用可能な原料油供給速度と触媒交換頻度で良質の合成原油にアップグレーディング可能なことを実証した。
  • 中村 育世, 楊 鳴鋼, 藤元 薫
    1997 年 40 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    USYゼオライトと担持硫化ニッケルを物理混合することにより調製したハイブリッド触媒を用いて反応温度603~673K, 圧力1.0MPaの条件でトルエンの不均化, およびキシレンの転換反応を検討した。NiS/SiO2はトルエンの不均化にほとんど活性を示さないが, 水素気流中でNiS/SiO2-USYハイブリッド触媒はUSYゼオライトの2倍(反応開始後90分) に相当する不均化活性を示した。窒素気流中では, ハイブリッド触媒の活性はUSYゼオライトのそれよりも低い値となった。USYゼオライトへのNiS/Al2O3の物理混合による複合効果は同様に水素気流中のキシレンの異性化反応でも認められた。これらの反応ではNiSのハイブリッド化によるコーク抑制効果はわずかであり, コークの析出量で触媒の活性を説明することは困難であった。重水素雰囲気, 523K, 62.5kPaの条件でUSYゼオライトの水酸基をFT-IRにより観察すると, NiS/Al2O3-USYハイブリッド触媒ではUSYゼオライトの6倍の速度で水酸基のH (ブレンステッド酸点を含む) と気相の重水素が交換反応を起こすことが明らかとなった。したがって, ハイブリッド触媒では水素雰囲気においてスピルオーバー効果により気相から活性な水素がゼオライト上に供給され, これがプロトンとして作用することにより高い酸触媒としての機能が得られているものと説明される。
  • 種々のCo-Mo/Al2O3およびNi-Mo/Al2O3触媒を用いた軽油中のメチル基置換ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン類の水素化脱硫反応
    張 慶, 石原 篤, 八島 弘, 銭 衛華, 筒井 寛子, 加部 利明
    1997 年 40 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    三種類の市販Co-Mo/Al2O3触媒および一種類の市販Ni-Mo/Al2O3触媒を用いて軽油の深度脱硫反応を行い, メチルベンゾチオフェン類 (MBTs), ジベンゾチオフェン (DBT), モノメチルジベンゾチオフェン類 (C1-DBTs) およびジメチルジベンゾチオフェン類 (C2-DBTs) の挙動を追跡した。軽油の水素化脱硫反応は以下の条件下で行った: 300~410°C, 30atm, LHSV 4h-1, Gas/Oil 120Nl/l。Co-Mo/Al2O3触媒を用いた場合では, 2,3,7-トリメチルベンゾチオフェンを除き, ほとんどのメチルベンゾチオフェン (MBTs) が350°C以下の温度において除去された。4-メチルジベンゾチオフェン(4-MDBT) 以外のC1-DBTsの転化率は無置換のDBTの転化率に大変近いものであった。4,6-ジメチルジベンゾチオフェン (4,6-DMDBT) 以外の三つのC2-DBTsの転化率は4-メチルジベンゾチオフェン (4-MDBT) の転化率に大変近いものであった。これらの結果は4位および6位における置換のみが軽油中のジベンゾチオフェン類の水素化脱硫反応を阻害するということを示唆した。350°C以上で, 4,6-DMDBTの水素化脱硫反応速度はCat. C(深度脱硫用)>Cat. B(CoO 4.5wt%, MoO3 17.0wt%)>Cat. A(CoO 3.8wt%, MoO3 12.3wt%)の順に低下した。Ni-Mo/Al2O3触媒を用いた場合では, すべての含硫黄化合物の転化率が高められ, 含硫黄化合物の転化率の差はCo-Mo/Al2O3触媒を用いた場合より小さい。このことは, Co-Mo/Al2O3触媒とNi-Mo/Al2O3触媒の活性の違いはDBT類の芳香環の水素化に対する活性の違いにあることを示唆した。
  • 廣嶋 一崇, 清原 哲也, 小泉 直人, 清水 健博, 山田 宗慶
    1997 年 40 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    硫化Co-Mo/Al2O3触媒の脱硫活性と微細構造に及ぼす触媒調製時のキレート剤の添加効果についてエチレンジアミン四酢酸 (EDTA) を用いて検討した。まず, EDTAを添加した含浸溶液を用いてCo-Mo/Al2O3を調製し, この触媒を用いてベンゾチオフェン (BT) の水素化脱硫 (HDS) 反応 (270°C, 5MPa) を行った。次いで, EDTA添加が表面構造に及ぼす影響をMo K-edge EXAFSおよび一酸化窒素 (NO) 吸着量の測定で調べた。その結果, EDTA添加触媒のHDs活性 (エチルベンゼン収率) はニトリロ三酢酸 (NTA) 添加触媒あるいはキレート剤無添加触媒を上回ることが分かった。Mo K-edge EXAFSの測定から, EDTA添加によりMo-MoおよびMo-S配位数が大きくなることが見い出され, このことからMoS2類似構造のクラスターサイズの増大あるいは結晶化度の向上が示唆された。NO吸着量測定からは, EDTA添加によりNO吸着量の減少が見い出され, 担持金属の分散度の低下が推察された。これらの点について, EDTA添加触媒が最も高活性であったことを考慮すると, 添加されたEDTAは高活性なサイトを効果的に形成する役割があると推察された。
