石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
42 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 伊東 章
    1999 年 42 巻 2 号 p. 77-85
    発行日: 1999/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    高分子膜の水および有機溶媒蒸気の膜透過係数について測定法, 性質およびそれを基礎とした各種膜分離プロセスの解析法を述べた。差動トランスを応用した簡便かつ高精度の蒸気透過係数測定法を開発し, 主として酢酸セルロース系の膜と水および有機溶媒蒸気における結果を示し, 他の測定方法と比較した。高分子膜における蒸気透過係数の特徴は分圧依存性と温度依存性である。これらにつき膜内拡散に関する考察からプロセス設計に用いることのできる相関式を示した。蒸気透過係数と流れモデルによる解析法を各種膜分離プロセスに適用した。例として挙げたのはシリコーンゴム膜およびその中空糸膜モジュールによる有機蒸気回収プロセス, パーベーパレーションによる水溶液分離, 膜脱気法, 伝熱操作, 水中の希薄有機溶媒の回収操作である。これらは基本的には共通のち密層モデルによりモデル化される。さらに, 膨潤層/ち密層モデルを定式化し, 膨潤度の大きな親水性膜のパーベーパレーションに適用した。
  • 呉 雲影, 河口 修, 松田 常雄
    1999 年 42 巻 2 号 p. 86-92
    発行日: 1999/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    二酸化炭素によるメタンの改質反応において, 活性炭担持コバルト触媒の反応活性はSiO2, Al2O3, SiO2-Al2O3およびMgO担体触媒に比して高かった。この高活性の原因は活性炭に担持されたコバルト化合物の還元されやすさに帰せられた。この触媒にランタン (酸化物) を添加すると触媒活性の向上が見られた。触媒調製時出発物質として硝酸コバルトを用いた場合, 他のコバルト塩を用いたときより高い活性が見られ, 出発物質が活性に影響を与えることが明らかになった。担体の活性炭は, 973K以下ではCO2との反応はほとんど起こらなかった。
    活性炭およびCo/AC, La-Co/AC触媒上に赤外分光測定から3種類のCO2吸着種が確認でき, 反応性は二座配位>単座配位>直線型と序列をつけることができた。特に, ランタンを添加した場合, 二座配位吸着種の増大が見られた。
  • 高岡 京, 小林 光一, 高橋 政志, 曽禰 元隆
    1999 年 42 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 1999/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    n-デカン (DAN), n-テトラデカン (TD), 流動パラフィン (LP), 1-デセン (DEN), スクワレン (SQ), 2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン (TEN), ベンゼン (BEN), トルエン (TOL) およびo-キシレン (XYL) 中の溶存水が形成する各クラスターをIRスペクトル法で検討した。また, これらを20~200°Cに加熱したときの各クラスターの変化を加熱IRスペクトル法で追跡した。
    1) 飽和炭化水素 (DAN, TD, LP) 中の溶存水は, 主として Monomer, Dimer および Trimer として存在する。また, 少量の液体水がフリーボリュームに取り込まれており, 炭化水素の分子が大きいほど多くなる。加熱により, 小クラスターが40°C付近より脱離するが, 液体水は180°Cでも7~15%残留した。
    2) 不飽和炭化水素 (DEN, SQ, TEN) 中の溶存水には, Monomer, Dimer, Trimer とともに, 二重結合のπ電子との相互作用で Tetramer, Multimer も生成している。これらは, 二重結合の状態 (位置および共役) で変化する。π電子と相互作用をしているクラスターは良い熱安定性を示した。
    3) 芳香族炭化水素 (BEN, TOL, XYL) 中の溶存水は, 芳香環に配向した水分子に1~7分子が水素結合したクラスターを形成する。メチル基の電子供与性による効果でクラスターが大型化した。
  • 中戸 晃之, 山田 晃久, 奥原 敏夫
