2-プロピルアニリン,
N-プロピルアニリンおよび3-フェニルプロピルアミンの脱窒素反応で生成した含窒素付加化合物の構造について, 窒素原子への配位と炭素原子への配位の両可能性について検討した。まず, 分子量から付加反応に係わる含窒素化合物と脱窒素中間体を求め, 両者から生成される付加化合物の構造を検討し, さらに各構造の化合物の特徴となる質量スペクトルを検討した。その結果と実際に得られた質量スペクトルとの対比から, 付加化合物の構造を考察した。その結果, いずれの付加化合物も窒素原子に配位した構造と考えられた。
2-プロピルアニリンの反応で生成した3種類の付加化合物はいずれも分子量259であり, その中の2化合物は
m/z174と146の顕著なイオンを有しており, 2-プロピルアニリンの窒素原子に2-プロピル-1-シクロヘキセンが配位した
N-(2-プロピルシクロヘキシル)-2-プロピルアニリン類 (シスおよびトランス) と同定され, 残りの1化合物は
m/z174の顕著なイオンを有しており, 2-プロピルアニリンの窒素原子にアリルシクロヘキサンが配位した構造と同定された。
N-プロピルアニリンの反応で生成した3種類の付加化合物の中, 分子量175および181の化合物は標準物質との照合により
N-シクロヘキシルアニリンおよびジシクロヘキシルアミンであった。また, 分子量177の化合物は
m/z 148および106の顕著なフラグメントを有しており,
N-プロピルアニリンの窒素原子にアリル基がさらに配位した
N,N-ジプロピルアニリンの質量スペクトルと一致した。
3-フェニルプロピルアミンの反応で生成した2種類の付加化合物中, 主成分は分子量253と
m/z 148および91の顕著なフラグメントを有しており, 3-フェニルプロピルアミンの窒素原子にアリルベンゼンが配位したビス (3-フェニルプロピル) アミンと同定された。もう一方の成分は, 259の分子量と
m/z 148および154の顕著なフラグメントを有しており, 3-フェニルプロピルアミンの窒素原子にアリルシクロヘキサンが配位した
N-(3-シクロヘキシルプロピル)-(3-フェニルプロピル) アミンと同定された。
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