  • 笠原 彰彦, 天野 隆明, 徳光 克也, 森吉 昭博
    1997 年 40 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, 寒冷期施工や常温切削面上のアスファルト混合物のオーバーレイ工法などで, アスファルト混合物の転圧特性に影響を与える施工基盤の温度および材質, その表面の凹凸形状が当該混合物の空げき率および深さ方向の空げき分布に与える影響, またその違いが供用後のわだち掘れなどに与える影響について室内実験により検討したものである。
    実験の結果, これらの因子はアスファルト混合物の空げき率やその分布に著しい影響を与えることを明らかにした。すなわち, 施工基盤の温度が寒冷期施工のように低い場合には, アスファルト混合物層の下部の空げき率が大きくなる。この傾向は施工基盤の材質の熱伝導が大きい場合にはより顕著となる。施工基盤の表面の凹凸形状が常温切削面のような粗面の場合では, アスファルト混合物層の全体の空げき率が大きくなる。また, このような空げき率の深さ方向の不均一は, アスファルト混合物の高温時における変形形態が圧密と塑性変形の2種類に分けられ, 各々が主にアスファルト混合物層の上部および下部の空げき率に依存するため, 当該混合物の供用後の路面の変形に影響を与えることなども明からにした。
  • 佐藤 信也
    1997 年 40 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    重質油類の平均構造解析法をパーソナルコンピューターの表計算ソフトウェアで行うための支援プログラムを開発した。
    本プログラムは元素分析, 平均分子量, 1Hおよび13C NMR分析よりあらかじめ求めておいた全炭素数, 芳香族炭素数, 全水素数, 芳香族水素数, 芳香環α, β, γ位水素数を必須の入力データとする。本プログラムに縮合環数, 芳香族内部炭素数, 縮合環炭素数, 芳香環に対する側鎖置換位置数および2級ナフテン性α位炭素数の5個のフローティングパラメーターを入力することにより, 平均構造パラメーターおよび密度を計算し, それが幾何的に適当か否かを判断する。平均構造パラメーターの計算値は表計算シート上に常に表示されている。本プログラムはパラメーターの手動入力により実数解および整数解の計算が可能であり, 整数解の場合には適合する解のフローティングパラメーターをシート上に記録する自動計算用マクロプログラムの利用が可能である。
    本プログラムは, 机上で手軽に平均構造解析が可能で, 解析不能が生じた場合の対策が容易, かつ構造上の新しい知見に基づく関係式の追加が従来のコンピューターを用いた解析法に比べて非常に容易であるという特徴がある。
  • 石油学会製品部会ガソリン分科会オクタン価要求値専門
    1997 年 40 巻 1 号 p. 52-60
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本調査は1995年型国産乗用車のオクタン価要求値分布を把握することを目的とし, (株) 石油産業技術研究所の依頼により実施された。試験はJPI-6S-6-94に準拠し, 低速法でのオクタン価要求値分布を正標準燃料および全沸点型標準燃料 (混合系) の計2種で, 試験車13車種52台を対象に実施した。統計処理は'94年度の調査結果のうち, 仕様変更なく引き続き販売されている12車種52台の結果を加えて行った。その結果, 正標準燃料における低速法オクタン価要求値分布は50および90%充足率でそれぞれ91.2および94.8オクタンであった。これは前年度の50および90%充足率の値より0.3および0.5オクタン低い。
  • Ikusei Nakamura, Li Fan, Shintaro Ishida, Kaoru Fujimoto
    1997 年 40 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1997/01/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Alkylation reaction on zeolite catalysts was conducted in supercriticalphase 2-methyl-propane which was reactant as well. Compared to the reactions conducted in liquid phase or gas phase, the supercritical phase reaction exhibited higher activity, along with obviously longer lifetime, on Y-type zeolite catalyst. Supercritical fluid was able to extract in situ and transport high-molecular-weight olefins to extend catalyst life successively.
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