チオフェンの水素化脱硫反応に対するRu/Al
2O
3触媒の脱硫活性を常圧下で, 流通式微分反応管を用いて研究した。触媒の表面特性はNH
3-TPD, XPSおよびIR分光法を用いて検討した。Ru/Al
2O
3触媒は3種類の前処理を施した。すなわち, 空気酸化とそれに続く水素還元 (Ru-OR触媒), 水素還元(Ru-R触媒), および10%H
2S/H
2硫化 (Ru-S触媒) である。いずれの触媒についても300°Cの前処理温度で最高活性となった。10%H
2S/H
2流通下, 300°Cで硫化処理した。Ru/Al
2O
3触媒はチオフェンの水素化脱硫反応に対して高活性を示したが, 400°Cで硫化処理すると活性は著しく低下した。NH
3-TPD実験においてNH
3脱離ガス (低, 中温度域) の2本のピークとN
2とH
2の1本のピーク (高温度域) が観察された。XPS分析から, この低, 中, 高温度ピークはRuO
2, アルミナ上の酸点およびRu金属サイトからの脱離ガスに帰属された。質量分析により, NH
3-TPDの高温ピークはRu金属サイト上に吸着したNH
3の分解によって生成したN
2とH
2であることが判明した。また, FTIR研究から, NH
3-TPDの低温度ピークは Lewis 酸点と関係があった。さらに, Ru/Al
2O
3触媒のチオフェンに対する活性はNH
3-TPDで測定した表面酸性度よりも触媒表面のRu金属に依存した。
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