    1999 年 42 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1999/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    種々の酸化物に担持した酸化セリウムを触媒とする酸素共存下でのNOのプロペンによる選択還元反応を検討した。CeO2を担持せずに触媒として用いた場合, NOの還元はあまり進行せず, むしろ酸化反応 (NOからのNO2の生成やプロペンからのCO, CO2の生成) が促進されたが, Al2O3, ZrO2, Ga2O3などの酸化物に担持することによって300~400°Cの温度範囲で良好なNO還元活性が得られた。中でもAl2O3担持CeO2が最も高い活性を示した (Al2O3そのものはこの温度範囲ではほとんど活性を示さない)。また, この触媒の活性は同温度範囲でPt/Al2O3の活性よりも高かった。このようなAl2O3担持CeO2の触媒作用は, CeO2の適度な酸化力のため, CeO2上でプロペンが過度に酸化消費されることなくNOが酸化活性化され, これがAl2O3上で還元されることによって進行する, と推定した。
  • 岡本 康昭, 久保田 岳志
    1999 年 42 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 1999/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    NaYゼオライトおよびAl2O3担持Co-Mo系硫化物触媒における活性金属種の比較的高温でのキャラクタリゼーションを行うため, ブタジエンの水素化反応を473Kで行った。MoおよびCo硫化物触媒において生成するブテンの組成は大きく異なり, Mo硫化物では平衡組成が得られたが, Co硫化物では1-ブテンの多い生成物分布を与えた。金属カルボニルを用いて調製したNaY担持のCo-Mo二元系硫化物触媒では, 水素化反応におけるブテンの分布はCo硫化物触媒と同じであり, 同量のCo, Moが存在しているにもかかわらず, 水素化反応はCoサイト上でのみ起こることを示している。Coカルボニルで硫化Mo/Al2O3触媒を修飾することにより調製したAl2O3担持Co-Mo二元系触媒では, ブテンの分布は硫化Moと硫化Co触媒の間の値をとった。硫化Mo相の活性サイトが添加Co種により修飾されるものの, 一部Moサイトも反応に関与していることが示唆された。1-ブテンの異性化反応とブタジエンの水素化反応におけるブテン分布の比較より, 硫化Co上での水素化反応における1-ブテンの多い生成物分布は, ブタジエンの存在下でブテンの異性化反応が強く抑えられるためであると結論した。
  • 呉 暁聞, 大島 義人, 幸田 清一郎
    1999 年 42 巻 2 号 p. 114-119
    発行日: 1999/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    化学反応制御のためのレーザーの応用に関する研究として, エキシマーレーザー光によって誘起されるシクロヘキサンの液相酸素酸化反応をモデルとした実験を行った。これまでに筆者らは, 酸素分子の光吸収過程への関与や反応の生成物分布などについて報告し, 反応機構に関する定性的な考察を行っている。本報では, 酸素の圧力および反応温度をより広い範囲で変え, 量子収率や生成物選択性などへの条件依存性を実験的に明らかにすることによって, 反応機構に関するより詳細な議論を行うと同時に, 有機合成反応へのレーザー光の応用の可能性について検討することを目的とした。実験の結果, 酸素の圧力の上昇に伴って, シクロヘキサンの反応量は若干増加するが, 量子収率は低酸素圧領域で減少し, 最終的に一定の値をとることがわかった。生成物の中では, 主にシクロヘキサノンの生成に酸素圧依存性があることが明らかになった。温度を変化させた実験では, 高温側で量子収率が1に近づき, シクロヘキサノールの生成量が増加する結果が得られた。また, 量子収率の温度依存性から, この反応には16±4kJ/mol程度の活性化エネルギーがあることがわかった。これらの結果をもとに, 反応機構を推定し, 溶存酸素が光開始過程や反応に及ぼす影響, ラジカル濃度と生成物分布の関係などについて考察を加えた。
  • 走査電子顕微鏡による二次元的解析
    佐藤 克行, 柴田 潤一, 小高 良輝
    1999 年 42 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 1999/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    走査電子顕微鏡から得られる反射電子像の観察条件を最適化し, アルミニウムはくに存在するオイルピット, 鉄系粒子および鉄系粒子に付随する微小くぼみの三者を画像解析法で定量的に解析できる方法を見い出した。この定量的解析法により, アルミニウムはくの光沢度の低下要因としてはオイルピットが最も大きく, 微小くぼみの光沢低下に与える影響はオイルピットの十分の一程度である。また, オイルピットの存在量および数は圧延速度を大きくしたり高粘度油を用いると増加し, 光沢度を著しく低下させることを定量的に明らかにした。一方, 鉄系粒子に付随する微小くぼみは圧延油粘度と関係が認められたのに対し, 加工傷は圧延油粘度とは関係がないことがわかった。
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